「睡眠時間はしっかり確保しているのに1日中眠い」「1日中眠い原因がもしかして病気かも」
このようなお悩みや不安を抱えている方は注意が必要です。
1日中眠いと日中の仕事や学業に身が入らず、社会生活や進級・進学にも支障をきたしてしまいます。また、場合によっては背景になんらかの病気が隠れている可能性もあるため、早期に対処する必要があります。
多くの場合、原因は誤った生活習慣などにあるため、生活習慣の改善や就寝環境を整えるなど、自分自身でのケアで改善することができるため、どのようなケアが必要であるか知っておくことが重要です。
そこで、この記事では1日中眠い原因や病気、眠気改善の対処法について詳しく解説します。これを機に、日中に眠気を感じない日常を手に入れましょう。
一日中眠いのはなぜ?原因を解説
一日中眠いと感じる場合、その原因の多くは自身の睡眠の質や量が不十分であることが考えられます。自分では十分だと思っていても身体にとって睡眠時間が不十分であることも珍しくありません。
また、自分では睡眠にとって悪いと思っていない日常の行動が睡眠の質を低下させている可能性もあるため、注意が必要です。ここでは、一日中眠いと感じる原因について詳しく解説します。
劣悪な就寝環境
1日中眠いと感じる場合、就寝環境が劣悪で睡眠の質が低下している可能性があります。就寝環境は睡眠の質にとって非常に重要であり、いかに睡眠時間を確保しても質が低いと思ったように脳が休むことができず、日中の眠気の原因となるため、注意が必要です。
まず寝室の温度や湿度は適切に保ちましょう。高温多湿・寒冷乾燥だと寝苦しく、睡眠の質が低下します。また、睡眠中に光が差し込む・騒音が聞こえる・振動が伝わるなど、周囲の環境が不適切な場合も脳が十分休めないため、睡眠にとってはよくありません。
長期間使用している寝具も実は体に合っていない可能性があり、睡眠の質を低下させる危険性があります。枕の高さやマットレスの硬さは体に合うものに変更しましょう。
誤った生活習慣
誤った生活習慣も1日中眠いと感じる原因です。自分では睡眠に良かれと思って取った行動が、実は睡眠にとって有害であることも少なくありません。
一般的に適度な運動や入浴は睡眠の質を向上させると考えられていますが、就寝直前に行うと深部体温が上昇してしまい、かえって睡眠の質は低下します。少なくとも就寝2時間前までには運動や入浴は終わらせておくべきです。
また寝つきを良くするためのアルコール摂取や喫煙も睡眠の質を低下させます。アルコールは一時的に眠気を誘いますが、その後出てくるアルコールの代謝産物アセトアルデヒドの覚醒作用によって中途覚醒が増加します。
さらにアルコールや喫煙は気道を浮腫ませてしまうため、睡眠中に取り込める酸素量が低下し、睡眠の質を低下させることが知られています。以上のことからも、飲酒や喫煙はできる限り控えるべきであり、寝付けないからといって深酒するのは絶対に控えましょう。
病気の可能性も
上記のような生活習慣に心当たりがなくても1日中眠いと感じる場合、背景になんらかの病気が隠れている可能性があります。
眠気は睡眠中枢や自律神経によって引き起こされるため、睡眠中枢や自律神経に影響を及ぼすような疾患であれば、不眠症状や過眠症状をきたす可能性があり注意が必要です。
中には、うつ病や睡眠時無呼吸症候群のように、放置すると命に関わる危険性のある病気もあるため、疑わしい場合は早期に医療機関に受診すると良いでしょう。
一日中眠い時の対処法
1日中眠い時の対処法は、主に自身でのセルフケアによって叶います。ほとんどの場合、1日中眠い時の原因は特殊な病気ではなく、セルフケアによって改善可能な睡眠の質、もしくは量の低下が原因であることが多いためです。
特に睡眠の質や量は自身の睡眠に対する知識さえあれば容易に改善できるため、ぜひこれを機に改善を目指しましょう。
就寝環境を整える
1日中眠い時の対処法として、就寝環境を整えることが重要です。就寝環境は先述したように睡眠の質の向上・維持のためには非常に重要です。
アイマスクやイヤホンで音や光を遮断したり、自身の体にあった寝具を使用することで改善が見込めます。また、枕の高さが7cm以上だと首が屈曲して気道が狭くなるため、睡眠の質が低下します。
枕の高さが高すぎる人はこれを機に見直してみると良いでしょう。他にも、エアコンや加湿器の設置・遮光カーテンの設置・ちょうどいい硬さのマットレスの用意など、睡眠の質の改善のためにできることはたくさんあります。
日中に運動する
1日中眠い時の対処法として、日中、できれば午前中に運動することも重要です。日中に適度な負荷の運動を行うことで、身体に心地よい疲労感が残り、夜の睡眠の質をあげることが知られています。
また、運動時に太陽光を浴びることで体内ではセロトニンが生成され、そのセロトニンを原料として夜に睡眠ホルモン「メラトニン」が作られます。そのため、屋外での運動は夜間のメラトニン放出量を増加させるわけです。
これによって睡眠の質が向上し、1日の眠気を回避できるようになります。一方で、過剰な負荷の運動はかえって睡眠の質を低下させる可能性があるため、運動の負荷はランニングや水泳などの適度な有酸素運動がオススメです。
生活習慣を見直す
1日中眠い時は生活習慣を見直しましょう。就寝直前のカフェイン・アルコール・ニコチンの摂取は睡眠にとって有害であり、翌日のさらなる眠気の原因となるため控えるべきです。
また、不規則な食事摂取や暴飲暴食は肥満を招き、首回りの脂肪が増加することで気道が狭くなるため、やはり睡眠の質が低下してしまいます。バランスのいい食事摂取によって睡眠の質を向上しましょう。
特に、セロトニンの原料となるトリプトファンはチーズなどの乳製品に多く含まれているため、意識して摂取してみると良いでしょう。
睡眠時間を確保する
1日中眠い時はまとまった期間で睡眠時間を確保することが重要です。実は人間の理想的な睡眠時間は個人差が大きく、何時間以上の睡眠なら最適であるという指標はありません。
ただ、少なくとも平均して7時間以上の睡眠が好ましいとされており、現代の多忙な社会人では満たせていない人も多いようです。また、自分にとっては十分と思っている睡眠時間も、実は体にとっては不足している可能性もあります。
寝不足状態が続くと1日中眠くなってしまうため、思い切って1-2週間休み、目覚ましもかけずに寝てみると、自分の体の適切な睡眠時間が把握できます。休みを確保できる方は実践してみると良いでしょう。
一日中眠い時に考えられる病気
一日中眠い場合、実は何らかの病気に罹患している可能性があるため、注意が必要です。人の睡眠は脳や自律神経で主にコントロールされているため、脳や自律神経になんらかの障害が出ると睡眠も障害され、眠気の原因となります。
ここでは、一日中眠い時に考えられる病気について解説します。
過眠症
一日中眠い時は、過眠症に罹患している可能性があります。過眠症とは十分な睡眠時間を確保しているにも関わらず、日中に耐えられない眠気に襲われる疾患の総称です。
過眠症はその症状や原因の違いによって、ナルコレプシー・特発性過眠症・反復性過眠症(クライネ-レビン症候群)などに細分化されます。これらの疾患による日中の眠気は強烈であり、しばしば交通事故や転倒転落の原因ともなるため、注意が必要です。
日常生活の改善で症状が緩和されることもありますが、医療機関での治療が必要となることも少なくないため、気になる方は一度医療機関を受診すると良いでしょう。
うつ病
うつ病=眠れない、とイメージされる方もいるかと思いますが、実は過眠症状もうつ病の特徴の1つであり、一日中眠い原因になります。うつ病は脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質がうまく機能しないことで、さまざまな精神症状をきたす疾患です。
抑うつ希望・食欲や意欲の減退・不安感などとともに不眠症状・過眠症状をきたす方もいます。また、精神論でどうにかなる病気ではないので、医療機関での薬物療法が必要になります。
放置すれば最悪の場合、自傷行為や自殺企図など命に関わる事態に発展する可能性もあるため、早期に適切な対応が必要な病気です。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群も、1日中眠くなる病気の1つです。睡眠時無呼吸症候群とはその名の通り、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気であり、その原因は気道の狭窄にあります。
巨舌や小鰐、アデノイドや扁桃肥大などの解剖学的な理由や肥満による頸部の脂肪蓄積によって気道が狭くなり、睡眠中の舌根沈下も重なるとさらに気道が狭くなることで、睡眠中に取り込める酸素の量が激減します。
その結果脳が十分休むことができず、翌朝以降も眠気に襲われてしまう厄介な病気です。また長期的な低酸素状態が続くと身体にストレスがかかり、持続的な交感神経の活性化を招きます。
持続的な交感神経の活性化は高血圧・糖尿病・不整脈・心筋梗塞や脳血管障害の発症率を増加させることが知られており、最悪の場合市に至るリスクも増加させてしまうため、早期から対策することが重要です。
睡眠相後退症候群
睡眠相後退症候群とは、なんらかの原因で体内時計が乱れてしまい、就寝時間と覚醒時間、つまり睡眠相が後退してしまう病気です。
体内時計は通常25時間周期で回っており、そのまま行くと1日1時間ずつ後退するはずですが、実際には我々は毎日同じような時間に寝て、同じような時間に起きています。
これは、規則正しい食生活や朝の通勤・通学、運動などによって体内時計と現実世界のズレが毎日リセットされているためです。
しかし、深夜のスマホいじりや不規則な生活を送ることで、体内時計のズレをリセットできなくなり、結果的に日中に眠気を感じてしまうようになります。
睡眠相後退症候は生活習慣を見直すことで改善も見込めるため、まずは生活習慣を整えることが重要です。
もしかしたら起立性調節障害かも
一日中眠い原因は、もしかしたら起立性調節障害かもしれません。起立性調節障害とは、睡眠リズムが乱れることで日中、特に午前中に眠気が強く、社会生活にさまざまな支障をきたす疾患です。
特に、小学生高学年から中学生にかけて、身体が急速に発達するのに対して自律神経の成長が追いつかず、自律神経のバランスが乱れてしまうことで睡眠にも影響を及ぼします。
基本的には自然軽快する病気ですが、約10%の方は重症化してしまい、通学や通勤がままならなくなってしまう方もいるため、早期から対策することが重要です。
下記の記事では子供の起立性調節障害のセルフチェック方法を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト
通常は子供に多い病気ですが、起立性調節障害は大人でも発症しうる病気です。大人で発症すると仕事に影響が出て、収入や生活にも影響が出てしまうため、やはり早期発見に務めるべきです。下記の記事で大人の方もセルフチェックしてみましょう。