起立性調節障害とは

病院に行きたくない|起立性調節障害の子供の対応方法を解説

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医

 

病院に行きたくない|起立性調節障害の子供の対応方法を解説

小さい子供にとって、病院への受診は大人が思っている以上に恐怖心の強い行動なのかもしれません。特に小さい頃から定期的に病院を受診している場合、「病院=痛いことをされる場所」とすり込まれているケースが多いです。

実際に病院やクリニックでは大暴れする子供や、その子供を無理やり押さえつける医療スタッフを見かけることも少なくありません。白衣を見るだけで泣いてしまう子供もいるほどです。

また、小学生高学年や中学生になれば自我も芽生えているため、病院に行ってもあまり良くならないと勝手に思い込んでしまい受診したがらないケースもあります。

そんな病気の典型例の1つに、起立性調節障害(OD)が挙げられます。起立性調節障害の子供は、そもそも原因不明の体調不良により病院受診を嫌がることが多く、また頻回な通院の割に病状が改善しないことで不信感を抱いているケースもあります。

しかし、実際には起立性調節障害と医療機関の繋がりは治療の上で非常に重要であり、適切な治療を行う上では必要不可欠だと思います。

そこで今回は、起立性調節障害の子供が病院に行きたくないと思う理由や、親御さんが取るべき対応についてわかりやすく説明していきます。

どうして病院行きたがらないの?

起立性調節障害は小学生で約5%、中学生で約10%が罹患すると言われ、特に中学生までに発症することが多いです。

起立性調節障害の場合、子供本人はもちろんのこと、親御さんにとっても大変なことがたくさんある上に、決して低くない罹患率を考えると多くの親御さんにとって無視できない病気だと思います。

そもそも子供は医療機関への受診を大人よりも嫌がる傾向にあります。これは過去に病院に行った記憶の中に、良い思い出が形成されにくいからです。

基本的に病院は体調が悪い時に半ば強制的に連れていかれる場所です。そして、大人に押さえつけられながら痛いこと、嫌なことをされる場所です。これは未就学児の時にはすでに植えつけられてしまう記憶です。

健康児であっても、ワクチン接種などで未就学の頃に病院に受診するため、よく理解できないまま医療を受けることで恐怖心が倍増してしまうのです。これらの負の記憶は、小学生高学年や中学生になっても消えることはありません。

さらに起立性調節障害に罹患した子供では医療機関への受診を嫌がる理由が2つあります。まず、単純に症状が重い場合は医療機関に受診したくてもできないのです。

起立性調節障害とは、肉体の急激な成長に対して自律神経の発達が追いつかず、起立時に脳血流が低下してしまい様々な症状が出現する病気です。睡眠中は横になっているため脳血流が保たれますが、起床時に立位になると状況が変わります。

起立によって体内の血液が足の方向に多く取られてしまい、脳血流が低下しやすくなってしまうのです。本来であれば交感神経が自動で活性化して、足の血管が収縮したり、心臓の拍動が強く、早くなることで脳血流は保たれます。

しかし、起立性調節障害の場合そういった生理的反応が起こらないため、起立とともにそのまま脳血流が低下してしまい、めまい、ふらつき、嘔気、腹痛、体動困難など多くの症状が出現するわけです。

これらの理由から起立性調節障害の子供は特に医療機関への受診に積極的ではなくなってしまいます。では、そもそも医療機関への受診は必要なのでしょうか?

このように、起立性調節障害そのものの症状が重い場合、そもそも好きでもない病院に子供が行きたがらないのは当然だと言えます。

次に起立性調節障害の子供に多いのは、「病院に行っても治らない」と勝手に思い込んでしまっているパターンです。この場合も、子供は医療機関に行きたがりません。

起立性調節障害の子供を持つ親御さんは、たとえ病院に受診してもなかなか症状が良くならないことや、その都度異なる診断を受けることもあり、医療機関を頻回に変えてしまう傾向にあります。

子供にとっては行きたくもない病院に連れていかれ、毎回同じような診察を受けているうちに、親御さんのみならず子供自身も病院に対する不信感を募らせてしまいます。これが第2の理由です。

病院に行かせるべきなのか?

起立性調節障害は発症後約1年で50%程度が、発症後2-3年もすれば80%程度が自然に症状が改善すると言われています。重症化する子供はわずか1%程度と言われています。

しかし、なかには症状が長引く人もいます。症状が長引く主な原因は、疾患への適切な理解や対応ができていないこと、そして心理的な負担が大きいことなどが挙げられます。これらの理由からも病院への受診は必要だと考えられます。

起立性調節障害の治療過程では、疾患への適切な理解を持ち症状とうまく付き合っていく必要性があります。起立性調節障害という疾患に対する知識や理解を育む上では、やはり医療機関への受診が必要です。

非薬物療法として生活の中で行える工夫を親御さんだけでなく、子供自身が理解しておくことが治療の過程で非常に重要なのです。

また、心理的サポートとして専門のカウンセラーによる心理療法を受けること、症状が重症の場合は医師の判断のもと薬物療法を受けることもできるため、やはり医療機関との結びつきは重要だと思います。

しかし、子供は病院に行きたくない訳ではなく行けないという状況もあり得るため、親御さんは子供の意見や状態をよく鑑みて判断する必要があります。

病院に行きたがらない場合の対応方法

まず、症状が重くて病院に行きたくてもいけない場合は、それほど症状が重いわけですから当然医療機関を受診する必要性があります。この場合、子供と相談することが重要です。

例えば、午前中は難しくても症状が緩和しやすい午後や夕方に通院時間を変更するなどのちょっとした工夫で受診できるようになるかもしれません。

また、医療機関への不信感が強い場合は、子供が医療機関に受診する意味や必要性を理解出来ていない可能性があるため、親御さんがしっかり子供に説明することが重要です。

いきなり受診を勧めるのではなく、まず子供の辛さに耳を傾けて共感してあげる必要があり、医療機関に受診することの意味やメリットを理解できるように説明してあげるのです。

自分の子供が起立性調節障害で苦しんでいれば、親御さんも症状が治らないのではと不安になるのも無理はありませんが、子供はそれ以上に不安を感じていることを理解して、しっかりと言葉で説明してあげることが重要です。

また、起立性調節障害の子供は病院だけでなく、通学に支障をきたすことも少なくありません。下記記事では起立性調節障害で学校に行きたがらない子供についてによくまとめられています。是非参考にしてみてください。

 

 

下記記事では「起立性調節障害の子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

トトノエライト なおくん

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