- 立ち上がるとふらつくことが多く、起立性低血圧かどうか気になる
- 起立性低血圧をセルフチェックする方法が知りたい
このようなお悩みをお持ちの方も多いでしょう。
自宅で血圧測定することによって、起立後の血圧変化の度合いをチェックし、比較的容易に起立性低血圧をセルフチェックできます。
また、起立性低血圧に特徴的な症状を把握しておくことで、早期に発見することができるため、事前に知っておくと良いでしょう。
この記事では、医師である筆者の経験を基に、具体的な起立性低血圧のセルフチェック方法や症状について詳しく解説します。
起立性低血圧のセルフチェック方法
起立性低血圧のセルフチェック方法は、起立時の血圧変化と出現する症状をしっかり把握することです。
起立時の血圧変化については「仰臥位または座位から立位に体位変換した際、起立後3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下するか,または収縮期血圧の絶対値が90mmHg未満に低下するか、もしくは拡張期血圧が10mmHg以上低下する」場合に診断されると定義されています。
自宅に血圧計があれば起立前後の血圧を確認できますが、測定結果だけで起立性低血圧と診断することはできません。
また、立ち上がった際に失神や転倒を起こし、頭部や顔面を負傷する危険もあります。 失神したことがある方や、立ち上がると強いふらつきが出る方は、一人で測定せず、医療機関に相談しましょう。
血圧測定が難しい場合は、日常生活でどのような症状が、どのような状況で現れるかを記録しておくと、診察時の参考になります。
ここでは、子どもと大人に分けて、起立性低血圧でみられやすい症状について解説します。
子どもで特に見られる症状
そもそも、起立性低血圧とは病気ではなく、あくまで起立時に血圧が低下して症状が出現している状態を意味しています。
特に、中高年に多い高血圧に対する降圧剤内服や、糖尿病・パーキンソン病などに伴う自律神経障害などによって血圧低下がもたらされるため、加齢によって発症率が増加する病気です。
しかし、小児でも一定数発症を認める病態であり、特に急激な肉体の成長に対して自律神経の成長がついていけなくなると発症します。
子どもで特に見られる症状としては、朝の起床困難や腹部症状が挙げられます。
小児で起立性低血圧を認める場合、自律神経の乱れによって生じている可能性が高く、起立時の低血圧以外にもさまざまな症状をきたすためです。
自律神経は血圧や脈拍以外にも、体温・睡眠・消化管運動・排尿・排便など幅広い生理機能を調節しているため、自律神経の乱れによって睡眠相が乱れる(朝の起床困難や夜の入眠困難)、もしくは心窩部痛や嘔気嘔吐などの腹部症状を併発しやすいです。
以上のことからも、起立時のめまい・ふらつきはもちろんのこと、睡眠相の乱れや腹部症状を有する場合は起立性低血圧を疑いましょう。
大人で特に見られる症状
大人で特に見られる症状としては、不定愁訴とも捉えられるような倦怠感や易疲労感、さらには失神などです。
決して、大人=失神が多い、というわけではないですが、大人の場合、失神によって救急外来などの医療機関に搬送される例が少なくありません。
特に高齢者では、脱水や加齢に伴う血圧調節機能の変化に加え、利尿薬や降圧薬などの影響によって起立性低血圧が起こる場合があります。 薬を服用し始めてから症状が現れた場合や、薬の変更後に症状が強くなった場合は、処方した医師に相談しましょう。
そのほか、大動脈弁狭窄症や閉塞性肥大型心筋症などの心疾患によって起立性低血圧を起こす場合、胸痛など胸部症状を事前に自覚していることが多いため、心当たりのある方は早期に医療機関で精査すべきです。
起立性低血圧と類似の病気
起立性低血圧は、起立時の血圧低下によってめまい・ふらつき・倦怠感・冷や汗・失神などの症状をきたす疾患です。
起立時に起立性低血圧と同じような症状が出現する類似疾患を5つ紹介します。
- 血管迷走神経性失神
- 心因性めまい
- 良性発作性頭位めまい症
- 鉄欠乏性貧血
- 不整脈
それぞれ、治療法も異なるため、しっかり鑑別することが重要です。
血管迷走神経性失神
血管迷走神経性失神とは、自律神経の反射によって血圧や心拍数が一時的に低下し、脳への血流が不足することで起こる失神です。
立ち上がると、重力によって約500〜800mlの血液が下半身へ移動し、心臓に戻る血液量が一時的に減少します。通常は、圧受容体が血圧の変化を感知し、末梢血管を収縮させたり心拍数を調節したりすることで血圧を維持します。
しかし、長時間の立位、強い痛み、採血、精神的な緊張などをきっかけに自律神経の反射が過剰に働くと、血管が拡張したり心拍数が低下したりして、失神することがあります。失神する前に、吐き気、冷や汗、顔面蒼白、目の前が暗くなるなどの前兆が現れることもあります。
起立性低血圧は一般的に起立後3分以内の血圧低下によって症状が現れます。一方、血管迷走神経性失神は、長時間立っているときや特定のきっかけの後に起こることが多いものの、症状が現れるタイミングだけで区別することはできません。
治療は、誘因を避けることや前兆が現れたときの対処が中心です。失神を繰り返す場合は、原因や重症度に応じた治療が検討され、ごく一部のケースではペースメーカーが選択されることもあります。
血管迷走神経性失神の原因や症状、セルフチェックの目安について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
心因性めまい
心因性めまいとは、うつ病や不安障害、身体表現性障害などの精神疾患によって、常にめまい症状を自覚してしまう病気です。
心の問題からめまい症状が出現している場合や、もともとめまいを伴う耳鼻科疾患を持っている人が精神疾患の併発によってめまいが悪化している場合もあります。
主な症状は3ヶ月以上ほとんど毎日出現するめまい症状であり、立位姿勢や頭の動き,視覚刺激によって増悪するという特徴があります。
起立によって悪化することもあるため、起立性低血圧と症状が似ていますが、あくまでめまい症状のみであり、血圧低下を認めるわけではありません。
治療は抗うつ剤などの薬物療法や行動療法であり、起立性低血圧とは異なるため、正確な診断が必要です。
良性発作性頭位めまい症
良性発作性頭位めまい症とは、頭の位置を変えたときに回転性のめまいが生じる耳鼻咽喉科領域の病気です。
内耳にある耳石器から耳石の一部がはがれ、半規管に入り込むことで発症すると考えられています。解剖学的な位置関係から、後半規管に生じることが多いとされています。
ベッドで寝返りを打ったときや、起き上がったとき、何かを拾おうとして頭を下げたときなどに、回転性のめまいや吐き気が現れます。めまいは通常、数秒から数十秒程度で治まります。
起立性低血圧では、立ち上がった際に血圧が低下し、脳への血流が一時的に減少することでふらつきなどが現れます。一方、良性発作性頭位めまい症では、頭の位置を変えることが症状のきっかけとなり、起立時の血圧低下はみられません。
良性発作性頭位めまい症では、診断結果に応じて、半規管に入った耳石を元の位置へ戻す耳石置換法などが行われます。頭を動かしたときに回転性めまいが繰り返し現れる場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血とは、体内の鉄が不足し、ヘモグロビンを十分に作れなくなることで起こる貧血です。
主な原因は下記の通りです。
- 鉄分の摂取不足
- 妊娠や出産、授乳期や成長が著しい思春期における、鉄分の必要量増加
- 胃十二指腸潰瘍や消化管腫瘍による持続的な出血
主な症状として、動いたときの動悸や息切れ、倦怠感、疲れやすさ、立ちくらみなどが挙げられます。起立性低血圧と似た症状が現れるため、症状だけで見分けることは困難です。
起立性低血圧は起立時の血圧低下によって症状が現れるのに対し、鉄欠乏性貧血ではヘモグロビンの減少によって全身へ十分な酸素を運びにくくなります。
鉄欠乏性貧血では、まぶたの裏側が白っぽく見えることもありますが、見た目だけで判断したり否定したりすることはできません。貧血が疑われる場合は、医療機関で血液検査を受けましょう。
鉄欠乏性貧血の症状やセルフチェックの目安について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
不整脈
心臓の拍動リズムが乱れる不整脈も、動悸やめまい、失神、疲れやすさなどの原因となります。
心拍数が極端に少なくなったり、反対に異常に速くなったりすると、心臓から脳へ十分な血液を送りにくくなり、めまいや失神が起こることがあります。
失神をきたす可能性のある不整脈として、洞性徐脈、房室ブロック、心室頻拍、心室細動などが挙げられます。
不整脈には緊急性の低いものもありますが、失神を伴う場合や、強い動悸、胸痛、息切れなどがある場合は、重篤な不整脈が隠れている可能性があります。症状がある場合は医療機関を受診し、心電図などの検査を受けましょう。
起立性低血圧の改善には原因に応じた対策が重要
起立性低血圧の改善には、原因に応じた対策を行うことが重要です。
起立性低血圧は、自律神経機能の障害だけでなく、脱水や薬剤、出血、心疾患など、さまざまな原因によって起こります。 主な原因としては、下記のような病態や疾患が挙げられます。
- パーキンソン病や多系統萎縮症などの中枢神経疾患
- 糖尿病や末梢神経障害などによる自律神経機能の障害
- 脱水、出血、貧血、アルコールの過剰摂取、栄養不足
- 降圧薬や利尿薬などの薬剤
中枢神経疾患や末梢神経障害などが原因の場合は、原因となる病気に応じた専門的な治療が必要です。
薬剤の影響が疑われる場合は、自己判断で中止せず、処方した医師に相談しましょう。 日常生活では、急に立ち上がらない、脱水を避ける、長時間の立位を控えるといった対策が役立つ場合があります。
適度な運動や塩分・水分摂取の調整が検討されることもありますが、持病によっては適さない場合もあるため、医師に相談したうえで行うことが大切です。
乳酸菌を食生活に取り入れる際のポイント
乳酸菌を含む食品は、日々の食生活を整える選択肢の一つです。
脳と腸は、自律神経やホルモンなどを介して相互に影響し合っており、この関係は「脳腸相関」と呼ばれています。ストレスによって腹痛や吐き気が現れたり、胃腸の不調が精神的な負担につながったりすることもあります。
乳酸菌はヨーグルトやチーズなどの乳製品、キムチ、ぬか漬け、味噌などの発酵食品に含まれています。これらの食品を、野菜や果物、穀類などと組み合わせ、バランス良く取り入れることが大切です。
ただし、乳酸菌を摂取するだけで自律神経が整ったり、起立性低血圧が改善したりするとは限りません。症状が続く場合は食生活だけで対処せず、医療機関で原因を確認しましょう。
下記の記事では、効率的な乳酸菌の摂取方法が詳しく解説されているため、ぜひ参考にしてください。
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