起立性調節障害とは

起立性調節障害の原因とは?発症期間や発症しやすい人の特徴も解説

2023年11月5日

この記事の監修者

医師 武井 智昭

医師 武井 智昭

高座渋谷つばさクリニック院長
小児科・内科・アレルギー科
保有資格:小児科専門医・指導医・日本小児感染症学会認定・インフェクションコントロールドクター・臨床研修指導医・抗菌化学療法認定医・プライマリケア学会認定医・認知症サポート医・小児感染症学会認定医

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

「OD」ともよばれる起立性調節障害は、主に小児科の領域で診療する疾患です。

この起立性調節障害では、自律神経がうまく働かないことによって起こる体の不調が、主に小学校高学年から中学生・高校生に好発します。

思春期の子どもが朝起きられず、学校に行けないなどのよくある症状は、起立性調節障害が原因となっているかもしれません。

この起立性調節障害が、何を要因として発症するのか、ストレスが起因しているのか、また発症しやすい時期や発症しやすい人の特徴などについても、併せて解説します。

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起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性調節障害の原因

起立性調節障害の主な原因

起立性調節障害は、自律神経系の異常に関連した異常であり、原因は明確に解明されていません。

しかし、自律神経のバランスを崩す原因としては、ストレスが大きく関与しており、また思春期においては身体の成長やホルモンバランスの変動などが関与することもあります。また、遺伝的な要因も考えられます。

次の章では小学生、中学生、高校生、大学生、大人別に起立性調節障害の原因を解説していきます。

小学生の起立性調節障害の原因

小学生の起立性調節障害の原因

クラス替えや学校での人間関係に馴染めない(友達や先生との関係性が作れない)など環境の変化に伴って、孤立してしまうなどの学校でのストレスは原因の一つとして考えられます。

また、成長が早い子供では、小学生の高学年から二次性徴が始まり、ホルモンバランスの大きな変化、身体の急激な成長が起立性調節障害の原因となる可能性があります。

中学生の起立性調節障害の原因

中学生の起立性調節障害の原因

二次性徴の真っ最中にあるため、この成長の過程で起立性調節障害を患う子供もいます。学校生活では、部活動に参加する子どもも増え、部活動での先輩後輩の人間関係に悩むことも一因になります。

また、学校生活以外にも受験勉強に向け塾に通う子供も多くなり、塾での人間関係や受験勉強へのプレッシャーなどが原因になる場合もあります。

高校生の起立性調節障害の原因

高校生の起立性調節障害の原因

二次性徴が終わる頃ではありますが、高校生低学年では依然ホルモンバランスや身体の成長が継続しており一因になります。

高校生になると、部活動や予備校での人間関係、受験・今後の人生を左右する選択へのプレッシャーなどが強くなる時期でもあります。徹夜で勉強をすることで睡眠時間が短くなってしまう場合もあり、複合的な要因で起立性調節障害を発症するリスクを秘めています。

大学生の起立性調節障害の原因

大学生の起立性調節障害の原因

大学生になると、様々な地域から集まった学生との人間関係が大きなポイントになります。初めての一人暮らしを経験することもあるかもしれません。自分で自分の衣食住をコントロールする必要があり、慣れないことも多いかもしれません。外食が多くなったり、友人との飲み会などで食生活、睡眠の乱れが生じやすくなります。

また、バイトをする学生も多いですが、初めての労働、バイトでの人間関係や労働環境などにも注意が必要です。

大人の起立性調節障害の原因

大人の起立性調節障害の原因

子どもの頃に起立性調節障害に罹患したことがある場合や大人になり初めて起立性調節障害に罹患する場合など様々です。

大人で起立性調節障害を発症した場合、生活環境の変化、職場でのストレス、背景に別の疾患があるなどの原因を考えておく必要があります。仕事が忙しく、休息時間がない、睡眠時間の不足、食生活の乱れ、ストレスなどが複雑に関連し自律神経の調整のバランスが崩れやすい状態になってしまうリスクがあります。

また、別の疾患が隠れており、その関係で自律神経障害が見られる場合もあり注意が必要です。

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起立性調節障害の発症前にみられるサイン

起立性調節障害は、ある日突然発症するわけではなく、発症前から生活習慣の乱れや心身の変化がみられるケースも少なくありません。

実際に当協会が実施した、起立性調節障害を発症したお子さんの保護者を対象にした調査(n=171)では、「睡眠リズムの乱れ」「朝起きづらい」「学校へ行きたがらない」など、さまざまな変化が報告されています。

ここでは、発症前にみられやすい生活習慣やサイン、発症のきっかけについてアンケート結果をもとに紹介します。

発症前にみられた生活習慣の傾向

保護者アンケート(n=171)では、発症前の生活習慣として「就寝時間が遅くなっていた(23.7%)」が最も多く、次いで「スマホ・ゲームの利用時間が長かった(19.8%)」という回答が続きました。

もちろん、これらの習慣だけで起立性調節障害になるわけではありません。しかし、睡眠不足や生活リズムの乱れは自律神経に大きな負担を与えるため、発症リスクを高める要因の一つと考えられています。

特に思春期は夜更かしになりやすい時期でもあるため、生活リズムの管理は重要です。

発症前に、お子さんの生活習慣で気になっていたことはありますか?複数選択可

起立性調節障害を発症したきっかけとして多いもの

起立性調節障害を発症したきっかけについては、「進学・進級などの環境変化(24.0%)」が最も多く、次いで「友人関係などの人間関係のストレス(20.7%)」という回答が続きました。

また、「季節の変わり目(15.5%)」や「部活動や習い事による活動量の変化(9.9%)」なども発症のきっかけとして挙げられています。

起立性調節障害は単一の原因で発症するものではなく、身体の成長や生活習慣の乱れ、精神的ストレスなど複数の要因が重なることで発症するケースが少なくありません。

特に進学やクラス替え、受験など環境が大きく変化する時期は、自律神経への負担も大きくなりやすいため注意が必要です。

お子さんの発症のきっかけとして心当たりがあることを教えてください(複数選択可)

発症前にみられるサインや変化

発症前にみられるサインや変化については、「朝、なかなか布団から出られなくなっていた(28.2%)」という回答が最も多く見られました。

また、「頭が痛い・お腹が痛いと訴えることが増えた(16.7%)」「イライラしやすく情緒が不安定だった(13.6%)」などの変化も報告されています。

これらは起立性調節障害に特有の症状とは限りませんが、発症前のサインとして現れることがあります。特に朝起きづらい状態が続く場合や、以前とは異なる体調不良・行動の変化がみられる場合には注意が必要です。

学校へ行きたがらない日が増えるなどの変化が続く場合には、単なる怠けや甘えと決めつけず、体調面にも目を向けることが大切です。

今振り返って「あれが前兆だったかもしれない」と感じる症状や変化はありましたか?複数選択

起立性調節障害はいつ頃発症しやすいのか

起立性調節障害はいつ頃から発症しやすいのか

起立性調節障害は、小児科の領域でのみ用いられる病名であると説明したとおり、発症しやすいのは体が大きく変化する思春期となっており、小学生の約5%、中学生の約10%が発症しているとされています。

高校生でも発症している場合が少なからずあるものの、その多くは中学生の頃に発症した状態が続いているものだと考えられています。

思春期では、特有の人間関係に悩むことも多く、その心理的ストレスや心の発達などが契機となり、起立性調節障害や不登校となることがありますが、決して怠けたりと悪意があって症状を起こしているものではありません。

実際の保護者アンケート(n=171)でも、診断を受けた時期は「小学校高学年(38.0%)」と「小学校低学年(30.4%)」が多く、全体の約7割を占めました。

起立性調節障害は思春期に増える疾患として知られていますが、症状そのものは診断前から徐々に現れていることも少なくありません。朝起きられない、立ちくらみが増えるなどの変化がみられる場合は、早めに医療機関へ相談することが重要です。

お子さんが起立性調節障害と診断されたのはいつ頃ですか?

起立性調節障害を発症しやすい人の特徴

起立性調節障害を発症しやすい人の特徴

起立性調節障害は、発症した子どもの親もかつては起立性調節障害だったということも多くあり、起立性調節障害で悩む患者の約半数に遺伝の可能性が考えられています。

また、起立性調節障害を発症する男女比は、男子1に対して女子は1.5〜2となっていて、女子の方が発症する割合が若干高くなっています。

他にも、朝が苦手な人やよく立ちくらみがする人は生まれつき自律神経の働きが弱く、発症しやすい傾向にあります。

さらに、日ごろから水分や塩分の摂取が少なく低血圧の人や、少食であるなどエネルギー不足の状態となっているときにも発症しやすくなります。

真面目で責任感の強い人や周りに気を遣いすぎる人など、常日頃から精神的ストレスを受けやすいタイプの人も、発症の主な原因である自律神経の乱れが起こりやすくなります。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

子どもで起立性調節障害を発症しやすい人の特徴

家庭内で、学校での出来事を全く話さない子どもは学校での人間関係などの悩みを一人で抱え込む傾向にあり注意が必要です。

受験勉強真っ最中や学校での環境が変化する新学期、部活動に参加し始めた時期などは特に人間関係などに大きな変化が見られやすい時期であるため注意して観察しましょう。

大人で起立性調節障害を発症しやすい人の特徴

仕事でのストレスが強い方、責任感が強く、真面目過ぎる方はリスクと言えるでしょう。

ストレッチなどの軽い運動や、息抜きなどを行い適度にストレスを発散し、生活習慣を整えることにより自律神経のバランスを崩さないよう心がけることが重要です。

起立性調節障害の発症期間(いつまで続くのか)

起立性調節障害の発症期間

起立性調節障害の症状を発症してから、その症状がいつまで続くのかには個人差がありますが、軽症の場合は適切に治療することによって2〜3か月程度で改善するといわれています。

発症してから1年で約5割の人が改善しますが、長い間、学校を欠席しているような重症の場合には、社会復帰までに2〜3年かかる場合もあります。

発症してから2〜3年が経過した時点で約8割が回復しますが、場合によっては大人になっても症状が残っていることもあります。

いずれにしても、治療をすることで回復する可能性の高い病気ですので、学校に行けていないなどで焦ってしまうこともありますが、ゆっくり気長に向き合うことが大切です。

下記記事では「起立性調節障害の治し方・子供に親ができること・治った方の事例」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

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