起立性調節障害とは、自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることでめまいやふらつき、たちくらみ、頭痛、腹痛など様々な症状を来す病気です。
朝起き上がることが難しく、午前中も体調不良で起き上がることができないなど辛い症状が多い病気ですが、難病に指定されているのかと思われたことはありませんか?
結論としては、起立性調節障害は難病指定されていません。本記事では、指定されていない理由や今後指定される可能性について解説します
難病指定の基準
まず難病指定の基準から解説していきます。
厚生労働省は難病の患者に対する医療等に関する法律「難病法」を定めています。
難病法では、難病患者の良質かつ適切な医療の確保、療養生活の質の維持向上を図ることを目的として、基本方針の策定、公平・安定的な医療費助成制度の確立、調査研究の推進、療養生活環境整備事業の実施等の措置について規定しています。
<難病と指定難病について>
難病法において、難病を「発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない、希少な疾病であって、長期の療養を必要とする疾病」と定義し、幅広い疾病を対象として調査研究・患者支援等を推進しています。
他の施策体系が樹立されていない疾病を幅広く対象とし、調査研究・患者支援を推進するため、患者数等による限定は行っていません。
難病のうち、患者の置かれている状況からみて良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いもので、下記の要件の全てを満たすものを、厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定したものを指定難病といい、医療費助成の対象となります。
・患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと
・客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること
現段階で338の疾患が指定難病に指定されています。
起立性調節障害は難病に指定されている?
現段階では起立性調節障害は難病に指定されていません。
難病指定されていない理由
起立性調節障害とは、ストレスなど何らかの原因で自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることで様々な症状を来す病気です。
体が大きく成長し、ホルモンの変動が大きい思春期に多くみられ、ほとんどの場合で成長とともに症状も改善することが多いため、難病に指定されていないのではないかと考えられます。
また、上記でご説明しましたとおり、指定難病に認定されるためには基準があり、起立性調節障害は下記の理由からその基準を満たさない可能性が高いです。
<発病の機構が明らかでない>
自律神経の働きのバランスが崩れる原因ははっきりしませんが、ストレスや思春期特有の体とホルモン動態の成長などが関与していることが言われています。
<治療方法が確立していない>
昇圧剤などを使用することで治療方法があります。
<希少な疾病であるか>
希少ではなく、思春期においては比較的よく見られる疾患。
<長期の療養を必要とする疾病であるか>
起立性調節障害は約10%が罹患すると言われており、希少な疾患ではなく、指定難病の定義である「人口の約0.1%程度に達しないこと」を満たさないため、難病に指定されていないと考えられます。
今後難病に指定される確率
非常に辛い症状で苦しんでいる方も多く、難病に指定されることで医療費の助成などが適応にはなりますが、やはり罹患者数が指定難病の定義より多いことなどから今後も難病に指定される可能性は高くないのではないかと思われます。
体の成長とともに症状も和らぐことが多いため、主治医と相談しながら治療を継続していきましょう。
下記記事では、起立性調整障害の治療方法に関して詳しく説明していますので、ぜひご一読ください。