起立性調節障害とは

勉強の遅れ・やる気がでない|起立性調節障害の子供の対応方法を解説

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医

 

勉強の遅れ・やる気がでない|起立性調節障害の子供の対応方法を解説

親御さんにとって、大切な子供の健康面や交友関係など気になることはたくさんあると思いますが、学業の進行度はとても気になる点の1つではないでしょうか?

特に、小学生高学年や中学生は受験を控えている学年でもあるため、勉強が遅れている場合は親御さんのみならず子供自身もプレッシャーを感じてしまうことも少なくありません。

もちろん、本来であれば勉強の遅れは本人のやる気や周囲の環境に大きく左右され、なかには先天的な知能の発達遅延によって生まれつき勉強が遅れやすい子供がいるのも事実です。しかし、そうでなくても勉強が遅れてしまう子供もいます。

なかでも起立性調節障害(OD)と呼ばれる病気は、子供の学業にとって非常に厄介な病気です。起立性調節障害はあくまで身体疾患であり、本人のやる気とは関係なく勉強に取り組めなくなり、結果的に勉強が周囲よりも遅れてしまいます。

実際に起立性調節障害の子供を持つ親御さんの中には、子供の勉強の遅れに不安や憤りを感じている親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで本記事では、起立性調節障害の子供で勉強が遅れる理由や、やる気が減退してしまう理由について分かりやすく解説していきます。

起立性調節障害によってやる気がでない理由

起立性調節障害によって勉強のやる気が出ない理由を理解する上では、病気そのものを理解する必要があります。起立性調節障害とは、急激な肉体の成長に自律神経の発達が追いつかず様々な症状が出現する病気です。

特に小学生高学年や中学生の時には、肉体が急激に成長して心臓から脳の物理的な距離が広がってしまうため、急に立ち上がると心臓から脳への血流が低下しやすくなってしまっているのです。

人間が立ち上がる時、体内の血液が重力に伴って足の方向に流れ込んでしまうため脳血流は低下しやすくなりますが、本来正常な身体であれば脳血流を一定に保つように自律神経がバランスを取り、自動で調節してくれています。

具体的には、起立した際に自律神経の内の交感神経が自動で活性化し、心臓の鼓動を強く、早くさせ、足に血液が流れないように足の血管を収縮させることで脳血流を一定に保とうとするのです。

しかし、起立性調節障害の子供では急激な肉体の成長に対し自律神経の発達が追いついていないため、こういった交感神経の活性化が起こらず脳血流が低下してしまい、めまい、ふらつき、腹痛、頭痛など様々な症状が出現します。

厄介なことに、症状が出現しやすいのは起立時、つまり朝起きた後になるため、子供は自分の意思とは関係なく朝起きれなくなったり、症状によっては通学に支障をきたしてしまい登校できなくなってしまいます。

登校できなければ当然勉強に遅れをきたし、また午前中の疲労感が強いため、学校に遅刻してしまったり、せっかく登校できたとしても学業に身が入らないため、他の子供や学校の先生に注意されることもあります。

途中から遅れて教室に入るのは子供にとってかなりのストレスになるため、遅刻しそうな日は徐々にまる一日学校を休むようになる子供も少なくありません。その結果、さらに学業が遅れてしまうのです。

この状態で親御さんから学校に行けないことを不用意に注意してしまうと、本人にとってはどうすることもできず、やる気そのものが減退していってしまいます。

以上のことからも、起立性調節障害の子供は勉強に対するやる気を失いやすいため、親御さんにはとても慎重な対応が求められます。

起立性調節障害の子供をもつ親御さんにとってまず理解していただきたいのは、起立性調節障害はやる気の問題ではなくあくまで身体疾患であり、本人の気持ちややる気ではどうにもできずに症状が出現してしまうということです。

起立性調節障害による勉強の遅れ、やる気がでない場合の対応方法

では、具体的に起立性調節障害の子供の勉強の遅れや、やる気の減退に対して親御さんはどういった対応をとるべきなのでしょうか?

起立性調節障害の場合午後になると遅れて交感神経が活性化してくるため、症状が改善されていく傾向にあります。そこで、夕方の部活や夜間のゲームは意欲的にできてしまう子供も少なくありません。

しかし、親御さんから見れば、好きなことはできるのに勉強はやらないと感じてしまうため、余計に子供に注意したくなってしまいます。

学校に行かず勉強しない子供に対してどうしても注意したくなる気持ちは理解できますが、注意された子供はどうすることもできないため、ストレスがかかってしまい症状がより悪化してしまう可能性もあります。

前述したように、まず最も重要なことは親御さんがしっかりと自分のお子さんの病状を把握し、起立性調節障害が身体疾患であるという認識を持って子供に対応することです。

また、仮に学校での勉強が捗らなくても、自宅で親御さんが子供にしてあげられることはたくさんあります。例えば、家庭教師を自宅に呼んで勉強を行ったり、通信教育もオンラインで受けることができます。

費用面で負担になるようであれば、親御さんが自分で子供に勉強を教えてあげることもある程度は可能だと思います。また親御さんは積極的に学校と連携をとって、今後の子供の学業について打ち合わせする必要があります。

これらの学業の遅れを取り戻す手段はどれも原病である起立性調節障害がある程度コントロールされていなければ子供にとってただの苦痛になりかねません。成長とともに自律神経の発達が追いついてくるため、起立性調節障害の多くは自然経過で症状が改善することが多いです。

しかし、中にはなかなか症状が改善せず、重症化する子供もいるため積極的な医学的治療が必要なる可能性もあります。そこで、治療の中心となるのは非薬物療法です。

起立性調節障害に対する特効薬などはないため、規則正しい生活習慣や、適度な運動、正しい起き方などを身につけ、自律神経の安定化を図ることが非常に重要です。

それでも症状が良くならないようであれば、再度医療機関を受診し薬物療法を検討してみるのも1つの選択肢です。

起立性調節障害による勉強の遅れは、子供の意思とは関係ないといえど親御さんにとってもかなりストレスのかかるイベントであり、本記事によって少しでも親御さんが適切な行動を取れるようになれば幸いです。

また、前述したように起立性調節障害の場合、自律神経が午後になると安定化してくるため、友達と遊びには行けてしまうことが悪目立ちしてしまいます。下記記事でそれについても詳しく解説されていますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

下記記事では「起立性調節障害の子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

トトノエライト なおくん

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