中学生の子どもが腹痛を訴えると、親御さんは「様子を見てもよいのか」「病院を受診した方がよいのか」と迷うことがあるでしょう。腹痛はよくみられる症状ですが、原因は胃腸の不調、便秘、ストレス、月経痛、感染症などさまざまです。
中学生は体の成長や生活環境の変化が大きい時期であり、体調不良をうまく言葉で伝えられないこともあります。また、腹痛の背景に起立性調節障害が関係している場合もあります。
多くの腹痛は緊急性が高くないケースもありますが、強い痛み、繰り返す嘔吐、発熱、血便、歩けないほどの痛みなどがある場合は注意が必要です。症状が強い場合や長引く場合は、早めに医療機関で相談しましょう。
本記事では、中学生の腹痛の原因や考えられる病気、対処法、起立性調節障害との関係について解説します。
中学生の腹痛が長引く場合、起立性調節障害が関係していることもあります。
朝起きられない、立ちくらみ、倦怠感などを伴う場合は、起立性調節障害のセルフチェックも参考にしてください。
中学生の腹痛の原因

腹痛とはその名の通り腹部の痛みのことですが、腹部には多くの臓器が存在するため、その中のどの臓器に問題があるか鑑別も難しい部位です。
腹痛とは、腹部に痛みを感じる症状のことです。お腹には、胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、膀胱など多くの臓器があるため、痛みの原因を自己判断するのは難しい場合があります。
中学生の場合、自分の症状をうまく言葉で説明できないこともあります。「どこが痛いのか」「いつから痛いのか」「下痢や嘔吐、発熱があるのか」などを確認しておくと、医療機関で相談するときに役立ちます。
腹痛の原因として多いのは、胃腸の不調です。便秘、下痢、急性胃腸炎、過敏性腸症候群などでは、腸の動きが乱れたり、炎症が起きたりすることで腹痛が出ることがあります。
また、女の子の場合は月経に伴う腹痛が関係している場合もあります。痛みが強い、学校生活に支障が出る、鎮痛薬を使ってもつらい場合は、婦人科で相談することも大切です。
そのほか、ストレスや生活リズムの乱れが関係する場合もあります。ストレスが体調に影響する理由や家庭でできる対応を知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
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中学生で腹痛がする時に考えられる病気

中学生の腹痛の原因の中で緊急性が低いものとしては、過敏性腸症候群、便秘症、急性胃腸炎、生理痛などが挙げられます。
一方で、緊急性の高いものとしては急性虫垂炎、卵巣(精巣)捻転、腸重積などが挙げられます。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、腹痛と下痢や便秘などの排便異常が続く病気です。腸に明らかな炎症や腫瘍がないにもかかわらず、腹痛やお腹の不快感が繰り返しみられることがあります。
ストレスや生活リズムの乱れ、腸の動きの変化などが関係すると考えられています。症状が長引く場合は、医療機関で相談しましょう。
便秘症
便秘症は、中学生の腹痛の原因の中で最も多い疾患です。明確な診断基準があるわけではありませんが、普段から排便が1週間に2回以下の場合は便秘症の可能性があります。
便秘症の原因はさまざまで、お腹の手術後の癒着による器質性便秘、糖尿病や甲状腺機能低下に伴う全身性疾患による便秘、抗精神病薬や麻薬による薬剤性便秘、腸管の運動機能低下に伴う機能性便秘などが挙げられます。
中学生では特に機能性便秘の可能性が高いです。精神的ストレスや水分・食物繊維の少ない食事摂取などが原因となり腸管の動きが緩慢でなかなか排便を得られず腹痛に繋がります。
急性胃腸炎
急性胃腸炎とは、その名の通り胃や腸でなんらかの病原菌が繁殖し、炎症が生じることでさまざまな症状が出現する病気です。炎症が主に胃の場合は腹部の中でも上腹部に腹痛が生じ、嘔気嘔吐を伴うことが多いです。
一方で、炎症が主に小腸や大腸の場合は腹部の中でもヘソ周囲や下腹部で腹痛が生じ、下痢を伴うことが多いです。この時、下痢や嘔吐は病原菌を体から強制的に排出するための人間の生理的防衛反応です。
そのため、下痢や嘔吐を無理に止める必要はありませんが、嘔吐が激しい場合は脱水になる可能性があるため注意が必要です。特に成人と比較して中学生は脱水になりやすい点も要注意です。
生理痛
女の子の場合は、月経に伴う腹痛が原因になることもあります。月経時には子宮が収縮することで、下腹部痛や腰痛、だるさなどが出る場合があります。
痛みが強い、学校生活に支障が出る、鎮痛薬を使ってもつらい、月経量が多いなどの場合は、婦人科で相談しましょう。
急性虫垂炎
急性虫垂炎は、いわゆる「盲腸」と呼ばれる病気です。はじめはみぞおちやおへその周りが痛み、その後、右下腹部の痛みが目立つことがあります。発熱、吐き気、嘔吐を伴う場合もあります。
痛みが強くなる、歩くと響く、右下腹部を押すと強く痛むなどの場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
腸重積
腸重積は、腸の一部が隣の腸に入り込んでしまう病気で、乳幼児に多い病気です。強い腹痛を繰り返す、嘔吐、血便などを伴う場合があります。
症状が疑われる場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
中学生の腹痛の治し方
中学生の腹痛は、原因によって対処法や治療法が異なります。腹痛が強い場合や長引く場合は、自己判断で対処し続けず、医療機関で相談しましょう。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群の場合、まずは食生活の見直しが必要となります。しっかり3食摂取し、暴飲暴食や夜間の大食を避け、高脂肪食なども控えましょう。またストレスを溜めず、睡眠、休養もしっかり摂る必要があります。
食事や行動面を気をつけても改善が得られない場合は薬物療法を行うこともあります。過敏性腸症候群に対する薬物療法の選択肢は多岐にわたるため、まずは専門の医療機関に受診するようにしましょう。
便秘症
便秘症では、水分補給や食物繊維を含む食品を意識し、排便習慣を整えることが大切です。朝食をとる、トイレを我慢しない、適度に体を動かすといった生活習慣も役立つ場合があります。
市販薬や浣腸を使う場合もありますが、腹痛の原因によっては症状が悪化する可能性もあります。強い腹痛がある場合や便秘が長引く場合は、自己判断で使い続けず、医療機関で相談しましょう。
急性胃腸炎
急性胃腸炎では、脱水を防ぐことが大切です。水分を少量ずつこまめに摂り、無理に食事をとらせないようにしましょう。食べられるようになってきたら、消化のよいものから少しずつ再開します。
嘔吐や下痢が激しい、水分が取れない、ぐったりしている、血便がある、強い腹痛が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。原因によっては、薬が必要になる場合もあります。
生理痛
生理痛では、体を冷やさないようにし、無理のない範囲で休むことが大切です。痛みが強い場合は、医師や薬剤師に相談したうえで鎮痛薬を使う方法もあります。
月経痛が強く日常生活に支障が出ている場合は、低用量ピルなどが検討されることもあります。中学生でも症状によっては治療の選択肢になる場合があるため、婦人科で相談しましょう。
急性虫垂炎
急性虫垂炎の場合、虫垂内に蓄積した病原菌を殺すための薬物療法か、もしくは手術で直接虫垂を切除する手術療法があります。
薬物療法では再発リスクもありますが、中学生の場合は手術に踏み切れない方も多いため、医療機関で相談しましょう。
また、炎症が強く腹膜にも炎症が波及しているような場合は、早急に緊急手術が必要となります。
腸重積
腸重積や卵巣(精巣)捻転では、それぞれの組織への血流途絶が問題となり、壊死する前に緊急手術で血流を回復させる必要があります。
もし判断が遅れ手術が遅れると、完全に組織が壊死してしまうため、卵巣(精巣)や腸管を切除する必要があり、将来に影響を及ぼす事態になりかねません。
急激かつ激烈な腹痛を訴える場合は迷わず医療機関を受診しましょう。
すぐにできる対処法

まずは、いつから痛いのか、どこが痛いのか、痛みが強くなっているのかを確認しましょう。あわせて、発熱、嘔吐、下痢、血便、便秘、月経、排尿時の痛みなどがないかも確認します。
歩けないほど痛い、痛みで体を丸めている、ぐったりしている、繰り返し吐いているなどの場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
腹痛があるときは、無理に食事をとらせず、まずは水分を少量ずつ摂るようにしましょう。嘔吐や下痢がある場合は、脱水を防ぐためにこまめな水分補給が大切です。
ただし、水分も取れない、飲んでもすぐ吐いてしまう、尿が少ない、ぐったりしている場合は、医療機関で相談しましょう。
急に強い腹痛が出た場合や、痛みがどんどん強くなる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。特に、発熱、繰り返す嘔吐、血便、意識がぼんやりする、右下腹部の強い痛み、陰のうの痛みや腫れなどがある場合は注意が必要です。
腹痛の原因によっては、市販薬や食事で様子を見るよりも、早めの診察が必要なことがあります。判断に迷う場合も、医療機関や救急相談窓口に相談しましょう。
もしかしたら起立性調節障害かも
中学生の腹痛では、起立性調節障害が関係している場合もあります。起立性調節障害では、朝起きられない、立ちくらみ、めまい、倦怠感、頭痛、吐き気などに加えて、腹痛がみられることがあります。
起立性調節障害では、自律神経の働きや血圧・脈拍の調整がうまくいかず、立ち上がったときに脳への血流が一時的に不足しやすくなることがあります。自律神経は胃腸の働きにも関係しているため、腹痛や吐き気などの症状が出る場合もあります。
特に、朝から午前中にかけて体調が悪く、午後になると少しずつ動けるようになる場合は、起立性調節障害が関係している可能性があります。おへその周りに差し込むような痛みを訴えることもあり、これを臍疝痛と呼ぶことがあります。
ただし、腹痛だけで起立性調節障害と判断することはできません。腹痛が長引く場合や、朝起きられない、立ちくらみ、倦怠感などを伴う場合は、医療機関で相談しましょう。
腹痛に加えて、朝起きられない、立ちくらみ、倦怠感などが続く場合は、起立性調節障害の可能性を確認することも大切です。セルフチェックの項目や受診の目安を知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。







