起立性調節障害は中学生前後の思春期に多い病気で、朝なかなか起き上がれず、立ちくらみやめまいなどの症状を認め、学校へ行けないことも多いです。
一緒に暮らす親としては、何とか症状を改善させて少しでも楽にさせてあげたい、今までのように学校に行ってほしいなど不安や焦りも多いのではないでしょうか。
本記事では、起立性調節障害への正しい理解と親ができる子供への接し方、サポートの仕方を解説していきます。
起立性調節障害は自律神経の乱れによるもの
起立性調節障害は自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、様々な症状を引き起こす病気です。
朝なかなか起き上がれず、学校にも行けない、午前中は調子が悪いことも多いため、周りからは “怠け” と思われてしまうことも多く、正しく病気であると理解されていないケースも少なくありません。
体が急成長し、ホルモンバランスも大きく変動する二次性徴が原因の一つと言われており、その他にも、熱中症やウイルス感染症などが発症の誘因になると報告されています。
また、起立性調節障害の方の約半数に遺伝の可能性が指摘されておりますが、親のせいだと、親が自分自身を責めることのないようにしてください。起立性調節障害はあくまでも自律神経の調節の問題です。
ただし、ストレスも自律神経の調整に影響を与えているので、病気を正しく理解せずに叱ったりすることで、子供にストレスをかけてしまうと、症状が悪くなることもありますので、この点には注意してください。
起立性調節障害の子どもへの親の接し方
起立性調節障害の子どもへの接し方のポイントは次の2つです。
・病気を正しく理解すること
・子どもの気持ちに寄り添い、常に味方でいること
不安や心配、焦りも多いとは思いますが、まずはしっかりと病気のことを知ることから始めましょう。起立性調節障害は交感神経と副交感神経のバランスが崩れることが原因です。
人は眠っている時はリラックス効果がある副交感神経が優位に働き、起床に伴い活動するための交感神経へスイッチします。起立性調節障害の子どもはこのスイッチがうまくいかないために、活気が出てこず、なかなか朝起き上がれず、午前中も体調が悪いことが多いのです。
ですので、無理やり起こそうとしても起き上がることはできません。起床前に服薬の声掛けをして、服薬を手助けし、起床時には手順に沿って見守り、必要な場合には手助けするようにしましょう。
お風呂の後や夏場などの暑い天候の時に、症状が出現、悪化しやすいため、注意して様子を観察してあげてください。
起立性調節障害の子どもは学校や友達など周りからも正しい理解を得ることが難しいことが多く、親だけは必ず味方になって気持ちに寄り添ってあげてください。
必要以上に過剰に反応し、サポートする必要はありません。子どもの体調がいい時にしっかりと話しを聞き、何で困っているのかなど気持ちを確認し、受け止め、必要な時にサポートができる体制を作りましょう。
薬物療法や生活習慣面での注意点は主治医とも連携し、焦らずに体調回復を目指していきましょう。
下記記事では「起立性調節障害の子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)