お風呂上がりに脱衣場でついフラついてしまう。
これは誰しもが一度は経験したことがあるのではないでしょうか?しかし、この現象を医学的に説明できる人はそこまで多くないと思います。
実はこの現象、小学生高学年や中学生で発症しやすいと言われる起立性調節障害(OD)の病態と非常に類似した現象であり、だからこそ起立性調節障害に罹患している子供の場合は入浴において注意が必要です。
起立性調節障害は自律神経のバランスが乱れることで引き起こる身体的な疾患であり、入浴によって人体に起きる生理的反応が起立性調節障害の症状を誘発する可能性が高いからです。
自分の大切な子供が起立性調節障害に罹患した場合、お風呂に入るという基本的な行動にさえ制限がかかってしまうのは子供にとっても親御さんにとっても辛いことだと思います。
そこで本記事では、起立性調節障害と入浴の関係性について分かりやすく解説します。

起立性調節障害による「入浴時のめまい」の原因
起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍数などを調節する自律神経の働きに不調が生じ、めまい、立ちくらみ、頭痛、倦怠感、吐き気などが現れる病気です。
横になった状態や座った状態から立ち上がると、重力によって血液が下半身にたまりやすくなります。通常は、血管を収縮させたり心拍数を調整したりすることで、脳へ送られる血液を保ちます。
しかし、起立性調節障害ではこの調節が十分に働かず、立ち上がった際に脳への血流が一時的に低下し、めまいやふらつきが現れることがあります。
入浴中は、体が温まることで皮膚の血管が広がります。また、長時間の入浴や高い湯温によって汗をかくと、体内の水分が失われ、血圧が下がりやすくなる場合があります。高温多湿の環境では、脱水や循環調節の不調によって、めまいや吐き気などが現れることもあります。
さらに、湯船では座った姿勢や横に近い姿勢で過ごすため、浴槽から急に立ち上がると、姿勢の変化によって血液が下半身へ移動します。
このように、入浴による血管の広がりや発汗、急な姿勢の変化が重なることで、起立性調節障害の子どもは入浴中やお風呂上がりにめまいやふらつきを感じやすくなります。
入浴時だけでなく、起床時や外出時などにも立ちくらみやふらつきが現れることがあります。起立性調節障害の子どもが家で過ごす際の注意点については、下記の記事も参考にしてください。
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熱いお風呂はめまいや脱水につながることがある
42℃を超えるような熱いお湯や長時間の入浴は、体温を上昇させ、発汗を増やすことがあります。汗を多くかいて水分が不足すると、立ちくらみやめまい、吐き気などの症状が現れやすくなるため注意が必要です。
また、極端に高い湯温では交感神経の働きが高まり、入眠を妨げる可能性もあります。就寝前に入浴する場合も、熱いお湯に長く入ることは避けましょう。
入浴前後には水分を摂り、浴室や脱衣所が暑くなりすぎないように調整することも大切です。入浴中にめまい、吐き気、動悸、強い倦怠感などを感じた場合は、無理に入浴を続けず、安全な姿勢で休みましょう。
入浴せずシャワーのみでもいいの?
体調が悪い日や、湯船に入るとめまいやふらつきが現れやすい場合は、シャワーだけで済ませても問題ありません。
湯船に入ることで自律神経が鍛えられたり、起立性調節障害が改善したりするとは限りません。無理に入浴するよりも、その日の体調に合わせて安全な方法を選ぶことが大切です。
シャワーを使う場合も、熱すぎるお湯を長時間浴びることは避けましょう。立ったままの姿勢がつらい場合は、浴室用の椅子に座って体を洗う方法もあります。
症状が強い日や一人での入浴に不安がある場合は、家族に声をかけてから入浴したり、脱衣所の近くで待ってもらったりすると安心です。
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38~40℃のぬるめのお湯で入浴しましょう
湯船に入る場合は、38~40℃程度のぬるめのお湯を目安にし、体調に合わせて短時間で済ませましょう。
半身浴が楽に感じる人もいますが、すべての人に適しているわけではありません。肩まで浸かるか、半身浴にするかよりも、のぼせやめまいが現れない湯温と時間を選ぶことが大切です。
浴槽から出るときは、急に立ち上がらないようにしましょう。まず浴槽の縁につかまりながらゆっくり座位になり、体調を確認してから立ち上がります。
入浴後もすぐに歩き出さず、浴室内や脱衣所の椅子に座って休むと安心です。脱衣所には滑りにくいマットを敷き、転倒しやすい物を置かないようにしましょう。
入浴中や入浴後に失神した、転倒した、意識がもうろうとした、胸の痛みや強い動悸が現れた場合は、起立性調節障害だけと判断せず、医療機関へ相談してください。
入浴方法の調整は、起立性調節障害によるめまいやふらつきを防ぐための対策の一つです。症状を改善するためには、入浴だけでなく、水分や食事、睡眠、運動などを含めて生活全体を整える必要があります。
起立性調節障害の子どもに対して家庭でできるサポートや、治療を進めるうえで親が意識したいポイントについては、下記の記事も参考にしてください。
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【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)






