起立性調節障害とは

起立性調節障害の「吐き気」|気持ち悪い原因や対応方法を紹介

2022年2月10日

この記事の監修者

医師 星野綾美

医師 星野 綾美

五百山クリニック院長
内科
保有資格:医学博士(総合医療学)

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

「寝起きが悪くて朝ご飯も食べない!」

そんな思いを自分の子供に抱いたことのあるお母さんは少なくないと思います。起立性調節障害(OD)の子供には様々な症状が出ますが、そのうちの一つに起床後の気分不快や嘔気、食思不振が挙げられます。

単純に朝が弱いわけではなく、ODはホルモン分泌のバランスによる立派な病気です。病気である以上改善策や治療法もあります。

そこで本記事では親御さんが安心できるように嘔気に対する治療法や原因を紹介します。

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起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

吐き気の原因

ODの子供における吐き気の主な原因は脳血流の低下が原因です。

本来、人間が起き上がると血液は重力に従って体内の地面に近い方に落ちていきます。当然体内では脳が高い位置に行くため血液は脳に行きにくくなるのです。

しかし、それでは起き上がるたびに脳が虚血になり意識を失ってしまいますので、人間の体には防御機構があります。

それが自律神経のバランスというもので、立ち上がった際には脳への血流を十分送り出すために交感神経が活性化して心臓を叩きます。

その結果、鞭を打たれた心臓は頑張って脈を打つことで脳に血液を届けるのです。

さらに、交感神経の活性化により足の血管や筋肉を自動的に収縮させることで、下肢への血流量を無理矢理絞り込みます。そうすれば、より多くの血液は下肢に行かずにそのまま心臓に戻れるので、結果的に脳への血流を保つ事ができるのです。

しかし、ODと診断された子供はこの自律神経のバランスが失調しているために、起立時に交感神経がうまく活性化しません。その結果、起立しても脳に十分な血流が行かずに嘔気や食思不振などの症状が出現します。

逆に交感神経と反対の働きを持つ副交感神経が強く反応するような状態も同じようにホルモンバランスが崩れることで脳への血流が低下しやすいです。排便や排尿時には副交感神経が強く働いている状態ですので、その際にふらつく人が多いのはこういった機序です。

親御さんは起立性調節障害と診断された子供が朝ごはんが食べれなかったり、嘔気を感じることをあくまでODによる脳血流低下が原因であるということをしっかり認識することが重要です。

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吐き気に関する事例

ODには病態により様々なタイプが存在しますが、基本的にはどの病態も脳への血流の低下が病気としての本態です。つまり起床後に起き上がることで引き起こる脳の血流低下が食欲低下や嘔気を招いています。

では、実際にどういった状況で症状が出やすいのか。下記のような事例が挙げられます。

睡眠中はたくさんの汗をかきますので、起床時はやや脱水傾向にあります。その結果低血圧を招きやすい状況にあります。吐き気は主に起床後に起きやすく、夕食よりは朝食前の方が食欲が湧かない事が多いです。症状は午後には改善することもあります。

ほかにも、暖かい季節や低気圧は副交感神経が優位に活発化しやすいため症状が出現しやすいです。

しかし、ODの厄介な点は、一定して出現する症状わけではないという点です。症状が不安定に出現したり改善したりを繰り返す事があるため親御さんや本人の病気に対する取り組み方も難しいのです。

嘔気一つとっても個々によってそれぞれ症状の出方が異なるため、特に親御さんは注意深く観察する必要性があります。

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吐き気の治し方

ここで重要なのは、嘔気をあくまでODの症状の一つであると本人や家族がしっかりと認識して治療していくということです。

毎朝の不調を「ただ学校に行きたくないだけでしょ!」と怒鳴ってしまうと、子供の精神はさらに不安定になり症状が悪化する可能性もあるからです。

改善方法としては、少し早起きして立ち上がるまでの時間を設けることです。また起き上がる前に水分補給するのもよいでしょう。

時間をかけてゆっくり起き上がることで自律神経も徐々に反応し急激な脳血流の低下を避ける事ができます。また、起き上がる前に水分補給や塩分摂取をするだけでも脱水予防になります。そうすれば脳への血流低下を最小限に抑えられるので嘔気の出現も抑えられる可能性があります。

さらに、非常に物理的な手法ですが、起き上がったときに足をクロスすることで鼠蹊部の血管が狭くなるので、その結果下肢への血流を抑える事が可能になります。

しかし、あくまで症状があるのは子供です。

子供である以上、現状を理解して適切に対応できるわけではありません。 親御さんは自分の体ではないので子供がどれだけ負担に感じているか実感するのは難しいと思います。

ですが親御さんにもできることはたくさんあります。以下の記事では親御さんにもできることやそのほかの治療法についても詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:起立性調節障害の子供に親ができること・治し方・治った方の事例

 

 

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

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