起立性調整障害の症状は非常に多彩です。めまいやふらつき、立ちくらみなどの症状がよく知られていますが、足の関節痛やだるさなど下肢の症状がみられることもあります。
本記事では、起立性調節障害の方に見られる可能性のある足の症状について解説していきます。
起立性調節障害による「足の痛み・だるさ」の原因
起立性調節障害に罹患すると実に多様な症状がみられ、症状の程度も個人差があります。まずは、起立性調節障害について説明していきます。
私たちの体は呼吸や消化吸収、代謝機能など実に多くの重要な働きをしており、これらの活動を自律神経である交感神経と副交感神経が担っています。
時間帯によって活性化しやすい神経が決まっていますし、調整する体の機能によってもどちらの神経が優位に働くかが決まっています。
起立性調整障害は、交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることで様々な不調が見られます。最も多いものが早朝起床時の起きにくさですが、倦怠感や腹痛、めまい、関節痛、集中力の低下など様々な症状が見られます。
足の症状としては、足関節の痛みや足全体のだるさ、筋肉の痛み、などがありますが、これも自律神経のバランスの問題が大きく関わっています。
自律神経のバランスに問題があると、血流が悪くなったり、筋肉が過剰に緊張してしまうことがあります。
また、起立性調節障害による体調不良でなかなか活動できずに横になっていることが多くなると、下肢の筋力が低下します。それによって下肢のだるさが見られることもあります。
つまり、起立性調節障害による足の症状は起立性調節障害そのものによる症状と活動できないことによる筋力低下による症状の両方が考えられます。
起立性調節障害による「足の痛み・だるさ」の特徴
上記でご説明しましたように、起立性調整障害による足の痛みやだるさは主に病気そのものからくるものと、病気により活動量が低下したことで起こるものがあります。
起立性調整障害そのものによる足の痛みやだるさは病気の原因である自律神経のバランスに大きく関与しています。
ストレスや過度の緊張を長期間感じていると、副交感神経よりも交感神経が優位に活性化している状態になり、体の筋肉は緊張し固くなります。
交感神経は末梢の血管を収縮させるため、下肢の血流が低下することでより筋肉は緊張し固くなります。
固くなった筋肉が血管を圧迫し、より血流が低下しやすくなります。この悪循環が足の痛みやだるさにつながると考えられます。
起立性調節障害の症状が強く、思うように活動できない場合、筋力が低下することで足の痛みやだるさが起こる可能性があります。
筋力が低下することで関節の痛みが出現し、足全体のだるさで長時間立っていることが難しくなることもあります。
起立性調節障害による「足の痛み・だるさ」の対策、治療法
起立性調節障害の症状が強く出ていると、活動をしたくても起き上がることができず、筋力の低下につながってしまいます。
下肢の筋肉は収縮することで、重力に従って下肢に溜った血液を重力に逆らって心臓へ戻すための、いわばポンプの働きを担っています。
したがって、下肢の筋力が低下すると、ポンプ機能が不十分になり、起立性調節障害の症状がより強くでてしまいます。
症状が強いと活動量がより下がってしまい、さらなる筋力低下を招いてしまいます。
この悪循環を断つために、まず重要なことは、起立性調節障害の治療をしっかり行い、症状をコントロールすることです。
起立性調節障害の治療方法は薬物療法と非薬物療法がありますが、特に非薬物療法が重要になります。
治療方法に関しては別の記事でも解説していますが、非薬物療法は下記のものが重要になります。
・規則正しい生活リズムを体に刻む
・運動習慣をつけて筋力を維持する
・水分摂取(1.5-2.0L/日)と少し多めの塩分摂取(10-12g/日)をする
・場合によっては心理カウンセリングを受ける
これらを行いながら、主治医と相談し、血圧を上げる薬などを必要時に使用します。
下記記事では、起立性調整障害の治療方法に関して詳しく説明していますので、ぜひご一読ください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)