「どうして自分だけが朝起きられない?どうしてみんなと同じように運動ができない?」
そんな風に起立性調節障害(OD)で悩んでいる方はたくさんいると思います。起立性調節障害の子供の中でも多い悩みの1つが「一体いつまでこの症状が続くのか?」という疑問です。
自然経過で改善する例も少なくないですが、中には症状が改善せず長引く人もいます。子供本人はもちろんのこと、特に子供の親御さんにとってももどかしい時間が続いてしまいます。
そこで本記事では、起立性調節障害の症状がどのくらい続くことがあるのか、また症状が長引く場合に親御さんができる対応について解説します。起立性調節障害に対する理解が深まり、子供自身や親御さんが適切な対応ができるようになれば幸いです。

起立性調節障害はいつまで続く?
起立性調節障害の症状がどのくらい続くかは、症状の程度や生活環境、治療・サポートの状況によって異なります。ここでは、自然な経過と薬を使う場合の考え方に分けて解説します。
症状が続く期間には個人差がある
起立性調節障害は軽症例も含めれば小学生の約5%、中学生の約10%が罹患すると言われており比較的有病率の高い病気です。また、日本小児心身医学会によれば、日常生活に大きな支障をきたすような重症例は約1%ほどです。
つまり、起立性調節障害に罹患する人は少なくありませんが、その上で症状の重さには個人差があって重症化する人はそこまで多くないということがわかります。
発症の原因は成長に伴うホルモンのバランス悪化による自律神経系の調節不全などが挙げられ、主に小学生高学年から中学生、高校生での新規発症が多いです。
しかし、成長とともに徐々にホルモンバランスは安定化しますので、それによって自律神経の調節不全も解消されていく可能性が高いです。
そのため、成長とともに症状が落ち着いていくケースもあります。ただし、症状の経過には個人差があり、生活に支障が続く場合は医療機関で相談することが大切です。
具体的には、発症の1年後に約50%が、2-3年後には約80%の子供が症状改善傾向に至りますが、中には重症化して成人期まで症状が改善しない人もいます。もちろん発症時期にもよりますが、ホルモンの安定化してくる高校の卒業ころまでには、ほとんどの子供で症状が改善している可能性が高いです。
起立性調節障害の経過には個人差があります。治るケースと長引くケースの違いや考え方を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
薬を使う場合も改善までの期間は人によって異なる
次に薬物療法などの医学的な介入を行った場合についてです。起立性調節障害では、すでに安全性と有効性が確認されているミドドリン塩酸塩、メチル硫酸アメジニウム、プロプラノロール塩酸塩などの薬が存在します。
例えばミドドリン塩酸塩は、血管を収縮させて血圧を保ちやすくする目的で使われることがあります。ただし、効果の出方には個人差があるため、医師の指示に従って服用することが大切です。
これらの内服を開始してから約1-2週間で立ちくらみなどの症状の改善は期待できますが、実際に以前通りの日常生活に戻るレベルの活動性を得るには約1-2ヶ月程度の期間を要するとされています。
内服開始後も症状がなかなか改善せず、痺れを切らして治療を中断してしまう親御さんや子供は少なくありません。起立性調節障害の内服治療には時間がかかることや、個人差があることをよく理解しておく必要があります。
起立性調節障害で使われる薬の種類や服用時の注意点を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
【関連記事】起立性調節障害は治る?治らない?

起立性調節障害の子供への親の対応方法
なかなか症状が落ち着かない起立性調節障害の場合、親御さんは「どう接すればよいのか」「何をしてあげればよいのか」と悩むことがあるでしょう。
起立性調節障害では、体調面のサポートだけでなく、本人の気持ちに寄り添いながら生活環境を整えていくことが大切です。ただし、親御さんだけですべてを抱え込む必要はありません。医療機関や学校と連携しながら、子どもの体調に合わせた対応を考えていきましょう。
体調に合わせて生活環境を整える
起立性調節障害では、朝起きられない、立ちくらみがある、体を動かすとだるさが強くなるなど、日によって体調に波が出ることがあります。そのため、無理に以前と同じ生活に戻そうとするのではなく、本人の状態に合わせて少しずつ生活リズムを整えていくことが大切です。
たとえば、朝は急に起こすのではなく、時間に余裕を持って声をかける、起き上がる前に水分を摂る、体調が悪い日は学校への連絡や登校方法を調整するなどの対応が考えられます。
起立性調節障害では、本人の意思だけで体調をコントロールするのが難しいことがあります。家庭での過ごし方や生活上の注意点を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
軽い運動や食事は無理のない範囲で取り入れる
起立性調節障害では、体調不良によって活動量が減り、運動不足になりやすいことがあります。体調が比較的安定している時間帯に、短時間の散歩や軽いストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすことが体力維持の一助になる場合があります。
ただし、めまいや立ちくらみが強いときに無理に運動をすすめる必要はありません。運動を取り入れる場合は、医師に相談しながら、本人の体調に合わせて少しずつ進めることが大切です。
起立性調節障害では、体調が安定している時間帯に軽い運動を取り入れることが検討される場合があります。運動療法についての詳細は、下記の記事も参考にしてください。
また、食事を整えることも、家庭でできる体調管理のサポートのひとつです。栄養バランスの乱れは、倦怠感やふらつきなどの不調に関係することがあります。
食事では、主食・主菜・副菜のバランスを意識し、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを無理のない範囲で摂れるように工夫しましょう。ただし、食事だけで起立性調節障害が治るわけではないため、必要に応じて医師や管理栄養士などに相談することも大切です。
学校や医療機関と連携して負担を減らす
起立性調節障害では、学校に通えない日が続いたり、授業に遅れが出たりすることで、本人が強い不安を感じることがあります。親御さんが家庭で学習を支えることも選択肢のひとつですが、無理にすべてを家庭内で対応しようとすると、親子ともに負担が大きくなる場合があります。
そのため、医療機関や学校と連携し、登校時間、授業への参加方法、宿題やテストの対応などを相談しておくと安心です。完全にストレスをなくすことは難しくても、本人の体調に合わせて負担を減らす工夫はできます。
過干渉になりすぎず本人の気持ちを受け止める
心配のあまり、親御さんが先回りして何でも決めてしまうと、子どもにとって負担になることがあります。起立性調節障害の子どもは、親御さんが思っている以上に「どうして起きられないのか」「いつよくなるのか」「学校に行けないままで大丈夫なのか」と悩んでいることもあります。
特に症状が長引く場合は、前向きな気持ちを保つのが難しくなったり、親子関係がぎくしゃくしたりすることもあります。そのようなときこそ、本人の気持ちを決めつけず、まずは受け止める姿勢が大切です。
起立性調節障害では、本人の意思だけで体調をコントロールするのが難しいことがあります。具体的な声かけや接し方を知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
親御さん自身も、不安や焦りを感じることがあるでしょう。だからこそ、ひとりで抱え込まず、医療機関や学校、必要に応じて相談機関なども頼りながら、本人のペースに合わせて支えていくことが大切です。
起立性調節障害では、治療だけでなく、生活リズム、学校との連携、家庭での接し方などを含めて対応を考えることが大切です。親ができるサポートや治療の考え方を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
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【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)










