起立性調節障害とは

朝イライラするのはなぜ?対処法や考えられる病気を解説

2024年2月4日

この記事の監修者

医師(匿名)

医師歴:10年
勤務病院:某3次救急病院

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

  • 朝起きてもスッキリせず、なぜかイライラする
  • 朝イライラしてしまうのはなぜ?

このようなお悩みや疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?


朝に精神状態が不安定になってしまう原因は、ストレスやうつ症状、睡眠不足、暴飲暴食、更年期症状などさまざまです。またこれらのうち、原因が単一の要因だけであることはむしろ稀で、複数の要因が重複して朝のイライラを引き起こしていることが多いです。

自身のセルフケアで改善可能なものもあれば、医学的にサポートを受けなければ症状が悪化し、最悪命に関わるような事態に発展する病気もあるため、早期に原因を究明し、適切な対策を取ることが肝要です。

そこでこの記事では、朝イライラするのはなぜ?という疑問をお持ちの方に向けて、朝のイライラの原因や対処法について詳しく解説します。ぜひご一読ください。

朝イライラするのはなぜ?原因を解説

「出席したくない会議が朝一からあってイライライしている」「渋滞に巻き込まれて仕事に遅刻しそう」等、朝イライラするようなシチュエーションは日常生活の中に溢れています。

一方で、しっかり睡眠時間を確保したにも関わらず朝の目覚めが悪くイライラしたり、これといった理由が見当たらないにも関わらずイライラすることは、誰しも経験があるでしょう。

多くの場合、睡眠不足やストレス、運動不足などの日々の生活習慣が原因であるため、ここでは朝イライラする原因について詳しく解説します。

過剰な飲酒

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

過剰な飲酒は、朝イライラする原因の1つです。アルコールは少量の機会飲酒であれば、気分を爽やかにして、精神的にリラックス効果を持つことが知られています。

しかし、継続的に多量飲酒すると、朝起床時にアルコールの離脱症状が起こる可能性があり、不安や不眠・焦燥感などの精神症状が出現する可能性があります。

また、就寝前の過剰な飲酒は気道の浮腫を引き起こし、睡眠中に取り込める酸素量が低下してしまうため、睡眠の質が低下して朝のイライラの原因となるため、注意が必要です。継続的かつ過剰な飲酒は控え、程よい飲酒量にとどめましょう。

喫煙

タバコも、朝イライラする原因の1つです。アルコールと同様に、タバコに含まれるニコチンにも精神依存のリスクがあり、ニコチンの離脱症状によってストレスを感じ、イライラや易攻撃性などの精神症状が出現します。

また、就寝前の喫煙もアルコール同様、気道の浮腫を引き起こし、睡眠中に取り込める酸素量が低下してしまうため、イライラの原因となります。

そのほか、喫煙は動脈硬化の原因にもなるため、極力控えるべきでしょう。

暴飲暴食や偏食

暴飲暴食や偏食も、朝イライラする原因の1つです。質のいい睡眠を得るためには、就寝中に深部体温が低下することが重要ですが、就寝前に暴飲暴食すると、必要以上に体内で熱が産生されてしまい、深部体温が低下しないため睡眠の質が低下してしまいます。

さらに、繰り返す暴飲暴食は肥満を招き、首回りに脂肪が多く付くことで気道が圧排され、やはり睡眠中に取り込める酸素量が低下する原因となります。

また食べる量も重要ですが、食べる食材にも注意が必要です。偏食によってマグネシウムやカルシウムが不足すると、精神安定ホルモンである「セロトニン」の合成が抑制され、精神不安定になることが知られています。

マグネシウムはそばや海苔・ひじきなどに豊富に含まれ、カリウムは果実や野菜、アボガドなどに多く含まれているため、意識して摂取するとよいでしょう。

低血糖

低血糖も、朝イライラする原因の1つです。睡眠によって一定期間食事を摂取しない状態のため、朝は低血糖になりやすく、低血糖症状として精神不安定・不安・焦燥感などが出現する可能性があります。

朝にイライラを自覚した場合、まずは朝食を摂取するように心がけると良いでしょう。

運動不足

運動不足も、朝イライラする原因の1つです。程よい負荷の運動はストレスを発散させ、自律神経の安定を促すことで精神を安定させる効果があることが知られています。

しかし、あまりにも負荷の高い運動は身体にとってかえってストレスとなり、むしろ悪影響を及ぼす可能性もあるため、注意が必要です。また、就寝直前の運動も睡眠中に深部体温が低下しない原因となるため、逆効果です。適切な負荷・タイミングでの運動を心掛けましょう。

朝イライラする時に考えられる病気

上記では、朝イライラする生活習慣などについて説明しましたが、中には病気によって朝イライラしてしまうこともあるため、注意が必要です。

うつ病や更年期症状のように直接精神に影響を及ぼす疾患や、睡眠時無呼吸症候群のように睡眠を質を低下させることで朝のイライラを誘発する疾患などがあげられます。

また、どの疾患も放置すれば症状は進行し、場合によっては命に関わるリスクも伴うため、早期診断・早期治療を心掛けましょう。ここでは朝イライラする病気について詳しく解説します。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は朝イライラする時に考えられる病気の1つです。肥満・巨舌・小顎・アデノイドなどによって解剖学的に気道が狭窄し、睡眠中に取り込める酸素の量が低下してしまうために睡眠の質が低下する病気です。

脳が低酸素状態になることでストレスがかかり、睡眠不足とともに朝イライラすることがあります。そのほかの症状として、日中の強い眠気、夜中の中途覚醒やいびきなども挙げられるため、当てはまる方は注意が必要です。

特に、睡眠時無呼吸症候群は持続的な交感神経の活性化によって、長期的に見ると高血圧や糖尿病・脳卒中や心筋梗塞の発症率を増加させることが知られているため、早期治療が肝要です。

うつ病

うつ病でも朝イライラすることがあるため、注意しましょう。うつ病とは、脳内における神経伝達物質である「セロトニン」や「ノルアドレナリン」の分泌異常によってさまざまな精神症状をきたす疾患です。

抑うつ症状・興味の減退・食欲低下・不眠・集中力の低下などの症状とともに、易怒性(怒りやすくなる)が生じるため、朝イライラすることもあるでしょう。特に朝が一番症状が重く、夕方以降にかけて改善していく傾向にあるため、朝のイライラはうつ病の可能性があります。

更年期障害

更年期障害とは、閉経とともに女性ホルモンの分泌が乱れることでさまざまな精神症状・身体症状をきたす病気です。女性ホルモンの変動は自律神経の乱れを誘発するため、睡眠や体温などの生理機能にも悪影響を与えます。

また、女性ホルモンの乱れによって前述した精神安定ホルモン「エストロゲン」の分泌も低下するため、イライラなどの精神症状を引き起こします。50代以降の女性は特に注意すべきでしょう。

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朝イライラする時の対処法

ここでは、朝イライラする時の対処法について詳しく解説します。

生活習慣の見直し


朝イライラいる際、多くの場合は自身の生活習慣の改善や見直しでセルフケア可能です。生活習慣の改善は自律神経を整え、睡眠の質を改善させることで精神的にも安定するためです。

規則正しくバランスの取れた食生活・良質かつ十分な睡眠・適切な飲酒・禁煙などによって改善する可能性があるため、一度自身の生活習慣を見直してみるとよいでしょう。

なお、あまりにも生活習慣を気にしすぎて、かえってストレスを感じてしまうこともあるため、積極的にサプリや快眠グッズなどに頼ってみるのもオススメです。

継続的な運動


朝イライラする時の対処法として、継続的な運動が挙げられます。前述したように、運動には精神と身体をリラックスさせ、睡眠リズムを整える作用があります。

特に、軽いランニングやサイクリング、ダンスなどの有酸素運動はリラックス効果が高いため、意識して実践してみるとよいでしょう。

医療機関への受診


上記のようなセルフケアを実践しても症状が改善しない場合は、医療機関への受診を検討しましょう。朝イライラする原因となる病気の中には、放置すると命に関わるリスクもある病気も少なくないためです。

特に、睡眠時無呼吸症候群やうつ病は脳卒中や心筋梗塞、自殺のリスクもあるため、早期発見し、適切な治療を行うことが重要です。各疾患の症状が少しでも当てはまる方は、医療機関への受診を検討しましょう。

もしかしたら起立性調節障害かも


もしかしたら、朝イライラする原因は起立性調節障害の可能性もあります。起立性調節障害とは、小学生高学年から中学生にかけて発症しやすい身体疾患であり、身体の成長に自律神経の発達が追いつかないことでさまざまな神経症状をきたす疾患です。

特に、交感神経がうまく活性化しない午前中に症状が強く、起立時のめまい・ふらつき・腹痛などの身体症状とともに、不安やイラつきなどの精神症状も併発します。

一般的には、多くの子供で自然軽快する病気ですが、発症した子供の約10%は重症化してしまい、通学や進学に支障をきたすため、早期発見・早期治療が重要です。

下記の記事では、起立性調節障害を疑う子供に役立つセルフチェックについて詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

また、起立性調節障害は子供だけでなく、大人でも発症しうる病気です。子供の時期に治ったと思っていても、大人になって再発する例も少なくありません。

そこで、下記の記事を参考に、気になる方は起立性調節障害のセルフチェック(大人)してみましょう。

【参考文献】
・アルコールの作用 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
・抑うつ症状とミネラル摂取との関係―断面調査の結果から―|臨床研究センター
・こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省
・こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省

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