お子さんの体調不良が長引くと、「このまま治らないのではないか」「学校生活に戻れるのだろうか」と不安になる親御さんも多いのではないでしょうか。
起立性調節障害(OD)は、朝起きられない、起床後に体調が優れない、立ちくらみやふらつきがあるなど、日常生活に支障が出ることがある病気です。命に関わる病気とは異なる場合が多いものの、学校に行けない日が続いたり、生活リズムが乱れたりすることで、本人や家族にとって大きな負担になることがあります。
また、症状の経過には個人差があり、数か月で落ち着く場合もあれば、長く付き合う必要がある場合もあります。検査結果だけでは体調のつらさが見えにくいこともあるため、本人も親御さんも「本当に治るのだろうか」と不安を感じやすい病気です。
そこで本記事では、起立性調節障害は治るのか、症状が長引く背景にはどのような要因があるのか、家庭でどのように支えていけばよいのかをわかりやすく解説します。

起立性調節障害は治る?治らない?
起立性調節障害は、成長や生活環境の変化とともに症状が落ち着いていくケースがあります。ただし、症状の経過には個人差があり、長引いたり、日常生活への影響が大きくなったりする場合もあります。
まずは、起立性調節障害で症状が出る仕組みや、症状が続く期間の考え方を理解しておきましょう。
成長とともに症状が落ち着くケースもある
起立性調節障害は、小学校高学年から中学生、高校生にかけてみられやすい病気とされています。背景には、成長期の体の変化や自律神経の調整が関係していると考えられています。
成長とともに体の変化が落ち着き、自律神経の調整が整ってくることで、症状が軽くなるケースもあります。ただし、自然に治ると決めつけず、生活に支障が続く場合は医療機関で相談することが大切です。
起立性調節障害で症状が出る仕組み
人は立ち上がると、重力の影響で血液が下半身に集まりやすくなります。そのため、心臓より高い位置にある脳への血流は一時的に少なくなりやすい状態になります。
通常は、自律神経の働きによって心拍や血管の収縮が調整され、脳への血流が保たれます。しかし、起立性調節障害では、自律神経の働きや血圧・脈拍の調整がうまくいかず、立ち上がったときに脳への血流が不足しやすくなることがあります。
その結果、立ちくらみ、めまい、倦怠感、頭痛、腹痛、朝起きられないなどの症状がみられることがあります。
起立性調節障害では、朝起きられない、立ちくらみ、めまい、倦怠感など、さまざまな症状が重なることがあります。症状の種類や重症度ごとの違いを詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
症状が長引く場合もある
実際のデータをご紹介しますと、起立性調節障害の罹患率は小学生で約5%、中学生で約10%と言われ、特に中学生までに発症することが多いです。そのうち、発症後約1年で50%程度が、発症後2-3年もすれば80%程度が自然に症状が改善すると言われています。
つまり、起立性調節障害は難治性というよりも、むしろ多くの子供で治る疾患だと言えます。日本小児心身医学会によれば生活に大きな支障をきたすような重症例は全体の約1%程度と言われています。
数か月で軽くなる場合もあれば、数年単位で経過を見る場合もあります。また、高校生以降や成人期まで症状が続くケースもあるため、「いつまでに治る」と一概に判断することはできません。
起立性調節障害は体の不調として起こる病気ですが、ストレスや生活環境の変化が自律神経の働きに影響することがあります。そのため、学校生活での負担、睡眠リズムの乱れ、家庭内での不安などが重なると、症状が長引いたように感じる場合もあります。
また、症状が落ち着いた後でも、進学、就職、一人暮らしなど生活環境が大きく変わるタイミングで、似たような不調が出ることがあります。気になる症状がある場合は、自己判断せず、医療機関で相談しましょう。
起立性調節障害では、家庭での過ごし方や生活リズムの整え方も、体調管理のうえで大切です。体調に合わせた家での過ごし方を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
【関連記事】起立性調節障害は治る?治らない?

起立性調節障害の症状が長引く人の特徴
起立性調節障害は、成長とともに症状が落ち着いていくケースもありますが、すべての人が同じ経過をたどるわけではありません。
症状が長引く背景には、体調の波、生活リズム、学校生活での負担、心理的なストレス、家庭や学校での対応の難しさなど、複数の要因が関係していることがあります。
症状が長引く背景には複数の要因がある
起立性調節障害では、自律神経の働きや血圧・脈拍の調整がうまくいかないことで、朝起きられない、立ちくらみ、倦怠感などの症状がみられることがあります。
成長とともに体の変化が落ち着き、症状が軽くなるケースもありますが、生活環境やストレス、睡眠リズムの乱れなどが重なると、症状が長引く場合もあります。
そのため、「対応ができていないから長引く」と考えるのではなく、本人の状態や生活環境を確認しながら、医療機関や学校と連携して対応を考えていくことが大切です。
起立性調節障害では、朝起きられない状態や睡眠リズムの乱れが、日中の体調に影響することがあります。生活リズムを整える方法のひとつとして光療法が検討される場合もあるため、詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてください。
体調に合わせた過ごし方を工夫する
起立性調節障害では、発症前と同じように朝すぐ起き上がったり、長時間立ち続けたりすることが難しい場合があります。ゆっくり立ち上がる、急に姿勢を変えない、体調が悪い日は無理をしないなど、日常生活の中で工夫できることもあります。
日中の過ごし方についても、座り方や立ち方、休憩の取り方を調整することで、立ちくらみやふらつきが出にくくなる場合があります。本人の体調の波を見ながら、できることを少しずつ増やしていくことが大切です。
心理的な負担を減らすことも大切
起立性調節障害の症状が長引くと、本人は「いつまで続くのか」「学校に戻れるのか」と不安を感じることがあります。学校生活の遅れや友人関係、家族とのすれ違いなどが、心理的な負担につながることもあります。
親御さんも不安や焦りを感じやすい場面ですが、本人の気持ちを決めつけず、まずは受け止める姿勢が大切です。家族だけで抱え込まず、医療機関や学校と相談しながら、本人にとって無理のない対応を考えていきましょう。
症状が長引くと、「このまま治らないのでは」と不安になることもあります。一方で、検査上は血圧や脈拍の変化が落ち着いていても、体調への不安や生活リズムの乱れが残る場合もあります。
起立性調節障害は、成長や生活環境の変化とともに症状が落ち着くケースもありますが、経過には個人差があります。症状がいつまで続くのかについては、下記の記事でも解説しています。
起立性調節障害では、本人の意思だけで体調をコントロールするのが難しいことがあります。本人への声かけや接し方を知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
起立性調節障害では、症状の経過に個人差があるため、治療だけでなく生活リズムや家庭での接し方も含めて考えることが大切です。親ができるサポートや治療の考え方を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)










