起立性調節障害(OD)は中学生の1割に存在すると言われていますので、ODで悩んでいる子供や親御さんは少なくないと思います。
どうして自分の子供は学校にいけないのか、朝起きてこないのか、どうして自分は起き上がるだけで体調が悪くなるのか。様々な悩みを抱えて色々な治療に手を出す人もいます。
親御さんからすれば何か自分にできることはないかと悩むのが親心ですが、医療機関での相談や治療に加えて、家庭で食生活を整えることが、体調管理の一助になる場合があります。その選択肢のひとつとして、栄養療法が注目されています。
そこで本記事では、起立性調節障害の体調管理を考えるうえで知っておきたい栄養療法について、分かりやすく解説します。
起立性調節障害における栄養療法とは
子どもの成長期には、体をつくるためにさまざまな栄養素が必要です。一方で、食事の内容は家庭環境や生活リズム、本人の好みによって偏りが出ることがあります。
家庭で作られた食事だけでなく、コンビニ食品やファストフード、お菓子やジュースなどを摂る機会が多い場合、本人や家族が気づかないうちに栄養バランスが偏っていることもあります。
栄養素の不足や偏りは、倦怠感、ふらつき、集中力の低下など、起立性調節障害と似た不調に関係することがあります。そのため、食事内容を見直し、必要な栄養を補うことが体調管理の一助になる場合があります。
栄養療法とは、不足している可能性のある栄養素を確認し、食事内容を整えながら必要な栄養を補っていく考え方です。ただし、栄養療法だけで起立性調節障害が治るわけではないため、医師や管理栄養士などに相談しながら進めることが大切です。
人間の5大栄養素は、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルです。これらはそれぞれ体の中で重要な役割を持っています。
糖質や脂質は、体を動かすためのエネルギー源になります。過度に制限するのではなく、食事全体のバランスを見ながら摂ることが大切です。
たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚、髪など、体をつくる材料になります。成長期の子どもでは、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などから、無理のない範囲で意識して摂ることが大切です。
ビタミンやミネラルは、体のさまざまな働きを支える栄養素です。鉄分が不足すると貧血によってふらつきや倦怠感がみられることがあり、起立性調節障害の症状と似て感じられる場合もあります。
このように、栄養バランスの乱れは体調不良に関係することがあります。起立性調節障害の症状がある場合も、医療機関での相談や生活リズムの見直しとあわせて、食事内容を整えていくことが大切です。
また起立性調節障害では、食生活を整えることに加えて、腸内環境に目を向ける考え方もあります。乳酸菌との関係や効率よく摂取する方法を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
起立性調節障害の体調管理で意識したい栄養素
では、具体的にどんな栄養素が起立性調節障害と密接に関わっているのでしょうか?
まずはじめに糖質は起立性調節障害と密接な関わりがあります。例えば、ケーキやお菓子などの糖質の多い食べ物は血糖値に影響を与える結果、血糖をコントロールする自律神経にも影響を与えてしまいます。
起立性調節障害は自律神経のバランスが崩れることが原因なので、急激な血糖値の変動に伴う自律神経のバランスの悪化は、起立性調節障害の症状を悪化させる可能性があります。そのため、甘いお菓子やジュースなどを頻繁に摂る場合は、血糖値の変動を考えて量や頻度を見直すことが大切です。
たんぱく質は全ての体の材料です。髪の毛や筋肉、臓器はもちろんホルモンなどもたんぱく質によって構築されています。成長期の子供の場合、大人よりも体重あたりのタンパク質必要量が多いため食事からしっかり摂取しないとすぐにタンパク質不足に陥ります。
たんぱく質が不足すると、筋肉量の低下や疲れやすさにつながることがあります。成長期の子どもでは、体づくりのためにも、食事からたんぱく質を意識して摂ることが大切です。
次にミネラルの中でも鉄分や亜鉛は不足しやすいので要注意です。鉄分は特に女性では生理などの出血で消耗しやすいです。鉄分がないと赤血球を作ることができず貧血になってしまいます。
鉄分が不足すると、貧血によって倦怠感や疲れやすさ、ふらつきなどがみられることがあります。起立性調節障害と貧血の違いや見分け方を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
また、亜鉛も不足しやすい栄養素ですので注意が必要です。亜鉛は体のさまざまな働きに関わる栄養素です。不足が気になる場合は、自己判断でサプリメントを使い続けるのではなく、医師や専門家に相談しながら食事内容を見直しましょう。
最後にビタミンについてです。ビタミンB群は不足すると神経や肉体の成長に影響を及ぼします。つまり、精神的に不安定になったりやる気が出なくなる可能性があります。これも起立性調節障害の症状と類似しているため、可能な限りビタミンB群の枯渇は避けるべきです。
不足している栄養素を補うことで、体調管理の助けになる場合があります。ただし、栄養療法の必要性や進め方は一人ひとり異なるため、気になる症状が続く場合は医療機関で相談しましょう。
具体的な栄養素や1日の摂取量、控えたい食べ物を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
起立性調節障害の体調管理で意識したい食べ物
では前述した内容を踏まえてどのような食事が起立性調節障害にとっていいのでしょうか?
ポイントは、糖質を過剰摂取しない、たんぱく質を積極的に摂取する、ビタミンやミネラルが不足しないように野菜や果実、海藻なども摂取すると言うことです。
具体的には
- 主食・主菜・副菜のバランスを意識する
- 味付けに余計な脂質や糖質を使わない
- ジュースやお菓子を控えて、おやつにもたんぱく質を摂取する
などが挙げられます。
起立性調節障害の症状に悩んでいる方は上記のような対策法に取り組んでみることをおすすめします。もちろん栄養療法以外にもほかのアプローチでの治療法もあります。
以下の記事では、起立性調節障害の具体的な治し方や家族にできることを詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)










