起立性調節障害とは

【自宅でできる栄養療法】起立性調節障害にオススメの食べ物などを紹介

2022年3月15日

この記事の監修者

医師 伊藤 信久

医師 伊藤 信久

グレースメディカルクリニック院長
内科・循環器内科・糖尿病脂質代謝内科・外科
保有資格:日本外科学会認定登録医・日本循環器学会循環器専門医

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

起立性調節障害(OD)は中学生の1割に存在すると言われていますので、ODで悩んでいる子供や親御さんは少なくないと思います。

どうして自分の子供は学校にいけないのか、朝起きてこないのか、どうして自分は起き上がるだけで体調が悪くなるのか。様々な悩みを抱えて色々な治療に手を出す人もいます。

親御さんからすれば何か自分にできることはないかと悩むのが親心ですが、医療だけでなく親御さんが子供に直接してあげられる治療は実際に存在します。その内の一つが栄養療法です。

そこで本記事では、起立性調節障害に罹患している子供やそのご家族のためにも効果的な治療法の一つである栄養療法について分かりやすく解説していきます。

関連記事:【医師解説】起立性調節障害のサポートとして近年注目を浴びている乳酸菌-効率良く摂取する方法を解説

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性調節障害における栄養療法とは

子供の成長期には体を大きくする過程で様々な食べ物を摂取しますが、大人と違いバランスを考えて食事を摂取するような環境下にはありません。

家庭で作られたものを食べるか、コンビニフードやファストフードなどを摂取することもあり、バランスよりも食べたいものを優先的に摂取する傾向にあります。

その結果、一見問題ないように見えても案外摂取する栄養素が偏ってしまい体内で特定の成分が枯渇していたということもあり得ます。

枯渇する成分次第では起立性調節障害の症状を増悪させてしまう栄養素もあるため、効果的なアプローチ方法として栄養療法が注目されています。

栄養療法を一言で言ってしまえば、各子供の不足している栄養素を特定して、補うような食事摂取を試みてバランスのいい食生活を送る治療法です。これは普段の食事が治療の一環にもなるため、まさに親御さんにしかできない治療と言えるでしょう。

人間の5大栄養素とは、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルです。これらはそれぞれが重要な役割を担っています。

人間は体を動かさなくても常に心臓や脳でエネルギーを消耗しています。このエネルギー源となるのは主に糖質と脂質です。食事から摂取したこれらの栄養素は体内で分解されてエネルギー源として使われます。

つまり、車で言うところのガソリンのようなもので、これらが極限まで枯渇すると当然体が動かなくなるのです。

次に、人間の骨格を作る筋肉などの組織を主に形成しているのはたんぱく質です。食事から摂取したタンパク質はアミノ酸に分解されて筋肉や組織の形成に関与します。

つまり、車で言うところのボディのようなもので、たんぱく質が枯渇すると当然やせ細っていきます。

ビタミンやミネラルはそのほかの様々な機能に関与しています。例えば、ビタミン不足だと神経系に異常をきたして口内炎ができます。ミネラルは電解質や鉄分などの総称ですが不足すれば貧血やふらつきの原因になります。

つまり、車で言うところの潤滑油やブレーキオイルのようなもので体の機能を整える役割を担っています。

これらの栄養素に偏りが出れば起立性調節障害のような症状が出現しやすい状況を作り出してしまう可能性が高まってしまうのです。栄養療法はこれらひとつひとつを精査して不足している栄養素を優先的に補う治療法なのです。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性調節障害に効果的な栄養素とは

では、具体的にどんな栄養素が起立性調節障害と密接に関わっているのでしょうか?

まずはじめに糖質は起立性調節障害と密接な関わりがあります。例えば、ケーキやお菓子などの糖質の多い食べ物は血糖値に影響を与える結果、血糖をコントロールする自律神経にも影響を与えてしまいます。

起立性調節障害は自律神経のバランスが崩れることが原因なので、急激な血糖値の変動に伴う自律神経のバランスの悪化は起立性調節障害の症状を悪化させる可能性があるのです。よって糖質の多い食事は控える方がいいです。

たんぱく質は全ての体の材料です。髪の毛や筋肉、臓器はもちろんホルモンなどもたんぱく質によって構築されています。成長期の子供の場合、大人よりも体重あたりのタンパク質必要量が多いため食事からしっかり摂取しないとすぐにタンパク質不足に陥ります。

たんぱく質の低下は、筋肉量の低下、ホルモンバランスの乱れ、神経伝達物質の生成低下による精神的不安定など起立性調節障害の症状にも悪影響を及ぼします。

次にミネラルの中でも鉄分や亜鉛は不足しやすいので要注意です。鉄分は特に女性では生理などの出血で消耗しやすいです。鉄分がないと赤血球を作ることができず貧血になってしまいます。

貧血は倦怠感や易疲労感(身体をあまり使っていないのに疲れを感じる)、ふらつきなどのODに類似した症状を引き起こすため、鉄分の不足は避けるべきです。また、亜鉛も不足しやすい栄養素ですので注意が必要です。亜鉛はホルモンや血圧などの管理に影響しますので、不足することで起立性調節障害の症状を悪化させかねません。

最後にビタミンについてです。ビタミンB群は不足すると神経や肉体の成長に影響を及ぼします。つまり、精神的に不安定になったりやる気が出なくなる可能性があります。これも起立性調節障害の症状と類似しているため、可能な限りビタミンB群の枯渇は避けるべきです。

実際にこれらの栄養素を的確に補充するだけで症状が劇的に改善した例は多数報告されています。即実践可能なので、ご家庭で取り組む価値は十分にあると思います。

起立性調節障害に効くおすすめの食べ物

では前述した内容を踏まえてどのような食事が起立性調節障害にとっていいのでしょうか?

ポイントは、糖質を過剰摂取しない、たんぱく質を積極的に摂取する、ビタミンやミネラルが不足しないように野菜や果実、海藻なども摂取すると言うことです。

具体的には

  • メインをパンや米ではなく肉や魚や野菜に置き換える
  • 味付けに余計な脂質や糖質を使わない
  • ジュースやお菓子を控えて、おやつにもたんぱく質を摂取する

などが挙げられます。

起立性調節障害の症状に悩んでいる方は上記のような対策法に取り組んでみることをおすすめします。もちろん栄養療法以外にもほかのアプローチでの治療法もあります。

関連記事:【医師解説】起立性調節障害のサポートとして近年注目を浴びている乳酸菌-効率良く摂取する方法を解説

 

→起立性調節障害で控えたたい食べ物

 

以下の記事では、起立性調節障害に対するそのほかの治療や家族にできることを詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

 

起立性調節障害には光療法を推奨します

 

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

トトノエライトプレーン

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