起立性調節障害とは

起立性調節障害の子供を持つ親は仕事を辞めたほうが良いの?

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医

 

起立性調節障害の子供を持つ親は仕事を辞めたほうが良いの?

自分の大切な子供が風邪を引いたりお腹を壊してしまったら、仕事中でも気が気じゃなくなってしまう親御さんは少なくないと思います。特に子供が低学年の場合は心配事も多いと思います。

起立性調節障害(OD)の子供の場合、特に午前中はめまいや食思不振、嘔気、ふらつき、腹痛など様々な症状が出現します。場合によっては意識障害などが生じることもあります。

これらの症状は午前中や起床後に強く出現するため、症状が重い子供では通学に支障をきたしてしまうこともあります。そんな中、親御さんが働いている場合子供は1人になってしまいます。

起立性調節障害の子供を持つ親御さんにとって仕事との付き合い方は非常に難しい問題です。なかには、子供のために仕事を辞めて、家で一緒にいる時間を増やして支えてあげようと考える親御さんもいると思います。

普通の風邪や腸炎であれば、一時的に仕事を休み子供の側で看病することが適切な対応だと思いますが、起立性調節障害の場合は一概に仕事を辞めることが適切だと言い切れません。むしろ辞めないほうが良いこともあります。

そこで本記事では、起立性調節障害の子供における親御さんの仕事について分かりやすく解説していきます。

親は仕事をやめたほうが良いの?

起立性調節障害の子供は自律神経の発達が肉体の成長に追いつかず、交感神経がうまく活性化できないため起立時や起床時に脳血流が低下する病気です。その疾患の特性上、午前中は特に症状が強く出現します。

共働きしている親御さんであれば、ちょうど自分の出勤するタイミングで子供の具合が悪化し、通勤後も子供が学校生活を無事に送れているのか不安を抱きながら働くことになると思います。

起立性調節障害の場合、適切な運動や食事、睡眠を取ることが治療の一環になりますが、子供が低学年の場合1人でそれらを管理して病気と付き合って行くのは現実的に困難であると思います。

子供の年齢や自立度によっては、思い切って休職してそばにいてあげるべきですが、逆にある程度自立した中学生の場合は親御さんが仕事を辞めることが一概に適切な対応であるとは言えません。

子供の自立度や症状の度合いにもよりますが、結論から言えば中学校高学年や高校生の子供であれば働いている親御さんが無理に休職する必要性はありません。

もちろん親が休職や退職して子供のそばにいる時間が増えれば多くのメリットもあります。一緒に運動することで子供の筋力を維持したり、適切な食事を提供して子供の栄養不足を補うこともできます。

不足している栄養を十分量補給したり運動によって筋力を維持することで、自律神経はより安定するため起立性調節障害の症状が改善し、子供が本来の生活に戻れる可能性も上がると思います。それでも尚、筆者が親御さんの退職や休職を勧めない理由をこれから解説していきます。

親が仕事を辞めて症状が改善するとは限らない

まず第一に、親御さんがせっかく仕事を辞めたとしても子供の症状が必ず改善するとは限らないのです。そもそも起立性調節障害は精神的な疾患ではなく、あくまで自律神経のバランスが崩れる身体的疾患です。

生活やキャリアのためにせっかく手にした仕事を手放しても、子供の症状が改善しなかったら後悔する可能性もあります。しかしODが身体的疾患である以上そうなる可能性も十分にあり得るのです。

起立性調節障害の子供は罹患から約2.3年で80%近くが自然寛解すると言われています。これは、急激な肉体の成長がある程度落ち着くことで自律神経の発達が自然と追いついてくるからだと言われています。日常生活に支障をきたすほど重症化する子供は全体の1%であり、統計的に見ても自然に症状が軽快する可能性の方が十分に見込めるのです。

起立性調節障害の子供が症状に悩む中で、行うべき5つのことがあります。それは食べること、動くこと、笑うこと、眠ること、学ぶことです。

子供が中学生、しかも高学年ともなれば、ある程度自分で食事や運動は管理できます。家の中でもできうる限りの運動を行うことで夜間の睡眠の質も向上します。

学業の遅れも体調の改善する夕方に塾に通うか、費用面で問題なければ家庭教師をつけることも可能です。ある程度子供が自立していて、5つのことが自分のペースでできるのであれば、無理に仕事を辞める必要はありません。

むしろ自然に子供の症状が改善するのを見守った方が、良い結果を得られる可能性が高いです。

親が仕事をやめることで子どもにストレスを与える可能性も

次に、親御さんが仕事を辞めた場合のリスクについて説明します。起立性調節障害で特に思春期を迎える子供にとっては、親は誰よりも頼りたい存在であると同時に、干渉して欲しくない相手でもあるのです。

これは明らかに親に対する矛盾した感情ですが、親御さんは思春期の子供の複雑な感情を理解してあげなくてはなりません。中学生の子供であれば、きっと仕事を辞めた理由が自分にあることは理解してしまいます。

それがかえって子供に精神的ストレスを与えてしまい、ストレスにより自立神経のバランスがさらに乱れてODの症状が増悪してしまうことも十分に考えられます。

起立性調節障害の子供にとって、親にしてもらって一番ありがたかったことは「放っておいてもらえたこと」と答えたというエピソードもあります。せっかく仕事を辞めて子供に干渉する時間が増えても、子供にとっては幸せでは無い可能性があるのです。

起立性調節障害で一番不安になり一番症状のことを考えているのは親御さんではなく子供本人です。親御さんはそんな子供のペースに合わせて、程よい距離感で付き合っていく必要があります。

まとめ

本記事では、起立性調節障害の子供を持つ親御さんの仕事について解説しました。結論を言えば、子供がある程度自立している年齢であれば無理に干渉せず仕事を継続したほうが良いかと思います。

実際に仕事を辞めても症状が良くなる保証はない上に、悪化する可能性もあるため慎重に判断する必要があります。

下記記事では、起立性調節障害の子供に対して他に親ができることが非常によくまとめられています。日常での接し方や、学業の遅れに対する対応などが詳しく記載されていますので、せひ参考にしてみてください。

 

 

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

トトノエライト なおくん

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