自分の大切な子供が風邪を引いたりお腹を壊してしまったら、仕事中でも気が気じゃなくなってしまう親御さんは少なくないと思います。特に子供が低学年の場合は心配事も多いと思います。
起立性調節障害(OD)の子供の場合、特に午前中はめまいや食思不振、嘔気、ふらつき、腹痛など様々な症状が出現します。場合によっては意識障害などが生じることもあります。
これらの症状は午前中や起床後に強く出現するため、症状が重い子供では通学に支障をきたしてしまうこともあります。そんな中、親御さんが働いている場合子供は1人になってしまいます。
起立性調節障害の子供を持つ親御さんにとって仕事との付き合い方は非常に難しい問題です。なかには、子供のために仕事を辞めて、家で一緒にいる時間を増やして支えてあげようと考える親御さんもいると思います。
普通の風邪や腸炎であれば、一時的に仕事を休み子供の側で看病することが適切な対応だと思いますが、起立性調節障害の場合は一概に仕事を辞めることが適切だと言い切れません。むしろ辞めないほうが良いこともあります。
そこで本記事では、起立性調節障害の子供における親御さんの仕事について分かりやすく解説していきます。

親は仕事をやめたほうがいいの?
起立性調節障害では、朝から午前中に症状が強く現れることがあります。そのため、保護者の出勤時間に子どもの体調が悪くなり、仕事中も一人で過ごせているか心配になることがあるでしょう。
しかし、起立性調節障害と診断されたからといって、保護者が必ず休職や退職をしなければならないわけではありません。仕事を続けられるかどうかは、次のような点を確認して判断します。
- 子どもの年齢や自立度
- 失神や転倒などの危険がないか
- 水分や食事、薬を自分で管理できるか
- 体調が悪化したときに連絡できるか
- 近くに頼れる家族や支援者がいるか
- 保護者の勤務時間や働き方を調整できるか
年齢が高くても症状が強ければ、一人で過ごすことが難しい場合があります。一方、年齢が低くても、家族の協力や見守り体制を整えることで、保護者が仕事を続けられることもあります。
まずは主治医に、留守番をさせる際の注意点や、緊急時に受診が必要となる症状を確認しましょう。勤務時間の変更、在宅勤務、時間単位の休暇、家族による見守りなどを組み合わせられないか検討することも大切です。
起立性調節障害の子どもの家での過ごし方については、下記の記事も参考にしてください。
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親が仕事を辞めても症状が改善するとは限らない
保護者が仕事を辞めて子どもと過ごす時間を増やしても、起立性調節障害の症状が必ず改善するとは限りません。
起立性調節障害は、起立時の血圧や心拍数などを調節する自律神経の働きに不調が生じる病気です。そのため、保護者がそばにいる時間を増やすことだけで、症状が改善するとは言い切れません。
これまで続けてきた仕事を手放すと、家計や保護者自身のキャリアにも大きな影響が生じます。退職後に子どもの症状が変わらなかった場合、保護者が後悔したり、精神的・経済的な負担を抱えたりする可能性もあります。
起立性調節障害は、発症から約2~3年で80%近くが改善するといわれています。また、日常生活に大きな支障をきたすほど重症化する子どもは、全体の約1%とされています。ただし、症状の程度や改善までの期間には個人差があるため、自然に改善することを前提に放置するのではなく、医療機関と相談しながら経過を見守ることが大切です。
起立性調節障害の子どもが日常生活を送るうえでは、食事を摂ること、体調に合わせて体を動かすこと、楽しめる時間を持つこと、睡眠を確保すること、無理のない範囲で学ぶことが大切です。
子どもが中学生や高校生で、食事や水分の摂取、服薬、体調管理などをある程度自分で行える場合は、保護者が必ずしも仕事を辞める必要はありません。
学習についても、体調のよい午後や夕方に取り組む、オンライン教材を利用する、学校と課題の進め方を相談するなど、本人のペースに合わせた方法を検討できます。
大切なのは、仕事を辞めるかどうかだけで判断するのではなく、子どもが一人でできることと、保護者の手助けが必要なことを整理することです。勤務時間の変更や在宅勤務、家族による見守りなども含め、家庭に合った方法を検討しましょう。
欠席や遅刻による勉強の遅れが気になる場合は、体調のよい時間帯に学習する方法や、学校と相談できる対応を検討しましょう。
起立性調節障害による学習の遅れへの対処法については、下記の記事も参考にしてください。

親が仕事を辞めることで子どもが負担を感じる場合もある
保護者が仕事を辞めた場合、子どもが心理的な負担を感じる可能性についても考えておく必要があります。
特に思春期の子どもにとって、保護者は頼りたい存在である一方で、必要以上に干渉されたくないと感じる相手でもあります。こうした一見矛盾する気持ちは、思春期の子どもにみられる自然な感情です。
中学生や高校生であれば、保護者が仕事を辞めた理由を察し、「自分のせいで仕事を辞めさせてしまった」と責任を感じることがあります。また、保護者と一緒に過ごす時間が増えることで、常に体調を確認されているように感じたり、自分のペースで過ごしにくくなったりする場合もあります。
こうした心理的な負担が症状の現れ方に影響する可能性はありますが、保護者が仕事を辞めると必ず症状が悪化するわけではありません。そばにいてもらうことで安心できる子どももいるため、必要なサポートや心地よい距離感は一人ひとり異なります。
起立性調節障害の子どものなかには、必要以上に手を出さず、見守ってもらう方が過ごしやすいと感じる人もいます。仕事を辞めて一緒に過ごす時間を増やすことが、必ずしも子どもの希望と一致するとは限りません。
起立性調節障害による症状や将来への不安を強く感じているのは、子ども本人です。保護者の考えだけで働き方を決めるのではなく、「どのようなときに手伝ってほしいか」「一人で過ごす際に不安なことはあるか」などを本人に確認しましょう。
子どもの気持ちや自立度に合わせて、必要なときに支えられる距離感を一緒に考えていくことが大切です。
まとめ
起立性調節障害の子どもがいるからといって、保護者が必ず仕事を辞める必要はありません。一方で、子どもの年齢や症状によっては、一定期間の休職や勤務時間の調整、家族による見守りが必要になる場合もあります。
仕事を続けるかどうかは、子どもの年齢だけで判断せず、留守中の安全性、自分でできること、必要な手助け、家族や学校の協力体制などを確認して考えましょう。
退職を決める前に、主治医や学校、勤務先、家族に相談し、時短勤務や在宅勤務などを利用できないか検討することも大切です。また、保護者自身が無理をしすぎず、家庭だけで問題を抱え込まないようにしましょう。
仕事を続けるかどうかだけでなく、家庭でどのようなサポートが必要かを子どもと話し合うことが大切です。起立性調節障害の子どもに対して親ができることについては、下記の記事も参考にしてください。
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【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)







