令和6年度の文部科学省の調査では、不登校児童生徒数は小学校で13万7,704人、中学校で21万6,266人、小・中学校を合わせて35万3,970人となっています。小・中学校全体では12年連続で増加しており、不登校はどの家庭にも起こり得る身近な問題です(参照:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)。
学校へ通うことが難しくなる背景には、人間関係や学業上の不安、生活リズム、心身の不調、家庭や学校を取り巻く環境など、さまざまな要因が関係しています。
起立性調節障害(OD)も、登校が難しくなる背景の一つです。日本小児心身医学会によると、不登校の子どもの約3〜4割に起立性調節障害が併存するとされています。ただし、不登校の原因がすべて起立性調節障害にあるという意味ではなく、複数の要因が重なっている場合もあります。
実際に大切な自分の子どもが起立性調節障害の影響で学校に通えなくなったとき、保護者は病気との向き合い方や、学校と連携して学びを支える方法について知っておくことが大切です。
そこで本記事では、起立性調節障害の子どもの通学や、学校に相談したい配慮、家庭での対応について分かりやすく解説していきます。
起立性調節障害の子どもは無理に学校へ行かせるべき?
小学校や中学校の義務教育段階では、高校のような単位制ではないため、欠席日数だけで直ちに進級や卒業ができなくなるとは限りません。ただし、学習の遅れや進路への影響が考えられるため、体調に合わせて学びを継続できる方法を学校と相談することが大切です。
高校では、履修や単位認定、進級・卒業の基準が学校ごとに定められています。欠席が増えている場合は、出席状況や単位の見通しを早めに学校へ確認しましょう。現在は、学校の判断により、不登校の生徒が自宅などから遠隔授業や通信教育を利用して単位を修得できる場合もあります。
学校生活で得られるものは学業だけではありません。友人や教職員とのつながり、部活動や行事なども大切ですが、体調が悪い状態で無理に登校を続けることが、必ずしも本人にとってよいとは限りません。
起立性調節障害は、起立時の血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能せず、立ちくらみや頭痛、倦怠感、朝の起床困難などが現れる身体疾患です。午前中に症状が強く、午後になると軽くなる傾向があるため、朝の通学が難しくなることがあります。
このような状態を気合いや根性の問題と捉え、無理に登校を促したり叱責したりすると、本人の心理的な負担が大きくなることがあります。心理社会的なストレスが症状に影響する場合もあるため、まずは本人の症状や希望を確認し、医師や学校と相談しながら対応しましょう。
支援の目標は、毎日教室へ登校することだけではありません。遅刻や午後登校、短時間登校、別室利用、自宅学習なども含め、体調に合った方法で生活や学習を続けられる環境を整えることが大切です。
学校側の起立性調節障害の子供への配慮
起立性調節障害によって通学や授業への参加が難しい場合は、家庭だけで対応するのではなく、学校にも病気や症状を理解してもらうことが大切です。
必要な配慮は子どもによって異なりますが、次のような対応を相談できます。
- 遅刻や午後登校、短時間登校、別室登校を認めてもらう
- 長時間立ち続ける活動や暑い場所での運動を調整してもらう
- 体調が悪くなったときに座る、横になる、水分をとることを認めてもらう
- 欠席中の課題やオンライン学習など、学習を続ける方法を相談する
体育や合唱、集会などでは、長時間立ったままになることで症状が強くなる場合があります。本人がつらさを感じたときに座って休めるよう、あらかじめ担任や担当教員と対応を決めておくと安心です。
また、暑い環境や水分不足によって症状が強くなる場合があります。屋外活動や部活動では、気温や体調に応じて活動量を調整し、こまめに休憩や水分補給ができるよう相談しましょう。
周囲の子どもへの説明が必要な場合もありますが、病名や症状をどこまで伝えるかは、本人の希望やプライバシーを尊重して決めることが大切です。本人の同意なく詳しい病状を伝えることは避けましょう。
朝から教室に入ることが難しい場合は、保健室や校内教育支援センターなどを利用する方法もあります。途中から教室へ参加する、自宅で課題に取り組むなど、本人が利用しやすい方法を学校と検討しましょう。
こうした配慮によって必ず登校や進級ができるとは限りませんが、本人の負担を減らし、学校とのつながりや学習機会を保つ助けになります。
学校に行けない、行きたがらない子どもへの親の対応
登校に支障をきたした場合、それは親御さんにとってもショックな出来事だと思いますが、決して焦って子供にストレスを与えてはいけません。
前述したように、まずは子供の体調回復が最優先です。子供に学業に取り組むエネルギーがないときに発破をかけても症状が悪化するだけです。その上で親御さんは学校側と密にコミニケーションを取る必要性があります。
具体的には、今後の学業に対するプランを学校とともに計画していく必要があります。学校のテストを受け取って自宅で勉強させたり、体調の改善する午後に課題のプリントを受け取りに行くなど様々な方法があります。
また、あまりにも学業が遅れてしまうような場合、進路変更も1つの選択肢です。高校生の場合、不登校による留年もあり得ますが、思い切って学校を変えてみるのも良いかもしれません。
今は全日制の高校以外にも、通信制や定時制など様々なスタイルの高校が多くあります。全日制の高校に無理にこだわるよりも本人にとって良い決断になる可能性もあるため、親子間で慎重に相談する必要があります。
小学生や中学生と違い、高校生の場合自分の将来や進路に対する不安も強く、プレッシャーを感じている可能性が高いです。だからこそ大人は子供に多くの選択肢を与え、その決断を尊重してあげましょう。
さらに、学校の対応、親と学校の理解と協力とともに、早期から正しい生活指導と適切な治療による各者バランスの良いサポートが必要です。ベストなサポートを受けても、急に改善できない部分は学校の変更も含めた柔軟な適応も考慮しましょう。
下記記事では、高校生の起立性調節障害について解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
下記記事では「起立性調節障害の子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)







