- 「起立性調節障害の子どもは塾をやめた方がいい?」
- 「どのような学習方法が適切?」
このような疑問やお悩みをお持ちの方も少なくないでしょう。
起立性調節障害を患うと集中力の低下や体調不良によって勉強に身が入らなくなり、塾に行くモチベーションの低下や周囲に勉強を置いてかれてしまう劣等感を感じてしまうケースも散見されます。
一方で、受験期に発症しやすい病気でもあるため、何らかの方法で学習を進めないと将来の進路にも大きく影響してしまいます。
そこで、この記事では起立性調節障害の子どもが塾を続けるか休むかの判断基準を解説します。この記事を読むことでそれぞれの子どもにとっての最適な学習方法を知ることができるため、ぜひご一読ください。
起立性調節障害の子どもは塾をやめたほうがいい?続ける・休むの判断基準
起立性調節障害の子どもは塾をやめるべきか継続すべきか、その判断基準は主に下記のとおりです。
なお、これらの判断基準はあくまで1つの目安であり、起立性調節障害の症状や子どもの心理的負担、塾の学習環境など、さまざまな視点から判断することが重要です。
塾の前後で体調が悪化していないか
起立性調節障害の子どもが塾を続けるか休むかの判断基準として、塾の前後で体調が悪化していないかどうかが重要です。
起立性調節障害は精神的ストレスによって症状が増悪する可能性があるため、塾の前後や翌日に症状が悪化する可能性があります。
具体的には、頭痛、腹痛、めまい、吐き気、倦怠感、朝起きられないなどの症状が出ていないかを確認しましょう。
また、特に起立性調節障害は午前中に症状が出やすく、午前中に学校に行けた日でも、帰宅後に疲れが出て塾まで体力が残らないこともあります。
塾の前後で体調悪化が少なければ体調と相談しながら塾を継続、体調の悪化が続く場合は休会や回数変更、もしくはオンライン受講を検討しましょう。
塾を休む罪悪感や不安が強くなっていないか
起立性調節障害の子どもが塾を続けるか休むかの判断基準として、塾を休む罪悪感や不安が強くなっていないかどうかも重要です。
先述した通り、ストレスは自律神経の乱れを招くため、起立性調節障害の症状を増悪させる可能性があります。
塾を連続して休むことで「お金を出してくれている親に申し訳ない」「先生に迷惑をかけている」と自責の念や罪悪感を感じてしまうことで症状が悪化し、塾の前に腹痛、吐き気などの症状が出る場合もあるため、注意が必要です。
「親に申し訳ないから行かなきゃ」と無理をしている場合は、継続ありきで考えず、休会・回数変更・オンライン受講など、負担を軽減する方法を検討すると良いでしょう。
一方で、塾に行けないことで授業についていけない不安が強くなる場合は、集団塾の継続よりも、個別指導やオンライン塾など、本人のペースで学べる方法へ切り替えることも検討しましょう。
本人が塾に行きたい気持ちを持てているか
起立性調節障害の子どもが塾を続けるか休むかの判断基準として、本人が塾に行きたい気持ちを持てているかどうかも重要です。
症状が重くそもそも本人が塾へのモチベーションを保てていない場合、無理に継続を強いることはかえって負担になる可能性があります。
また、体調がよい日でも塾を強く拒む場合は、授業についていけない不安、宿題量、先生との相性、受験のプレッシャーなどが負担になっている可能性があります。このような場合は、今の塾に何らかの原因がある可能性が高いため、休会や転塾も検討すべきです。
一方で、本人が「塾に戻りたい」「先生と話しやすい」「勉強を続けたい」と思えていて、それでも症状が重く継続が難しい場合は、週1回・短時間・得意科目だけなど、負担を減らして、科目の優先順位をつけて続ける方法も検討しましょう。
欠席時のフォローや先生の理解がある塾かどうか
起立性調節障害の子どもが塾を続けるか休むかの判断基準として、欠席時のフォローや先生の理解がある塾かどうかも大切です。
起立性調節障害の症状の程度は子どもによっても異なりますが、症状がある程度重い場合、周囲の理解やフォローは必要不可欠です。塾においては、振替授業、動画視聴、補習、質問対応、宿題量の調整など、欠席時のフォロー体制を確認しましょう。
また、こういった塾の体制だけではなく、担当の先生がいかに起立性調節障害の症状や体調の波を理解しているかも通塾を継続していく上では非常に重要です。
欠席時のフォローや先生の理解がある塾なら、回数や宿題量を調整しながら継続しやすいためです。一方で、欠席や遅刻を責められる、相談しても配慮が得られない場合は、その塾を継続することは困難であるため、転塾や退塾を検討する必要があります。
起立性調節障害の子どもが塾に通いにくくなる理由
起立性調節障害の子どもは体調の変化、集中力の低下、心理的負担の増大など、さまざまな要因で塾に通いにくくなります。
具体的には、下記の3つのような理由です。
午後や夕方でも体調が安定しているとは限らない
起立性調節障害の子どもが塾に通いにくくなる理由として、午後や夕方でも体調が安定しているとは限らない点が挙げられます。
本来、起床後や午前中に交感神経が活性化するはずが、起立性調節障害では交感神経がうまく機能せず、ふらつきや倦怠感などの症状をきたします。そのため、特に午前中に症状が出やすく、午後や夕方になると体調が改善することが多いです。
しかし、症状は個人差も大きく、午後や夕方に必ず元気になるわけではないため、ちょうど塾に行く時間帯に体調が不安定だと塾に行くのも困難になります。
学校後の疲労、通塾の移動、授業時間が重なり、塾の時間に動けなくなることがあるため、注意が必要です。「学校に行けたから塾も行ける」と決めつけず、その日の体調や疲れ方を見て通塾するかどうか検討すると良いでしょう。
集中力や記憶力が落ちて勉強が進みにくいことがある
起立性調節障害の子どもが塾に通いにくくなる理由として、集中力や記憶力が落ちて勉強が進みにくい点が挙げられます。
起立性調節障害は、起床時や午前中に交感神経が十分活性化せず、脳血流が低下することで眠気、だるさ、頭痛、集中力低下などの症状をきたす疾患です。
集中力が低下することで塾にいても授業内容に身が入りにくく、どんなに努力していても成績が上がらない、宿題ができない場合があることを理解しておきましょう。
また、集中力が低下する時間帯に無理に勉強するよりも、体調がよい時間帯に短時間で学習する方法が合う場合があるため、症状や程度に応じて対策することがおすすめです。
下記の記事では、勉強の遅れややる気がでない場合の対策について詳しく解説しているため、ぜひご一読ください。
罪悪感やプレッシャーが症状や不安を強めることがある
起立性調節障害の子どもが塾に通いにくくなる理由として、塾に通えなくなればなるほど罪悪感やプレッシャーが症状や不安を強めることがある点が挙げられます。
塾に通えなくなれば周囲の子供よりも学業が遅れ、受験、定期テスト、確認テスト、宿題、欠席分の遅れが本人のプレッシャーになるため、そのストレスによってさらに症状が悪化する恐れがあります。
また、塾を休むことで「親や先生に迷惑をかけている」という自責の念や、「甘えではないか」という周囲の声が、塾前の腹痛や吐き気、不安につながることがあるため、注意が必要です。
通塾できない子ども本人を責めるのではなく、今の塾の負担や学習環境が合っているか見直し、環境を整えることが重要です。
起立性調節障害の子どもに合いやすい塾・学習方法
起立性調節障害の子どもにとって、無理に通塾を続けることが負担になる一方、塾へ通えないことで学習の遅れに不安を感じる場合もあります。
塾を続けるか辞めるかだけで判断せず、個別指導やオンライン塾、家庭教師なども含め、本人の体調や学習状況に合った方法を検討することが大切です。
集団塾より個別指導が合うケース
集団塾に通っている起立性調節障害の子どものなかで欠席が続いて集団塾の進度についていけない、宿題や確認テストが負担になっている場合は、集団塾よりも個別指導の方が向いている可能性があります。
集団塾の場合は多くの他の子どもと足並みを合わせないといけない側面がありますが、個別指導であれば授業内容、宿題量、通塾頻度を本人の体調や理解度に合わせやすいです。
下記の項目に複数当てはまる場合、個別指導のように本人のペースで進められる学習方法を検討しても良いでしょう。
- 毎日決まった時間に通塾できないことが多い
- 周囲の子どもとの差や違いを強く実感してしまう
- 授業に完全に置いて行かれてしまい基礎的な復習ができていない
- 決められた授業時間で集中力を維持できない
- 塾に通おうとするだけで症状が悪化する
オンライン塾・家庭教師が向いているケース
集団塾に通っている起立性調節障害の子どものなかで通塾の移動や外出、夜の授業、人目や教室の雰囲気が負担になる場合は、集団塾よりもオンライン塾・家庭教師の方が向いている可能性があります。
集団塾の場合は必ず通塾に移動や外出が発生し、多くの子どもと一緒に授業を受ける必要があるため、学習すること以外にもさまざまなストレスが生じます。
一方で、オンライン塾・家庭教師であれば自宅で体調がよい時間帯に短時間から学習できるため、最低限のストレスだけで勉強に取り組むことができる点がメリットです。
下記の項目に複数当てはまる場合、通塾不要で自宅で学べるオンライン塾・家庭教師の利用を検討しても良いでしょう。
- 1日の中で体調不良である時間帯がある程度決まっている
- 通塾の移動や外出そのものに強いストレスを感じる
- 周囲の子どもの学習状況や視線が気になる
- これまで集団塾で学習した結果、学業に遅れが生じている
- 自宅にいる分には症状が悪化しない
塾の先生に伝えておきたいこと
そもそも起立性調節障害という病気をあまりご存知でない塾の先生も少なくないため、親御さんは起立性調節障害についてしっかり塾の先生に伝えておくことが重要です。
具体的に、下記のような点について塾の先生に伝えておきましょう。
- 宿題量や確認テストの負荷を調整してもらう可能性がある
- 起立性調節障害の診断や症状の程度
- 急遽の欠席や遅刻の可能性がある
起立性調節障害は起床時に交感神経が活性化しないことで脳血流が低下し、めまい・ふらつき・嘔気・嘔吐・腹痛・倦怠感など多彩な症状をきたす疾患です。
午後や夕方になると交感神経が徐々に活性化してくるため、午前中に症状が出やすく、午後に改善するという特徴があります。
午前中に症状が出やすいため、学校への通学に影響が出やすく欠席や遅刻が増える可能性がありますが、子どもによっては午後になっても症状が改善せず、通塾にも支障が出る可能性があることを知っておきましょう。
もし急遽欠席や遅刻した場合、振替授業や補習、オンラインでの受講など、塾側がどれだけ柔軟に対応してくれるかも通塾の継続において重要です。もしこれらの配慮が得られない場合は、転塾や別の学習方法も検討しましょう。
起立性調節障害で塾を続けるか迷った家庭の事例
起立性調節障害の子どもを持つ親御さんの中には、さまざまな理由で塾を続けるか迷った方も少なくないでしょう。
ここでは起立性調節障害で塾を続けるか迷った家庭の事例と対応を3例紹介します。
なお、ここでの事例は、起立性調節障害で塾との向き合い方に悩むご家庭で見られやすいケースをもとにした一例です。
症状の出方や適した対応はお子さんによって異なるため、実際の判断は医師や学校、塾とも相談しながら進めましょう。
小学生女子|学校後の疲れで夕方の塾が負担になったケース
小学6年生女児のAさんは、起立性調節障害発症前までは部活動に励み、中学受験に向けて塾にも定期的に通っていました。
しかし、起立性調節障害を発症してからは午前中に強い倦怠感や疲労感を自覚するようになり、学校にはなんとか通えていたものの、帰宅後にソファやベッドで寝てしまい、夕方の塾の時間になると起きられなくなってしまったそうです。
当初、親御さんは「学校には行けるのに、塾だけ嫌がっているのでは」と感じていたそうです。一方で、Aさん自身は眠気・腹痛・頭痛に悩んでいるにも関わらず、両親にうまく説明できず「行きたくない」としか言えないことに悩んでいました。
通塾できない日が続き、学習の遅れを心配した親御さんがAさんと話し合いの場を設けたところ、Aさんの症状を理解した親御さんは通塾の回数を減らし、自宅での学習頻度を上げることにしたそうです。
塾とも連携し、宿題量を調整してもらったり、通塾する際は短時間の復習中心にするなど、負担を調整したところ、Aさんの場合はその方法がうまくハマり、大きな学習の遅れが生じることなく、学業を継続できたそうです。
中学生女子|集団塾についていけず個別指導に切り替えたケース
中学2年生のBさんはこれまで特に病気など認めず、健康的な学生生活を送っていた女の子です。しかし、中学2年生の夏頃から本格的に高校受験を意識するようになり、集団塾で夜まで勉強するようになった頃から、徐々に体調不良で塾を休む日が増えていきました。
塾を休む日が増えるのと同時に、集団授業のスピードや宿題、確認テストについていけなくなったそうです。学業が遅れることへの焦りが生まれ、それによってさらに体調が悪化し、負の循環に陥りました。
「お金を払ってもらっているのに休んで申し訳ない」「甘えていると思われたらどうしよう」と、塾に通わせてくれている両親に対して罪悪感を抱くようになったそうです。
一方で、親御さんはBさんの体調悪化や学業の遅れを心配しており、Bさんの抱く罪悪感にも気付いていました。そこで、Bさんと話し合った結果、周囲の子どもを気にせず自分のペースで学業に取り組めるよう、個別指導やオンライン塾に切り替えることにしたそうです。
実際に集団塾から切り替えたところ、苦手科目や復習をBさんのペースで進められるようになったため、徐々に学業の遅れを取り戻せたそうです。
高校生男子|優先順位をつけて科目や時間を絞ったケース
高校3年生のCくんは夏休みが明けて、大学受験に向けて日々猛勉強していました。日中は学校で授業を受けつつ、放課後は夜まで塾に通い、帰宅後は宿題をこなす多忙な生活でした。
それに加えて、以前から発症している起立性調節障害とも付き合う必要があり、時折体調が悪い日は通院を余儀なくされる日もあったそうです。
Cくん自身は「受験に遅れたくない」という思いから体調が悪い時も無理して塾に通い、そんなCくんを見て両親は体調悪化を強く心配し、塾の継続に疑問や不安を抱いていたそうです。
あまりにもCくんが追い込まれていると感じた両親は家族会議を行い、塾では週に1回苦手科目だけ学ぶことにして、あとはオンラインでの受講や自宅での過去問対策に集中し、なるべく負担を軽減するようにしたそうです。
これが功を奏したのか、Cくんはどうにか体調管理と受験勉強をうまく両立でき、無事受験にも合格できました。気にかけて相談に乗ってくれた両親にも感謝しているそうです。
起立性調節障害で塾をやめるか迷ったら、今の体調に合う勉強方法を優先しよう
この記事では起立性調節障害の子どもが塾をやめるべきか継続すべきかの判断基準や、実際に切り替えるべきケースなどについて詳しく解説しました。
特に症状が増悪している場合や本人のモチベーションが低下している場合、もしくは塾に十分な受け入れ体制がない場合や理解が得られない場合などは、無理して集団塾を継続せず、他の塾や個別指導などを検討すべきです。
塾を休む日が続くからといって、甘えだと決めつけず、今の塾の通い方や勉強方法が体調に合っていない可能性があると考え、継続できるような方法を模索しましょう。
特に最近では集団塾以外にも、個別指導、オンライン塾、家庭教師など、自身の状態に合った学習方法が豊富に用意されているため、集団塾に拘らないことが重要です。
もし学習方法や通塾の継続に迷うような場合は、本人や家庭だけで抱え込まず、医師、学校、塾、行政の相談窓口など、多方面に相談することも検討しましょう。
起立性調節障害の治し方や、家庭で親ができることについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。






