- 「起立性調節障害があっても宿泊学習や修学旅行に参加できる?」
- 「旅行先で体調を崩したらどうしよう」
と、不安に感じる子どもや保護者の方もいるでしょう。
起立性調節障害があっても一律に参加を諦める必要はありませんが、症状の程度や最近の体調を確認し、学校と事前に相談して無理のない参加方法を考えることが大切です。
本記事では、参加を判断する目安や事前準備、学校へ相談したい配慮、旅行中の体調管理について解説します。必要な対策を知り、本人が安心して宿泊学習や修学旅行に参加できる方法を一緒に考えていきましょう。
起立性調整障害でも修学旅行・宿泊旅行に参加できる?
起立性調節障害があっても、一律に修学旅行や宿泊学習を欠席する必要はありません。
ただし、普段の体調や症状の程度、旅行中の活動内容などを確認したうえで判断することが大切です。
本人の希望も聞きながら、全行程への参加だけでなく、負担を減らした参加方法も検討しましょう。
参加できるかは普段の体調を基準に判断する
参加を考える際は、普段どの程度登校できているか、何時間くらい外出できるかを確認しましょう。朝の起床困難や立ちくらみ、頭痛、倦怠感などの程度や、活動した翌日に症状が悪化しないかも判断材料になります。
ただし、普段学校へ行けているからといって、修学旅行や宿泊学習、林間学校、合宿の全行程に参加できるとは限りません。旅行中は普段より活動時間が長くなるためです。
また、本人が参加したいと思っているかも大切です。「参加する・欠席する」の二択にせず、体調によっては一部の行程だけ参加する、現地で途中から合流するなどの方法も学校と相談してみるのもよいでしょう。
修学旅行・宿泊学習は通常の登校より負担が大きい
修学旅行や宿泊学習では、早朝集合から始まり、バスや新幹線などでの長時間移動、観光、徒歩での移動、集団行動、入浴、夜のレクリエーションなどが続きます。
普段の登校より活動時間が長く、自由に休憩しにくいこともあるため、起立性調節障害の子どもには大きな負担となる場合があります。
林間学校や部活動の合宿でも同様です。普段より早い起床時間や多い活動量に加え、慣れない寝具や同室での宿泊などによる睡眠環境の変化が、体調に影響することも考えられます。
参加前には学校から配布されるしおりや行程表を親子で確認しましょう。特に早朝の活動、長時間歩く観光、休憩の少ない時間帯などを確認し、「どこで負担が大きくなりそうか」を事前に把握しておくことが重要です。
参加を迷う場合は主治医にも相談する
症状が強く普段から登校が難しい、最近失神した、短時間の外出でも帰宅後に寝込むことが多いといった場合は、参加を決める前に主治医へ相談しましょう。
その際は単に「修学旅行に行っても大丈夫ですか」と尋ねるだけでなく、学校から配布された行程表などを見せながら、集合時間、移動時間、宿泊日数、徒歩での移動距離、予定されている活動などを具体的に伝えると、必要な配慮について相談しやすくなります。
また、学校によっては、特別な配慮を受けるために診断書や医師の意見書などを求められる場合があります。どのような書類が必要なのかを学校へ早めに確認し、本人に必要な休憩や活動内容の調整についても、主治医と相談しておきましょう。
修学旅行・宿泊学習の前に学校へ相談しておきたいこと
修学旅行や宿泊学習では、朝起きられない、途中で体調が悪くなるなど、普段とは異なる状況が起こる可能性があります。
「具合が悪くなったら考える」のではなく、本人・保護者・学校で具体的な対応方法を事前に共有しておくことが大切です。下記を参考にして、本人が安心して参加できる環境を整えておきましょう。
➀ 朝起きられなかった場合の対応を決めておく
起立性調節障害では、朝から午前中に症状が強くなりやすいため、宿泊先で予定された時刻に起きられない可能性があります。
特に修学旅行では普段より起床時間が早く設定されていることもあるため、「朝起きられなかった場合にどうするか」を事前に決めておきましょう。
例えば、可能であれば朝食の時間を遅らせる、午前中の活動を休んで宿泊先で休む、体調が回復してから途中で合流するといった方法が考えられます。どこまで対応できるかは学校や宿泊施設によって異なるため、事前の確認が必要です。
無理に起こしたり、全員と同じ時間からの行動を求めたりするのではなく、その日の症状に合わせて対応してもらえるよう、起立性調節障害の特徴についても学校側と共有しておきましょう。
起立性調節障害で朝起きれないときの対処法や避けたい対応については、下記の記事を参考にしてみてください。
② 体調が悪くなった時に休める場所と連絡方法を確認する
旅行中に立ちくらみや頭痛、倦怠感、吐き気、動悸などが現れた場合、すぐに休める環境があるか確認しておくことも重要です。
宿泊施設では客室や休養スペース、観光先では救護室やベンチなど、どこで休める可能性があるのかを学校側と相談しておきましょう。バスなどでの移動中に症状が出た場合の対応も確認しておくと安心です。
また、本人が体調不良を感じたときに「誰に伝えるのか」を明確にしておきます。担任、養護教諭、引率教員など、相談する相手を本人にも伝えておきましょう。
さらに、休んでも症状が改善しない場合に保護者へ連絡する基準や、現地の医療機関を受診する場合の対応、途中帰宅が必要になった際の迎えや移動方法についても、可能な範囲で事前に共有しておくとスムーズです。
➂ 全行程へ参加を前提にせず部分参加も検討する
修学旅行では、「みんなと同じ行程にすべて参加すること」を目標にしすぎないことも大切です。体調によっては、午前中の活動を休んで午後から合流する、長時間歩く観光を外して休憩する、夜のレクリエーションを途中で退出して早めに休むなどの方法も考えられます。
特に本人が楽しみにしている行程がある場合は、「どの活動に参加したいか」を事前に聞いておきましょう。
すべての予定を頑張って途中で体力を使い切るよりも、負担の大きい活動を減らし、楽しみにしている行程へ参加できるよう体力を残すという考え方もあります。
これは修学旅行だけでなく、宿泊学習や林間学校、部活動の合宿でも同様です。最初からすべての活動への参加を前提にせず、本人の症状に応じて休む・途中から参加する・早めに退出するといった柔軟な対応を学校と相談しておきましょう。
④ 薬・水分・食事について共有しておく
薬を服用している場合は、修学旅行中に誰がどのように管理するのか、学校のルールを事前に確認しておきましょう。
本人が管理するのか、引率教員などが預かるのかは学校によって対応が異なります。服薬する時間や方法についても共有しておくと安心です。
また、起立性調節障害では水分摂取などの生活上の対策が行われることがあります。旅行中もこまめに水分を摂れるよう、水筒や飲み物の持参が可能か、活動中に水分補給の時間を確保できるか相談しておきましょう。
朝に食欲が出にくい子どもの場合は、朝食を十分に食べられない可能性についても伝えておきます。主治医から水分や塩分の摂取などについて個別の指示を受けている場合は、その内容も学校側へ具体的に共有し、旅行中も可能な範囲で継続できるよう相談してみましょう。
移動中・宿泊先で起立性調節障害の症状を悪化させないための対策
修学旅行や宿泊学習では、長時間の移動や入浴、夜の活動など、普段とは異なる負担がかかります。
体調を崩してから対応するだけでなく、症状が出やすい場面をあらかじめ把握しておくことが大切です。こまめに体調を確認し、早めに休憩する、無理をしないといった行動を心がけましょう。
➀ 長時間移動では座れる時間と休憩を確保する
修学旅行では、バスや新幹線などで長時間移動することがあります。
乗車中だけでなく、駅や集合場所で長時間立って待つことも負担になるため、可能な範囲で座って待てるよう学校へ相談しておきましょう。移動や乗り換えの際も、無理に集団のペースに合わせるのではなく、本人の体調への配慮が必要です。
バスでは、体調が悪くなったときにすぐ先生へ伝えられるよう、前方など引率教員に声をかけやすい座席にしてもらえるか相談する方法もあります。
移動中も必要な水分をこまめに摂り、休憩の際には頭痛やめまい、吐き気などが出ていないか確認しましょう。目的地へ到着した後も、体調によってはすぐに観光を始めず、少し休んでから活動へ参加することも選択肢です。
乗り物酔いの対策については、下記の記事で詳しく解説しています。
② 飛行機を利用する場合は空港での移動も含めて対策する
飛行機を利用する修学旅行では、搭乗中だけでなく、空港へ向かうための早朝集合や移動、広い空港内を歩くこと、保安検査や搭乗までの待ち時間なども負担になります。
そのため、「飛行時間が短いから大丈夫」と考えず、宿泊先や自宅を出てから目的地へ到着するまでの行程全体を確認しましょう。
体調が不安定な場合は、飛行機で移動することや集合時間、搭乗時間など具体的な行程を主治医へ伝え、事前に相談しておくと安心です。
また、空港内で長時間立ち続けなくて済むよう、座って待てる時間や休憩を確保できるか学校側にも確認しておきましょう。
修学旅行で飛行機を利用する際の注意点については、下記の記事も参考にしてください。
➂ 入浴や夜のレクリエーションで無理をしすぎない
宿泊先では、入浴も体調に影響する可能性があります。熱いお湯や長時間の入浴では血管が広がり、立ち上がったときに立ちくらみやふらつきが生じることがあります。
普段から入浴後に体調を崩しやすい場合は、熱すぎるお湯や長風呂を避け、短時間で済ませるなど無理をしないことが大切です。
また、起立性調節障害では午後から夜にかけて体調がよくなる子どももいます。しかし、調子がよいからと友人との会話や夜のレクリエーションで夜更かしすると、睡眠時間が短くなり、翌朝の起床や体調に影響する可能性があります。
修学旅行だけでなく林間学校や合宿でも、翌朝の起床時間や予定を確認し、必要であれば夜の活動を途中で切り上げて早めに休むことも検討しましょう。
④ 体調が悪くなったら「早めに休む」を優先する
修学旅行中は「友達と一緒に行動したい」「みんなに迷惑をかけたくない」という気持ちから、体調不良を我慢してしまうことがあります。
しかし、頭痛やめまい、吐き気、強い倦怠感などが出始めたら、無理に活動を続けず、早めに先生へ伝えて休むことが大切です。
一度休んで症状が改善しても、すぐにすべての行程へ戻る必要はありません。その後の観光を一つ減らす、ホテルで休む、夜の活動を欠席するなど、残りの予定を調整することも検討しましょう。
また、意識状態がおかしい、強い胸痛や呼吸困難があるなど、普段とは明らかに異なる症状がみられる場合は、起立性調節障害によるものと決めつけないことが重要です。保護者への連絡や、必要に応じて現地の医療機関への相談・受診を検討してください。
旅行中は、普段と異なる気温や気圧の変化によって体調が左右されることもあります。季節や天候による起立性調節障害への影響については、下記の記事も参考にしてください。
起立性調節障害の修学旅行・宿泊学習は無理のない参加方法を考えよう
起立性調節障害があっても、修学旅行や宿泊学習、林間学校、合宿への参加を一律に諦める必要はありません。
一方で、「みんなと同じようにすべて参加すること」にこだわり、無理をして体調を悪化させないことも大切です。
午前中の活動を休んで途中から合流する、負担の大きな行程を外す、体調が悪くなったら早めに休むなど、本人の症状や希望に合わせた参加方法を学校と事前に相談しておきましょう。
参加できるか迷う場合や、失神や強いめまいなど症状が安定していない場合は、旅行の行程を具体的に伝えたうえで主治医へ相談してみてください。本人・保護者・学校が情報を共有し、安心して参加できる方法を一緒に考えることが大切です。








