- 「起立性調節障害の子どもを家族旅行へ連れて行っても大丈夫?」
- 「旅行先で体調が悪化しない?」
と、不安に感じる保護者の方も多いでしょう。
起立性調節障害があるからといって、家族旅行を諦める必要はありません。ただし、症状の程度や最近の体調に合わせた計画が大切です。
本記事では、旅行前の確認点や移動・宿泊時の対策を紹介します。安心して旅行を楽しむためのポイントを知り、無理のない家族旅行を計画しましょう。
起立性調節障害でも家族旅行は検討できる
起立性調節障害があっても、一律に家族旅行を諦める必要はありません。ただし、現在の症状や体調の安定度をみながら慎重に判断することが大切です。
家族旅行は修学旅行などと比べ、出発時間や休憩の回数、観光場所を本人の体調に合わせて変更しやすいメリットがあります。無理のない予定を立てることで、旅行を楽しめる可能性があります。
旅行を検討しやすい体調の目安
旅行を検討するときは、「今日は元気だから大丈夫」と判断するのではなく、数日~1週間程度の体調の変化を確認しましょう。次のような状態が一つの目安になります。
また、午前中はつらくても午後から動けるなど、症状には時間帯による違いがあります。本人が動きやすい時間も確認して旅行計画に反映しましょう。
本人の希望や不安、これまでの経過、必要に応じて主治医の意見も踏まえて総合的に判断することが大切です。
旅行の延期や見直しを検討したい状態
次のような状態がみられる場合は、無理に予定どおり出発せず、旅行の延期や内容の見直しを検討しましょう。
特に、普段より症状が強い場合や日常生活にも大きな支障が出ている場合は、旅行前に主治医へ相談しましょう。
また、発熱、胸痛、呼吸困難、普段とは異なる激しい頭痛などがある場合は、すべてを起立性調節障害の症状と考えるのは危険です。別の病気が隠れている可能性もあるため、旅行よりも医療機関への受診を優先してください。
不安な場合は近場の日帰り旅行から試す
いきなり遠方への宿泊旅行へ行くことに不安がある場合は、近場への短時間の外出や日帰り旅行から試してみる方法があります。本人が比較的動きやすい時間に出発し、途中で十分に休憩できる予定にするとよいでしょう。
確認したいのは、外出中の体調だけではありません。帰宅後や翌日に強い疲労、頭痛、倦怠感などが現れないかもチェックします。
日帰り旅行を問題なく楽しめたとしても、長時間の移動や宿泊旅行も同じように過ごせるとは限りません。本人の体調を確認しながら、短時間の外出から日帰り、1泊旅行というように、少しずつ移動距離や滞在時間を延ばしていきましょう。
起立性調節障害の子どもに合わせた家族旅行の計画と準備
起立性調節障害の子どもとの家族旅行では、予定どおりに行動することよりも、その日の体調に合わせて予定を変更できる計画が大切です。
旅程や行き先、宿泊先、交通手段を決める際には、移動時間だけでなく、途中で休憩できる場所や体調不良時に宿へ戻りやすいかなども確認しておきましょう。
起立性調節障害の子どもに合わせた家族旅行の計画と準備のポイントは下記の通りです。
➀ 午後から動ける余裕のある旅程を組む
起立性調節障害では、朝から午前中にかけて症状が強く、午後になると動きやすくなる子どもが少なくありません。そのため、無理な早朝出発は避け、本人の普段の体調に合わせて昼前から午後の出発も検討しましょう。
初日は移動だけにする、観光は1日1~2か所程度にするなど、予定を詰め込みすぎないこともポイントです。それぞれの予定の間には、宿泊先やカフェなどで休める時間を十分に確保します。
また、観光先を「必ず行きたい場所」「体調がよければ行く場所」「中止してもよい場所」の3つに分けておくこともおすすめです。当日の体調に応じて予定を減らせるようにしておけば、「予定を全部こなさなければ」という負担を減らしながら旅行を楽しめます。
② 休みやすい行き先・宿泊先を選ぶ
家族旅行の行き先は移動距離が短く、カフェやベンチ、休憩室など、座ったり横になったりできる場所が多いエリアを選びましょう。体調が悪化したときにすぐ休める環境があれば、本人や家族の負担を抑えられます。
宿泊先は観光地から短時間で戻れる立地を優先し、レイトチェックアウトや部屋食、食事なしプランなど、体調に合わせて予定を変更しやすいかも確認します。必要に応じて、大浴場やレストランから部屋までの移動距離について、予約前に問い合わせておくのもおすすめです。
また、休憩に利用できるカフェや商業施設、ホテルなどを事前に調べ、Googleマップに保存して家族で共有しておきましょう。外出中に体調を崩しても休める場所をすぐに探せるため、余裕を持って行動しやすくなります。
③ 移動時間と休憩のしやすさから交通手段を選ぶ
交通手段は所要時間だけで決めず、休憩のしやすさ、乗り換え回数、待ち時間、混雑なども含めて比較しましょう。
車は本人の体調に合わせてサービスエリアなどで休憩しやすく、予定を変更しやすいことがメリットです。
一方、新幹線は長距離でも移動時間を短縮しやすく、座って過ごせる時間を確保しやすいでしょう。駅までの移動や乗り換えの負担も含めて検討することが大切です。
飛行機の場合は、飛行時間だけでなく、空港までの移動、チェックイン、保安検査、搭乗までの待ち時間なども考える必要があります。本人の症状や目的地に合わせて、総合的に負担の少ない方法を選びましょう。
起立性調節障害の方が飛行機に乗る際の注意点や、搭乗前・機内でできる対策については、下記の記事も参考にしてみてください。
車やバスで移動する場合は、必要に応じて乗り物酔いへの備えも考えましょう。乗り物酔いの対処法については、以下の記事も参考にしてください。
④ 薬や持ち物を準備し、旅行先の医療機関を確認する
旅行中の体調変化に備えて、必要なものは事前にまとめておきましょう。特に準備しておきたいものは次のとおりです。
旅行中も、原則として処方薬は指示された方法で服用します。移動によって服薬時間がずれる場合や、乗り物酔いの薬などを追加で使用したい場合は、事前に主治医や薬剤師へ相談しておくと安心です。
また、宿泊先周辺の小児科や内科、休日診療所、救急病院などをGoogleマップに保存しておくと、急な体調不良時にスムーズに相談できます。場所だけでなく、診療時間や休診日、連絡先も確認しておきましょう。
起立性調節障害の子どもと家族旅行を楽しむためのポイント
旅行中は「予定をすべてこなすこと」より、その日の症状に合わせて過ごすことを優先しましょう。また、本人だけでなく、兄弟姉妹や保護者が無理をしないことも大切です。
体調によって予定変更や別行動を選べるよう、あらかじめ家族で話し合っておくと、気持ちに余裕をもって旅行を楽しめます。
起立性調節障害の子どもと家族旅行を楽しむためのポイントは下記の通りです。
① 体調に応じて予定を変更・中止する
起立性調節障害は日によって症状が変化するため、旅行前に「通常プラン」「観光を減らした短縮プラン」「ホテルでゆっくり休むプラン」など、複数の選択肢を用意しておきましょう。
当日の朝に起きられなければ出発を遅らせる、午後に疲れが出たら観光を切り上げるなど、柔軟に変更できる計画が理想です。
本人から「休みたい」「ホテルへ戻りたい」と申し出があった場合は、予定やキャンセル料よりも体調を優先しましょう。その際、「せっかく来たのに」「楽しみにしていたのに」と責めるような言葉は避けます。
予定変更は失敗ではなく、最初から用意していた選択肢の一つであることを家族で共有しておくと、本人も体調不良を伝えやすくなります。
起立性調節障害の症状は、気温や気圧などの影響を受けることがあります。旅行先の気候や当日の天気が心配な方は、季節・気圧による症状の変化と対策も確認しておきましょう。
② 体調が悪化したら無理をせず休ませる
旅行中にめまい、立ちくらみ、動悸、吐き気、頭痛などが現れた場合は、観光を続けようとせず、まず安全に座れる場所や横になれる場所へ移動しましょう。
特に暑い場所や混雑した場所では体調を崩すこともあるため、早めに休憩することが大切です。
休憩後は、本人が普段行っている対処法や、主治医から指示されている方法があればそれに従います。症状が十分に改善するまでは、無理に観光を再開しないようにしましょう。
また、意識が戻らない・反応がおかしい、強い胸痛や呼吸困難がある、転倒して頭を強く打ったなど、普段とは異なる状態がみられる場合は、起立性調節障害の症状と決めつけず、現地の医療機関への相談や救急要請を検討してください。
➂ 本人の体調に応じて家族の過ごし方を調整する
本人の体調が悪くなったからといって、必ずしも家族全員がすべての予定を中止する必要はありません。そのときの症状や年齢、家族構成などに合わせて、無理のない過ごし方を考えましょう。
例えば、保護者の一人が本人とホテルで休み、もう一人の保護者と兄弟姉妹は予定していた観光を続けるといった別行動も選択肢です。一方、本人が一人で休める年齢であっても、症状が強い場合は一人にせず、安全を優先してください。
大切なのは、本人が「自分のせいで家族が楽しめなくなった」と感じないようにすることです。「体調によって別行動にすることもある」と旅行前から家族で話し合っておけば、予定変更が必要になったときも対応しやすくなります。
④ 旅行後の疲れを考えて回復日を設ける
旅行中は元気に過ごしていても、帰宅後や翌日になって倦怠感や頭痛、朝の起きづらさなどが強くなることがあります。
旅行では普段より移動や歩行が増えるだけでなく、環境や睡眠時間も変わるため、本人が自覚している以上に疲れている可能性があります。
そのため、できれば帰宅翌日は学校や習い事、外出などの予定を詰め込まず、ゆっくり休める「回復日」として確保しておきましょう。
また、「旅行では一日中動けたから、もう学校にも毎日行ける」と判断するのは避けましょう。旅行と日常生活では活動する時間帯や環境、本人の心理的な負担も異なります。
旅行後数日の体調を確認しながら、普段の生活や活動量へ徐々に戻していくことが大切です。
起立性調節障害の家族旅行は体調に合わせて無理のない計画を立てよう
起立性調節障害があっても、家族旅行を一律に諦める必要はありません。大切なのは、本人の症状や最近の体調、旅行への希望を確認し、無理のない計画を立てることです。
朝の症状が強い場合は午後から出発する、休憩しやすい旅程を組む、朝に余裕をもてるレイトチェックアウトを利用するなど、本人の生活リズムに合わせて工夫しましょう。
また、当日の体調によって観光を減らしたりホテルで休んだりできるよう、予定変更を前提にしておくことも大切です。帰宅後の疲れを考え、翌日に回復日を設けておくとより安心です。
旅行に行けるか判断に迷う場合や、めまいや失神などの症状が安定していない場合は、無理に決めず主治医へ相談しましょう。体調を第一に考えながら、本人も家族も楽しめる旅行を目指してください。









