会社や学校に行けずにずっと家に閉じこもっている状態、家族以外の人とのかかわりが全くない状態、このような状態が一般的に引きこもりといわれています。
非常に難しい問題ですが、ご家族に引きこもりがちな方がいると、心配でとても不安になると思います。こちらの記事では、引きこもりで考えられる原因を中心に一緒に考えていければ幸いです。
引きこもりの原因は親のせい?
お子さんが引きこもりになった場合、親御さんは「自分のせいだ、自分の言動が原因だ」とご自身を責めている方もおられると思います。
引きこもりの原因は様々でとても複雑です。家庭環境やそれに伴って親が一因になっていることも可能性としてはありますが、決してそれだけが全てではないと考えます。
家庭環境を見直すことも重要ですが、それ以外にも原因がないかも考えながら、親御さん自身を責めることなく対応していきましょう。
引きこもりになる原因とは?子ども・大人・性別毎に解説
改めて引きこもりの定義を確認してみましょう。厚生労働省のホームページによると、引きこもりとは、さまざまな要因によって社会的な参加の場面が狭まり、就労や就学などの自宅以外での生活の場が長期(6か月以上)にわたって失われている状態のことを指します。
社会参加が狭まる原因は体調面から心理面まで本当に様々で、他者にはわからない部分もあるかもしれません。ここからは、年代や性別毎に引きこもりの原因について考えていきましょう。
子どもの場合
子どもが引きこもりになる主な原因を解説します。
学校生活に馴染めない
子どもの場合、毎日登校し、学校で過ごす時間が多いので、学校で何か問題を抱えると学校に行きたくない、家に引きこもるということが考えられます。
クラスの雰囲気に馴染めず孤立感を感じている、友達関係や部活動などでの先輩後輩関係でいじめや居心地の悪さを感じるなど、学校生活でストレスを感じている場合は原因になっている可能性があります。
体調不良
体調不良や精神的な不調で引きこもりになることも考えられます。
子どもは自分でも体調不良を正確に把握することが難しい場合、また親へ説明することが難しい場合があるので、引きこもる原因として身体的な疾患や精神的な疾患がかくれている場合があります。
家庭環境の問題
子どもは環境の変化にとても過敏なので、引っ越しなどの新しい環境にも過敏に反応することがあります。
また、親子関係、親同士の関係で問題がある場合も引きこもりの原因となる場合があります。
大人の場合
大人が引きこもりになる主な原因を解説します。
10代の頃からの延長線
10代の頃から引きこもり、卒業、入学のタイミングで登校できる場合もありますが、高校卒業、大学入学で引きこもりが継続している場合、以降はタイミングがなくなりそのまま社会人になっても引きこもりが継続することがあります。
仕事での失敗
職場での人間関係や仕事での失敗が原因で出社できなくなり、引きこもりになる場合もあります。
大人の場合、この職場での挫折体験が大きな原因の一つとなります。
精神疾患
うつ病、統合失調症、パニック障害、社交不安障害などの精神疾患があるため、引きこもりになることも考えられます。
これらの疾患があることで、不安感が強い、集中ができない、意欲がわかない、過度な緊張感がある、恐怖心があるなどの心境につながり、社会や周囲の環境に適応できず引きこもりになると考えられます。
女性の場合
女性が引きこもりになる主な原因を解説します。
精神的な不調
うつ病、社会不安障害、対人恐怖症などの心理的な問題が引きこもりの原因になることがあります。
家族関係
父親との関係性や同性である母親との関係、義実家との関係など家族関係が原因で引きこもりになる場合があります。
身体的な不調
身体的な健康問題や障害がある場合、外出が難しいことが引きこもりの原因になることがあります。
特に女性の場合は、各年代でホルモンバランの変化が著しいため体調に変化を及ぼす可能性が十分にあります。
男性の場合
男性が引きこもりになる主な原因を解説します。
精神的な不調
女性と同様に精神的な不調や疾患がある場合、男性でも引きこもりにつながりやすいとされています。
男性は心理的な問題を抱えてもそれを表に出しにくい方もおらるので、なかなか気付きにくい場合もあります。
仕事に関する問題
男性は社会的な役割としての仕事やキャリアに関するプレッシャーを強く感じる傾向があります。
失業や職場でのストレス、キャリアの不満などが引きこもりの原因になることがあります。
家族との関係
親子関係、配偶者との関係が原因で引きこもりになる方もおられます。
家庭内での自分の役割、家庭内のストレスや不和、家族とのコミュニケーションの欠如が原因となることがあります。
引きこもりになりやすい人の特徴
一概には言えませんが、一般的に以下のものが引きこもりになりやすい人の特徴といわれています。
真面目過ぎる・頑張り過ぎる傾向がある
真面目過ぎる方は責任感も非常に強い傾向にあります。
学校や仕事を休んだ場合、学校や職場でミスをした場合に自分を責め、もっと頑張らなければとさらに自分にプレッシャーをかけることがストレスになり引きこもりになることが考えられます。
自己肯定感が低い
自己の価値や自己肯定感が低い人は、他者との交流や社会への参加を避ける傾向があります。
自己否定感が強くなり、自分に自信が持てず、消極的になり、結果的に引きこもりに至ることがあります。
生活力の不足
独り暮らしや社会生活を送るために必要な生活力を持たない人は、引きこもりになりやすい傾向があります。
自立した生活を送るための生活力を身につけることが難しい場合、自宅に閉じこもりがちになる傾向にあります。
もしかしたら起立性調節障害かも
引きこもりの状態が続いている方の中には起立性調節障害の方もいるかもしれません。
起立性調節障害は自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで特に早朝、午前中に様々な不調を来す疾患です。朝起き上がることができない場合も多く不登校、引きこもりの原因となることも十分に考えられます。
起立性調節障害の場合、早期受診・早期治療が症状の早期改善に重要です。セルフチェックを行い起立性調節障害の可能性が疑われる場合、早期受診をおすすめします。
以下の記事では起立性調節障害の可能性があるのか、症状などからセルフチェックをすることができます。是非一度ご確認ください。
関連記事:起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト
関連記事:大人の起立性調節障害セルフチェック項目|診断テスト
【参考文献】
日本小児心身医学会