- 朝起きた時から気分が悪い、頭痛がする
- 頭痛は特に午前中にひどく、午後には少し楽になる
このようなことはありませんか。頭痛という症状は誰もが一度は経験したことがあるよく見られる症状の一つです。
本記事では、頭痛が起こる原因や特に午前中に頭痛がひどい場合に考えられる病気について、治療法も含めて解説していきます。
午前中の頭痛が続く場合、起立性調節障害が関係していることもあります。
朝起きられない症状や立ちくらみ、倦怠感などを伴う場合は、起立性調節障害のセルフチェックも参考にしてください。
「午前中に頭痛がする」ときの原因
頭痛が現れる病気は多岐にわたります。繰り返し起こる一次性頭痛としては、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがよく知られています。
片頭痛には、三叉神経や脳内の痛みを伝える仕組み、CGRPなどの神経ペプチドが関係すると考えられています。血管の変化も関与しますが、血管の拡張だけで説明できるものではありません。
緊張型頭痛には、首や肩の筋肉の緊張、痛みを感じる仕組みの変化、精神的な負担など、複数の要因が関係します。群発頭痛も、目の奥にある血管の拡張だけでなく、体内時計や三叉神経、自律神経などの関与が考えられています。
頭痛には、睡眠不足や睡眠の取りすぎ、脱水、空腹、姿勢、疲労なども影響します。また、起床して体を起こした際の血圧や心拍数の調節、睡眠中の呼吸状態などが、午前中の頭痛に関係することもあります。
体位変換時の脳血流と頭痛について
横になった状態から座ったり立ったりすると、重力によって血液の一部が下半身へ移動します。通常は、血管を収縮させたり心拍数を調節したりすることで、血圧や全身の循環が保たれます。
しかし、脱水によって循環する血液量が不足している場合や、起立時の血圧・心拍数の調節がうまく働かない場合には、立ちくらみ、めまい、頭痛、吐き気などが現れることがあります。
特に、横になっているときは比較的楽で、起き上がると頭痛や気分不良が強くなる場合は、症状と体位の関係を確認することが大切です。
頭蓋内圧と頭痛について
頭蓋骨の中には脳や血液、脳脊髄液があり、これらによって一定の圧が保たれています。脳腫瘍や脳出血、水頭症などによって頭蓋骨の中の圧が高くなると、頭痛や吐き気、嘔吐などが現れることがあります。
頭蓋内圧は姿勢や呼吸などによっても変化します。頭蓋内圧が高くなっている場合には、横になっている時間が長い睡眠中から早朝にかけて頭痛が強く感じられることもあります。
ただし、午前中に頭痛があるだけで、頭蓋内圧亢進や脳腫瘍と判断することはできません。頭痛が日ごとに強くなる、繰り返し嘔吐する、視力や手足の動きに異常があるなどの場合は、医療機関での確認が必要です。
「午前中に頭痛がする」ときに考えられる病気とは
午前中に頭痛がする場合に考えられる病気について、一つずつ解説していきます。
片頭痛
片頭痛には、三叉神経や脳内の痛みを伝える仕組み、CGRPなどの神経ペプチドが関係していると考えられていますが、詳しい病態がすべて解明されているわけではありません。
睡眠不足や睡眠の取りすぎ、空腹、飲酒、天候の変化、月経、緊張から解放された後などが発作のきっかけになることがあります。
痛みは片側に限らず両側に現れることもあり、ズキズキと脈打つように痛む、体を動かすと悪化する、吐き気がある、光や音、においに敏感になるといった特徴があります。発作は数時間から数日続く場合があります。
起立性調節障害に伴う頭痛の特徴や、ほかの頭痛との違いについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
うつ病
うつ病では、気分の落ち込みや意欲の低下だけでなく、頭痛、だるさ、食欲の変化、睡眠の問題など、身体的な症状が現れることがあります。朝に症状が強く、夕方にかけて少し軽くなる日内変動がみられる場合もあります。
一方で、頭痛があるからといって、うつ病と判断することはできません。頭痛に加えて、気分の落ち込み、これまで楽しめていたことへの興味の低下、不眠や過眠などが続く場合は、かかりつけ医や心療内科、精神科などへ相談しましょう。
脳腫瘍
脳腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、腫瘍ができた場所や大きさによって症状が異なります。
腫瘍によって頭蓋内圧が高くなると、頭痛、吐き気、嘔吐などが現れることがあります。また、腫瘍ができた部位によって、視力や聴力の変化、手足の麻痺、けいれん、性格や行動の変化などがみられる場合もあります。
脳腫瘍による頭痛が朝に強く感じられることはありますが、午前中の頭痛だけで脳腫瘍を疑うことはできません。頭痛が日ごとに悪化する、朝に繰り返し嘔吐する、神経症状を伴う場合は、早めに医療機関を受診してください。
脳脊髄液漏出症などによる起立性頭痛
脳と脊髄の周囲は、脳脊髄液によって満たされています。硬膜に損傷などが生じて脳脊髄液が漏れると、頭痛や首の痛み、吐き気、めまい、耳鳴りなどが現れることがあります。
腰椎穿刺などの医療処置後に起こる場合のほか、外傷が関係する場合や、明らかな原因がないまま発症する場合もあります。
特徴的なのは、横になっていると頭痛が軽くなり、座ったり立ったりすると悪化する「起立性頭痛」です。起き上がってすぐに痛む場合もあれば、しばらく時間がたってから強くなる場合もあります。
ただし、体を起こすと悪化する頭痛にはほかの原因もあるため、症状が続く場合は脳神経外科や脳神経内科などへ相談しましょう。
「午前中に頭痛がする」ときの治療法・対策
上記でご紹介した午前中に頭痛がする場合に考えられる病気についての治療法をそれぞれ解説していきます。
片頭痛の場合
片頭痛の発作時には、症状に応じてアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、トリプタン製剤などが使用されます。使用できる薬は年齢や持病、ほかに服用している薬によって異なるため、医師や薬剤師へ相談しましょう。
頭痛薬を頻繁に使用すると、「薬剤の使用過多による頭痛」が起こり、かえって頭痛が増える場合があります。頭痛薬を使う日が増えてきた場合は、自己判断で服用を続けず医療機関へ相談してください。
発作時には、可能であれば光や音の刺激が少ない場所で休みます。また、睡眠不足や空腹など、自分の発作に関係する要因を頭痛日記に記録しておくことも役立ちます。
発作の頻度が高い場合や日常生活への影響が大きい場合は、予防薬が検討されることもあります。
うつ病の場合
うつ病の治療では、十分な休養と環境調整を行い、症状に応じて心理療法や抗うつ薬などを組み合わせます。
治療方法は年齢や症状、生活への影響によって異なります。頭痛だけを抑えようとせず、気分や睡眠などを含めて医療機関へ相談することが大切です。
脳腫瘍の場合
良性か悪性か、また腫瘍ができた部位、病期にもよりますが、基本的には腫瘍を取り除くための外科手術が行われます。頭蓋内圧を下げるためにステロイドや高浸透圧利尿剤を使用することもあります。
脳脊髄液漏出症などによる起立性頭痛の場合
脳脊髄液の漏出が疑われる場合は、問診や画像検査などによって状態を確認します。初期には安静や補液などの保存的な治療が行われることがあります。
症状が改善しない場合や髄液の漏出が確認された場合は、自分の血液を硬膜外へ注入して漏出部位をふさぐ「硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ)」が検討されることがあります。
治療方法は漏出部位や原因、症状の程度によって異なります。塩分摂取や血圧を上げる薬を自己判断で用いるのではなく、専門医へ相談してください。
もしかしたら起立性調節障害かも
起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能せず、立ちくらみ、めまい、倦怠感、頭痛、吐き気、腹痛などが現れる身体疾患です。
思春期に発症しやすく、朝や午前中に症状が強く、午後になると軽くなる傾向があります。そのため、朝起き上がれない、起きても頭痛や吐き気が続く、学校へ行く準備ができないなど、日常生活に影響する場合があります。
ただし、午前中に頭痛があるという症状だけで、起立性調節障害と判断することはできません。片頭痛、睡眠時無呼吸症候群、脳脊髄液漏出症など、ほかの病気が関係している可能性もあります。
気になる症状を整理しておきたい方は、下記の起立性調節障害のセルフチェックも参考にしてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)








