朝礼で突然意識がなくなり倒れる場面を見たり、聞いたりされたことはありませんか?
こちらでは、「血管迷走神経性失神」について解説していきます。
血管迷走神経性失神とは
血管迷走神経性失神とは、過度の緊張やストレスなどが原因で自律神経の調節がうまくいかずに血圧が低下したり、脈拍が低くなることでふらふらしたり失神することです。
自律神経には2種類あり、体を活動的にしたり、ストレスなどに反応して血圧や脈拍数をあげる交感神経と、体を休める働きがある副交感神経があります。この2つの神経の調整が崩れてしまうと体に様々な不調が出現します。
迷走神経とは脳神経の一つで、肺や心臓、腹腔内の臓器へ分布し、呼吸や消化機能の調整を行っている神経であり、副交感神経に分類されます。
過度の緊張やストレスなどが刺激になり、副交感神経である迷走神経が活性化してしまうことで血圧低下、脈拍数低下を来し、結果的に失神してしまうこともあります。
基本的には、過度の緊張やストレス、疼痛などが原因になりますが、糖尿病や不整脈などの循環器疾患、脳腫瘍やてんかんなど脳神経疾患でも自律神経の異常を来すことがありますので、背景に疾患が隠れていないか注意する必要があります。
血管迷走神経性失神と起立性調節障害との違い
起立性調節障害も自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることでめまいや立ちくらみ、ひどいと失神を引き起こす病気です。
ここでお気づきかもしれませんが、どちらも自律神経のバランスが崩れることが原因で症状を来しており、非常に似ていますよね。
では、血管迷走神経性失神と起立性調節障害に違いはあるのでしょうか。
起立性調節障害は血圧や心拍の変化様式で4つのサブタイプに分類されます。それぞれ起立後の血圧や脈拍によって規定されていて、起立直後性低血圧、体位性頻脈症候群、血管迷走神経性失神、遷延性起立性低血圧の4種です。
血管迷走神経性失神は起立性調節障害に含まれている概念と理解すると良いでしょう。違いの一つとしては、起立性調節障害は病気であるのに対し、血管迷走神経性失神は緊張やストレス、疼痛などが原因で健康な人にも起こります。
血管迷走神経性失神の原因
一般的には、過度な緊張やストレス、疼痛、怒りや憎しみなどの感情、恐怖感などが原因になることが多いです。これらの要因が刺激となり健康な人に起こることが多いです。
しかし、症状が繰り返し起こっている場合、自律神経障害を来す疾患が隠れていないかを一度確認する必要があります。
自律神経障害を来す疾患は、糖尿病や甲状腺の病気、不整脈などの循環器疾患や脳腫瘍などの脳神経疾患などがあります。
血管迷走神経性失神の症状
血管迷走神経反射は、突然失神することもある一方で、失神前に何かしらの前触れ(前駆症状)を自覚する方もいます。
下記に特徴的な前駆症状をご紹介します。
- 冷や汗
- 物が二重に見えたり目の前が真っ暗になる
- 頭痛や頭の重さ
- 吐き気や嘔吐
- 腹痛
学生で良くある状況としては、朝礼で突然意識を失い倒れてしまうことが有名ではないでしょうか。
これら以外にも、採血や予防接種をした後に倒れてしまったり、長時間尿意や便意を我慢した後に排泄をし、その後に数分程度意識が消失することもあります。
血管迷走神経性失神のセルフチェック
以下のような症状がある場合は血管迷走神経性失神の可能性あります。一度セルフチェックしてみてください。
- ストレスや疲れがたまっていると体の不調が出やすい
- 人込みや満員電車で気分が悪くなる
- 長時間立っているとめまいやふらつきなど気分が悪くなる
- これらの症状が温かい・暑い時にはより出現しやすく悪化しやすい
- 神経が繊細で真面目な人ほど見られやすいとも言われています
血管迷走神経性失神の治し方
前駆症状が見られた場合は、すぐにその場にしゃがみこむことでその後の失神を防ぐことができます。
しゃがみ込んだり、壁にもたれたり、横になってみてください。
少しすると気分も改善してくることがほとんどですので慌てずに対応しましょう。少し改善したら水分を少し摂取するといいでしょう。
何度も繰り返す場合、背景に糖尿病や循環器疾患、脳神経疾患などがないか、受診し検査をすることが必要です。
疾患の可能性がない場合は、規則正しい生活リズムを心がけ、十分な睡眠・休養をとり、ストレスを抱え込まない生活を送ることが重要です。
以下の記事では、起立性調節障害の子どもに親ができることについてご紹介しています。ぜひ一度ご覧ください。