起立性調節障害(子供)

高校生の起立性調節障害|原因・症状・うつ病との違いとは

2022年4月14日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

高校に進学してから、朝起きられない、午前中にだるさが強い、学校に行けない日が増えたなどの変化がみられると、親御さんは不安になることがあるでしょう。

このような症状の背景には、起立性調節障害(OD)が関係している場合があります。起立性調節障害は小学校高学年から中学生にかけてみられやすい病気とされていますが、高校生になってから症状が目立つ場合や、中学生の頃からの症状が続く場合もあります。

起立性調節障害では、朝起きられない、立ちくらみ、めまい、倦怠感、吐き気、腹痛などの症状がみられることがあります。高校生活では、授業、部活動、進路選択、人間関係などへの影響が出ることもあるため、本人の体調に合わせて対応を考えることが大切です。

本記事では、高校生の起立性調節障害の原因や症状、学校生活への影響、うつ病との違いについて解説します。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

高校生が起立性調節障害を患う原因

起立性調節障害は有病率が高く基本的には小児科で良く診る疾患です。小学生では約5%が、中学生になれば約10%程度が罹患する疾患ですが、少なからず高校生で発症する子供もいます。

起立性調節障害は交感神経や副交感神経という自律神経のバランスが乱れることが病態です。体の血圧や血糖値、ホルモンや睡眠、排泄など多くの機能をその時の肉体に合わせて自動調整しているのが自律神経です。

そのため、朝起きてくるときに交感神経が適切に反応しないため、立ち上がると脳への血流が不足してしまい様々な症状が出現します。

ではなぜ自律神経が乱れてしまうのでしょうか?

一般的な原因としては、急激な肉体変化により心臓と脳の距離が開くため脳血流が低下しやすくなることや、ホルモンバランスの変化に伴い自律神経にも影響が波及してしまうことなどが挙げられます。

高校生は、進学による環境の変化や友人関係、部活動、勉強や進路への不安など、心身に負担がかかりやすい時期です。こうしたストレスや生活リズムの乱れが自律神経の働きに影響し、症状の出方に関係することがあります。

起立性調節障害では、成長期の体の変化や自律神経の働き、生活リズム、心理的な負担など、複数の要因が関係していると考えられています。発症の原因やなりやすい人の特徴を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

高校生に多い起立性調節障害の主な症状

一般的な起立性調節障害の症状は、起立時のふらつきや体調不調、全身倦怠感、頭痛、吐き気など多岐に渡ります。しかし、特に中学校高学年や高校生での発症で問題になるのは睡眠相の後退です。少し専門的な用語ですので具体的に解説していきます。

人間は朝起きると体をアクティブモードに切り替えるために交感神経を活性化させ心臓や筋肉を刺激します。夕方頃から徐々に交感神経が弱まり逆に副交感神経が活性化してきます。副交感神経は交感神経と真逆で体を休息モードに移行させます。夜間になるにつれ副交感神経が優位になり睡眠に至ります。

しかし、起立性調節障害の子供ではそうはいきません。朝起きても交感神経が活性化してこないため、起床時の運動に体がついていきません。

午後になりようやく交感神経が活性化し始めると、症状が緩和され徐々に活動的になります。しかし夕方や夜になっても交感神経が活性化したままなので、夜間になっても眠くならないのです。

すると高校生の場合スマホをいじったりゲームをして夜を過ごすことが多いです。これは決してゲームをしたいから眠らないのではありません。眠れないからゲームをするしかないのです。

結果として、朝起きれず、夜も眠れずを繰り返してどんどん睡眠が夜間にずれ込んでしまいます。これを睡眠相の後退と言います。睡眠相の後退は学校生活にも大きな影響を与え、継続的な不登校の原因にもなり得ます。

起立性調節障害では、夜眠れず朝起きられない状態が続き、昼夜逆転のような生活リズムになることがあります。昼夜逆転が起こる理由や家庭での対応を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

高校生が起立性調節障害を患った場合どうなる?

高校生が起立性調節障害になると、学校生活に影響が出ることがあります。朝起きられず遅刻や欠席が増えたり、無理に登校しても午前中は体調が悪く、授業に集中しにくかったりする場合があります。

また、体育の授業や部活動など、体を動かす場面で症状が出やすくなることもあります。特に、長時間立ち続ける活動や暑い環境での運動、強度の高い運動では、めまいや立ちくらみ、倦怠感が強く出る場合があるため、本人の体調に合わせて参加方法を調整することが大切です。

高校生にとって、授業や部活動は人間関係や進路にも関わる大切な時間です。参加できない日が続くと、学業の遅れや友人関係への不安、進路への焦りにつながることもあります。

部活動や学業に思うように参加できないことは、本人にとって大きな負担になる場合があります。本人の努力不足と決めつけず、学校や医療機関と相談しながら、登校時間や授業・部活動への参加方法を考えていきましょう。

起立性調節障害では、体調が安定しない時期に激しい運動をすると、めまいや立ちくらみ、倦怠感が強く出ることがあります。運動を控えるべきケースや注意点を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

中学の頃など過去に患っていて高校生で再発する確率は?

自律神経は成長とともに安定していくため、OD患者の約8割は発症から数年で自然回復すると言われています。しかし、自然回復した後数年で再発する人も少なくありません。

高校生では4人に1人が起立性調節障害を疑う症状を持っていますが、そのほとんどが中学生時代からの症状の継続と考えられています。

しかし、起立性調節障害が改善した人の中では約4割程度の人は再発するというデータもありますので、高校生で再発する人も少なからず存在していると思います。特に、高校進学は環境の変化が大きく精神的に負担がかかる時期ですので再発する確率が高い時期と言えます。

不登校になった場合の対応

起立性調節障害によって不登校になった場合は、本人だけで抱え込まず、家庭・学校・医療機関で連携して対応を考えることが大切です。ここでは、不登校になった場合に家庭で意識したいことや、学校との相談の進め方を解説します。

本人は、家での過ごし方や生活リズムを少しずつ整えながら、体調に合わせてできることを増やしていきます。朝起きる時間を急に早めるのではなく、自分のペースで少しずつ調整したり、日中に無理のない範囲で体を動かしたりする方法が考えられます。

親御さんは、学業の遅れや進級・卒業への影響について、学校と早めに相談しておくと安心です。登校時間の調整、別室登校、オンライン学習、課題提出の方法、通信制高校への切り替えなど、本人の状態に合わせた選択肢を確認しておきましょう。

不登校は本人の意思だけの問題ではなく、体調不良が背景にあることもあります。無理に登校を促すのではなく、本人の体調や気持ちを確認しながら、無理のない方法を一緒に考えていくことが大切です。

起立性調節障害と不登校との関係や家庭・学校での対応を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

うつ病と起立性調節障害の違い

起立性調節障害とうつ病は、意欲の低下、集中しにくさ、食欲の低下、精神的な不安、朝起きられないなど、似た症状がみられることがあります。そのため、症状だけで自己判断するのは難しい場合があります。

起立性調節障害では、朝から午前中にかけて体調が悪く、午後や夕方になると少しずつ動けるようになることがあります。一方で、うつ病などのこころの不調でも、気分の落ち込み、意欲の低下、睡眠や食欲の変化がみられることがあります。

どちらか一方だと決めつけるのではなく、身体面と心理面の両方から状態を確認することが大切です。朝起きられない、学校に行けない、気分の落ち込みが続くなどの症状がある場合は、医療機関で相談しましょう。

また、薬の使用についても自己判断は避け、医師の指示に従うことが大切です。診断や治療方針は、症状の経過、検査結果、生活への影響などを踏まえて慎重に判断されます。

高校生の起立性調節障害では、体調管理だけでなく、学校生活や進路への影響も考えながら対応することが大切です。親ができるサポートや治療の考え方を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

トトノエライトプレーン

【無料】起立性調節障害の相談窓口

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