起立性調節障害(子供)

子どもの頭痛にカロナールが効かないのはなぜ?原因と対処法・受診の目安

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

「頭が痛い」と訴える子どもに、病院で処方されたカロナール(アセトアミノフェン)を飲ませたものの、なかなか改善しない――そんな経験をしたことはありませんか。

子どもの頭痛には風邪や片頭痛、緊張型頭痛などさまざまな原因がありますが、実は痛み止めだけでは改善しにくい頭痛も存在します。その一つが、思春期に多い「起立性調節障害(OD)」です。

起立性調節障害では、自律神経の働きの乱れによって脳への血流が不足し、頭痛やめまい、倦怠感などが起こります。そのため、単なる痛みの問題ではなく、原因そのものへの対応が必要になります。

今回は、子どもの頭痛にカロナールが効かない理由と、その背景に起立性調節障害が隠れている可能性について解説します。

子どもの頭痛にカロナールが効かないのはなぜ?

子どもの頭痛にカロナールが効かないときに考えられる主な理由を解説します。

カロナールが効く頭痛と効きにくい頭痛がある

カロナールはアセトアミノフェンを主成分とする解熱鎮痛薬で、子どもにも比較的安全に使用できる薬として広く処方されています。発熱に伴う頭痛や風邪による頭痛、軽度の痛みに対しては効果が期待できます。しかし、すべての頭痛に同じように効くわけではありません。

例えば、片頭痛(偏頭痛)は脳の血管や神経の働きが関係して起こるため、カロナールだけでは十分な効果が得られないことがあります。一方、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は炎症を抑える作用があり、頭痛の種類によってはより効果を感じやすい場合があります。

ただし、どの薬が適しているかは頭痛の原因や体質によって異なります。薬を飲んでも改善しない場合は自己判断で薬を変更せず、医師の診察を受けて頭痛の原因を確認することが大切です。

飲むタイミングによって効果を感じにくいことがある

カロナールが効かないと感じる場合、薬そのものではなく服用するタイミングが影響していることがあります。頭痛は症状が強くなるにつれて痛みを抑えにくくなるため、痛みがピークに達してから服用すると十分な効果を実感できないことがあります。

特に片頭痛では、頭痛が始まった早い段階で服用した方が効果を得やすいとされています。また、痛みが続くからといって短時間で何度も服用したり、自己判断で追加服用したりすることは危険です。過量服用は副作用や健康被害につながる可能性があります。

処方された薬であれば医師の指示に従い、市販薬であれば添付文書の用法・用量を守ることが重要です。頭痛が頻繁に起こる場合や薬の効きが悪い場合には、早めに医療機関へ相談しましょう。

用量や服用方法が影響していることがある

薬は適切な量と方法で服用して初めて十分な効果が期待できます。カロナールも同様で、体重に応じた適切な量が決められており、少なすぎると十分な鎮痛効果が得られないことがあります。

一方で、「効かないから」といって自己判断で量を増やすことは危険です。アセトアミノフェンの過量摂取は肝機能障害などの重い副作用を引き起こすことがあります。

また、服用間隔が短すぎたり、複数の解熱鎮痛薬を併用したりすることも避けなければなりません。処方薬だけでなく市販薬を使用する場合も、用法・用量を守ることが大切です。

何度も頭痛を繰り返す、薬を飲んでも改善しないという場合は、薬の量の問題ではなく別の原因が隠れている可能性もあります。医師や薬剤師に相談し、適切な対応を受けるようにしましょう。

頭痛以外の病気が隠れていることもある

頭痛が続く場合、単なる一時的な不調ではなく別の病気が関係していることがあります。例えば、片頭痛、緊張型頭痛、副鼻腔炎(蓄膿症)、視力低下や眼精疲労、睡眠不足、ストレスなどが原因となることがあります。また、発熱や感染症の初期症状として頭痛が現れることもあります。

さらに思春期の子どもでは、起立性調節障害(OD)が背景にあるケースも少なくありません。ODでは自律神経の働きが乱れ、立ち上がった際に脳への血流が不足しやすくなるため、頭痛やめまい、倦怠感などが現れます。

特に「朝に頭痛が強い」「午前中は体調が悪い」「立ちくらみが多い」「学校を休みがち」といった特徴がみられる場合はODの可能性も考えられます。頭痛薬だけでは改善しない場合には、原因そのものを調べることが大切です。

子どもの頭痛でカロナールが効かないときの対処法

子どもの頭痛でカロナールが効かないときの対処法を解説します。

水分不足や睡眠不足がないか確認する

子どもの頭痛が続くときは、まず水分不足や睡眠不足がないか確認してみましょう。体内の水分が不足すると血液の循環が悪くなり、頭痛やだるさを感じやすくなります。特に暑い時期や運動後は、自分では十分に飲んでいるつもりでも脱水状態になっていることがあります。

また、睡眠不足も頭痛を悪化させる大きな要因です。夜更かしやスマートフォン・ゲームの使用によって睡眠時間が短くなると、自律神経のバランスが乱れ、頭痛が起こりやすくなります。さらに、休日だけ遅く起きるなど生活リズムが不規則になることも頭痛の原因となります。

まずはこまめな水分補給と十分な睡眠を心がけ、規則正しい生活ができているかを見直してみることが大切です。

頭痛の起こる時間帯を記録する

頭痛が繰り返し起こる場合は、いつ頭痛が起こるのかを記録しておくことが重要です。朝起きたときに痛いのか、学校にいる昼間に痛くなるのか、夕方や夜に悪化するのかによって、考えられる原因が異なることがあります。

また、頭痛が起こる頻度や持続時間、痛みの強さ、吐き気やめまいなどの症状の有無も合わせて記録しておくと役立ちます。例えば、朝に頭痛が集中している場合は起立性調節障害(OD)が疑われることがありますし、特定の場面で症状が出る場合はストレスとの関連が見えてくることもあります。

こうした記録は診察時に医師が原因を判断するための大切な情報になります。簡単なメモやスマートフォンのアプリなどを利用して記録してみましょう。

学校や家庭でのストレスがないか確認する

子どもの頭痛には、身体的な原因だけでなく心理的なストレスが関係していることも少なくありません。学校での勉強や部活動、友人関係の悩み、進級や進学による環境の変化などが大きな負担となり、頭痛として現れることがあります。

また、家庭内のトラブルや引っ越し、家族構成の変化なども子どもにとっては大きなストレスになることがあります。子ども自身がうまく気持ちを言葉にできず、「頭が痛い」という形でSOSを出している場合もあります。

頭痛があるときは無理に登校や活動を促すのではなく、まず体調や気持ちに耳を傾けることが大切です。十分に休養を取っても改善しない場合や、朝の頭痛やめまい、強い倦怠感を伴う場合には、起立性調節障害(OD)などの病気が隠れていないか医療機関で相談しましょう。

子どもの頭痛で病院を受診する目安

子どもの頭痛で病院を受診する目安を解説します。

頭痛が急激に強くなった場合

子どもの頭痛の多くは命に関わるものではありませんが、突然これまで経験したことがないような強い頭痛が現れた場合は注意が必要です。

「急に激しい痛みを訴えた」「頭を抱えて動けないほど痛がる」といった場合には、単なる風邪や疲れによる頭痛ではない可能性があります。まれではありますが、脳の病気や重い感染症など緊急性の高い病気が隠れていることもあります。

特に、頭をぶつけた後に強い頭痛が出現した場合や、痛みが急速に悪化している場合は早めの受診が必要です。普段の頭痛と様子が違うと感じたときは、「様子を見れば治るだろう」と自己判断せず、医療機関へ相談するようにしましょう。

発熱や嘔吐を伴う場合

頭痛に加えて発熱や嘔吐がみられる場合は、感染症などが原因となっている可能性があります。風邪やインフルエンザなどでも頭痛は起こりますが、症状が強い場合には注意が必要です。

また、発熱以外にも強いだるさ、首の痛み、光をまぶしく感じるなどの症状を伴う場合には、より慎重な対応が求められます。

頭痛だけに注目するのではなく、発熱の有無や食事・水分が取れているか、意識がはっきりしているかなど全身状態を確認することが大切です。嘔吐を繰り返して水分が取れない場合や、ぐったりしている場合は速やかに医療機関を受診しましょう。症状の経過を記録しておくと診察時の参考になります。

意識障害やけいれんがある場合

頭痛に加えて意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が鈍い、けいれんを起こしているといった症状がある場合は、救急受診が必要です。こうした症状は脳や全身の重い病気が関係している可能性があり、自宅で様子を見るべき状態ではありません。

けいれんが起きた場合は無理に体を押さえつけたり口の中に物を入れたりせず、安全な場所で横向きに寝かせて様子を見守りましょう。

また、けいれんが続いた時間や症状の様子を覚えておくと診療に役立ちます。保護者としては慌ててしまうかもしれませんが、まずは安全を確保し、救急車の要請や医療機関への連絡を行うことが重要です。

頭痛を繰り返して学校生活に支障が出ている場合

命に関わる緊急性がなくても、頭痛を繰り返して学校生活に支障が出ている場合は受診を検討しましょう。朝になると頭痛が強くなり遅刻や欠席が増えている、授業に集中できない、部活動に参加できないなどの状態が続く場合は注意が必要です。慢性的な頭痛は学習や友人関係にも影響し、子どもの生活の質を大きく低下させます。

背景には片頭痛や緊張型頭痛だけでなく、貧血や睡眠障害、起立性調節障害(OD)などが隠れていることもあります。

特に「朝に症状が強い」「めまいや立ちくらみを伴う」「午前中は調子が悪いが午後になると改善する」といった特徴がある場合はODの可能性も考えられます。頭痛が長引く場合は我慢させず、早めに医療機関へ相談しましょう。

もしかしたら起立性調節障害かも

子どもの頭痛が続くと、「薬が合っていないのかな」「勉強やゲームのしすぎかな」と考えてしまうかもしれません。しかし、カロナールなどの頭痛薬を飲んでも改善しない場合は、頭痛そのものではなく、頭痛を引き起こしている原因に目を向けることが大切です。

特に、「朝に頭痛が強い」「立ちくらみやめまいがある」「午前中は調子が悪いが午後になると元気になる」「学校を休みがちになっている」といった症状がみられる場合は、起立性調節障害(OD)が関係している可能性があります。ODは思春期の子どもに多くみられる病気で、自律神経の働きが乱れることでさまざまな不調が現れます。

頭痛が続いているのに原因がわからない、薬を飲んでも良くならないという場合は、一人で悩まず医療機関に相談してみましょう。適切な診断と治療によって症状が改善し、学校生活や日常生活を取り戻せることも少なくありません。「ただの頭痛」と決めつけず、その背景に起立性調節障害が隠れていないか考えてみることが大切です。

下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しております。気になる症状がある方は是非ご一読ください。

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