起立性調節障害の症状が長く続くと、「少しでも楽になる方法はないか」と、サプリメントを検討する保護者もいるでしょう。
インターネット上では、起立性調節障害への効果をうたうさまざまな商品が紹介されています。しかし、情報が多いほど、どの内容を信頼すればよいのか判断が難しくなることもあります。
サプリメントは医薬品とは異なり、起立性調節障害そのものを治療するものではありません。また、子どもが摂取する場合は、成分の重複や過剰摂取、処方薬との飲み合わせにも注意が必要です。
本記事では、起立性調節障害の子どもにサプリメントを使用する際に知っておきたい考え方や、選ぶ前に確認したいポイントについて解説します。

市販されているサプリの特徴
そもそも起立性調節障害とは、成長の過程で急激な肉体の変化に自律神経の発達が追いつかず、本来起立時に活性化すべき交感神経が活性化しないことで脳血流が低下する病気です。
脳血流の低下に伴い、めまい、意識障害、ふらつき、嘔気、食思不振などの様々な症状が出現します。
本人や親御さんによる疾患への理解を深め、身の回りの環境や自身の行動に対する非薬物療法、それでもダメなら薬物療法や心理カウンセリングを受けることが基本的な流れとなっています。
また近年では、子供の偏食や栄養バランスの乱れに伴い、ある特定の成分が枯渇することで起立性調節障害の症状が増悪する可能性があるため、新しい治療方法として栄養療法が注目されています。
栄養療法は、医師の管理下のもとで不足している栄養素、特に糖質、タンパク質、鉄分や亜鉛、ビタミンなどを検査して、不足が認められたものを補充していく治療方法です。
これらの栄養素は直接起立性調節障害とは関係なくても、不足することで症状を助長させてしまう可能性があり、実際にこれらの栄養素を的確に補充するだけで症状が改善した例は多数報告されています。
市場に出回っているサプリメントは、この栄養療法を模して作られた市販薬です。例えば、「睡眠効果があるGABA配合によるリラックス効果で起立性調節障害の症状が改善!」と書かれているものや、「抗ストレス作用のあるチアニン配合!」と書かれているものです。
栄養素は、多く摂ればよいわけではありません。本人に不足しているか、食事やほかの製品からどの程度摂取しているかを確認したうえで判断することが大切です。
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起立性調節障害のサプリ選びは慎重に行う
前述したように起立性調節障害に対する治療方法は、すでに日本小児心身医学会のガイドラインである程度示されています。さらに言えば、日本小児心身医学会は2018年1月に「起立性調節障害の起立時の循環動態、および脳循環や脳代謝機能を改善するサプリメントは存在しないと考える」と明言しています。
ここまで明言する理由は、各種サプリメントについて的確な研究デザインによって明確な科学的根拠(エビデンス)を示した研究報告がこれまでに存在しないからです。市販のサプリメントについて、物によっては患者団体から懸念の声が多数寄せられているため購入には注意が必要であると警鐘を鳴らしています。
筆者の考えもある程度日本小児心身医学会の考えと一致しています。起立性調節障害に対する本質的な治療にはなり得ませんし、GABAなどの成分は経口摂取しても脳に到達しないため効果がありません。
一方で、偏食や食欲不振などによって特定の栄養素が不足している場合は、その不足を補うことで体調が改善する可能性があります。ただし、これはサプリメントが起立性調節障害そのものに効果を示すという意味ではありません。
サプリメントを使用する場合は、自己判断で選ぶのではなく、食事内容や必要に応じた検査から栄養状態を確認し、医師や薬剤師に相談することが大切です。
起立性調節障害の治療で使用される薬の種類や、薬物療法を行う際の注意点については、下記の記事も参考にしてください。
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不足している成分を特定することが重要
起立性調節障害の治療に関しては、サプリメントはあくまで副次的なものとして捉えるべきであると感じます。起立性調節障害の治療のスタンダードは、非薬物療法です。
もし仮に、どうしてもサプリメントを内服して治療したいと考えている人がいるのであれば、せめて不足している成分を調べたうえで内服することをお勧めします。十分足りている成分を内服しても意味がない上に、むしろ特定成分の過剰摂取による健康被害の可能性もあり得ます。
筆者が勧めるのは不足している成分を調べた上での栄養療法です。実際に有効な効果を得られた症例の報告もあり、試してみる価値はあると思います。
起立性調節障害がある人の食事で意識したい栄養素や、日常生活に取り入れやすい食べ物については、下記の記事も参考にしてください。
サプリメントだけに頼らず、水分や食事、生活リズムなどを見直しながら、医療機関と相談して治療を進めることが大切です。
起立性調節障害の治し方や、家庭でできるサポートについては、下記の記事も参考にしてください。
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【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)







