子供を持つ親御さんも、自分が子供の時には良く鼻血を流したことがあるのではないでしょうか?子供の時は顔をぶつけて鼻血が出たり、特に理由がなくても急に鼻血が垂れてくることは珍しくありません。
特に鼻腔内には非常に繊細かつ緻密に微小血管が走行しており、何らかの刺激に伴いそれらの微小血管が破綻すれば容易に鼻血が出てしまう部位なのです。それこそチョコの食べ過ぎで鼻血を出す子もいるくらいです。
皆さんの大切なお子さんが急に鼻血を出せば、もちろん多くの親御さんは驚かれることでしょう。実際に、鼻血を引き起こす原因疾患の中には白血病などの恐ろしい病気があることも事実です。
また、それ以外に起立性調節障害(OD)という病気に罹患した子供では、なんの誘引もなく急に多量の鼻血を出してしまうこともあります。
果たしてお子さんの抱える鼻血の原因が起立性調節障害なのか、それ以外の重篤な病気なのか、親御さんもある程度正しい理解と知識を持っておく必要があります。
そこで、本記事では子供の鼻血症状について分かりやすく解説していきます。

起立性調節障害による「鼻血」の特徴
前述したように、人体において鼻腔内は非常に出血しやすい部位です。鼻腔内には非常に微細な血管が多数分岐しており、特にキーゼルバッハ部位と呼ばれる鼻腔内の鼻中隔前方部分には血管が集中しています。
そのため、鼻血の大半はキーゼルバッハ部位の血管が何らかの原因で破綻することによって引き起こります。ほとんどの場合、引っ掻いてしまったり外部からの圧力が原因で血管が破綻します。
よって、一般的に鼻血はなんらかの外的要因が伴って引き起こることが多く、たとえ子供だとしてもある程度鼻血の原因に察しがつくことが多いはずです。しかし、中にはなんの誘因もなく突如鼻血が出てしまうような病気もあります。
その1つが起立性調節障害です。起立性調節障害の場合、ぶつけたわけでもなく引っ掻いたわけでもないのに鼻血が出ることが多いです。また疾患の特性上、特に午前中や起床時に症状が起きやすいという特徴があります。
同様に、なんの誘因もなく鼻血が出るケースでは血小板減少が挙げられます。血小板とは、いわば川の氾濫を防ぐブロックのようなもので、血管が破綻し出血を起こした部分に集積し止血する能力を持っています。
しかし、生まれつき、もしくは後天的に血小板が減少してしまうと血管の破綻による出血を止めることができずに、鼻血として症状が出てしまいます。
具体的に血小板が減少してしまう病気としては、特発性血小板減少性紫斑病や、白血病、肝機能障害、薬剤性などが挙げられます。これらの疾患では様々な理由で血小板が減少し、鼻以外でも全身出血しやすい体になってしまいます。
普段であれば鼻血が出ないような微細な損傷でも出血してしまうため、本人にとってはなんの理由もなく鼻血が出てしまったと思っても仕方ありません。
また似たような病気で、血友病と呼ばれる病気もODと同様に誘因なく鼻血が出てしまう病気です。血友病は、血小板とともに出血を止める機能を持つ凝固因子と呼ばれる成分が先天的に欠損しており、出血しやすくなる病気です。
特に血友病は男児に多いため、男児でなんの理由もなく鼻血が出た場合には疑う必要があります。これらの疾患はどれも比較的早期に医療機関で精査、加療が必要となるような病気であるため、鼻血といえど侮れません。
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起立性調節障害による「鼻血」の原因
起立性調節障害とは、肉体の急激な成長に対して自律神経の発達が追いつかずバランスが崩れてしまうことで様々な症状をきたす疾患です。ここでの自律神経とは交感神経と副交感神経のことです。
交感神経とは体をアクティブなモードにしてくれる神経であり、起床時や運動時に特に活性化します。またストレスを感じた際にも活性化します。副交感神経はその逆で体をリラックスモードにしてくれる神経です。
それぞれがバランスを取り合いながら、脈拍、血圧、睡眠、排泄や排尿など多くの生理機能をコントロールしており、逆に起立性調節障害によってこれらのバランスが乱れることで多くの生理機能に異常をきたします。
人体は起床時、重力に伴って血液が下肢方向に流れ込んでしまうため脳血流が低下してしまいます。それを自動で察知し正常化するために、本来であれば交感神経が活性化し脈拍増加、血管収縮により脳血流を維持させます。
しかし起立性調節障害の場合 起立時にうまく交感神経が活性化してこない為、そのまま脳血流が低下してしまうことでめまいやふらつきなどの症状が生じます。
この際、自律神経の乱れによって鼻腔内の微細な血管にも異常が生じます。異常な自律神経の乱れにより、鼻腔内を流れる血流にも変動が生じ、そのアップダウンによって脆弱な血管が破綻してしまうのです。
つまり起立性調節障害による鼻血は自律神経の乱れがその本態であり、特に起床時や午前中に乱れやすい理由もそれによるものです。また特に小学校高学年から中学生にかけては肉体が急激に成長するため症状が出現しやすいと言われています。
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起立性調節障害による「鼻血」を治す方法
一般的に鼻腔内の出血が動脈性でなければ自宅でも止血が可能です。具体的な方法としては、キーゼルバッハ部位を外から圧迫するために親指と人差し指で両鼻翼を圧迫します。
また、出血部位に血液が行かないように少しでも頭部を高い位置に向けることが止血の上では重要ですが、起立性調節障害の場合は脳血流低下を招く危険性もあるため慎重に行う必要があります。
起立性調節障害による鼻血症状を治療する上では、まず医療機関に受診して早期に診断をつけることです。前述したように、白血病や血小板減少は早急な治療が必要な疾患だからです。
起立性調節障害の診断がつけば、鼻血はあくまで自律神経の乱れが原因と考えられるため、親御さんだけでなく子供にもしっかりと起立性調節障害という病気に対する理解や認識を持ってもらうことが重要です。
その上で、治療の中心は非薬物療法になります。自律神経の乱れを少しでも安定させるように日常生活を整える必要があります。また、多くの場合は成長と共に自律神経のバランスが安定して行く為、自然経過で改善して行くことも多いです。
前述したように起立性調節障害の場合、日常生活に支障をきたす症状は鼻血だけではありません。起立時の血圧低下は脳血流を低下させ、めまいやふらつき、場合によっては失神を引き起こします。
下記記事では実際にどの程度血圧変化が生じるのか詳しく解説されていますので、ぜひ参考にしてください。
下記記事では「起立性調節障害の治し方・子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)