起立性調節障害とは

目は覚めるけど起きれないのはなぜ?原因・対処法・考えられる病気を解説

 

この記事の監修者

医師(匿名)

医師歴:10年
勤務病院:某3次救急病院

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

「目は覚めるけど朝起きれない」「眠いわけじゃないけど朝身体が思うように動かない」

このような症状でお悩みの方も少なくないのではないでしょうか。

睡眠不足で朝寝坊してしまう場合と違い、朝に目が覚めているにも関わらず身体が思うように動かない場合、生活習慣の乱れや強烈なストレスで心身に悪い影響が出ている可能性があります。

そのような状況が長く続けば、子供の場合通学や学業に、大人の場合は通勤や会社生活に支障をきたす可能性もあるため、早期に原因を把握し、適切に対処することが肝要です。

そこで、この記事では目は覚めるけど朝起きれない場合の原因や可能性のある病気、対処法などについて詳しく解説します。ぜひご一読ください。

目は覚めるけど起きれない原因とは?

通常、朝起きれない場合は前日の夜更かしで目覚ましに気付けなかったり、目覚ましをかけ忘れて寝過ごしてしまうなど、目覚めないことで起きられないケースが多いです。

しかし、中には目は覚めているけど、思うように身体が動かず起きられないこともあります。その場合、まずは下記の3つの原因を疑いましょう。

身体的・精神的ストレス

身体的・精神的ストレスは、目は覚めるけど起きれない原因です。特に、強烈なストレスは心身に悪影響を与え、身体の倦怠感や抑うつ気分、やる気の減退などが生じることで朝に起きられなくなります。

例えば、前日に激しい運動をしたことによる筋肉痛などの身体的ストレスの場合は、自分自身で原因が自覚できる上に、時間の経過で改善できる可能性が高いため、あまり心配はいりません。

一方で、精神的ストレスには特に注意が必要です。精神的ストレスの場合、自分でも何が原因でストレスが溜まっているのかが自覚しにくく、対処が遅れる可能性があります。

入学・入職・転職・転居などの環境の変化や、離婚・結婚などのライフスタイルの変化でもストレスは大きいため、注意が必要です。

生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れも、目は覚めるけど起きれない原因となります。生活習慣が乱れることで血圧の適正化を調整している自律神経が乱れてしまい、朝に血圧が下がりやすくなってしまうためです。

血圧が低下すれば脳への血流が低下し、目は覚めるものの起き上がろうとするとふらついてしまい、うまく起き上がることができなくなります。他にも、自律神経は脈拍を調節しており、脈拍の異常によってふらつくこともあります。

暴飲暴食や偏ったバランスの食事、運動不足、夜更かしなどは特に自律神経が乱れやすいため、生活習慣の乱れには注意しましょう。

睡眠不足・睡眠の質の低下

目は覚めるけど起きれない原因として、睡眠不足・睡眠の質の低下が挙げられます。目覚ましが鳴ったから目は覚めたけど、寝不足感で身体が重くなかなかベッドから起きられない、という経験は誰しも一度はあるのではないでしょうか。

睡眠時間が少ない場合は夜早く寝たり、週末に少しでも寝溜めして睡眠時間を確保しましょう。一方で、睡眠の質の低下は自分では原因を把握しにくいため、注意が必要です。

睡眠の質の低下の原因は、不適切な寝具の使用・不適切な就寝環境・就寝前の暴飲暴食や飲酒・喫煙・カフェイン摂取・就寝直前の運動や入浴・肥満など、さまざまです。

睡眠時間を確保しているからと油断していても、睡眠の質が低い場合は身体や脳は十分に休息を取れず、朝起きられなくなるため、睡眠の質にも気を配るようにしましょう。

目は覚めるけど起きれない場合の対処法

「目は覚めているのに起きられなくて学校に寝坊した」「いま起きないと朝の会議に間に合わないのに、身体が動かない」このような状態が続けば生活に大きな支障をきたします。

そこで、ここでは目は覚めるけど起きれない場合の対処法について解説します。意外とちょっとして生活の変化で症状が改善する可能性もあるため、ぜひ実践してみましょう。

適度な運動

目は覚めるけど起きれない場合、まずは運動習慣を身に付けましょう。適度な運動には心身をリラックスさせ、自律神経を安定させる効果が期待できます。また運動による適度な身体の疲労感は睡眠の質を向上させます。

さらに、継続的な運動は睡眠の質の低下の原因となる肥満の予防にも有効です。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」によれば、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上行うことを推奨しており、これは1日約8000歩以上に相当します。

また、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上(週4日以上)行うことを推奨しています。またこれらの運動は、少なくとも就寝の2時間以上前に終わらせないと睡眠の質の低下につながるため、注意しましょう。

ただし、先述したように限界まで自分を追い込むような運動は翌日の朝に倦怠感として残ってしまうため、心身のストレスとなるような強度の運動は控えるべきです。

生活習慣の是正

目は覚めるけど起きれない場合、生活習慣を是正しましょう。自分でも気付かないうちに心身に負担をかけるような生活習慣を繰り返している可能性があります。

例えば、特に若年者では近年増加傾向にある就寝直前までのスマホいじりは、睡眠にとって非常に有害です。スマホの光が脳を刺激し、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、睡眠の質が低下してしまいます。

他にも、寝る前に食事を摂取すると身体の深部体温が低下しにくくなり、睡眠の質が低下することが知られているため、控えるべきです。このような生活習慣は比較的容易に是正できるため、一度見直してみることを勧めます。

自身のストレスチェック

目は覚めるけど起きれない場合、自身のストレス状況をチェックしましょう。先述したように、精神的ストレスは原因がはっきりわからないことも少なくなく、早期から自覚しにくいためです。

また過剰な精神的ストレスは身体の不調にもつながるため、早期発見すべきです。

常に何かが不安である・落ち着かない・憂鬱である・物事に集中できない・気分が晴れない・仕事が手につかない・緊張感が取れないなどの精神状態の方は、ストレスが溜まっている可能性もあるため、注意しましょう。

上記のような状態が多く当てはまる場合、趣味に時間を費やしたり、ヨガや瞑想など、自身の趣味嗜好にあった方法でストレスを発散することを意識すべきです。

目は覚めるけど起きれない場合に考えられる病気

上記のような対処法を実践してもいっこうに症状が改善しない場合、なんらかの病気を発症している可能性があります。原因が病気である以上、治療しないと改善しない可能性もあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。

特に、うつ病やナルコレプシーは放置すると命の危険性もある病気のため、注意が必要です。ここでは、目は覚めるけど起きれない場合に考えられる病気を4つ紹介します。

貧血

目は覚めるけど起きれない場合、貧血の可能性があります。貧血は血圧が低いこととよく勘違いされますが、完全に別の病態です。低血圧とは、脱水や血管の過剰な拡張によって血管にかかる圧が低下し、臓器血流が低下した状態です。

一方で、貧血とは血液中のヘモグロビンの濃度が低下した状態であり、ヘモグロビンは酸素を運搬しているため、臓器は酸欠状態に陥ります。貧血が続くと脳は酸欠状態に陥りやすくなり、めまいやふらつき・倦怠感が出現して起きられなくなります。

わかりやすい原因としては出血が挙げられますが、中学生の女児などの場合生理によって貧血に陥ることもあるため注意が必要です。また成人でも、ガンなどの病気によって貧血に陥ることがあります。

原因によっては命の危険性もあるため、疑わしい場合は早期に医療機関しましょう。

適応障害

目は覚めるけど起きれない場合、適応障害の可能性があります。適応障害とは、日常生活の中で、何かのストレスが原因となって心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じる精神疾患です。

ストレスの原因が明確で、そのストレスに対して適応できないことでさまざまな症状をきたします。抑うつ気分・不安・怒り・焦りや緊張などの精神的な症状と、発汗・動悸・めまいなどの身体症状、さらに暴飲暴食や無断欠勤などの行動面での異常も出現します。

適応障害の特徴として、ストレスの原因から回避することで症状が明確に改善するという点があるため、比較的自分でも気づきやすい病気です。一番の治療はストレス原の除去であるため、改善のためには職場や学校に相談することも重要です。

うつ病

目は覚めるけど起きれない場合、うつ病の可能性があります。うつ病は意欲の減退や抑うつ気分・全身倦怠感・不眠症状などをきたす精神疾患であり、朝早く目覚めてしまうにも関わらずベッドから起き上がれなくなる方も多いです。

原因は完全には解明されていませんが、現状では脳内でのセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の分泌不全が主な原因と考えられており、決してやる気の問題などではないです。

放置すれば希死念慮・自殺企図など命の危険性が高い状態まで症状が悪化する可能性もあり、なるべく早期に医療機関を受診する必要があります。年齢に関係なく誰でも発症しうる病気であるため、注意が必要です。

ナルコレプシー

目は覚めるけど起きれない場合、ナルコレプシーの可能性があります。ナルコレプシーとは、日中の過度の眠気や、通常起きている時間帯に自分では制御できない眠気が繰り返し起こることを特徴とする睡眠障害であり、約2000人に1人が発症する比較的稀な疾患です。

ナルコレプシーの症状の1つに睡眠麻痺という症状があり、入眠の前後や起床直後に、体を動かそうとしても動かせなくなることがあります。まるで、金縛りのような症状であり、目は覚めていても物理的に動けなくなります。

遺伝的な要因が原因と推察されていますが、明確な原因は不明です。ナルコレプシー自体が寿命に影響を及ぼすわけではないですが、日中に強い眠気を引き起こすため、事故や転倒などによって命の危険に陥る可能性があります。

ナルコレプシーも専門的な治療が必要となるため、上記のような症状が当てはまる方は医療機関に受診しましょう。

もしかしたら起立性調節障害かも

目は覚めるけど起きれない場合、もしかしたら起立性調節障害かもしれません。

起立性調節障害とは、主に小学生高学年から中学生にかけて身体が急速に発達する際に、自律神経の成長が追いつかないことで自律神経が乱れてさまざまな症状を生じる身体疾患です。

起立時や起床時に本来維持されるはずの脳血流が、自律神経の乱れによって維持されなくなるため、めまいやフラつきなどの症状をきたして起きられなくなってしまいます。

そのほかの症状としてめまい・ふらつき・倦怠感・腹痛・嘔気嘔吐などが挙げられ、これらの症状によって通学や通勤に支障をきたす方も多いです。

ほとんどの子供が自然軽快すると言われていますが、約10%の子供では重症化し長期的に普通の学校生活を営めなくなる子供もいるため、下記の記事を参考に、早期発見のためのセルフチェックを行いましょう。

関連記事:起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト

 

一方で、大人でも起立性調節障害を発症する可能性があり、仕事ができなくなることで長引けば経済的な負担もストレスとなり症状が悪化する可能性もあります。

下記の記事を参考に、早期発見のためのセルフチェックを行いましょう。

関連記事:大人の起立性調節障害セルフチェック項目|診断テスト 

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