起立性調節障害の子どものなかには、朝起きられないだけでなく、日中にも強い眠気を感じる人がいます。
授業中に眠ってしまったり、午後になっても頭がぼんやりしたりすると、「夜更かしが原因なのではないか」「怠けているのではないか」と心配になる保護者もいるでしょう。
日中の眠気には、睡眠時間の不足や睡眠の質、生活リズムなど、さまざまな要因が関係します。また、起立性調節障害による朝の体調不良や、夜になっても寝つきにくいことが影響している場合もあります。
本記事では、日中に眠気が生じる一般的な原因と、起立性調節障害の子どもが眠気を感じやすい理由、家庭や学校でできる対応について解説します。
日中に眠気が生じる一般的な原因
日中に眠気が生じる原因は、睡眠不足だけとは限りません。睡眠の質や生活リズム、体調など、さまざまな要因が関係します。
睡眠時間が不足している
日中の眠気は、睡眠時間が不足しているサインの一つです。必要な睡眠時間は年齢や体質によって異なるため、一律に「何時間眠ればよい」とは言い切れません。
朝起きたときに疲れが残っている、授業中や仕事中に強い眠気がある、休日に長時間眠ってしまう場合は、睡眠時間が足りていない可能性があります。日中の体調や活動状況を確認しながら、必要な睡眠時間を確保することが大切です。
睡眠の質が低下している
十分な時間眠っていても、途中で何度も目が覚める、寝つきが悪いなど、睡眠の質が低下していると日中に眠気が残ることがあります。
寝室の照明が明るい、室温が合っていない、就寝前にカフェインを摂る、スマートフォンを長時間使用するなどの習慣は、寝つきや睡眠の質に影響する場合があります。
夜は照明を少し暗くし、寝室の温度や寝具を調整するなど、眠りやすい環境を整えましょう。
生活リズムが乱れている
私たちの体には、睡眠や覚醒、体温などのリズムをおよそ24時間周期で調整する体内時計があります。
就寝時刻や起床時刻が日によって大きく異なる、日中に長時間眠る、夜遅くまで明るい画面を見るといった生活が続くと、睡眠と覚醒のリズムが乱れ、日中に眠気が出ることがあります。
運動不足や日中の活動量の低下なども関係するため、睡眠時間だけでなく、1日の過ごし方全体を確認することが大切です。
起立性調節障害の子どもが日中に眠くなる理由
起立性調節障害では、朝から午前中に強い倦怠感や立ちくらみ、頭痛、吐き気などが現れ、目が覚めてもすぐに活動できないことがあります。
また、朝起きられないことで起床時刻が遅くなり、夜になっても寝つきにくくなる場合があります。就寝時刻が遅れることで睡眠時間が不足し、翌日の日中に強い眠気が残ることもあるでしょう。
体調不良によって日中の活動量が少なくなったり、長時間の昼寝をしたりすると、さらに夜の睡眠に影響する場合があります。
そのため、起立性調節障害の子どもの日中の眠気には、病気による朝の体調不良だけでなく、睡眠不足や生活リズムのずれなど、複数の要因が重なっている可能性があります。
夜になっても眠れず、スマートフォンやゲームの使用時間が長くなることで、さらに就寝時刻が遅くなる場合もあります。
起立性調節障害の子どもとスマートフォン・ゲームとの付き合い方については、下記の記事も参考にしてください。
日中の眠気を解消する方法
対症療法としては、以下のものがあります。
- 冷水で顔を洗ったり、首元を冷やす
- 冷水やコーヒーを飲む
- ストレッチするなど体を動かす
- 日光を浴びる
上記の方法でその時の眠気を一時的に解消することはできるかもしれませんが、何よりもまず、十分な睡眠時間、良質な睡眠をとることが最も重要です。
特に下記のことには注意しましょう。
- 睡眠時間は7時間以上。自分の日中の活動状況に合わせ適宜調整してみる
- 睡眠前の喫煙・飲酒・カフェイン摂取を控える
- 睡眠前のスマホ操作は制限する
- 部屋を暗くし、寝室の温度を適温に調整する、寝具の見直しなど、睡眠環境を整える
- 起床後は窓を開けて、日光を浴びる
- 生活習慣を整える
起立性調節障害の子どもは朝の症状が強いため、毎日決まった時刻に必ず起きることが難しい場合があります。
無理に生活リズムを整えようとするのではなく、現在の睡眠状況を確認しながら、少しずつ調整しましょう。
また、起床時に急に体を起こすと、めまいやふらつきなどが強くなることがあります。本人の体調を確認しながら、ゆっくりと姿勢を変えることが大切です。
具体的な起こし方や、朝に避けたい対応については、下記の記事も参考にしてください。
日中の眠気で授業や仕事に支障がある場合
日中の眠気が強く、授業を受けることや仕事を続けることが難しい場合は、無理に眠気を我慢し続けないことが大切です。
学校では、保健室で休む、授業の途中で休憩する、午前中の登校時間を調整するなど、本人の体調に合わせた対応を相談できる場合があります。
大人の場合も、可能であれば休憩時間を調整する、短時間横になる、勤務時間について職場へ相談するなどの対応を検討しましょう。
眠気が強い場合は、午後の早い時間帯に15~20分程度の短い仮眠を取ることで、その後の眠気が和らぐことがあります。ただし、夕方以降や長時間の昼寝は、夜の睡眠に影響する場合があるため注意が必要です。
また、日中の強い眠気は、起立性調節障害だけが原因とは限りません。睡眠時無呼吸症候群、睡眠リズムの障害、貧血、心身の不調、使用している薬の影響などが関係している場合もあります。
次のような状態がある場合は、医療機関へ相談しましょう。
- 十分に眠っているのに強い眠気が続く
- 授業中や仕事中に繰り返し眠ってしまう
- 大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘された
- 立ちくらみや動悸、息切れがある
- 気分の落ち込みや意欲の低下が続く
日中の眠気が強いという理由だけで、起立性調節障害が重症であるとは判断できません。眠気の原因や睡眠状況、ほかの症状を含めて、主治医に相談することが大切です。
日中の眠気への対応だけでなく、起立性調節障害の子どもに対して家庭でできることや、生活上のサポートについては、下記の記事も参考にしてください。
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)








