寝ても寝ても寝足りない、眠たいということはありませんか。
過眠症は、異常なほどの睡眠欲求や過度の睡眠時間を特徴とする睡眠障害の一種です。主な症状には、日中の著しい眠気、過度の眠気、日常生活に支障をきたすほどの長時間の睡眠などがあります。
こちらの記事では、過眠症の原因について詳しく解説していきます。
過眠症の原因とは?子ども・大人別に解説
過眠症とは、しっかり睡眠を取っているいるにも関わらず、日中など本来起きている時間帯に異常な眠気に襲われ、時には起きていられない程となり居眠りをしてしまうため、日常生活に支障を来してしまう状態です。
過眠症は、脳の障害が原因で生じる中枢性過眠症とその他睡眠障害が見られる疾患が原因で生じる二次性過眠症があり、原因はそれぞれ異なります。一般的には、遺伝的要因、睡眠障害、メンタルヘルスや生活習慣などが関与しているとされています。また、原因がはっきりわかっていないものもあります。
ここからは、子ども、大人別に過眠症の原因を解説していきます。
子どもの場合
子どもが過眠症になる原因を解説していきます。
生活習慣の乱れ
現代は大人だけでなく、子どももスマーフォンなどブルーライトを発する機器を操作していることが多いと思います。
ブルーライトは睡眠を遠ざけ、特に睡眠前にスマーフォンなどの電子機器で動画を視聴したりすることで眠気がなかなか起こりません。
夜更かししてしまうことで、翌日なかなか起きることができず、睡眠サイクルが乱れてしまうことは原因の一つと考えられます。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に一時的に無呼吸になり、日中の眠気や集中力低下、体のだるさなどが出現しする病気ですが、脳に問題がある場合の中枢性と脳には問題がなく物理的に起動が狭くなって起こる閉塞性に分けられます。
子どもの場合、アデノイドや扁桃性の肥大、肥満、顎が小さいなどが原因で空気の通り道が狭くなることで起こります。
ナルコレプシー
思春期前後の年齢に見られることがある病気です。
はっきりした原因はまだ解明されていませんが、何らかの原因で身体を覚醒させておく物質を産生することができないことが関与していると言われています。そのために、以下のような特徴的な睡眠の不調が見られます。
- 通常寝てはならない場面で我慢できないほどの眠気に襲われ突然眠ってしまう、発作のような状態
- 情動脱力発作(覚醒時、気持ちの高ぶりやびっくりした際に身体の一部が脱力すること)
- 金縛り
大人の場合
大人が過眠症になる原因を解説していきます。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に一時的に無呼吸になり、熟眠感がなく、朝の目覚めが悪い、日中の眠気や集中力低下、体のだるさなどが出現し、将来的には高血圧、心不全などの心血管系への影響もある病気です。
パートナーや家族にいびきや睡眠中の無呼吸を指摘されたことがある場合は一度受診することをおすすめします。
特発性過眠症
思いがけない時間に強い眠気や不安定な昼間の睡眠が生じます。これには、仕事中や会話中などの日常生活の活動中にも及びます。
症状はナルコレプシーと似ていますが、異なる点としては、眠気がより持続的であること、情動脱力発作や金縛りも見られません。
反復性過眠症
一日のうち、ほとんど眠って過ごす過眠の時期が数カ月の間隔で出現します。一旦過眠期に入ると、食事や排泄などの通常の生活は難しくなるものの、その他目立った異常は認めません。
症状は周期的に現れ、発作の間隔は患者によって異なりますが、一般に数週間から数か月間隔で繰り返されることが多いです。非常にまれな病気です。
過眠症になりやすい人の特徴
私たちの睡眠、覚醒は体内時計により調整されています。体内時計とは、生物学的なリズムを調整し、身体の機能や行動を調節する内部の時間認識システムです。
睡眠と覚醒、食欲、体温、ホルモン分泌などの身体のさまざまな機能を調整し、外部環境の変化に対応します。
体内時計は、光や食事のタイミング、活動レベルなどの情報を使って、体内のリズムを同期させる役割があります。生活習慣の乱れ、特に食事、運動、睡眠などが乱れることで体内時計も乱れてしまい、結果的に睡眠にも悪影響を及ぼします。
特に、体内時計は光の変化に対する感受性が高いことが知られています。したがって、朝起きた後、窓を開け太陽光をしっかり取り入れることが重要です。
不規則な生活習慣
規則正しい生活、定時に睡眠・起床し、食事も決まった時間に摂取することが体内時計を適切にコントロールし、快適な睡眠へと導きます。
不規則な生活習慣を送り続けている場合、睡眠に悪影響を及ぼし、過眠症になる可能性があります。
精神的なストレス
ストレスは自律神経のバランスを調整することにとても悪影響を及ぼします。自律神経は生命を維持するためにとても重要な様々な働きを調整しており、自律神経が乱れることで睡眠、覚醒のコントロールにも異常が発生します。
それ以外にも、肩こり、頭痛など身体の様々な不調を来す原因にもなります。ストレスをなるべく溜め込まないようにできるといいですね。
運動習慣がない
運動習慣がある方は、そうでない方に比べ睡眠における不調が見られにくいと言われています。1回の運動だけでは効果が弱く、習慣的に続けることが重要です。
寝つきを良くするだけでなく、体力がつきことで日常生活も過ごしやすくなり、良好な睡眠パターンを得ることができます。運動をあまりしない方は睡眠の不調が出やすいことになってしまいます。
もしかしたら起立性調節障害かも
過眠症の症状が続く場合、起立性調節障害の可能性があります。
起立性調節障害は自律神経のバランスに異常を来したために生じる病気ですが、朝起床時、午前中に特に症状が見られやすいというのが特徴です。
交感神経が優位に活動することで朝すっきりと目覚めることができるのですが、起立性調節障害の方の場合、起床時間になっても交感神経の活性が緩やかであるため、起きることができない、眠気、倦怠感、めまいなど様々な症状に悩まされます。
午前中をかけて徐々に交感神経が活性化するため、次第に症状は緩和されてはいきますが、午前中はソファーで横になって過ごす方も多いです。
この様に、特に午前中の “過眠” に悩まれている場合は、起立性調節障害の可能性もありますので、一度セルフチェックをしてみてください。
下記記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。
関連記事:起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト
関連記事:大人の起立性調節障害セルフチェック項目|診断テスト
【参考文献】
・日本小児心身医学会
・健康づくりのための睡眠ガイド2023 厚生労働省
・厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト