しっかり寝ても眠い時は誰しも経験があるのではないかと思います。
この「寝ても寝ても眠い」という症状は年齢や性別で原因が少し異なると考えられます。
今回は女性の場合に考えられる原因、対処法についてご紹介したいと思います。女性の場合はホルモンバランスや天候などで体調は左右されやすいためこれらについてもあわせて解説していきたいと思います。
女性で寝ても寝ても眠いのはなぜ?原因を解説
睡眠は日々の生活習慣にとても影響を受けます。生活習慣が整っていると、体内時計も正常に働くことで規則正しい睡眠、覚醒のサイクルを作りだすことができます。したがって、生活習慣が乱れている場合、睡眠に様々な悪影響を及ぼすことになってしまいます。
女性の場合、各年代で女性ホルモンのバランスが変動するため、体調にも大きく影響を及ぼします。
生活習慣の乱れ
睡眠時間の不足、睡眠の質が良くないことは最も基本的な原因となります。食習慣、運動習慣など生活習慣が不規則になることも大きな原因となります。
家事、育児、そして仕事。仕事をしながら育児や家庭との両立で毎日が時間との闘いという方も少なくないと思います。
就寝時間が遅く、起床時間が早い、食事をとる時間が無かったり、食事をとる時間も一定しない、運動など自分に使う時間がほとんどない、など多くのことが睡眠に関係します。
女性ホルモンの影響
女性ホルモンが影響して強い眠気を引き起こす原因で最もよく見られるのが月経に関連したものではないでしょうか。実際に経験されたことがある方は非常に多いと思います。月経前や月経中の日中の強い眠気です。
排卵後から月経までの黄体期と呼ばれる期間に盛んに分泌されているプロゲステロンというホルモンの影響で眠気が強くなる可能性があると言われています。
生活に支障がない場合は経過観察で構わないと思いますが、そうでない場合は月経前症候群の可能性もありますので、その場合は一度婦人科を受診することを考えてみましょう。
女性ホルモンの影響は更年期でも見られます。更年期は女性ホルモンの変動が大きいため、自律神経の乱れを引き起こしやすく、様々な体調不良を引き起こすことがあります。
自律神経の乱れは睡眠にも影響を及ぼし、体力の低下やその他のストレスや負担もあいまって過眠の症状が見られることがあります。
うつ病などの病気
うつ病は眠れない、寝すぎてしまうなど、睡眠に影響がでることが多いメンタルヘルスの病気です。
うつ病以外にも病気が原因で過眠になっていることも考えられます。それぞれの病気についてはこれから説明していきますので、下記で確認いただけたらと思いますが、睡眠時無呼吸症候群、特発性過眠症、反復性過眠症、ナルコレプシーなどが過眠症の原因疾患と考えます。
女性で寝ても寝ても眠い時の対処法
上記でご紹介した原因にそって対処法を解説していきます。
生活習慣の改善
なるべく十分な睡眠時間を確保すること、睡眠の環境を適切に整えることが大前提となります。そして、可能な限り、睡眠・起床時間を一定にし、食事の時間も決め、バランの良い食事を3食摂取しましょう。
激しい運動は必要ありませんが、汗を少しかく程度の全身運動を定期的に行う習慣をつけることも重要です。睡眠前2-3時間の食事は避け、スマートフォン操作も控えることで良眠が得られやすいです。
早朝起床後に朝陽を浴びることで体内時計をリセットすることができ、こちらもとても有効です。
女性ホルモンバランスの乱れをなるべく軽減する
女性ホルモンバランスが乱れると、月経前症候群が起こりやすいと言われています。ストレス、生活習慣の乱れはホルモンバランスに影響を与えるため、ストレスを溜めないこと、上記で説明した生活習慣の改善を心がけてみてください。
更年期の場合、更年期という時期はホルモンバランスが乱れる時期なので、なかなか自力でコントロールことが難しい場合もあります。
生活習慣を整え、休養を増やし、身体に負担がかからないようにすること、更年期障害の背景に別の疾患がかくれている場合もあり、不調が続く場合、婦人科や内科を受診してみることも検討してください。
病気の可能性がある場合は早めの受診を
生活習慣を改善したにも関わらず、身体的、精神的な症状がなかなか改善しない場合、下記の病気で見られる典型的な症状を認めている場合は一度医療機関を受診しましょう。
女性で寝ても寝ても眠い時に考えられる病気
女性で寝ても寝ても眠い時に考えられる病気を3つ解説します。
月経前症候群・更年期障害
月経前症候群は、女性が月経周期の前に経験する身体的および精神的な症状の集合体です。これらの症状は月経周期の数日から1週間前前後に現れ、月経が始まると症状が改善する傾向があります。
身体的な症状としては、腹痛や腰痛、頭痛、乳房の腫れや痛み、吐き気や消化器の不快感などがあり、精神的な症状としては、イライラや怒り、落ち込みや憂うつ感、不安感、集中力の低下、睡眠障害などがみられます。
それ以外にも、食欲の変化、倦怠感や疲労感、体重の変動、頻尿や便秘などの症状も見られることがあります。症状は月経が始まると徐々に改善し、次の月経周期が始まると再び現れることが一般的です。
更年期障害の主な原因は女性ホルモンの変化です。更年期には、卵巣からのエストロゲンおよびプロゲステロンの分泌が減少し、月経が不規則になり、最終的に停止します。
これにより、身体的および精神的な症状が引き起こされます。通常、女性の40代後半から50代にかけて現れますが、個人差があります。
症状としては、のぼせ、睡眠障害、イライラ、不安、憂うつ感などの情緒の変化などがあります。この時期は、自律神経も乱れやすく、様々な体調変化が起こりやすいです。
うつ病
はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。
症状としては、気分の落ち込み、何事にも興味が持てない、不安、食欲低下、疲れやすい、頭が重い・頭痛、首や肩のこりなどがあります。
寝つきが悪い、食欲の極端な増進・低下など睡眠、食事に変化が見られている場合はうつ病の可能性もあるので注意して観察する必要があります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に一時的に無呼吸になり、熟眠感がなく、朝の目覚めが悪い、日中の眠気や集中力低下、体のだるさなどが出現し、将来的には高血圧、心不全などの心血管系への影響もある病気です。
睡眠時に無呼吸になるため、脳に酸素がいきわたらず、日中強い眠気に襲われ、大事な会議中での居眠り、運転中の居眠り、仕事上でのケアレスミスなどがよく見られます。
パートナーや家族にいびきや睡眠中の無呼吸を指摘されたことがある場合は一度受診することをおすすめします。
もしかしたら起立性調節障害かも
寝ても寝ても眠いという症状が特に早朝起床時から午前にかけて強く見られる場合、起立性調節障害の可能性があります。
起立性調節障害は交感神経と副交感神経からなる自律神経に異常を来したために生じる病気ですが、朝起床時、午前中に特に症状が見られやすいというのが特徴です。朝すっきり目覚めるためには交感神経が優位に働かなければなりません。
しかし、起立性調節障害の方の場合、起床時間になっても交感神経の活性が緩やかであるため、起きることができない、眠気、倦怠感、めまいなど様々な症状に悩まされます。
これらの症状は特に午前中にひどいというのも特徴です。午前中をかけて徐々に交感神経が活性化するため、次第に症状は緩和され午後には普段通りとい方も多いです。
特に午前中の “過眠” に悩まれている場合は、起立性調節障害の可能性もありますので、一度セルフチェックをしてみてください。
下記記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。
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【参考文献】
・日本小児心身医学会
・健康づくりのための睡眠ガイド2023 厚生労働省
・厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト