- 起立性低血圧は原因によって治し方が違うの?
- 日常生活では、どのようなことに気をつければよいの?
起立性低血圧に対して、このようなお悩みをお持ちの方も少なくないでしょう。
起立性低血圧は特に立位でめまいやふらつき、最悪の場合失神などの症状をきたす病気であり、社会生活のさまざまなシーンで症状が出現する可能性があるため、厄介な病気です。
起立性低血圧の治し方は、基本的に日常生活での行動による非薬物療法が主であり、症状の重い方の場合は飲み薬による薬物療法も併用します。
そこで、この記事では医師である筆者の経験を基に、起立性低血圧の治し方について詳しく解説します。この記事を読むことで、起立性低血圧の方が控えるべき行動や注意点もわかるため、ぜひご一読ください。
起立性低血圧の治し方
起立性低血圧の治し方は、主に下記の2つです。
- 非薬物療法:医薬品に頼らない治療方法
- 薬物療法:医薬品によって症状の改善を試みる治療方法
それぞれについて解説します。
非薬物療法
起立性低血圧では、原因に応じた治療とともに、起立動作や水分摂取などの非薬物療法を行います。
起立すると重力によって血液が下半身にたまり、心臓へ戻る血液量が減少します。通常は、血圧や心拍数を調節する働きによって血圧が保たれますが、この調節が十分に働かない場合や、体内を循環する血液量が減っている場合には、めまいやふらつきなどが現れます。
主な原因と必要な対応は、次のとおりです。
- 脱水の場合は水分を補給し、出血が疑われる場合は医療機関で原因を確認する
- 自律神経障害がある場合は、起立動作の工夫や圧迫着衣などを取り入れる
- 弁膜症や不整脈などの心疾患がある場合は、原因疾患の治療を受ける
- 薬の影響が疑われる場合は、医師や薬剤師に処方内容を確認してもらう
脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患、糖尿病による自律神経障害などでは、立ち上がったときの血圧調節がうまく働かず、起立性低血圧が現れることがあります。
脱水によって体内を循環する血液量が減っている場合は、水分補給が必要です。ただし、出血によって血液量が減少している場合は、飲水や塩分摂取だけでは対応できません。黒い便や血便、吐血などがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
水分や塩分を増やす方法は、心不全や腎臓病、高血圧などがある方には適さない場合があります。摂取量は自己判断で決めず、医師に相談しましょう。
弁膜症や不整脈などの心疾患がある場合は、運動によって改善を目指すのではなく、心疾患に対する適切な診断と治療が必要です。運動してよいかどうかも主治医に確認してください。
服用している薬が血圧低下に関係している場合もあります。降圧薬や利尿薬、血管を広げる薬などを使用している方は、薬の種類や服用量を医師や薬剤師に確認してもらいましょう。
若い方でも、AGA治療などで内服のミノキシジルを使用している場合は、血圧低下や動悸などが現れる可能性があります。症状があっても自己判断で薬を中止せず、処方した医師に相談してください。
日常生活では、長時間の立位や急な起立を避け、横になった状態から座位、座位から立位へと段階的に体を起こします。
立っているときに症状が現れそうな場合は、脚を交差させて力を入れる、太ももやお尻の筋肉を収縮させるなどの身体的対抗動作が役立つことがあります。無理に歩き続けず、座るか横になって転倒を防ぎましょう。
症状が強い場合は、弾性ストッキングや腹部を圧迫する装具が検討されることもあります。体に合わないものを使用すると負担になるため、医師などに相談して選びましょう。
薬物療法
非薬物療法や原因疾患の治療を行っても症状が十分に改善しない場合は、薬物療法を併用することがあります。
起立性低血圧では、血管を収縮させる薬や、体内を循環する血液量を保つ薬などが症状や原因に応じて検討されます。
ミドドリン塩酸塩は、末梢の血管を収縮させて血圧を上げる薬です。副作用として、血圧上昇や頭痛、動悸などが現れる場合があります。
ドロキシドパは、パーキンソン病などに伴う起立性低血圧で使用されることがある薬です。また、病状によっては、体内にナトリウムと水分を保持するフルドロコルチゾンが検討される場合もあります。
使用する薬によっては、横になっているときに血圧が高くなる臥位高血圧や、むくみ、電解質異常などに注意が必要です。
薬物療法は非薬物療法を補うために行われますが、一時的な使用に限られるとは限りません。治療期間は原因や症状によって異なるため、効果や副作用を確認しながら医師の指示に従って服用しましょう。
起立性低血圧に使用されるミドドリン塩酸塩の効果について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
起立性低血圧の症状悪化を防ぐために控えたい行動
起立性低血圧を治す上で控えるべき行動は、過剰な運動と過度のアルコール摂取です。どちらも脳血流を低下させる可能性が高まるため、控えましょう。
適度な運動は自律神経の乱れを改善し、程よい血管の緊張や心機能の維持にも有用ですが、過剰な運動はかえって逆効果です。
特に、夏場に多量の発汗を起こすような激しい運動は脳血流の低下を招くため、控えるべきです。
また、過度のアルコール摂取は脱水を招きやすく、血管拡張作用もあるため、脳血流を低下させる原因になります。
さらに、アルコールは心機能にも悪影響を与え、心房細動などの不整脈や心筋炎の原因にもなるため、起立性低血圧の方は極力摂取を控えるべきです。
起立性低血圧を治す際の注意点
起立性低血圧の治療では、原因となる病気の見落としと、失神による転倒に注意が必要です。
起立性低血圧は、脱水や薬の影響だけでなく、不整脈や弁膜症、神経疾患、内分泌疾患、出血などによって起こることもあります。
弁膜症があるからといって必ず手術が必要になるわけではありません。弁の種類や重症度、症状、心臓の状態などを評価し、薬物療法や手術などの治療方針を検討します。
胸痛や強い呼吸困難、意識消失、呼びかけへの反応が悪い、片側の手足が動かしにくい、突然の激しい頭痛などがある場合は、起立性低血圧と自己判断せず、速やかに救急要請や医療機関への相談を行ってください。
めまいやふらつきがある状態で無理に立ったり運動したりすると、転倒して頭部や顔面を負傷する可能性があります。
運動を始める場合は、座位や横になった状態でできるストレッチなどから始め、周囲に危険な物がない場所で行いましょう。失神を繰り返している場合は、運動を始める前に医師へ相談してください。
起立性低血圧では原因に応じた治療が重要
起立性低血圧は、自律神経の働きだけが原因で起こるわけではありません。脱水や出血、心疾患、神経疾患、内分泌疾患、服用している薬など、原因によって必要な治療は異なります。
自律神経障害が関係している場合でも、生活習慣を整えるだけで自律神経の機能が必ず回復するとは限りません。原因疾患の治療とともに、日常生活では以下のような工夫を取り入れましょう。
- 睡眠や食事の時間をできる範囲で整える
- 持病に配慮しながら適切に水分を摂取する
- 体調に合わせて無理のない運動を続ける
- 疲労やストレスをためすぎず、必要な休養を取る
ホルモンバランスを自分で安定させることは難しく、月経や妊娠、更年期などに伴って症状が変化する場合もあります。症状との関連が考えられる場合は、内科だけでなく婦人科への相談も検討しましょう。
乳酸菌は腸内環境を整える工夫の一つ
乳酸菌を含む食品を取り入れることは、腸内環境を整える工夫の一つです。
乳酸菌には、食品や菌株によって、便通の改善などが期待できるものがあります。また、腸と脳が相互に影響する「腸脳相関」についても研究が進められています。
便秘や腹部の不快感などがある場合は、食事内容を見直し、乳酸菌を含む食品などを取り入れて腸内環境を整えることも検討しましょう。
下記の記事では、具体的に乳酸菌を効率良く摂取する方法について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。








