起立性調節障害とは

「学校に行くと体調が悪くなる」ときの原因や対策・治療法を解説

2023年1月20日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

高熱や咳などの明らかな風邪症状はないものの、具合が悪くて学校に行けない、学校へ行く前や登校後に体調が悪くなることはありませんか?

こうした不調には、睡眠不足や貧血、過敏性腸症候群、起立性調節障害、心理的な負担など、さまざまな原因が考えられます。本人の気持ちや努力だけの問題と決めつけず、症状の出方や時間帯、生活への影響を確認することが大切です。

本記事では、登校や学校に関連して現れる体の不調について、考えられる原因や病気、対処法を解説していきます。


「学校に行くと体調が悪くなる」

その症状、もしかしたら起立性調節障害かも?

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「学校に行くと体調が悪くなる」ときの原因

起床後から具合が悪くて学校に行けない、登校中や学校に着いてから体調が悪くなるなど、症状の現れ方は人によって異なります。

例えば、起床後からめまいやふらつき、強い倦怠感がある場合は、睡眠不足や貧血、低血圧、起立性調節障害などが関係している可能性があります。

登校前や通学中に腹痛、下痢、便秘などを繰り返す場合は、過敏性腸症候群などの消化器疾患も考えられます。

学校のある日や登校前に症状が強くなる場合は、人間関係や学習、通学などに伴う緊張や心理的な負担が、症状に影響していることもあります。ただし、学校へのストレスだけが原因とは限りません。

また、食事量の不足や不規則な生活によって、空腹感やだるさを感じることもあります。冷や汗や手の震え、意識がぼんやりするなど、低血糖を疑う症状がある場合は、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。

「学校に行くと体調が悪くなる」ときに考えられる病気

登校前後の体調不良には、さまざまな病気や生活上の要因が関係します。症状だけで原因を決めることは難しいため、続く場合は医療機関で相談しましょう。

なお、高熱、意識障害、激しい頭痛や腹痛、胸痛、呼吸困難、血便、繰り返す嘔吐などがある場合は、早めの受診が必要です。

低血圧

血圧が低くても症状がない人はいますが、体質や脱水、体調などによって、めまい、立ちくらみ、頭痛、だるさなどが現れることがあります。

特に、横になった状態や座った状態から立ち上がったときに症状が出る場合は、起立時の血圧や心拍数の調節が関係している可能性があります。症状を繰り返す場合は、低血圧だけでなく、貧血や起立性調節障害なども含めて医療機関で確認することが大切です。

低血糖

低血糖は、血液中のブドウ糖が必要以上に低下した状態です。冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感、ふらつき、集中力の低下などが現れ、重い場合には意識障害やけいれんを起こすこともあります。

特に、インスリンや一部の糖尿病治療薬を使用している人では、食事量が少なかった場合や薬が効きすぎた場合などに低血糖が起こることがあります。

糖尿病治療を受けていない人が同様の症状を繰り返す場合も、低血糖と自己判断せず、医療機関で原因を確認しましょう。

貧血

貧血とは、血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態です。全身へ酸素を運ぶ働きが低下するため、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、だるさ、集中しにくさなどが現れることがあります。

貧血の原因はさまざまですが、子どもや思春期では、成長に伴う鉄の必要量の増加、偏った食事、無理なダイエット、月経による出血などによって、鉄欠乏性貧血が起こることがあります。

月経量が多い、便に血が混じる、黒い便が出る、体重が減っているなどの症状がある場合は、出血や別の病気が隠れている可能性もあるため、医療機関へ相談しましょう。

思春期に起こりやすい貧血の原因や症状、食事で意識したいポイントについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンは甲状腺で産生・分泌されるホルモンで、全身の代謝を活発にするホルモンです。甲状腺機能低下症では、この甲状腺ホルモンが低下することで、つかれやすさや食欲の低下、便秘、気分が落ち込むなど多様な症状が見られます。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、腹痛とともに下痢や便秘などの便通異常を繰り返す病気です。検査をしても、症状の原因となる明らかな炎症や腫瘍などが見つからないことが特徴です。

ストレスだけが原因ではありませんが、脳と腸の相互作用や腸の知覚過敏などが関係し、緊張や心理的な負担によって症状が変動することがあります。登校前や通学中に腹痛や便意が強くなり、学校生活に影響する場合もあります。

診断では、最近3か月間に平均して週1日以上の腹痛があり、排便との関連や便の回数・形状の変化がみられることなどを確認します。症状は診断の6か月以上前から始まっていることが基準の一つですが、診断にはほかの病気がないかを確認することも必要です。

思春期に過敏性腸症候群が起こりやすい理由や、起立性調節障害との関係について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

睡眠障害

睡眠時間、睡眠の質によっても体調は左右されます。少ない睡眠時間が続くことで疲労が蓄積し種々の体の不調や集中力の低下につながります。肥満や顎が小さい場合に夜間の無呼吸があるかもしれません。

ご家族からみて、夜間の無呼吸やいびき、日中の強い倦怠感や眠気がある場合は睡眠時無呼吸症候群を考え治療を行う必要があります。

ストレス反応

学校での人間関係や学習に問題があるなど、学校で嫌なことがある場合にストレス反応が頭痛や発熱、めまい、腹痛などの身体症状として見られることがあります。なかには不安障害や適応障害などの精神的な病気に発展してしまうこともあります。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

「学校に行くと体調が悪くなる」ときの治療法

必要な対処や治療は、症状の原因によって異なります。生活習慣の見直しだけで改善しない場合や、学校生活に支障が出ている場合は、医療機関で原因を確認することが大切です。

低血圧の場合

起床時や立ち上がるときに症状が出る場合は、急に立ち上がらず、横になった状態から座位、立位へと段階的に体を起こします。脱水を避けるため、日中はこまめな水分補給も意識しましょう。

ただし、低血圧の原因や持病によって適切な対応は異なります。塩分を増やす方法は自己判断で行わず、必要性や摂取量について医師に相談してください。

低血糖の場合

忙しい朝でも、朝食は欠かさず摂取することが重要です。間食や甘いものを控え、バランスのとれた3食をしっかり摂取しましょう。

また、糖尿病がある方は、経口血糖降下薬やインスリンの減量が必要かもしれませんので、主治医に相談しましょう。

貧血の場合

まずは血液検査などで貧血の有無と原因を確認することが重要です。鉄欠乏性貧血であれば、食事内容の見直しに加えて、必要に応じて医師の指示のもとで鉄剤を使用します。

月経量が多い場合は婦人科、腹痛や黒い便などがある場合は消化器内科などで、出血の原因を調べることもあります。

食事では、赤身の肉や魚、貝類、大豆製品、緑黄色野菜などをバランスよく取り入れましょう。ただし、食事だけで治療できるとは限らないため、症状が続く場合は医療機関へ相談してください。

甲状腺機能低下症の場合

甲状腺ホルモンが低下した状態ですので、不足した甲状腺ホルモンを補充する内服薬があります。

過敏性腸症候群の場合

過敏性腸症候群では、便秘型、下痢型、混合型など、症状のタイプに応じて治療方法が異なります。

まずは食事内容や生活リズムを確認し、必要に応じて消化管運動を調整する薬、整腸剤、便秘や下痢に対する薬などを使用します。症状に心理的な負担が影響している場合は、認知行動療法などの心理的な支援や、専門医の判断による薬物療法を組み合わせることもあります。

血便、発熱、体重減少などがある場合は、過敏性腸症候群と自己判断せず、早めに受診してください。

睡眠障害の場合

生活リズムを整え、年齢に応じた睡眠時間を確保することが基本です。ただし、睡眠障害の種類によって治療方法は異なり、生活習慣の見直しだけでは改善しない場合もあります。

強いいびき、睡眠中の無呼吸、日中の強い眠気などがある場合は、睡眠時無呼吸症候群などについて医療機関で検査を受けましょう。検査結果によっては、CPAPなどの治療が行われることがあります。

睡眠薬が必要かどうかは年齢や症状を踏まえて医師が判断するため、自己判断で使用しないことが大切です。

ストレス反応の場合

本人が何に困っているのかを確認し、学校や家庭で負担を調整することが大切です。無理に登校を促したり、症状を気持ちの問題と決めつけたりせず、安心して話せる環境を整えましょう。

症状が続く場合は、まず小児科やかかりつけ医へ相談し、必要に応じて心療内科や児童精神科、学校の養護教諭やスクールカウンセラーなどと連携します。薬物療法は、診断や症状に応じて医師が必要と判断した場合に検討されます。

もしかしたら起立性調節障害かも

起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能せず、めまい、立ちくらみ、倦怠感、頭痛、腹痛など、さまざまな症状が現れる身体疾患です。

思春期に発症しやすく、朝や午前中に症状が強く、午後になると軽くなる傾向があります。そのため、朝起きられない、登校の準備ができない、学校に着いても体調がすぐれないなど、学校生活に影響することがあります。

心理社会的な要因が症状に影響する場合もありますが、ストレスだけが原因の病気ではありません。また、学校に行くと体調が悪くなるという症状だけで、起立性調節障害と判断することもできません。

朝の不調に加えて、立ちくらみ、動悸、頭痛、腹痛、食欲不振などが続く場合は、小児科などの医療機関へ相談しましょう。診断では問診や診察に加え、必要に応じて横になった状態から立ち上がった際の血圧や心拍数の変化を確認する新起立試験などが行われます。

起立性調節障害と不登校の関係や、家庭・学校での対応について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

下記記事ではご自身が起立性調節障害の可能性があるのかをセルフチェックすることができます。是非参考にしてみてください。

 

下記記事では「起立性調節障害の子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

トトノエライトプレーン

【無料】起立性調節障害の相談窓口

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