- 「昨晩たくさん眠ったはずなのに、日中に強い眠気に襲われる」
- 「運転中や作業中など、本来は眠気を感じにくい場面でも異様に眠くなる」
このような症状にお悩みの方は注意が必要です。
日中の強い眠気は、単なる睡眠不足だけでなく、薬の副作用や睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、特発性過眠症など、さまざまな原因によって生じます。
昼食後などに一時的な眠気を感じることは珍しくありません。一方、会議中や作業中など眠ってはいけない場面でも居眠りしてしまう、十分に眠っても強い眠気が続く場合は、睡眠の病気が関係している可能性があります。
特に、運転中や危険な作業中にも眠気が生じる場合は、事故やけがにつながるおそれがあります。原因がわかるまでは運転や危険な作業を控え、早めに医療機関へ相談しましょう。
この記事では、過眠症が疑われる場合に自分で確認できることや、医療機関で行われる主な検査・治療、注意点について解説します。
日中の強い眠気に加えて、朝起きられない症状や立ちくらみ、倦怠感などがみられる場合は、起立性調節障害が関係していることもあります。
起立性調節障害のセルフチェックについては、下記の記事を参考にしてください。

過眠症を自力で治す方法
過眠症のような症状がある場合は、まず睡眠時間や服用中の薬、睡眠環境などを確認しましょう。
本人は十分に眠っているつもりでも、慢性的な睡眠不足に陥っていたり、睡眠時無呼吸症候群などによって睡眠の質が低下していたりする可能性があります。
ただし、運転中や作業中にも眠りそうになる場合や、日常生活に支障が出ている場合は、セルフケアだけで様子を見ず、早めに医療機関を受診してください。
ここでは、自分で確認できる4つのポイントを紹介します。
服用中の薬を確認する
日中に強い眠気がある場合は、現在服用している薬を確認しましょう。薬の種類や服用する時間によっては、副作用として眠気が現れる場合があります。
眠気が生じる可能性のある薬には、抗不安薬、睡眠薬、抗精神病薬、一部の抗うつ薬などがあります。また、花粉症などに使われる抗ヒスタミン薬でも眠気が生じることがあります。
症状が現れた時期や服用時間を記録し、処方した医師や薬剤師に相談しましょう。
睡眠時間の確保
服用中の薬に心当たりがない場合は、睡眠時間が不足していないか確認しましょう。自分では十分に眠っているつもりでも、必要な睡眠時間を確保できていない場合があります。
慢性的な睡眠不足が続くと、日中の強い眠気に加えて、倦怠感や疲れやすさ、頭が重い感じなどが現れることがあります。
1~2日間の寝だめだけでは、慢性的な睡眠不足を十分に補えない場合があります。休日だけ長く眠るのではなく、普段から必要な睡眠時間を確保しましょう。
原因を確認するためには、1~2週間を目安に、就寝時刻や起床時刻、昼寝、日中に眠くなった時間などを記録することも役立ちます。
睡眠時間を確保しても強い眠気が続く場合は、過眠症やほかの睡眠障害が関係している可能性があるため、医療機関に相談しましょう。
睡眠の質の向上
睡眠時間を確保しても日中の強い眠気が続く場合は、睡眠の質が低下している可能性があります。
寝室が暑すぎる、寒すぎる、明るい、周囲の音や振動が気になるといった環境では、眠りが浅くなる場合があります。また、枕やマットレスが身体に合っているかも確認しましょう。
入浴や運動は睡眠の質を整えるために役立つことがありますが、就寝直前の激しい運動や熱い湯船への入浴は、寝つきに影響する場合があります。
十分な睡眠時間を確保しても休養感がなく、大きないびきや睡眠中の無呼吸を指摘されている場合は、睡眠時無呼吸症候群などの可能性もあります。
生活習慣の改善
生活習慣を見直すことも、日中の眠気に対する基本的な対策です。
就寝直前の暴飲暴食は寝つきや睡眠の質に影響し、繰り返すことで肥満につながる可能性があります。肥満は、睡眠時無呼吸症候群の主な要因の一つです。
また、就寝前の飲酒は喉の筋肉を緩ませ、睡眠中のいびきや無呼吸を悪化させる場合があります。喫煙も気道を刺激し、睡眠中の呼吸に影響する可能性があります。
起床時刻をできるだけ一定にする、夕方以降のカフェインを控える、寝酒を避ける、日中に適度に身体を動かすなど、睡眠を妨げる習慣を見直しましょう。
ただし、生活習慣を改善しても強い眠気が続く場合は、セルフケアだけで治そうとせず、医療機関を受診することが大切です。
過眠症の診断・治療方法
日中の強い眠気には、ナルコレプシーや特発性過眠症だけでなく、うつ病、睡眠時無呼吸症候群、概日リズム睡眠・覚醒障害、薬の副作用など、さまざまな原因があります。
原因によって必要な治療が異なるため、医療機関では問診や睡眠の記録、必要な検査などを行い、その結果に合わせて治療を検討します。
まずは適切な診断を行う
過眠症の治療では、まず眠気の原因を確認することが重要です。睡眠不足による眠気なのか、病気や薬の副作用によるものなのかによって、対応が異なります。
医療機関では、普段の睡眠時間や昼寝、眠気が生じる場面、服用中の薬、いびきの有無などを確認します。睡眠日誌や活動量計を使って、一定期間の睡眠と覚醒の状態を調べる場合もあります。
ナルコレプシーや特発性過眠症が疑われる場合は、夜間の睡眠状態を調べる終夜睡眠ポリグラフ検査と、翌日に眠りに入るまでの時間などを測定する反復睡眠潜時検査が行われることがあります。
検査結果や症状を踏まえ、原因に合わせた治療を検討します。

症状に応じて薬物療法を行う
ナルコレプシーや特発性過眠症による日中の強い眠気に対しては、診断や症状に応じて覚醒を促す薬が使用されることがあります。
ナルコレプシーでは、モダフィニルなどが治療に使用されます。メチルフェニデートが選択される場合もありますが、依存性などへの注意が必要な薬であり、使用できる医師や医療機関にも条件があります。
使用する薬は、病気の種類や年齢、症状、ほかに服用している薬などによって異なります。自己判断で個人輸入した薬や他人の薬を使用してはいけません。
また、薬物療法だけでなく、規則的な睡眠時間の確保や計画的な昼寝などの生活上の工夫を組み合わせる場合もあります。
基礎疾患の治療を行う
日中の強い眠気が、ほかの病気によって生じている場合は、その原因となる病気の治療を行います。
例えば、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群によって夜間の睡眠が妨げられ、日中に強い眠気が現れる場合があります。また、うつ病などの精神疾患や、まれに脳や神経の病気が関係していることもあります。
必要な治療は、原因となる病気の種類や状態によって異なります。睡眠時無呼吸症候群ではCPAP療法などが検討され、むずむず脚症候群では鉄不足の確認や症状に応じた薬物療法などが行われます。
基礎疾患を治療することで眠気が軽くなる可能性はありますが、経過には個人差があります。
過眠症を治す上で注意するべき点
過眠症を治す上では、いくつか注意すべき点があります。
自己判断で誤った行動を行うとより症状が悪化してしまう可能性もあるため、事前に注意点を把握しておきましょう。
自己判断で原因を決めつけない
日中の強い眠気を、すぐにナルコレプシーや特発性過眠症と判断しないようにしましょう。
睡眠不足や不規則な生活、薬の副作用、睡眠時無呼吸症候群など、日中の眠気を引き起こす原因はさまざまです。
また、脳や神経の病気が関係している場合でも、必ず手術が必要になるわけではありません。病気の種類や状態によって治療方法は異なります。
十分に眠っても強い眠気が続く場合は、睡眠日誌などを持参し、睡眠を専門とする医療機関へ相談しましょう。
自己判断で対処する
自己判断で誤った対処を行うと、症状がより悪化する可能性があるため、注意が必要です。
日中の強い眠気に対して、カフェインの過剰摂取で対応しようとする方も少なくありませんが、カフェインの過剰摂取は中毒になる可能性もあり、効果も薄いため勧めません。
また、夜になかなか眠れない方はアルコールやニコチンに頼って入眠する方もいますが、これも睡眠の質を低下させるだけでなく、依存による精神不安を引き起こす可能性もあるため、控えるべきです。
重要なのは、睡眠時間の確保と質の向上、規則正しい生活習慣です。自己判断で誤った方法で睡眠に介入するのは控えましょう。
他の病気の可能性を疑う
日中に強い眠気を感じた際は、他の病気の可能性も疑いましょう。
特に注意すべきは睡眠時無呼吸症候群です。睡眠時無呼吸症候群は小顎・巨舌・アデノイド・扁桃肥大などを理由に、気道が狭窄化して睡眠中に無呼吸に陥る病気です。
睡眠の質が著しく低下し、睡眠時間を確保しても朝にスッキリ目覚められず、日中に眠くなります。いびきをかく人はリスクが高いため、家族や友人にいびきの有無を確認しましょう。
診断には専門的な検査が必要で、治療も専門的な装具が必要となることもあるため、まずは医療機関への受診を勧めます。
もしかしたら起立性調節障害かも
過眠症のように見える症状がある場合は、起立性調節障害が関係している可能性もあります。
起立性調節障害は、起立したときの血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能せず、さまざまな症状が現れる身体疾患です。特に小学校高学年から中学生ごろに多くみられますが、大人まで症状が続く場合もあります。
主な症状として、朝の起床困難、立ちくらみ、めまい、倦怠感、頭痛、腹痛、吐き気などが挙げられます。症状は午前中に強く、午後から夕方にかけて軽くなる場合があります。
起立性調節障害で感じる「身体がだるくて動けない状態」は、実際に居眠りしてしまう過眠症の眠気とは異なる場合があります。ただし、生活時間のずれや睡眠不足を伴い、日中の眠気が現れることもあります。
日中の強い眠気だけで起立性調節障害とは判断できません。朝の起床困難や立ちくらみ、倦怠感なども続いている場合は、セルフチェックを行い、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
通常は子供に多い病気ですが、起立性調節障害は大人でも発症しうる病気です。下記の記事で大人の方もセルフチェックしてみましょう。






