インターネットやスマートフォンが広く普及し、現在では場所や時間を問わずゲームを楽しめるようになっています。
一方、ゲームに没頭することで、学業や家庭生活などに支障が生じるケースも問題となっています。一般に「ゲーム依存症」と呼ばれる状態は、医学的には「ゲーム障害」と呼ばれています。
世界保健機関(WHO)は、ゲーム障害を国際疾病分類「ICD-11」に加えました。ゲーム障害とは、ゲームをする時間や頻度を自分でコントロールできず、ほかの活動よりもゲームを優先し、生活に悪影響が出ても続けてしまう状態です(参照:WHO「Gaming disorder」)。
ただし、ゲームを長時間しているという理由だけで、ゲーム障害と診断されるわけではありません。ゲームの利用状況や継続期間、家庭・学校生活への影響などを総合的に確認する必要があります。
ゲームによって生活リズムが大きく乱れている、課金を自分で止められない、通学や日常生活に支障が出ている場合は、家庭だけで解決しようとせず、専門機関への相談も検討することが大切です。
そこでこの記事では、ゲーム依存症が疑われる子どもに対して親ができることや、治し方について詳しく解説します。ぜひご一読ください。

ゲーム依存症の子どもの治し方とは?
現状、ゲーム依存の治療に関する研究の蓄積は乏しく、標準的な治療法は確立されていませんが、放置すれば症状は悪化し、社会生活に大きな支障をきたすため、早期から対策することが肝要です。
ここでは、ゲーム依存症の子どもの治し方について詳しく解説します。
ルールを子どもと一緒に設定する
ゲームの利用時間や場所について、子どもと一緒にルールを設定しましょう。
親が一方的に禁止するのではなく、現在の利用状況やゲームをしたい理由を確認し、本人が納得できるルールを考えることが大切です。
例えば、「平日は夜9時までに終える」「食事中はゲームをしない」など、内容を簡潔にし、実際に守れる範囲から始めましょう。
ルールを守れなかった場合の対応についても、端末を突然取り上げるのではなく、利用時間を翌日に持ち越さないなど、事前に親子で決めておきます。うまくいかない場合は、子どもを責めるのではなく、ルールが現状に合っているか見直しましょう。
ゲーム以外の時間を増やす
ゲーム依存を治すためには、ゲーム以外の時間を増やすことが重要です。ゲーム以外の時間を増やすことで、新しい趣味や関心事、興味が芽生え、ゲーム依存から離脱できる可能性があります。
そのためには、ゲームやスマホに頼らない運動・外出・旅行、もしくは勉強などがおすすめです。スマホやゲームに触れる時間から子どもを切り離すだけでも効果があります。
ゲーム依存では朝起きられなくなったり、性格が攻撃的になるなど、行動面・心理面でも異変をきたすため、ゲーム以外の時間を増やすことでこれらの改善も期待できます。
コミュニティーに参加する
ゲーム依存を治すためには、同じような境遇の子どものコミュニティーに参加することが重要です。同じ境遇に苦しむ仲間とコミュニティーを作ることで、一人では実感できない楽しさを経験できたり、どのようにしてゲーム依存から離脱できたか体験談を聞くこともできます。
これは、アルコールや覚醒剤などの依存症においても同様に行われている治療法です。集団で運動や食事を行うことで低下したコミュニケーション能力や体力の改善も見込めます。
医療機関やデイケアなどでこのようなサービスを提供しているため、一度検索してみると良いでしょう。
医療機関へ相談する
家庭での対応だけでは改善が難しく、通学や食事、睡眠などの日常生活に大きな支障が出ている場合は、医療機関へ相談しましょう。
治療では、本人や家族へのカウンセリング、生活状況の記録、認知行動療法、集団プログラムなどが行われることがあります。
多くの場合は外来で支援を受けますが、心身の状態や家庭での生活状況によっては入院治療が検討されることもあります。入院の必要性や期間は一人ひとり異なるため、本人の意思も確認しながら医師と相談して決めることが大切です。
ゲーム依存症の子どもに親ができることとは?
ゲーム依存症が疑われる場合、子どもだけの問題として扱わず、家族も一緒に対応していくことが大切です。
ただし、ゲーム障害の原因を親子関係や家庭環境だけに求めることはできません。本人の特性や精神的な不調、学校生活、人間関係など、さまざまな要因が関係する可能性があります。
ここでは、ゲーム依存症が疑われる子どもに対して親ができることを解説します。
家庭で一緒に過ごす時間を作る
ゲーム以外にも、家庭で安心して過ごせる時間を作りましょう。
例えば、家族で食事をする、散歩に出かける、子どもの好きなことについて話すなど、負担なく一緒に過ごせる方法を取り入れます。
食事中は家族全員がスマートフォンを置くなど、子どもだけに制限を求めず、家族で共通のルールを作ることも選択肢です。ただし、会話や家族との活動を無理に強制せず、本人の気持ちや体調にも配慮しましょう。

子どもの意見に耳を傾ける
ゲーム依存症の子どもに親ができることとして、子どもの意見に耳を傾けることも重要です。頭ごなしに子どもの行動を否定してしまうと、さらなる家庭内の問題(暴力など)に発展し、より問題が深刻化するためです。
また、なぜ子どもがゲーム依存に陥ってしまっているのか、子どもの感情を理解することも重要なので、まずは対話を試みましょう。子どもの意見や納得を大事にして、遮らずにしっかり話を聞くことが重要です。
さらに、長期的にこのような姿勢で子どもと接して行くためには、家族自身にもある程度心の余裕が必要となるため、ストレスを家庭外でうまく発散することも重要です。
決めたルールを一貫して運用する
親子で決めたルールは、家族の中で一貫して運用することが大切です。
ただし、ルールを守れなかったことに対して強い罰を与えたり、感情的に叱ったりすると、対立が深まる可能性があります。
守れなかった理由を一緒に確認し、ルールが厳しすぎないか、終了時刻を知らせる工夫が必要ではないかなどを話し合いましょう。守れたときは、その行動を具体的に認めることも大切です。
ゲーム依存症の子どもにやってはいけないNG習慣
ゲーム依存症の子どもに対して、親の行動1つで良い方にも悪い方にも導けます。間違ってやってはいけない対応をしてしまうと、症状が悪化してしまう可能性もあるため、注意が必要です。
ここでは、ゲーム依存症の子どもにやってはいけないNG習慣を3つ紹介します。
ゲームの時間だけをご褒美にしない
勉強や家事をしたときのご褒美を、ゲーム時間の追加だけにすることは避けましょう。ゲームをすること自体が目的となり、ゲームへの関心がさらに強くなる可能性があります。
大切なのは、ゲーム時間によって子どもの行動をコントロールすることではなく、親子で決めたルールを無理なく続けられるようにすることです。
ルールを守れなかった場合も、すぐにゲームを取り上げたり罰を重くしたりせず、現在のルールが子どもの状態に合っているかを一緒に見直しましょう。
不用意にゲームを取り上げる
事前の説明なく、突然ゲーム機やスマートフォンを取り上げることは避けましょう。
ゲームが本人にとって友人との交流や安心できる居場所になっている場合、急に取り上げることで強い反発や親子間の対立につながることがあります。
利用を制限する場合は、理由や方法を事前に話し合い、ペアレンタルコントロールなども活用しながら段階的に進めましょう。
頭ごなしに否定しない
子どものゲーム利用を頭ごなしに否定することは避けましょう。
ゲームへの過度な没頭には、学校や家庭での悩み、友人関係、睡眠の問題、発達特性、精神的な不調など、さまざまな要因が関係している可能性があります。
「なぜやめられないのか」と責めるのではなく、ゲームが本人にとってどのような役割を持っているのかを一緒に考えることが大切です。背景に病気や強いストレスが疑われる場合は、専門機関へ相談しましょう。
もしかしたら起立性調節障害かも
子どもが夜遅くまでゲームをしていて、朝起きられない場合、生活リズムの乱れやゲーム障害だけでなく、病気が関係している可能性もあります。
朝起きられない原因の一つとして考えられるのが、起立性調節障害です。起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍数など、循環器系の調整がうまく働かず、さまざまな不調が現れる病気です。
主な症状には、朝起きられない、立ちくらみ、めまい、頭痛、倦怠感、吐き気などがあります。午前中に症状が強く、午後になると軽減する傾向がありますが、現れ方には個人差があります。
午後や夜に体調が良くなりゲームをしていると、「夜更かしが原因で朝起きられない」と思われることがあります。しかし、起立性調節障害による朝の不調が先にあり、生活リズムの乱れや夜間のゲーム利用につながっている可能性もあります。
ゲーム障害と起立性調節障害では、必要な対応が異なります。また、両方の問題が重なっている場合もあるため、ゲームの利用状況だけで判断しないことが大切です。
朝起きられない症状や立ちくらみ、頭痛、倦怠感などが気になる場合は、下記のセルフチェックを参考に症状を整理してみましょう。





