起立性調節障害とは

起立性低血圧の原因とは?ストレスが起因しているのか解説

2023年11月26日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

立ち上がった際にめまいや立ちくらみを経験された方は多いのではないでしょうか。立ちくらみの原因は様々ですが、起立性低血圧の状態になっていることが推測されます。

こちらの記事では、起立性低血圧の原因について年齢や性別、発症様式など様々な側面から考え解説していきます。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性低血圧の原因とは?ストレスが原因?

起立性低血圧は、立ち上がる際に血圧が十分に上がらず、または適切に維持されないことです。これは、特に急激な体位変化が伴う場合に現れることが多いです。

通常、座っている時、血液は下半身に流れやすくなり、下肢の血管に溜っていることが多いです。この状態から立ち上がる際、身体の適切な調整機構が働かないと心臓へ戻る血流、脳への血流が維持されず血圧が下がってしまいます。

適切な調節機構とは、交感神経の活性による下肢血管の収縮です。下肢の血管が収縮することで、血流が心臓へ戻り、脳への血流も保たれ、低血圧になることはなく、脳に適切な酸素と栄養が供給されるようになります。

しかし、何かしらの原因でこのプロセスがうまく機能せず、血圧が十分に上がらないか、あるいは維持されないため、血圧が下がり、脳に十分な血流が行かず、さまざまな症状が現れてしまうのが起立性低血圧の状態です。

体位の変換、血液量の低下、心臓や自律神経の問題、脱水、薬物などが原因として考えられています。自律神経の働きを乱すストレスも原因となることがあります。一般的には、本態性、症候性に分けて原因を考えることができます。

本態性によるもの

本態性起立性低血圧は、他の病気や状態に起因せず、単独で存在する状態を指します。特に高齢者に見られることがあり、全高齢者の約20%で発生するとも言われています。

年齢とともに、血管や心臓の弾力性が低下し、自律神経系の機能が低下することがあります。

血管の弾力性が低下すると、起立に対する心拍数増加や末梢血管収縮の反応が遅れてしまい、起立性低血圧の一因となります。

症候性によるもの

症候性起立性低血圧は、他の病気や状態に関連して発生する低血圧の状態です。以下、症候性起立性低血圧の主な原因について解説していきます。

神経疾患

特定の神経系の疾患が起立性低血圧の原因となることがあります。例えば、パーキンソン病、アミロイドーシスなどが挙げられます。

脱水

脱水になると、身体の血液量が不足し、起立時に血流が心臓に戻る量が減り、脳への血流が低下することから起立性低血圧の様々な症状が見られます。脱水は、嘔吐や下痢、発熱、水分摂取の不足などが原因で発生することがあります。

心臓疾患

心筋や弁に異常があり心臓の機能が低下する状態や、不整脈などがある場合には、心臓の収縮能力が低下し、血液が十分に送り出されないため、低血圧が発生することがあります。

血液量の減少

出血、外傷、重篤な疾患に伴う慢性的な損失などにより、血液量が減少すると、低血圧が発生することがあります。

自律神経失調症

自律神経が正常に機能しない状態から起立性低血圧を引き起こすことがあります。

これは糖尿病などの神経障害性疾患やストレス・生活習慣の乱れなどの自律神経の働きを乱す要素によって引き起こされることがあります。

薬物

特定の薬物により、血圧を低下させる副作用を引き起こす可能性があります。

例えば、降圧薬、利尿剤、抗不整脈薬、抗うつ薬などが挙げられます。これらの薬剤を使用中に起立性低血圧の症状が見られた場合には、薬剤の減量・中止など主治医と相談する方が良いでしょう。

急性・慢性によるもの

ここまで、本態性及び症候性低血圧の原因についてご説明してきましたが、症状の経過が急性か慢性かで分類し原因を考えることもできます。

急性の原因としては主に以下のものが挙げられます。

  • 血液量の減少
  • 副腎機能不全
  • 薬物

急性の原因としては主に以下のものが挙げられます。

  • 加齢
  • 自律神経機能障害

【年代別】起立性低血圧の原因

これまでご説明してきましたように、起立性低血圧の原因は様々です。別の疾患が原因で発症する症候性、特に別の疾患の関連がない本態性、経過によって急性、慢性に分類し様々な原因があることがわかりました。

次に、年代や性別によっても原因が異なるのかについて考えていきたいと思います。

以下に、一般的な起立性低血圧の原因を年代別に示しますが、個々の症状や状態には個人差がありますので、具体的な症状がある場合は医師と相談することをおすすめします。

若年層

<神経性因子>
自律神経系の異常が原因となることがあります。特に、交感神経が過剰に反応することが考えられます。特に思春期の子どもでは起立性調節障害という病気にも注意する必要があります。

<脱水>
水分摂取が不十分であることが低血圧を引き起こす可能性があります。夏場は特に注意してこまめに水分摂取を行う必要がありますが、年中通して気をつける必要があります。

中年層

<薬物副作用>
働き盛りの世代では、生活習慣病、メンタルヘルス異常が多く見られます。特定の薬物(降圧剤、抗うつ薬など)の副作用から低血圧を引き起こすことがあります。

<糖尿病>
血糖値の管理が不十分な場合、長年糖尿病を患っている場合、低血圧の原因となることがあります。

高齢者

<血管の硬化>
加齢に伴い、血管が硬くなり、柔軟性が失われることがあります。これにより起立性低血圧が起こりやすくなります。

<心臓の機能低下>
年齢とともに心臓のポンプ機能が低下することがあります。また、狭心症や大動脈弁狭窄症などの弁膜症も年齢とともに罹患率が増加します。これらの心臓の問題が低血圧を引き起こす要因となります。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

【子ども】起立性低血圧の原因

子どもの起立性低血圧の原因は、大人と同様にさまざまです。以下に、子どもの起立性低血圧の主な原因についてご説明します。

成長期の変化:

子どもには成長期という段階があり、その過程で身体もホルモンバランスも大きく変動し徐々に成熟していきます。この生理的な変化の過程で起立性低血圧につながることがあります。

成長に伴って心臓や血管の制御が安定するまで、低血圧が見られることがあります。代表的なものに起立性調節障害という病気があります。

脱水

子どもは大人に比べ体内に占める水分量が多く、特に小さい子どもでは体温調整がうまくできない場合もあり、大人よりも脱水に気をつける必要があります。

子どもは特に運動や暑い気候などで水分を失いやすいため、脱水が起立性低血圧の原因となることがあります。こまめな水分補給が非常に重要です。

先天性の心臓や血管の異常

まれに、先天的に心臓や血管の構造に異常があるため、低血圧が発生することがあります。

貧血

鉄欠乏性貧血などの貧血が子どもに見られる場合、低血圧が起こることがあります。成

長期の子どもは鉄分の必要量が多く、特に女子では月経の影響もあるため、鉄分を失いやすい状況にあります。バランスのとれた食事の中に積極的に鉄分を取り入れましょう。

ストレスや不足栄養

子どもがストレスを感じていたり、栄養が不足すると、低血圧が発生することがあります。

【大人】起立性低血圧の原因

大人の場合、仕事、家事などで忙しく、ついつい食事や睡眠が乱れ、生活習慣の乱れから自律神経の調子を崩し起立性低血圧を起こすこともありますが、

子どもの起立性低血圧の原因に比べ、大人では起立性低血圧の原因は症候性であることが多く、背景に別の疾患がないか精査を行う必要があります。

貧血や内臓疾患、不整脈などの心疾患や生活習慣病、神経疾患などがないか医療機関を受診しチェックをする方が良いでしょう。

【性別毎】起立性低血圧の原因

最後に、性別の違いで起立性低血圧の原因に違いがあるのかについて解説していきます。性別の違いでポイントになるのは、女性におけるホルモンバランス、月経と妊娠出産です。

ホルモンの変化

特に女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの変動が、血圧に影響を与えることがあります。これは生理周期や妊娠などで変動します。

月経

月経に伴う出血により、女性は一時的に血液量が減少することがあります。経血量が多い場合、鉄欠乏性貧血になることもあり、これが起立性低血圧を引き起こす原因となることがあります。

妊娠

妊娠中、体液量が増加し、子宮が大きくなることによって大血管に圧迫がかかり、低血圧が発生することがあります。これは通常、妊娠初期から中期にかけて最も顕著になります。

起立性低血圧を治すには自律神経を整えることが重要

起立性低血圧を治療する際に、自律神経を整えることが一つのアプローチとして考えられます。自律神経は、心臓の動き、血圧、呼吸、消化など、身体の様々な機能を調節する重要な役割を果たしています。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、これらがバランスよく働くことが重要です。自律神経を整える方法は一般的に下記の方法があります。

体位の工夫

立ち上がる際に、急激な血圧の低下を防ぐために、ゆっくり立ち上がることが重要です。

適切な塩分・水分の摂取

血管内の容量を保持するためには、塩分と水分を適切に摂取することが必要です。脱水にならないよう注意しましょう。

適切な運動

適度な運動は自律神経のバランスを改善し、全体的な健康を促進します。ただし、過度な運動は逆に低血圧を引き起こすことがあるため、適度な量で行うことが重要です。

規則正しい食事

身体に適切な栄養を提供し、食事を規則正しく摂ることが自律神経の調節に役立つことがあります。

深呼吸やリラクセーション法

ストレスや不安が自律神経に悪影響を与えることがあります。深呼吸やリラクセーション法を取り入れることで、自律神経のバランスを整えることが期待されます。

自律神経を整えるには乳酸菌を効率良く摂取しましょう

自律神経を整えるためには様々な方法があります。生活習慣、食生活、睡眠などに関連した様々な要素を見直し整えることが重要ですが、乳酸菌を適切に摂取することも自律神経を整えるために取り入れても良いかもしれません。

乳酸菌を摂取することで身体に様々な良い影響を及ぼすことが近年研究されています。一般的に、乳酸菌は腸内細菌を整える働きがありますが、腸と脳には関連性があり、腸内細菌叢の調整が自律神経の調整に良い影響を与える可能性があることが研究で示されています。

以下の記事では、乳酸菌を効率良く摂取する方法についてご紹介しておりますので、是非ご一読ください。

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【参考文献】
J-Stage

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

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