眠れないことは誰しも経験がある症状の一つですが、眠れない状態が続くと体調不良にもつながってしまうので、心配になることも多いと思います。
日中の活動に影響が見られると、睡眠薬に頼ってみたいと考える方も多いのではないでしょうか。本記事では、不眠症に対して使用する睡眠薬についてご紹介したいと思います。
不眠症に効果的な薬
不眠症には4つのタイプがあり、それぞれのタイプに応じて医師は睡眠薬を処方しています。
- 入眠困難(ベットに入ってから寝付くまでに時間がかかる)
- 中途覚醒(睡眠中に何度も目が覚めてしまう)
- 早朝覚醒(朝方早く目が覚めて、以降はなかなか眠れない)
- 熟眠障害(眠りが浅く、熟眠感がない)
睡眠薬にも種類があり、大きく3種類に分けることができます。
- GABA受容体作動薬(ベンゾジアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)
- メラトニン受容体作動薬
- オレキシン受容体拮抗薬
GABA受容体作動薬は作用時間により使い分けることができます。作用時間が短いものは寝つきが悪い、すなわち入眠困難の方に用いられます。副作用の心配をすることはほとんどなく、国内でもよく使用されている睡眠薬です。作用時間が長ければ長い程、薬が体内に長時間残ってしまい副作用が見られやすくなります。
メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬は比較的副作用を心配する必要がなく使用することができるお薬です。
具体的な睡眠薬の種類について、詳しく解説していきます。
マイスリー
<効果>
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類されます。作用するまでの時間が短く、作用時間も短いため、身体に残りにくく、副作用、依存性が付きにくい睡眠薬です。入眠困難によく処方される薬です。
<副作用>
ふらつき、眠気、頭痛、残眠感、頭重感、めまい、不安、悪夢、気分高揚、白血球増多、白血球減少など。
<こんな方におすすめ>
ベットに入ってから寝付くまでに時間がかかる方に効果があります。
デパス
<効果>
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬です。即効性が強く、抗不安作用、催眠作用も強いため、依存性や副作用にも注意が必要です。
<副作用>
ふらつき、眠気、倦怠感、脱力感、発疹、じん麻疹、かゆみ、紅斑など。
<こんな方におすすめ>
不安や緊張が強い方。入眠困難だけではなく、睡眠中に何度も目が覚めてしまう中途覚醒にも効果的です。
ユーロジン
<効果>
ベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類され、中時間作用型であるため入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒にも効果が期待できます。作用時間が長い分、翌朝まで身体に残り眠気が見られることがあります。特に高齢者では転倒などに注意が必要です。
<副作用>
ふらつき、眠気、倦怠感、めまい、頭痛、頭がぼーっとするなど。
<こんな方におすすめ>
寝つきが悪い、途中で目が覚める、朝方も目が覚め全く眠れない方に効果的ですが、副作用に注意が必要です。
ロゼレム
<効果>
メラトニン受容体作動薬に分類される新しい睡眠薬です。体内時計のリズムを整えることで自然に眠気を強くする効果があります。自然な入院を促すため、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡できないなどに効果的です。
<副作用>
めまい、頭痛、眠気、発疹、便秘、悪心、倦怠感、悪夢など。
<こんな方におすすめ>
途中で目が覚め、熟睡できない方におすすめです。効果が見られるのに時間がかかることもあり、数週間継続して使用してみることがおすすめです。
ベルソムラ
<効果>
オレキシン受容体拮抗薬に分類される新しい睡眠薬です。覚醒を維持するのに必要なオレキシンという物質を阻害することで睡眠を維持させる効果があります。依存性が極めて少ないことも良い点です。
<副作用>
眠気、頭痛、疲労、悪夢、異常な夢など。
<こんな方におすすめ>
途中で目が覚め、熟睡できない方におすすめです。
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市販で購入できる不眠症におすすめの薬
医療機関で処方される睡眠薬とは異なり、市販のお薬は睡眠改善薬と呼ばれます。
抗アレルギー薬の副作用としての眠気を睡眠改善薬に使用しており、睡眠薬より効果が下がることが考えられますが、医療機関を受診する時間がなく、少し試したい場合に手軽に試すことができます。
柴胡加竜骨牡蠣湯
<効果>
ストレスやイライラが原因で寝付けない場合、気をめぐらせ心を落ち着けかせることで睡眠を促す効果があります。
<副作用>
過敏症、発疹、発赤、そう痒、蕁麻疹、食欲不振、胃部不快感、腹痛、下痢など。
<こんな方におすすめ>
ストレスなどでイライラする不眠症の方におすすめです。
加味帰脾湯
<効果>
不安や焦りで眠りが浅い場合、めぐりが悪くなっている身体の気や血を補うことで心身を落ち着かせ睡眠を促す効果があります。
<副作用>
腹痛、下痢、過敏症、発疹、蕁麻疹、食欲不振、胃部不快感、悪心など。
<こんな方におすすめ>
心身ともに疲れやすく眠りが浅い方におすすめです。
ネオデイ
<効果>
抗アレルギー成分であるジフェンヒドラミン塩酸塩を主成分としており、抗アレルギー薬の副作用による眠気が見られます。
<副作用>
他の抗ヒスタミン剤を含有する風邪薬や鼻炎などの薬を一緒に摂取すると、抗ヒスタミン剤が過剰となり、口喝、吐き気、便秘などの副作用が見られることがあります。また、アルコール摂取は薬効を増強することがあり、控える方が良いでしょう。
<こんな方におすすめ>
寝つきが悪く、眠りが浅い方におすすめです。
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不眠症と思っていたら起立性調節障害の場合もある
不眠症を来す病気には起立性調節障害という病気がありますが、ご存じでしょうか。
この病気は中学生~高校生の思春期によく見られる病気の一つであり、睡眠にも支障を来します。起立性調節障害は自律神経である交感神経と副交感神経の調整のバランスが崩れることで様々な症状がみられる病気です。
典型的には、朝起き上がれない、午前中は頭痛やめまい、ふらつき、全身倦怠感などの様々な症状が見られ調子が悪く、午後にかけて次第に症状が改善します。
午前中は集中力や注意力が散漫で、ベッド上やソファーで横になっている様々な症状が見られ体調不良であることが多く、午後には症状は改善していき、逆に夜就寝時間になっても眠気が見られず、夜更かしをしてしまう状態になります。
この様に、起立性調節障害は睡眠の質やリズム障害を来します。子どもに多い病気ではありますが、大人でも見られることがあり注意が必要です。
眠れない以外にも、体調不良が続いている場合、早めに医療機関を受診することをおすすめします。以下の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについてご紹介しております。是非一度ご覧ください。
>>起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト
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関連記事:不眠症は何科を受診すべき?内科でもいいのか解説|病院に行くタイミングも紹介
関連記事:不眠症の症状とは?チェック方法やうつ病との関連性を解説
【参考文献】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
不眠症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン