起立性調節障害とは

起立性調節障害と過眠症の関係性|併発する可能性を解説

2023年6月2日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

起立性調節障害の原因は自律神経にありますが、自律神経は体の多くの代謝活動を調整しています。

自律神経は睡眠、覚醒の調整にも関わっているため、起立性調節障害の子どもは睡眠障害を合併することが多いと言われています。

こちらの記事では、起立性調節障害と睡眠障害、特に過眠症との関係について解説していきます。

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起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性調節障害は過眠症が原因?

過眠症とは、十分な睡眠をとったにも関わらず、日中耐え難い眠気に襲われ、起きているこが困難な状態を言います。

過眠症の原因については以下のように分類できると考えます。

  • 睡眠不足
  • 睡眠の質の低下:睡眠に適していない環境(照明、温度、湿度など)や寝具、睡眠前の食事摂取やカフェイン・アルコール摂取
  • 精神的ストレスや精神疾患:うつ病や双極性障害などがあります。
  • 身体疾患:感染症や甲状腺機能低下症、脳血管疾患など多くの病気があります。
  • 中枢性過眠症:脳の異常に伴う過眠症でナルコレプシーなどがあります。

自律神経は私たちの睡眠と覚醒のリズムを調整しています。睡眠中は副交感神経が優位に働き体を休め、朝方交感神経へ活性がスイッチされ覚醒します。

自律神経のバランスが乱れることが、睡眠障害を招き、また起立性調節障害の原因にもなります。

起立性調節障害の子どもは、本来副交感神経が優位に働き入眠へ導く夜間も交感神経の働きが大きいため眠ることができず、睡眠相後退型の睡眠リズム障害を合併することが多いです。

起立性調節障害の原因

起立性調節障害は、自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることでめまいやふらつき、たちくらみ、頭痛、腹痛など様々な症状を来す病気です。体が大きく成長し、ホルモンの変動が大きい思春期に多くみられます。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

一般的に、私たちは朝起床頃より交感神経が優位になり、午後になると徐々に副交感神経の割合が増加していき、夜間には交感神経の働きは弱くなり、就寝が近くなる頃には副交感神経が優位に働き、睡眠中体を休めます。

起立性調節障害の子どもはストレスやその他何らかの原因で交感神経と副交感神経の働きのバランスに不具合が生じ、適切に神経をスイッチすることができないため、色々な症状に悩まされます。

特に、朝は活性化されるべき交感神経がうまく活性化されないために体はなかなか覚醒状態にはなりません。したがって、起き上がることができず、起きたあともめまいやふらつき、頭痛、吐き気など体調不良が続きます。

時間とともに症状は和らぎ、午後からの活動は特に問題ないことが多いです。

起立性調節障害の原因の詳細につきましては、下記記事でも解説をしておりますので是非参考にしてみてください。

起立性調節障害で過眠症が併発する可能性

上記でも少しお話しましたが、起立性調節障害の子どもは特に睡眠相後退型の睡眠リズム障害を合併することが多いと言われています。

睡眠覚醒リズム障害で困っている人の中で、起立性調節障害がある割合は57.9%であり、20歳未満になると合併率が70%との報告もあります。この報告からもわかるように起立性調節障害と睡眠障害は深い関係があることがわかります。

起床時間に交感神経の活性が追い付かず、朝起きることができない、また、夜は副交感神経の活性が遅れなかなか眠たくならない状態になります。

そのため、スマホ操作をしたりテレビをみて過ごすことでより睡眠相が後退し、睡眠リズムの乱れ、昼夜逆転傾向になってしまいます。睡眠の質が低下してしまい、結果的に過眠症になってしまいます。

睡眠障害により体を休養させることができずさらに自律神経の調節に乱れが生じ、結果的に起立性調節障害が悪化する悪循環に陥ってしまいます。起立性調節障害を適切に治療、コントロールし、睡眠の見直しを行うことでこの悪循環を打ち切ることが重要です。

起立性調節障害の治療方法については薬物療法と非薬物療法があります。起立性調節障害の治し方の詳細は下記の記事でご紹介していますので、是非一度お読みになってください。

【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
毛受矩子, 青年期における起立性調節障害と睡眠との関連 四天王寺大学紀要49,247-263,2010-03

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