自律神経失調症は自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、だるさや腹痛、頭痛など様々な症状がみられる病気です。
症状を改善させるには、生活習慣を見直しも重要であり、栄養面のサポートも非常に大切になります。こちらの記事では、栄養の観点からみた自律神経失調症について、特に摂取を控えたい栄養素を中心に解説していきます。
◆自律神経失調症とは?治し方や原因、症状、セルフチェックについて解説
自律神経失調症で控えるべき栄養素
特に摂取を控えたい栄養素は、糖質です。糖質を摂取すると血糖値が上昇するため、体内では血糖値を下げるためのホルモンが多く分泌され、血糖値が急激に低下する方向に働きます。
急激な血糖の低下は、動脈硬化など血管への負担になる他、血圧の低下も招きます。結果的に、心臓や脳への血流が低下し、ふらつきなどの症状が見られることがあります。
しかし、糖質は3大栄養素の1つであり、私たちにとって重要な栄養素であることには間違いありません。脳は他の臓器と異なり、糖質を利用することでしかエネルギーを産生することができないため、適切な糖質の摂取は必要です。
したがって、主食として摂取するお米などの糖質は大きく制限する必要はなく、間食で摂取するお菓子類などを控えるようにしましょう。お菓子類は小麦粉や砂糖が多く使われているため、急激に血糖値を上げる危険性があります。
甘くないスナック菓子やお煎餅にも糖質が含まれているので、避けた方がいいでしょう。3食をバランスよく、しっかり摂取することで間食も減るので、3回の食事を糖質も含めしっかり摂取することを意識するよう心がけましょう。
◆自律神経失調症は何科?症状別に解説-早期治療で症状悪化を防ぎましょう
自律神経失調症で食べてはいけないもの
自律神経失調症の場合、食べてはいけない食べ物を紹介します。
パン
糖質が非常に多く含まれ、血糖値の急激な上昇が予想されます。
特にチョコレートやカスタードクリーム、砂糖を多く使用している菓子パンは特に注意が必要です。
麺類
こちらも糖質が多く含まれていますが、主食として適切な量以上を摂取する際には注意が必要です。
のど越しも良くスルリと食べてしまうことができるために、摂取が過剰になりがちなため注意してみてください。
ファーストフード
糖質や塩分、カロリーなどすべてにおいて過剰になってしまうことが多く、栄養バランスも偏ってしまいがちです。
時々であれば問題ありませんが、頻繁にならないよう注意が必要です。
スナック菓子・甘いお菓子
菓子パン同様に糖質が過剰になってしまいます。
少しの量でも糖質、カロリーは多いですし、一度食べるとなかなか止められず、気が付いたら1袋食べてしまったということも多いので注意が必要です。
自律神経失調症はお酒やタバコも控えるべき?
飲酒は血管を拡張させる働きがあります。血管が拡張することで血圧は下がりやすくなってしまい、結果的に心臓や脳への血流が低下しやすくなってしまいます。また、睡眠前のアルコール摂取は睡眠へ悪影響を及ぼします。睡眠障害により自律神経失調症は更に悪化してしまう可能性があります。
喫煙は肺への影響のみならず、血管への影響もとても大きく見られます。喫煙により、心臓や脳の血管が収縮することで、心臓や脳への血流が低下し、めまいやふらつき、胸の痛みなどの症状が見られます。
飲酒も喫煙も自律神経失調症の症状を悪化させてしまうことが考えられるため控えることをおすすめします。
自律神経失調症におすすめの食べ物
特に摂取すべき栄養素について解説していきます。
タンパク質
臓器や筋肉、爪、髪の毛、体内で生成されるホルモンや酵素などはすべてタンパク質から作られています。
タンパク質を適切に摂取することで、ケガや病気からの回復も早まり、疲労回復にもつながります。しらすやいわし、牛肉などに多く含まれています。
鉄分
血液の中には、赤血球という赤い血の成分の一つがあり、赤血球は全身に酸素を運搬する働きがあるヘモグロビンにより構成されています。
ヘモグロビンは鉄とタンパク質により作られているため、鉄分が低下することで、ヘモグロビンの濃度が低下したり、ヘモグロビンの構造に異常が見られると全身に酸素を運搬することができなくなり、ふらつき、だるさ、集中力の低下など様々な症状が見られ、これを貧血と呼びます。鉄はレバーやパセリ、卵の黄身などに多く含まれています。
亜鉛
エネルギー代謝や免疫反応など体内の様々な代謝活動をサポートしています。
タンパク質とともに摂取することで全身の代謝活動がより活性化されます。不足することで貧血になることもあるため注意が必要です。牡蛎、レバーや牛肉などに多く含まれています。
カルシウム
健康な骨や歯の維持に重要です。心臓などの筋肉にも影響するため、カルシウムが不足することで手足のだるさやつりなどが出現します。
桜エビやチーズ、いかなごなどに多く含まれています。
ビタミンB1
ビタミンB1は糖の代謝に重要な働きをしており、不足するとブドウ糖から十分にエネルギーを産生できなくなり、食欲不振、だるさなどの症状が現れます。
また、脳はブドウ糖をエネルギー源としているため、ビタミンB1が不足するとエネルギーが不足し、脳や神経に障害を起こします。玄米や納豆、豚肉に多く含まれています。
自律神経失調症の改善がみられない場合の対応方法
自律神経のバランスは生活習慣の乱れやストレスで崩れやすいので、生活習慣の見直し、ストレスを溜め込まないことが重要です。生活習慣の見直しとしては、食事、睡眠への介入が必要です。
食事
- バランスのとれた食事の摂取
- 積極的に摂取したほうが良い食物と摂取を控えた方が良い食べ物
- 食事の時間を決め、1日3回食事をとる
- 朝食は抜けてしまいがちだが、摂取を心がける
- 夕食は睡眠の2時間前までには摂取しておく
睡眠
- 十分な睡眠時間をとる
- 睡眠環境(あかり、温度、寝具など)
- 睡眠前の飲食、飲酒などは控える
以上を確認し、改善させても症状が改善しない場合は一度医療機関受診をおすすめします。
関連記事:自律神経失調症には乳酸菌が重要!効率良く乳酸菌を摂取する方法を解説
◆自律神経失調症が治ったきっかけ-子どもから大人まで5事例紹介
もしかしたら起立性調節障害の可能性も
同じように自律神経のバランスが乱れることが原因になる病気に起立性調節障害というものがあります。
起立性調節障害とは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで様々な症状が見られ、自律神経失調症の一種とも考えられています。中学生前後の思春期頃に好発し、ホルモンバランスの変化や体の急激な成長に伴う身体疾患です。両者で症状自体に大きな違いは見られにくく、共通した症状も多く、非常に似通った状態です。
起立性調節障害の特徴としては、特に急激な体位の変動時に循環動態が変化することで症状が見られやすいため、早朝起床時、長時間の座位から急に立ち上がる際に、めまいや立ちくらみなどの症状が見られやすいです。
中学生前後の思春期頃に好発し、ホルモンバランスの変化や体の急激な成長に伴う身体疾患でるため、中学生や高校生のお子さんが朝起き上がることができない、午前中は特に調子が悪い、というような場合は、起立性調節障害の可能性が高いです。
下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。
◆起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト
◆自律神経失調症が漢方で治った方の事例|子どもから大人まで6事例紹介
【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
自律神経失調症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
日本臨床内科医会(自律神経失調症)