- 「頭が気持ち悪い」
- 「なんとなく気分が悪い」
子どもからこんな言葉を聞くと、熱もないし様子を見ていいのかな、と迷ってしまう保護者の方は多いのではないでしょうか。
見た目には元気そうでも、朝になるとつらそうにしていたり、立ち上がるとフラッとしたり、学校に行く前になると不調を訴えたりすることもあります。原因がはっきりしない体調不良は、周囲から理解されにくく、子ども自身も「どう説明したらいいか分からない」と戸惑っていることがあります。
こうした不調の背景には、生活リズムの乱れやストレス、成長期特有の体の変化など、さまざまな要因が関係しています。なかには、自律神経の働きが不安定になることで起こる体調不良が隠れていることもあります。
この記事では、「頭が気持ち悪い」と訴える子どもにどんな理由が考えられるのか、家庭でできる対処法や受診の目安まで、分かりやすく解説します。
子どもが「頭が気持ち悪い」と感じる主な原因
子どもが「頭が気持ち悪い」と感じる主な原因を5つ解説します。
自律神経の乱れによる体調不良
子どもが「頭が気持ち悪い」「ぼーっとする」と感じる原因のひとつに、自律神経の乱れがあります。自律神経は血圧や心拍、体温調節などを無意識にコントロールしていますが、成長期はこの働きが不安定になりやすく、体の調整がうまくいかないことがあります。
その結果、頭が重い、気持ち悪い、立っているのがつらいといった症状が出ることがあります。こうした状態が続く場合、成長期の子どもに多い「起立性調節障害」と関連していることもあります。朝に弱い、午前中に調子が悪いなどの特徴が重なる場合は、体質や生活リズムも含めて見直すことが大切です。
血圧低下や血流変化による影響
急に立ち上がったときに「クラッとする」「頭が気持ち悪い」と感じる場合、血圧の低下や脳への血流の一時的な変化が関係していることがあります。
重力の影響で血液が下半身にたまり、脳への血流が一瞬少なくなることで、ぼーっとしたり、気分が悪くなったりすることがあります。横になると楽になるのが特徴で、しばらく休むと回復することも多いです。
こうした血圧低下や血流の変化は、自律神経の働きが不安定なときに起こりやすく、成長期の子どもでは特に目立つことがあります。水分不足や睡眠不足があると起こりやすくなる点にも注意が必要です。
睡眠不足・生活リズムの乱れ
睡眠不足や夜更かし、休日と平日の生活リズムのズレは、子どもの体調に大きく影響します。十分な睡眠が取れていないと、自律神経のバランスが崩れやすくなり、朝起きたときに「頭が気持ち悪い」「ぼーっとする」と感じやすくなります。
特にスマホやゲームの使用時間が長いと、寝つきが悪くなり、睡眠の質も低下しがちです。また、朝食を抜く習慣があると、血糖値の変動や脱水の影響で不調を感じることもあります。
生活リズムの乱れは一時的な不調だけでなく、慢性的な体調不良につながることもあるため、就寝・起床時間を整えることが大切です。
ストレスや他の環境変化による影響
学校での人間関係、勉強のプレッシャー、習い事の忙しさ、クラス替えなどの環境変化は、子どもにとって大きなストレスになります。ストレスが続くと自律神経のバランスが乱れ、頭が重い、気持ち悪い、なんとなく調子が悪いといった体の不調として現れることがあります。
本人は「理由がわからないけど気持ち悪い」と感じていることも多く、周囲が気づきにくい場合もあります。
体調不良が登校前や特定の場面で強く出る場合は、心と体の両面からのサポートが大切です。無理に頑張らせず、安心して話せる環境づくりが回復への第一歩になります。
貧血など他の体調不良が関係する可能性
「頭が気持ち悪い」という訴えの背景に、貧血や脱水、感染症などの体調不良が隠れていることもあります。貧血があると、脳への酸素供給が不足しやすくなり、立ちくらみやだるさ、気分不良を伴うことがあります。
顔色が悪い、疲れやすい、動くとつらそうといった様子が見られる場合は注意が必要です。食事量が少ない、偏食がある成長期の子どもでは、栄養不足が関係することもあります。
こうした症状が続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、自己判断せず医師に相談し、必要に応じて検査を受けることが大切です。
子どもが「頭が気持ち悪い」と訴えたときの対処法
子どもが「頭が気持ち悪い」と訴えたときの対処法を5つ解説します。
無理をさせずに体を休ませる
子どもが「頭が気持ち悪い」と訴えたときは、まず無理をさせず、楽な姿勢で休ませてあげることが大切です。無理に登校や活動を続けさせると、症状が悪化して回復に時間がかかることがあります。横になったり、静かな場所でしばらく過ごしたりするだけで楽になるケースも少なくありません。
特に起床直後や立ち上がった直後に症状が出る場合は、急がせず、体が落ち着くのを待つ姿勢が重要です。「気のせい」「甘え」と決めつけず、つらさを受け止めることで、子ども自身も安心しやすくなります。
水分をとり、体調の変化を落ち着かせる
起床後や「気持ち悪い」と感じたときには、少量ずつこまめに水分をとらせましょう。脱水気味になると血圧が下がりやすく、頭がぼーっとしたり不快感が強く出ることがあります。コップ1杯を一気に飲ませるよりも、少しずつ分けて飲む方が体に負担がかかりにくいです。
水やお茶などを基本にし、甘い飲料のとりすぎには注意しましょう。糖分が多い飲み物は一時的に元気が出たように感じても、その後だるさや気分不良につながることがあります。日頃から水分摂取の習慣をつけることも予防につながります。
朝の過ごし方を見直し、無理のないペースにする
朝は体が目覚めきっておらず、「頭が気持ち悪い」と感じやすい時間帯です。登校準備を急がせすぎず、少し余裕をもったスケジュールにしてあげることで、症状が軽くなることがあります。起きてすぐに立ち上がらず、ベッドや布団の上でしばらく座ってから動くなど、体を慣らす工夫も有効です。
また、どの時間帯に症状が出やすいのかを把握しておくと、無理のない対応がしやすくなります。毎朝つらそうな様子が続く場合は、体質や生活リズムの影響も考え、専門医への相談も検討しましょう。
睡眠や生活リズムを整える
夜更かしや寝不足が続くと、自律神経のバランスが乱れ、「頭が気持ち悪い」「朝から調子が悪い」といった不調が起こりやすくなります。できるだけ決まった時間に寝起きする習慣をつくり、睡眠時間を確保することが大切です。
寝る直前までゲームやスマホを使っていると、脳が興奮したままになり、寝つきや睡眠の質が低下します。使用時間や時間帯について親子でルールを決めるのも一案です。生活リズムを整えることは、症状の改善だけでなく、再発予防にもつながる基本的な対策です。
体調の変化を記録し、様子を見守る
「いつ」「どんなときに」「どのくらいの強さで」頭の気持ち悪さが出たのかを簡単にメモしておくと、体調の傾向が見えやすくなります。朝に多いのか、立ち上がったときに出やすいのか、学校のある日に強いのかなどを把握できると、対処のヒントになります。
症状が軽い日は無理をさせず見守り、つらそうな日が続く場合は医療機関への相談も検討しましょう。記録は受診時に医師へ伝える材料にもなり、より適切なアドバイスや診断につながるため、必ず持参しましょう。
子どもが「頭が気持ち悪い」と訴えるときの受診目安
子どもが「頭が気持ち悪い」と訴えるときの受診目安を5つ解説します。
症例が数週間以上続いている場合
「頭が気持ち悪い」という訴えが一時的でなく、数週間以上続いている場合は、一度医療機関で相談することをおすすめします。成長期の子どもでは体調に波が出ることもありますが、長く続く不調の背景には、自律神経の乱れや起立性調節障害、貧血、生活リズムの乱れなどが隠れていることがあります。
本人はつらさに慣れて我慢していることもあり、周囲が気づきにくいケースも少なくありません。「そのうち良くなるだろう」と様子を見続けるより、早めに原因の目安をつけてもらうことで、生活面の工夫や必要な治療につなげやすくなります。
日常生活や学校生活に支障が出ている場合
頭の気持ち悪さのために朝起きられない、登校がつらい、授業に集中できないなど、日常生活や学校生活に影響が出ている場合は受診の目安です。「怠けているように見える」と誤解されやすい一方で、実際には体の不調が背景にあることも多く、本人の努力だけでは改善しにくいことがあります。
特に午前中に症状が強く、午後になると少し楽になる場合は、自律神経の問題や起立性調節障害が関係していることもあります。早めに相談することで、学校との連携や生活調整など、環境面のサポートも受けやすくなります。
立ちくらみ・動悸・強いだるさを伴う場合
「頭が気持ち悪い」という症状に加えて、立ちくらみ、動悸、強いだるさなどを伴う場合は、体の循環調整がうまくいっていない可能性があります。立ち上がったときにクラッとする、心臓がドキドキする、横になると楽になるといった特徴があれば、自律神経の不調や起立性調節障害が疑われることもあります。
また、まれに心臓や肺の病気であることもあります。これらの症状が頻繁に起こる場合や、日常生活に支障をきたしている場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。
発熱や強い痛み、しびれなど別の症状がある場合
頭の気持ち悪さに加えて、発熱、強い頭痛、嘔吐、手足のしびれ、片側の力が入りにくいなどの症状がある場合は、早めの受診が必要です。これらは感染症や脱水、まれに神経系の病気など、緊急性のある状態のサインであることもあります。
特に急に症状が強く出た場合や、いつもと様子が明らかに違う場合は、様子見せず医療機関に相談してください。
受診する場合の診療科と伝え方のポイント
まずは小児科の受診が基本です。年齢や症状によっては内科や循環器科、精神科の評価につながることもあります。受診時は「いつから」「どんな場面で」「どのくらいの頻度で」頭が気持ち悪くなるのか、立ちくらみや動悸、朝のつらさの有無などを具体的に伝えると診察がスムーズです。
可能であれば、体調の記録や生活リズム(睡眠時間、水分量、朝の様子)も伝えましょう。こうした情報は、起立性調節障害などの可能性を含めた適切な判断につながります。記録したものがあれば持参するとよいでしょう。
「頭が気持ち悪い」症状で悩んだ子供の体験談と改善例
「頭が気持ち悪い」症状で悩んだ子供の体験談と改善例を3つ紹介します。
小学校1年生男子|生活リズムの見直しで改善した事例
小1の男の子。夜はテレビやタブレットを見て22時頃就寝、朝食は食欲がなく牛乳だけの日も。
朝になると「頭が変」「なんか気持ち悪い」と訴えるが、うまく言葉にできず、発熱や頭痛もないため様子見が続いた。
早寝早起き、起床後に少量の水分、朝食を一口でも取る工夫を開始。最初は嫌がったが、徐々に朝の不調が軽減。
小児科に相談し「生活リズムの乱れが影響」と説明を受け、無理のない登校を継続。学校にも朝の配慮を相談し、2週間ほどで「気持ち悪い」と言う回数が減少した。家族も夜の過ごし方を見直し、今も就寝時間を守る習慣を継続している。
小学校5年生女子|環境変化による一時的な体調不良だった事例
小5の女の子。新学期、新しいクラスでの人間関係に緊張していた。部活はしておらず、電車で通学している。夜は考えごとで寝つきが悪くなることがあった。
新学期の朝に「頭が気持ち悪い」「学校に行く前が一番つらい」と訴えるようになったが、休日は比較的元気な様子だった。朝の準備を急かさず、登校前に少し休む時間を確保した。無理な登校は避けたが、欠席が増えて親は不安になった。
小児科で「環境変化による一時的な体調不良の可能性」と説明され、学校とも連携し、保健室で休めるよう配慮してもらった。クラスに慣れるにつれ症状は自然に軽減した。本人も不安を言葉にできるようになり、家庭での声かけを今も続けている。
中学校2年生男子|受診をきっかけに起立性調節障害と分かった事例
中2の男の子。部活で帰宅が遅く、就寝は23時過ぎ。朝食は食べない日も多く、徒歩通学している。やせ型でもともと体質的にも朝が弱い。
朝に「頭が気持ち悪い」「立つとクラクラする」と訴え、欠席が増加し、親は怠けではと悩んだ。
早寝を試みたが部活で難しく、朝の不調は改善しなかった。水分摂取や声かけも効果は限定的だった。小児科受診で起立性調節障害と診断され、生活指導と学校への配慮依頼、段階的登校を実施した。
徐々に朝の不調が軽減し、本人も「病気と分かって安心した」と前向きに。現在も睡眠・水分管理を継続している。
もしかしたら起立性調節障害かも
「頭が気持ち悪い」「朝がつらい」「立ち上がるとクラッとする」といった不調が続く場合、もしかすると起立性調節障害(OD)が関係しているかもしれません。
ODは成長期の子どもに多く、自律神経の働きが不安定になることで、血圧や心拍の調整がうまくいかず、朝に体調が悪くなりやすいのが特徴です。見た目では元気そうに見えるため、「怠けているのでは」と誤解されがちですが、本人はつらさを我慢していることも少なくありません。
生活リズムの見直しや水分摂取などで楽になることもありますが、症状が続く場合は小児科などで相談してみてください。原因が分かるだけでも、親子ともに気持ちが楽になり、無理のない関わり方や学校での配慮につながります。困ったときは、ひとりで抱え込まず、医療の力も上手に頼ってください。
気になる症状がある場合は、まずセルフチェックをすることをおすすめします。
下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて記載していますので、是非ご一読ください。





