- しっかり寝ているはずなのに一日中眠い
- 体は疲れていないはずなのに、なぜかだるい
このような症状にお悩みの方も少なくないでしょう。
日中の眠気や倦怠感は、子どもであれば学業に、大人であれば仕事に支障をきたすため、早急に改善すべき問題です。多くの場合、自分自身での生活習慣の改善によって症状を改善できますが、中には何らかの病気を抱えている可能性もあるため、注意が必要です。
病気の種類によっては命に関わる危険性もあるため、まずは自分の眠気やだるさの原因がなんなのかを把握し、早急に適切な対処を取れるようにしておく必要があります。
この記事では、一日中眠い ・だるい場合の原因や対処法、考えられる病気について詳しく解説します。ぜひ、適切に対処して快活な日常を取り戻しましょう!
一日中眠い ・だるいのはなぜ?原因を解説
風邪や腸炎などによって一日中眠い ・だるい場合は、原因がはっきりしているため問題ありませんが、特に原因がわからずに一日中眠い ・だるい状態が一定期間継続する場合は、食事や睡眠などの生活習慣が乱れている可能性があります。
ここではよくある原因を3つ紹介します。
睡眠の質や量が低下している
一日中眠い ・だるい場合、睡眠の質や量が低下している可能性が高いです。睡眠の質や量が低下してしまうと、身体や脳が十分に休息することができず、疲労が解消しきれないために日中の眠気や倦怠感につながります。
睡眠の量(睡眠時間)の低下については、自分自身の睡眠を記録することで客観的に把握することができますが、睡眠の質の低下については実感しにくいため、注意が必要です。
例えば、睡眠中に家族やパートナーのいびきがうるさい、カーテンがなく遮光できない、近所の工事で振動が伝わるなど、睡眠中の音や光・振動の刺激は、睡眠の質を低下させる原因です。
他にも、高温多湿・寒冷乾燥な寝室や、硬すぎるマットレスや高すぎる枕の使用なども、知らず知らずのうちに睡眠の質を低下させます。一度、自身の就寝環境を見直してみると良いでしょう。
不適切な食生活
不適切な食生活も1日中眠い・だるい状態の原因となるため注意が必要です。偏った栄養バランスや食生活の乱れは、睡眠の質にも大きく影響するためです。
夜遅くに暴飲暴食すると、消化吸収のために胃や腸に血液を多く取られてしまうため、脳への血流が低下して十分な栄養を受け取ることができず、眠気やだるさの原因となります。
また、入眠直前のアルコール摂取も、睡眠には有害です。アルコールは寝付きやすくなりますが、その代謝産物であるアセトアルデヒドには覚醒作用があるため、結局は睡眠の質を低下させます。
もし、睡眠の質を上げたい方は、規則正しい食事摂取はもちろんのこと、乳製品の摂取がおすすめです。自然な眠気をもたらす睡眠ホルモン「メラトニン」は、日中に体内で分泌されるセロトニンと呼ばれるホルモンが原料となりますが、このセロトニンはトリプトファンと呼ばれるアミノ酸から合成されます。
このトリプトファンは乳製品に豊富に含まれているため、乳製品の摂取によってメラトニン分泌が促され、質の高い睡眠が得られます。眠気対策のためには乳製品を摂取してみると良いでしょう。
運動不足
運動不足も、一日中眠い ・だるい原因となるため、注意が必要です。睡眠の質や身体の調子は、自律神経(交感神経と副交感神経の総称)のバランスに大きく左右されますが、適切な負荷の運動には自律神経のバランスを整える効果があるためです。
週に3〜4日、1日30分以上の有酸素運動を定期的に継続できると良いでしょう。ランニングやウォーキング、水泳やゴルフなど、比較的負荷の少ない運動がおすすめです。
一方で、あまりにも負荷が高く激しい運動はかえって睡眠の質を低下させ、日中の眠気や倦怠感を助長させてしまう可能性があるため、運動の負荷には注意が必要です。
また、運動を行う時間帯も重要であり、就寝直前の運動はかえって睡眠の質を低下させることが知られているため、遅くとも就寝の2時間以上前に運動を終わらせるようにしましょう。
一日中眠い・だるい場合の対処法
一日中眠い・だるい状態が続くと、日中に思ったように身体や頭を動かすことができず、学業や仕事に身が入らなくなってしまいます。
多くの場合はセルフケアで改善できるため、ここでは一日中眠い・だるい場合の対処法について詳しく解説します。
睡眠習慣を見直す
まず初めに、ご自身の睡眠習慣を見直しましょう。睡眠の質や量の低下は日中のだるさや眠気につながるためです。先述したような就寝環境の改善はもちろんのこと、ふとしたルーティンワークが睡眠の質を低下させている可能性もあります。
例えば、眠る直前までスマホいじりやPC作業、テレビ鑑賞をしていると、メラトニンがうまく産生されず、睡眠の質が低下してしまいます。
また、良質な睡眠を得るためには就寝後に深部体温が低下する必要がありますが、就寝直前に入浴すると深部体温が低下しにくくなるため、睡眠にとっては良くありません。
普段から行なっている何気ない行動が、眠気やだるさの原因となっている可能性もあるため、今一度睡眠習慣を見直してみると良いでしょう。
定期的にストレスを発散する
睡眠習慣を見直した後は、定期的にストレスを発散することも重要です。
病気や金銭トラブル・人間関係など、ストレスが溜まる原因は日常生活に溢れていますが、ストレスが蓄積すると自律神経のバランスが乱れ、睡眠の質が低下したり、さまざまな心身の不調につながるためです。
ストレス発散の方法は人によってもさまざまですが、ヨガやエクササイズ・読書・映画鑑賞・サウナなど、自分に合った方法を知っておくと良いでしょう。
一日中眠い、もしくはだるくて何もやる気が出ないという人は、無理にストレス発散しようとせず、家でぼーっとする時間を意識的に作ってみることも重要です。
日中に軽く仮眠を取る
一日中眠い、もしくはだるい場合、日中に軽く仮眠を取ってみると良いでしょう。日中の短時間の仮眠は、脳を効率的に休息させることができ、その後のパフォーマンスの向上につながるためです。
仕事の昼休憩や、学校の昼休みなどに、20分程度の仮眠を取ることで、その後の仕事や授業への身の入り方も変わってきます。
一方で、日中に長時間睡眠を取ってしまうと、睡眠サイクルが乱れてしまい、かえって良くないため、あくまで仮眠は20分程度に留めておくことが重要です。
一日中眠い・だるい場合に考えられる病気
何らかの病気によって、眠気や倦怠感がもたらされている可能性があるため、注意が必要です。中には、放置すると命に関わるような病気が原因である可能性もあるため、上記のようなセルフケアでも症状を改善できない場合は早期に医療機関を受診することを勧めます。
ここでは、一日中眠い・だるい場合に考えられる病気を5つ紹介します。
貧血
一日中眠い・だるい場合は、貧血の可能性があります。貧血とは、酸素を運搬する赤血球の数が何らかの原因で減少し、脳や身体に十分な酸素を供給できなくなることでさまざまな症状をきたす疾患です。
特に女性の場合は月経や妊娠・出産など、貧血に陥りやすい状態が定期的に訪れるため、注意が必要です。また、ビタミンや鉄分の摂取不足も貧血の原因となるため、バランスの良い食事摂取を意識する必要があります。
貧血の有無は血液検査で容易に診断できるため、まずは医療機関に受診すると良いでしょう。
うつ病
一日中眠い・だるい場合は、うつ病の可能性があります。うつ病とは、持続的な身体的、もしくは精神的ストレスによって、脳内におけるセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の分泌が減少し、さまざまな症状をきたす病気です。
主な症状として、抑うつ気分・興味や喜びの減退・易疲労感・集中力の低下・食欲低下もしくは過食・不眠もしくは過眠・落ち着きがなくなる・自殺企図などが挙げられます。
中高年に多い病気と認識されがちですが、実は小児や中高生でも発症することは少なくないため、年齢に関わらず注意が必要です。対応が遅れれば死に至る可能性もあるため、早期に医療機関を受診しましょう。
睡眠時無呼吸症候群
一日中眠い・だるい場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に気道が狭くなることで取り込める酸素の量が減少し、脳が十分休息できず睡眠の質が低下する病気です。
肥満や小顎・巨舌・アデノイドなどの解剖学的な理由や、アルコール摂取や喫煙などに伴う気道の浮腫など、発症する原因はさまざまです。
長期間放置すると、持続的な低酸素状態に陥って身体にストレスがかかり、高血圧や糖尿病、心筋梗塞や不整脈、脳血管障害の発症リスクを増加させることが知られているため、やはり早期対応が肝要な病気です。
ナルコレプシー
一日中眠い・だるい場合は、ナルコレプシーの可能性があります。ナルコレプシーとは睡眠障害の一種で、日中の過度の眠気や、通常起きている時間帯に自分では制御できない眠気が繰り返し起こることを特徴とします。
原因はいまだに不明で、眠気以外に睡眠麻痺(いわゆる金縛り)や、情動脱力発作(感情の起伏に伴い筋力が低下する症状)などの特徴的な症状も出現することがあります。
ナルコレプシーを放置すると、衝動的な眠気によって転倒や転落、交通事故などを引き起こす可能性もあるため、やはり早期に医療機関を受診することが重要です。
甲状腺機能低下症
一日中眠い・だるい場合は、甲状腺機能低下症の可能性があります。甲状腺機能低下症は、その名の通り甲状腺の機能が低下し、甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまう病気です。
甲状腺ホルモンは体内のさまざまな代謝を適切に調整する機能を持ち合わせていますが、分泌量が低下することで代謝が低下し、体温の低下や浮腫・倦怠感・体重増加や眠気などの症状をきたします。
甲状腺ホルモンを内服で補充すれば症状改善が見込めるため、上記のような症状を持つ方は内科へ受診することを勧めます。
もしかしたら起立性調節障害かも
一日中眠い・だるい場合、もしかしたら起立性調節障害かもしれません。
起立性調節障害とは、身体の急激な成長に対して自律神経の成長が追いつかず、自律神経のバランスが乱れることでさまざまな症状をきたす疾患です。
起立時や起床時に強いめまい・嘔気・腹痛・ふらつき・倦怠感などが主な症状であり、夕方や夜になるにつれて症状が改善していくのが特徴です。
基本的には自然軽快する病気ですが、人によっては重症化し、1日を通して眠気や倦怠感に襲われる方もいるため注意が必要です。
特に、身体が急激に成長する小学生高学年や中学生の場合、起立性調節障害を発症する可能性が高く、症状がひどいと通学や通塾もままならず、進級や進学にも支障をきたすため、早期発見・早期治療が重要です。
下記の記事では、子どもにおける起立性調節障害のセルフチェック方法を詳しく紹介しているため、気になる方はぜひ一度チェックしてみましょう。