起立性調節障害(大人)

大人が起立性調節障害になる原因とは|なりやすい人の特徴

2022年12月24日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

起立性調節障害は思春期に多いと言われていますが、大人にも起こることはあるのでしょうか。

子供の場合は、ホルモンバランスが大きく変化する思春期に多く、二次性徴が原因の一つと言われていますが、大人の場合はどのような原因が考えられ、どのような人がかかりやすいのかを解説していきます。

起立性調節障害には光療法を推奨します

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

大人が起立性調節障害になる原因

そもそも起立性調節障害は、自律神経系である交感神経と副交感神経の調整がうまくいかず、バランスが崩れることによって起こる病気です。ですので、子供に限らず、大人でも起こることはあります。

しかし、大人の場合は純粋な神経の調整障害ではなく、その背景に別の病気が隠れていことも少なくないため、必ず受診し、検査を行います。

その上で、背景疾患があれば、その名称が病名になりますし、背景に別の疾患が隠れていなければ起立性低血圧や自律神経失調症などが病名としてよく用いられます。

はっきりとは解明されていない部分も多いですが、純粋な神経の調整障害の場合、以下の項目がよく言われている原因です。

  • 遺伝的要因
  • 精神的なストレス
  • ホルモンバランス
  • 季節、天候

背景に別の疾患が隠れている場合、以下の点も念頭に置く必要があります。

  • 糖尿病や高血圧などの生活習慣病が自律神経の調整障害を引き起こします。
  • 胃や腸などの消化管に何かしらの腫瘍があり、そこから出血することで起立性低血圧を引き起こします。
  • パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経疾患も自律神経不全を引き起こします。
  • 利尿剤や降圧剤などの薬剤も原因になることがあります。

このように、年齢により多様な原因が考えられます。

もともと子供の頃から起立性調節障害を患っていた方が、重症の場合は、大人になってからも症状に悩まされることもありますし、何らかの原因で症状が再発することもあります。大人になってから初めて症状がみられた際には、必ず医療機関を受診しましょう。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

大人で起立性調節障害になりやすい人の特徴

<遺伝的要素や体質>
起立性調節障害の方の約半数に遺伝の可能性が指摘されています。また、自律神経の働きにも個人差があり、人により朝起き辛く、立ちくらみが起こりやすいということもあります。

<水分、塩分摂取不足>
水分と塩分は血圧の調整に大きく関わっており、これらが不足することで血管内を循環する血流が不足しやすく、立ちくらみなどの症状が起こりやすくなります。

※ 基礎疾患がある方は、場合によっては水分や塩分を制限する必要がありますので、自己判断で水分、塩分を過剰に摂取することはおすすめできません。医療機関で必ず相談しましょう。

<筋力(特に下肢)低下>
下肢の筋力は立位になる際に、重力の影響で下肢に溜った血液を心臓に押し戻すための重要なポンプ機能をはたしています。下肢の筋力が不足すると、下肢に溜った血液を心臓に押し戻すことができず、症状をきたしやすくなります。

<精神的なストレス>
真面目な人、精神的なストレスを受けやすい/溜め込みやすい人は、自律神経の乱れが起こりやすくなります。別の疾患が原因で自律神経不全の症状が見られる際には、以下の点にも注意が必要です。

<生活習慣の乱れ>
栄養バランスの乱れ、過剰な間食、食事の時間が不規則、運動習慣がないなどの生活習慣の乱れは糖尿病や高血圧などの生活習慣病を招きます。バランスのとれた食事、適切な運動習慣を取り入れましょう。

また、睡眠の乱れも自律神経の乱れを引き起こします。十分な休養を取りましょう。

<薬剤の乱用/自己判断での薬剤の使用>
β遮断薬(脈や血圧を安定させる薬)、降圧剤、利尿剤などは過剰に使用することで血圧を下げ、めまいや立ちくらみなどの症状を引き起こします。

ダイエット目的で利尿剤や下剤を服用することはおすすめできません。薬剤を使用する時や使用中の薬剤の量を調整したい時には必ず担当の医師と相談した上で行いましょう。

以下の記事では、起立性調節障害のセルフチェック(大人)について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

下記記事では、「大人の起立性調節障害の治し方・薬の副作用や市販薬」を解説していますので、ぜひご覧ください。

起立性調節障害には光療法を推奨します

【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

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