起立性調節障害(大人)

効果的な薬とは?大人の起立性調節障害における副作用やメリット

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医

 

効果的な薬とは?大人の起立性調節障害における副作用やメリット

ホルモンバランスが大きく変化する思春期に多い起立性調節障害ですが、ストレス社会の現代では大人でも決して珍しい病気ではありません。コロナ禍の影響でむしろ患者数は増加傾向にあると思われます。

起立性調節障害と診断された場合、どのような治療方法があるのか、薬物療法を中心に薬の種類やそれぞれの副作用、注意点などを解説していきます。また、薬物療法と同様に重要な非薬物療法についても簡潔にご紹介します。

大人が起立性調節障害を患った場合の治療薬

大人の場合は、純粋な起立性調節障害でないこともあるため、めまいや失神など、起立性調節障害と思われる症状を来す別の疾患が隠れていないか、受診し必ずチェックを受けましょう。

背景に心臓などの疾患がある場合、以下の薬を使用することで副作用が問題になることがあるため、注意が必要です。

背景に疾患がなく、起立性調節障害と診断され薬物療法が行われる場合、いわゆる西洋医学で使用する薬剤は大きく2種類あります。

東洋医学で使用される漢方薬でも効果的なものがありますが、こちらについての詳細は別の記事で解説します。

⇒起立性調節障害に効果的な漢方薬

血圧が下がることを防ぐ、血圧を安定させる薬

昇圧薬と呼ばれ、交感神経の活動を活発にし、血圧を上げることでふらつき、めまいなどの症状を改善する薬です。

ミトドリン塩酸塩(メトリジン)

服薬のタイミングとしては、朝食後よりも、起床直後に服用する方が効率よく症状に効きます。

甲状腺の病気がある場合は、使用することができない場合もありますので、医師との相談が必要です。

<副作用>
腹痛、悪心・嘔吐、腹部膨満感、便秘などの消化器症状など

 

メチル硫酸アメジウム(リズミック)

ミトドリン塩酸塩で改善が乏しい場合に使用されます。こちらも、甲状腺、前立腺肥大、緑内障などの疾患がある場合は、使用することができない場合がありますので、医師との相談が必要です。

ミトドリン塩酸塩は血管などに存在するα1受容体を刺激することで結果的に交感神経機能を活性化させ、メチル硫酸アメジウムは交感神経の末端で情報伝達物質であるノルアドレナリンが再取り込みされることを抑制することで間接的に交感神経機能を活性化させます。

いずれも、自律神経系の調整不足(特に交感神経機能が相対的に不足している)が原因である起立性調節障害に対しよく使用される薬です。

<副作用>
動悸、頭痛、嘔気、嘔吐、ほてり感、頻脈、不整脈など

脈を安定させる薬

βブロッカーと呼ばれ、β受容体遮断作用により血圧、心拍数などを抑えることで頻脈性不整脈などを改善する薬です。

プロプラノロール塩酸塩(インデラル)

起立時に血圧の低下はみられないものの、心拍数が著しく上昇し、動悸やめまい、ふらつきがみられるタイプ(体位性頻脈症候群)で主役となる薬です。

<副作用>
うっ血性心不全、うっ血性心不全悪化、徐脈、末梢性虚血、房室ブロックなど

<禁忌(服用すべきでない患者)>
喘息、徐脈性不整脈、房室ブロック

ビソプロロールフマル酸塩(商品名:メインテート)

心臓にはβ1受容体、気管支にはβ2受容体が存在しています。

上記2種類ともβ受容体を遮断しますが、プロプラノロール塩酸塩はβ1、β2ともに遮断するため、心臓に作用し血圧や心拍数を抑えると同時に、気管支にも作用し、気管支収縮つまり喘息の悪化を来すため、喘息の方には基本的に投与が禁止されています。

一方で、ビソプロロールフマル酸塩はβ1受容体のみを選択的に遮断するため、心臓のみに働き、気管支への作用は非常に少なく、気管支収縮はあまり認められないため、喘息の方でも慎重に投与することがあります。

<副作用>
徐脈、浮腫、心不全、呼吸困難、肝機能障害など

<禁忌 きんき(服用すべきでない患者)、慎重投与>
喘息、徐脈性不整脈、房室ブロック

起立性調節障害を治す市販薬

上記で解説した薬剤はいずれも医療機関で医師の指示のもと使用するものであり、副作用の観点からも市販では購入することができません。

漢方薬に関しては、薬局、ドラッグストアでも購入ができます。背景に貧血やビタミン不足があれば、市販の鉄剤、ビタミン剤を服用しても問題はありません。

⇒起立性調節障害に効果的な漢方薬

しかし、漢方薬、鉄分やビタミン剤、いずれを購入し服用するにしても、まずは背景疾患がないこと、自律神経系の調整不足で生じた起立性調節障害であるとの診断が重要です。

医療機関でも鉄剤、ビタミン剤、漢方薬を処方することができ、特に鉄分やビタミン剤に関しては、1錠中の内容量も多く、医療機関で処方してもらう方が値段も安くつくことが多いです。

起立性調節障害への非薬物療法

起立性調節障害と診断され、症状の重症度にもよりますが、軽症の場合は、まず、非薬物療法から行うことが多いです。

上記でご紹介しました薬物療法を行ったとしても、非薬物療法と併せて行うことで効果が十分に発揮されるため、非薬物療法も非常に重要な位置付けにあります。

薬物療法と併せて、非薬物療法についても簡単に解説していきます。

起床時、起立時は頭を下げ、急に立ち上がらない

起床時や起立時は交感神経の働きにより、末梢の血管を収縮し血圧が下がらないように調整がなされていますが、起立性調節障害の方はこの調整が働きにくいため、急に立ち上がるとめまいや、頭痛が出現します。

ですので、起床時は枕や腕枕で少し頭を上げ、次に上半身を起こします。

座った状態を少し保ち、下肢をベッドから下ろします。

立ち上がった後も、頭を下げ、うつむいた状態でゆっくりと歩きだしてください。

立ち上がる際も、同じように頭を下げ、うつむいた状態でゆっくりと動きだしましょう。

全体的に動作はゆっくりと、体に“これから起き上がるよ/立ち上がるよ”と語りかけるように行うことがポイントです。

規則正しい生活リズムを体に刻む

朝がなかなか起き上がれず、午前中は体調が悪いですが、午後になると段々と体調がよくなり、夜間はなかなか眠れないというのが起立性調節障害の方に多い特徴です。

しかし、このサイクルを繰り返すと、さらに悪循環になりかねません。

起床時は、時間をかけたり、場合によっては薬剤の力を借りたりしながらでも起き上がり、起床後は部屋に光を入れ、体内時計を朝に調整しましょう。

調子がいいからと、夜遅くまで起きず、決まった時間に体を休め、翌朝に備えましょう。自分のペースで少しずつ継続することで、体内リズムが整い、症状の改善につながります。

運動習慣で筋力維持

起床時や起立時、血圧が下がらないために重要な働きをするのは、交感神経だけではありません。

下肢の筋肉も収縮することにより、下肢の血管を収縮させ、血圧を維持しています。運動習慣をつけ、下肢の筋力低下を防ぐことが重要です。

無理に過剰な筋トレなどをする必要はなく、少し早歩きで散歩をする程度で十分に効果があります。体調と相談しながら、継続することを心掛けましょう。

水分摂取(1.5-2.0L/日)と少し多めの塩分摂取(10-12g/日)

水分と塩分は血流の維持に重要で、こまめな水分摂取と少し多めに塩分を摂取することが推奨されています。

大人の場合は、起立性調節障害の背景に別の疾患が隠れている場合もあるため、一概に水分1.5-2.0L/日、塩分10-12g/日と考え摂取すると危険な場合もあります。

心臓の病気、腎臓の病気があると、水分、塩分ともに制限する必要がありますし、特に塩分に関しては、健常人では6-7g/日と言われているため、受診し、背景疾患がないことを確認したうえで、医師の指導のもと水分、塩分摂取を行いましょう。

心理カウンセリング

心に負担がかかっているような場合は、心療内科でカウンセリングを行うことも改善の一助になるとが考えられます。

薬物療法と非薬物療法のメリット、デメリット

薬物療法、非薬物療法について解説してきましたが、両方を併せて行うことが重要です。

どんな薬にも言えますが、人により副作用が出やすかったり、体調により副作用が出やすいことはあります。薬物療法には副作用があること、漢方薬では特に言えますが、効果は個人差があります。

背景疾患がある場合はこの限りではありませんが、非薬物療法は、日々の生活習慣で取り入れることができるものがほとんどで、特に大きなデメリットはないかと思います。主治医とよく相談し、治療を行いましょう。

以下の記事では、起立性調節障害に効果的な漢方薬について詳しく解説していますので、ぜひご参考になさってください。

 

 

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

トトノエライト なおくん

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