- 「身体は疲れているはずなのに、夜になると目が冴えて眠れない」
- 「疲れているのに眠れないのは、何かの病気かも?」
このような不安や悩みをお持ちの方も少なくないでしょう。身体は疲れているのに眠れない場合、就寝前の暴飲暴食や飲酒、カフェインの摂取、生活リズムの乱れなどが関係している可能性があります。
また、うつ病や睡眠時無呼吸症候群、睡眠・覚醒相後退障害などの病気が隠れている場合もあります。眠れない状態が続き、日中の眠気や倦怠感、集中力の低下などがみられる場合は、原因を確認することが大切です。
そこで本記事では、疲れているのに眠れない原因や、考えられる病気について解説します。眠れないときの対処法についても紹介するため、不眠に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
夜になっても眠れず、朝起きられない状態が続く場合、起立性調節障害が関係していることもあります。
立ちくらみや倦怠感、頭痛なども伴う場合は、起立性調節障害のセルフチェックも参考にしてください。
疲れてるのに眠れないのはなぜ?原因を解説
疲れているのに眠れないときはまずは自身の生活習慣や精神状態を見直してみましょう。睡眠は日常生活のちょっとしたことでも簡単に阻害されてしまうためです。
ここでは、特に頻度の多い4つの原因について解説します。

誤った食習慣
誤った食習慣は、疲れているのに眠れない原因の1つです。就寝直前に暴飲暴食すると、胃の張りや胸やけ、息苦しさなどが生じ、寝つきにくくなることがあります。
また、眠る直前に多くの食事を取ると、就寝中も消化活動が続きます。身体から熱を放散して深部体温が低下することは、自然な眠りに入るために必要な変化の一つです。就寝直前の暴飲暴食は、この変化を妨げて睡眠の質に影響する可能性があります。
さらに、就寝前の飲酒やカフェインの摂取にも注意が必要です。アルコールを飲むと一時的に寝つきがよくなることがありますが、睡眠後半の眠りが浅くなり、夜中に目を覚ます回数が増える場合があります。
コーヒーやお茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには覚醒作用があり、摂取する量や時間帯によっては寝つきを悪くしたり、眠りを浅くしたりします。
夜の飲酒やコーヒー、就寝直前の食事などが習慣になっている方は、摂取する量や時間を見直してみましょう。
過剰なストレス
疲れているのに眠れない場合、心や身体に過剰なストレスがかかっている可能性もあります。ストレスと睡眠には深い関係があるためです。
仕事や対人関係などによる精神的なストレスが続くと、寝床に入っても緊張や考え事が収まらず、身体は疲れていても眠れないことがあります。また、かゆみや痛み、鼻づまりなどの身体的なストレスも睡眠を妨げる原因です。
さらに、「早く眠らなければならない」と焦ることによって、かえって目が冴えてしまう場合もあります。
睡眠不足によって日中のストレスを感じやすくなるなど、悪循環に陥ることもあります。ストレスが溜まっている自覚がある方は、原因に応じた対処を考えましょう。
自律神経の乱れ
上記でも示しましたが、疲れてるのに眠れない場合は自律神経が乱れている可能性があります。自律神経とは交感神経と副交感神経の総称であり、相互に作用し合うことで血圧や脈拍・呼吸・睡眠・体温・消化管運動などの機能を司っています。
副交感神経が活性化すれば身体は睡眠モードに傾き、交感神経が活性化すれば身体は覚醒モードに切り替わるため、睡眠にとって自律神経は非常に重要です。
しかし、ストレスや生活習慣の乱れ、女性ホルモンの乱れなどによって自律神経のバランスが乱れると、身体の疲れに関わらず眠りに付きづらくなります。
自律神経の乱れは睡眠以外にも、消化が悪くなる・血圧の変化でめまいがするなどの症状も併発するため、このような症状がある方は自律神経の乱れを疑いましょう。
日中に光を浴びる機会が少ない
午前中や日中に光を浴びる機会が少ないことも、疲れているのに眠れない原因の1つです。
特に朝の光には、体内時計を調整し、睡眠と覚醒のリズムを整える働きがあります。一方、朝起きる時間が遅く、日中も暗い室内で過ごしていると、眠気が現れる時間が後ろにずれる場合があります。
朝起きたらカーテンを開け、可能な範囲で屋外の光を浴びましょう。ただし、睡眠リズムが大きくずれている場合は、光を浴びる時間によって体内時計がさらに遅れる可能性もあるため、医師に相談することも大切です。
疲れてるのに眠れない時に考えられる病気とは?
上記のように生活習慣を整えても、眠れない時は何らかの病気に罹患している可能性があります。
具体的には下記のような病気が挙げられます。中には、放置すると命に関わるような病気もあるため、早期にセルフチェックして、適切な対処を心がけましょう。
うつ病
うつ病を発症すると、疲労感があっても眠れなくなる場合があります。
うつ病は、精神的・身体的なストレスなどを背景として、脳の働きに何らかの不調が生じ、気分や意欲、身体の状態などにさまざまな症状が現れる病気です。
主な症状として、気分の落ち込み、意欲の低下、不安感や焦燥感、興味や喜びの減退、集中力の低下、強い疲労感などが挙げられます。不眠だけでなく、眠りすぎてしまう過眠が現れる場合もあります。
また、うつ病では「消えてしまいたい」などと考える希死念慮が生じることがあります。気分の落ち込みや意欲の低下が続いている場合は、精神科や心療内科への受診を検討しましょう。
うつ病の人にみられやすい行動や、周囲が気づくためのサインについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群も、睡眠の質を低下させ、疲労感が取れない原因となる病気です。睡眠中に気道が狭くなり、呼吸が弱くなったり、一時的に止まったりします。
肥満や小顎、舌が大きいこと、アデノイドや扁桃の肥大など、気道が狭くなりやすい要因が関係します。
睡眠中に呼吸が乱れるたびに眠りが浅くなるため、十分な時間眠っても疲れが取れない、夜中に何度も目を覚ます、日中に強い眠気を感じるといった症状が現れます。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、高血圧や心血管疾患などのリスクに影響する可能性があります。家族やパートナーから大きないびきや睡眠中の無呼吸を指摘されている方は、医療機関を受診しましょう。
睡眠相後退症候群
睡眠相後退症候群も、身体の疲労に関わらず眠れない状態になる病気の1つです。睡眠相後退症候群はその名の通り、入眠と起床の時間がそのまま後ろの時間にずれ込んでしまう病気です。
主な原因は深夜のスマホいじりなどであり、夜間の光刺激によってメラトニンの分泌が阻害されるため、眠気が減退して眠れなくなります。また、朝起きるのが遅れることで太陽光を浴びる時間も減少し、日中のセロトニン分泌も低下します。
これらの要因によって、体内時計が乱れることで睡眠時間が不定期になってしまうわけです。特に最近は小学生や中学生・20代や30代でもスマホいじりで発症しやすい環境であり、通学や通勤に支障をきたすため早期に対策が必要です。
更年期障害
疲労感があるにもかかわらず眠れない場合は、更年期障害が関係している可能性もあります。
女性の更年期は、一般的に閉経の前後5年間を合わせた約10年間を指します。この時期には女性ホルモンの分泌が大きく変化し、ほてり、のぼせ、発汗、不安感、イライラ、不眠などの症状が現れる場合があります。これらの症状によって日常生活に支障が生じている状態が更年期障害です。
男性でも、加齢に伴う男性ホルモンの低下などによって、疲労感や意欲の低下、不眠などが現れることがありますが、女性の更年期障害とは病態や診断方法が異なります。
治療には生活習慣の改善、漢方薬、ホルモン補充療法などがあり、症状や体調に合わせて選択されます。気になる症状が続く場合、女性は婦人科、男性は泌尿器科などに相談しましょう。

疲れてるのに眠れない時の対処法
疲れているのに眠れない日が続く場合は、以下3つのステップで対処しましょう。それぞれ解説します。
生活習慣を整える
疲れているのに眠れないときは、まず生活習慣を整えましょう。食事や運動は、その内容だけでなく、行う時間帯も睡眠に影響します。
就寝直前の食事や飲酒を避け、夕方以降のカフェインを控えましょう。起床時刻は休日も大きくずらさず、朝は光を浴び、日中に適度に身体を動かすことも大切です。
入浴によって一時的に深部体温が上がり、その後に身体から熱が放散されることで、自然な眠りにつながる場合があります。入浴する場合は、就寝前1~3時間程度を一つの目安にしましょう。
また、眠れないまま長時間寝床で過ごすと、寝床と不安や緊張が結びつくことがあります。なかなか眠れないときはいったん寝床を離れ、暗めの場所で静かに過ごし、眠気が戻ってから寝床に入りましょう。
枕の高さや寝具、寝室の温度や湿度、騒音、光なども睡眠に影響するため、睡眠環境も見直してみてください。
自分に合ったストレス発散方法を見つける
生活習慣を見直しても改善しない場合は、自分に合ったストレス発散方法を見つけましょう。ストレスは睡眠にとって大敵であり、放置すればうつ病などの精神疾患の発症の可能性もあるため、注意が必要です。
逆にうまくストレスを発散できれば、自律神経が安定してよく眠れるようになるでしょう。軽いストレッチやヨガ・気分転換の外出や読書など、ストレスの発散方法は人それぞれです。
自分にあったストレス発散方法を見つけておくと良いでしょう。
医療機関を受診する
生活習慣や睡眠環境を見直しても眠れない場合は、医療機関への受診を検討しましょう。うつ病や睡眠時無呼吸症候群、睡眠・覚醒相後退障害などが関係している可能性があります。
特に、眠れない状態が続いて日中の生活に支障が出ている場合や、強いいびき、睡眠中の無呼吸、気分の落ち込みなどを伴う場合は、早めに相談することが大切です。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、高血圧や心血管疾患などのリスクに影響する可能性があります。また、うつ病では希死念慮が現れる場合もあります。
原因によって必要な治療が異なるため、受診先に迷う場合は、まず内科やかかりつけ医に相談しましょう。
もしかしたら起立性調節障害かも
疲れているのに眠れないことに加えて、朝起きられない、立ちくらみ、倦怠感などが続いている場合は、起立性調節障害が関係している可能性もあります。
起立性調節障害は、起立したときの血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能せず、さまざまな症状が現れる身体疾患です。小学校高学年から中学生ごろに発症しやすく、大人まで症状が続く場合もあります。
主な症状として、起床困難、立ちくらみ、めまい、倦怠感、頭痛、腹痛などが挙げられます。午前中に症状が強く、午後から夕方にかけて軽くなる場合があり、生活時間が後ろにずれて夜になっても眠れないことがあります。
ただし、眠れないことだけで起立性調節障害とは判断できません。うつ病や睡眠時無呼吸症候群、睡眠・覚醒相後退障害など、ほかの原因も考えられます。
朝の起床困難や立ちくらみなども続いている場合は、セルフチェックを行い、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
<参考文献>
・ヒトの体温調節と睡眠
・うつ病 - 10. 心の健康問題
・男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)







