起立性調節障害とは

不安で眠れない時の対処法とは?原因・考えられる病気を現役医師が解説

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

睡眠は身体の疲れをとり、健康維持にとても重要です。ぐっすり眠れると翌日もはつらつと充実した日を送ることができると思います。

しかし、悩み事や不安でなかなか眠れず朝になってしまったということもあるかもしれません。眠れないと身体の疲れが溜まり、気分もさらに沈んでしまいますよね。

こちらの記事では、不安で眠れない原因や対策方法について解説していきます。

不安で眠れない時はどうするべき?対処法とは?

不安で眠れないときは、心と体を落ち着かせるための工夫をしてみましょう。以下の方法が役立つかもしれません。

リラックスする習慣を取り入れる

リラックスする方法として、まず「4-7-8呼吸法」を試してみましょう。これは、4秒かけて鼻から息を吸い、7秒間息を止め、8秒かけて口から吐く深呼吸の方法です。

また、瞑想やマインドフルネスを取り入れることで、不安な考えが浮かんでも否定せず、今この瞬間に意識を向けることができます。さらに、軽いストレッチやヨガを行うと、体の緊張がほぐれ、よりリラックスしやすくなります。

考えすぎを防ぐ

不安なことがあるときは、ノートに書きだしてみることも効果的です。気になることを紙に書き出し、問題点を視覚的にはっきりさせ、「今は考えなくていい」と整理することで、気持ちが落ち着きます。

また、静かなピアノ音楽や波の音など、好きな音楽を聴くのも効果的です。さらに、ストレスにならない気楽な物語を読むことで、心をリラックスさせることができます。

生活習慣を整える

生活リズムが乱れると睡眠にも影響を及ぼし、身体の疲れが取れなかったり、不安を感じやすくなることが考えられます。カフェインやアルコールの摂取は特に夕方以降は控えるようにしましょう。

また、寝る前にスマホを見るとブルーライトの影響で脳が覚醒しやすくなるため、少なくとも1時間前には使用をやめることが大切です。さらに、38〜40℃のぬるめのお風呂にゆっくり浸かることで副交感神経が働きやすくなり、リラックスした状態で眠りにつきやすくなります。

どうしても眠れないときの対処

無理に寝ようとすると、「眠らなきゃ」と焦ることでかえって眠れなくなってしまうため、その場合は一旦ベッドを出てリラックスすることが大切です。温かい飲み物を飲むのも効果的で、特にカモミールティーやホットミルクはリラックスを促してくれます。

また、軽く読書をしたり日記を書いたりすることで気が紛れ、自然と眠気が訪れることもあります。

不安で眠れない原因とは?

不安で眠れない原因を4つ解説します。

心理的な原因(ストレス・不安・考えすぎ)

学校や職場の人間関係のストレスによって、プレッシャーや悩みが頭から離れず、気持ちが休まらないことがあります。また、金銭面や健康、家族のことなど、将来への不安を考えすぎてしまい、心が落ち着かなくなることもあります。

さらに、過去の失敗を思い出して自分を責めるなど、ネガティブな思考にとらわれてしまうことも少なくありません。強い緊張やトラウマがある場合は、嫌な経験がよみがえり、気持ちが不安定になってしまうこともあります。

身体的な原因(ホルモン・生活習慣)

自律神経が乱れると交感神経が活発になり、リラックスできずに眠りにくくなります。生活習慣では、カフェインやアルコールの摂取が睡眠の質を下げる原因となります。特にコーヒーやお酒を摂取すると影響が出やすくなるので、眠前の摂取は控える方が良いでしょう。

また、運動不足だと体が十分に疲れておらず眠れなくなり、逆に寝る前に激しい運動をすると興奮状態になってしまうことで眠れなくなってしまうこともあります。加えて、更年期や月経前症候群(PMS)などによるホルモンバランスの変化も、睡眠に影響を及ぼす要因の一つです。

環境的な原因(寝室の環境)

部屋の温度や湿度が適切でないと、暑すぎたり寒すぎたりして快適に眠ることができません。また、近隣の音やスマホのブルーライト、時計の音などの騒音や光の影響も、睡眠を妨げる原因になります。

さらに、枕やマットレスが体に合わないと寝心地が悪くなり、ぐっすり眠ることが難しくなってしまいます。

習慣的な原因(生活リズムの乱れ)

昼夜逆転の生活が続くと、夜更かしの習慣がついてしまい、自然な睡眠リズムが崩れてしまいます。寝る前にスマホやPCを長時間使うことで、ブルーライトが快眠を遠ざけ、SNSや動画の刺激によって脳が興奮状態になり、なかなか眠れなくなることもあります。

昼夜逆転の生活習慣では昼間に眠気がみられ、長時間昼寝をしてしまうこともあるかもしれません。長時間昼寝をすることで、夜になっても眠気がこず、睡眠のリズムが乱れる原因になります。

不安で眠れない時に考えられる病気とは?

不安で眠れない時に考えられる病気を3つ解説します。

精神的な病気

まずは、精神的な病気から解説します。

不安障害(全般性不安障害, パニック障害など)

不安障害は、過度な不安や恐怖を感じることで日常生活に支障をきたす精神疾患の一つです。

具体的には、全般性不安障害、パニック障害、社交不安障害、強迫性障害などが含まれ、動悸や発汗、不眠などの身体症状を伴うこともあります。常に漠然とした不安を感じ、リラックスできない、寝る前に不安な考えが浮かび、眠れなくなるということがあります。

うつ病

うつ病は、強い抑うつ気分や興味・喜びの喪失が長期間続き、日常生活に支障をきたす精神疾患です。主な症状には、意欲の低下、集中力の低下、睡眠障害、食欲の変化、自己否定的な思考などがあり、重症化すると自殺願望を抱くこともあります。

ネガティブな思考が止まらず、夜になると特に気分が落ち込む、早朝に目が覚めてしまい、二度寝できない(早朝覚醒)などの症状で睡眠に影響を及ぼすことが多いです。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

PTSDは、命の危険を感じるような強いストレスや衝撃的な体験をした後に、その記憶が繰り返しよみがえり、強い不安や恐怖を感じる精神疾患です。

主な症状には、フラッシュバック、悪夢、不眠、過度な警戒心、感情の麻痺などがあります。原因となる出来事は事故、災害、暴力、戦争などさまざまで、夜にフラッシュバックが起こる、夢の中で嫌な体験を繰り返し、眠るのが怖くなる、ちょっとした音や刺激で過剰に驚くことが見られ、眠れないこともよくある疾患です。

身体的な病気

次に、身体的な病気を解説します。

自律神経失調症

自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで、体や心にさまざまな不調が現れる症状の総称です。主な症状には、めまい、動悸、息苦しさ、倦怠感、不眠、頭痛、胃腸の不調などがあり、ストレスや生活習慣の乱れが原因となることが多いです。

交感神経が優位になり、寝る前でもリラックスできない、寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚めるなど、睡眠に関する症状も多くみられる疾患です。

更年期障害(女性に多い)

更年期障害は、女性が40代後半から50代にかけて迎えるホルモンバランスの変化によって引き起こされる身体的・精神的な不調のことです。主な症状には、ホットフラッシュ(のぼせ)、発汗、眠れない、イライラや不安感、集中力の低下などがあり、これらは閉経前後のホルモン分泌の減少が原因とされています。

女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、自律神経が乱れる、ホットフラッシュ(ほてり・発汗)で夜中に目が覚める、イライラや不安感が強くなり、眠れなくなることが見られます。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

甲状腺機能亢進症は、甲状腺が過剰にホルモンを分泌することで、体内の新陳代謝が異常に活発になる病気です。主な症状には、体重減少、動悸、発汗、手の震え、疲れやすさ、イライラ感などがあります。

甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、身体が常に興奮状態になり、動悸が激しく、寝ようとしても心臓がドキドキしてしまうために眠れないこともあります。

睡眠関連の病気

最後に、睡眠関連の病気を解説します。

不眠症

不眠症は、睡眠が十分に取れず、日常生活に支障をきたす状態です。主な症状には、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒などがあり、慢性的に続くことがあります。

原因はストレス、生活習慣の乱れ、精神的な問題や身体的な疾患などが考えられます。「眠らなきゃ」と考えるほど、ますます眠れなくなり、ベッドに入っても30分以上寝つけない、朝起きたときに疲れが取れていないことも多い状況になります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が一時的に止まるか、浅くなる病気です。これにより、十分な睡眠が取れず、日中の眠気や集中力の低下、頭痛などの症状が現れます。

主な原因は、喉の筋肉の弛緩や肥満、喉の狭さなどで、重症化すると高血圧や心疾患のリスクも高まります。寝ている間に呼吸が止まり、途中で目が覚めてしまい、睡眠に非常に深く影響する疾患です。

もしかしたら起立性調節障害かも

これまでご説明しましたように、自律神経は睡眠にとても影響を及ぼす要素です。不安で眠れない状況が続いている場合、もしかしたら起立性調節障害かもしれません。

起立性調節障害とは、自律神経である交感神経と副交感神経の働きが乱れることで、朝起きられない、めまいや倦怠感、腹痛、頭痛、失神など様々な症状が見られます。交感神経が過剰に働き、睡眠を導く副交感神経の働きが悪くなるため、様々な睡眠の問題が発生します。

眠りに関する問題を抱えていて、他にも様々な体調不良を認めている場合は、起立性調節障害のセルフチェックを一度行ってみてください。

下記記事ではセルフチェックについて解説していますので、是非確認してみてください。

 

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