「授業中にあくびが止まらない」「眠くて集中できない」という悩みは、多くの中学生にみられる身近な困りごとです。夜更かしや朝食抜き、スマホの見過ぎなど生活習慣が影響することもあれば、成長期に伴う体内リズムの変化で日中に強い眠気が出やすくなることもあります。
さらに、朝起きづらい、立ちくらみがある、だるさが続くといった症状を伴う場合、起立性調節障害が背景に関係することもあります。
本人のやる気や態度の問題と誤解されがちですが、実際には体の調整がうまくいっていないサインのことも少なくありません。
こちらの記事では、「なぜ授業中に眠くなるのか」という仕組みを整理し、家庭や学校でできる工夫、受診の目安までを、できるだけわかりやすく解説していきます。
子どもに授業中の強い眠気やあくびが続き、朝起きられない症状や立ちくらみ、倦怠感などもみられる場合は、起立性調節障害が関係していることもあります。
気になる症状を整理したい方は、起立性調節障害のセルフチェックも参考にしてください。
授業中にあくびが止まらない主な原因
授業中にあくびが止まらない主な原因を5つ解説します。
睡眠時間は足りていても「睡眠の質」が低い
「ちゃんと寝ているはずなのに眠い」という場合、必要な睡眠時間を確保できていなかったり、眠りによる休養を十分に得られていなかったりすることがあります。思春期は体内時計の変化によって夜型になりやすいうえ、部活動や塾などで就寝時刻が遅くなり、本人が思っている以上に睡眠不足が蓄積していることもあります。
また、就寝前にスマホなどの明るい画面を長時間見る習慣は、寝つきや体内時計に影響する可能性があります。平日は早起きし、休日は昼まで寝るといった生活リズムの差が大きい場合も、体内時計がずれて日中の眠気につながることがあります。
睡眠時間だけでなく、朝にすっきり起きられるか、日中に強い眠気がないかにも目を向け、寝る前の光刺激を減らす、就寝・起床時刻をできる範囲で揃えるなどの工夫をしてみましょう。
朝は血圧や血流が安定しにくいことがある
朝は眠気が残りやすく、体内時計の状態や睡眠不足の影響によって、登校後もぼんやりしたり、集中しにくかったりすることがあります。
特に、朝起きづらい、立ち上がるとふらつく、頭痛やだるさがある、午前中に調子が悪く午後になると回復するといった症状が続く場合は、起立時の血圧や心拍数などの調節がうまく機能しない起立性調節障害が関係している可能性もあります。
ただし、授業中の眠気やあくびだけで起立性調節障害とは判断できません。睡眠不足や睡眠障害、貧血などでも似た症状がみられるため、ほかの症状や生活への影響も含めて確認することが大切です。
成長期の体調変化で自律神経が乱れやすい
思春期は、身長や体重が急に変わるなど、体が大きく成長する時期です。この時期は自律神経の調整機能がまだ安定せず、体温や血流、眠気のコントロールがうまくいかないことがあります。学年が上がる、クラス替えがあるなど、環境の変化によるストレスも重なり、体のリズムが乱れやすくなります。
その結果、授業中に強い眠気を感じたり、集中力が続かなくなったりすることがあります。こうした変化は一時的なケースも多く、成長とともに落ち着いていくことも少なくありません。まずは「成長期ならではの揺らぎがある」と理解し、責めずに見守る姿勢が大切です。
教室の環境が眠気につながっている可能性
授業中の眠気は、本人の体調だけでなく、教室の環境や時間帯の影響も受けます。教室が暑すぎる、換気が十分でない、照明が暗いといった環境では、眠気や集中しにくさを感じることがあります。
また、昼食後は体内時計の働きなどによって生理的に眠気が出やすい時間帯です。同じ姿勢で長時間座り続けることや、単調な状況が続くことも、眠気を自覚しやすくする可能性があります。
環境による眠気は誰にでも起こりうるため、「本人のやる気の問題」と決めつけないことが大切です。姿勢を変える、休み時間に少し体を動かす、可能であれば換気するなど、できる範囲の工夫を試してみましょう。
疲労の蓄積が眠気につながりやすい
授業中の強い眠気は、本人が自覚していない疲れや緊張の蓄積が原因になっていることもあります。部活動や習い事、勉強の負担に加え、成績や友人関係へのプレッシャーなど、心の疲れが重なっているケースも少なくありません。中学生は「疲れている」と自分で気づきにくく、体のサインとして眠気が表れることがあります。
しっかり休んでいるつもりでも回復が追いついていない場合もあるため、生活の中で無理が続いていないかを振り返ることが大切です。眠気は怠けではなく、「少し休みが必要」という体からのメッセージとして受け止める視点も大切です。
授業中にあくびが止まらない時の対処法
授業中にあくびが止まらない時の対処法を5つ解説します。
授業中につらさを感じたときにできること
授業中に強い眠気やあくびが出てつらいときは、授業の妨げにならない範囲で、意識を切り替える工夫を試してみましょう。
<授業中にできること>
- 背筋を伸ばし、ゆっくり深呼吸を2~3回
- 少しずつ水分をとる
- ノートに要点を短く書き、授業へ意識を戻す
それでも眠気が強く、授業を受け続けることが難しい場合は、無理に我慢せず、先生に伝えて保健室で休むことも選択肢の一つです。
こうした状態が頻繁にみられる場合は、睡眠時間や生活リズムだけでなく、ほかの体調不良がないかも確認しましょう。
体を目覚めさせる小さな動きを取り入れる
登校直後や休み時間には、体調に合わせて軽く体を動かしてみましょう。長時間座り続けた後の体のこわばりを和らげ、気分を切り替えるきっかけになります。
<取り入れやすい動き>
- かかとの上げ下げや背伸びをする
- 肩を前後にゆっくり回す
- 廊下などを少し歩く
激しい運動をする必要はありません。朝から立ちくらみや強いだるさがある場合は、無理に体を動かすとかえってつらくなることもあるため、本人の体調に合わせて行いましょう。
水分補給と朝食を意識する
寝ている間にも汗や呼吸によって水分は失われるため、起床後や登校後は、喉の渇きに応じて水分を補給しましょう。
<取り入れやすい工夫>
- 起きたらコップ1杯の水を飲む
- 休み時間に一口ずつ水分補給
- 朝食でみそ汁・スープなどを取り入れる
眠気覚ましを目的にエナジードリンクなどを頻繁に飲むと、含まれるカフェインが夜の睡眠に影響する可能性があります。特に子どもは少量のカフェインでも影響を受ける可能性があるため、注意が必要です。
朝の過ごし方を少しだけ整えてみる
朝が苦手な中学生は多く、完璧を目指すと続きません。「できる範囲で一つだけ」からでOKです。
<朝の小さな工夫>
朝の動き出しをゆっくりにすることで、血圧や血流が整いやすくなり、午前中の眠気が軽くなることがあります。朝食をしっかり食べられない日があっても責めず、「できた日を増やす」意識で続けるのがポイントです。
放課後から夜の過ごし方を見直す
日中の眠気対策は、実は夜の過ごし方が大きく影響します。放課後に強い眠気が出た場合の仮眠は、20~30分以内を目安にすると、夜の眠りに影響しにくくなります。入浴は体と気持ちを切り替えるスイッチになり、ぬるめのお湯でゆっくり温まると寝つきがよくなることがあります。
寝る直前のスマホやゲームは脳を刺激し、眠りを浅くする原因になるため、就寝30分前から画面を見ない時間を作れると理想的です。すべてを一度に変える必要はなく、できそうなことを一つずつ試してみましょう。
授業中のあくびが続くときの受診判断チェックリスト
授業中のあくびが続くときの受診チェック項目を5つ紹介します。
この状態がどれくらい続いているか
授業中のあくびや強い眠気が、どのくらいの期間続いているかは受診を考えるうえで大切なポイントです。数日程度であれば、睡眠不足や一時的な疲れの影響であることも多く、まずは様子を見てもよい場合があります。
一方で、数週間以上続いている、良い日と悪い日の波はあるものの「ほぼ毎日」困っている場合は注意が必要です。テスト前など特定の時期だけ強く出るのか、季節による変動があるのかも振り返ってみましょう。簡単なメモで「眠かった日」「特につらかった時間帯」を記録しておくと、受診時に状況を伝えやすく、判断材料として役立ちます。
時間帯によって症状に差があるか
眠気やあくびが、授業内容ではなく「時間帯」によって強く出ていないかも重要な視点です。たとえば、午前中に特に強く、午後や放課後は少し楽になる場合、朝の体の立ち上がりがうまくいっていない可能性があります。朝起きづらい、登校直後にぼんやりするなどの傾向があれば、体内リズムや血流調整の影響が考えられます。
こうしたパターンが続く場合、起立性調節障害と関係することもありますが、まずは時間帯の偏りがあるかを観察してみることが受診判断のヒントになります。
あくび以外の不調があるか
あくびや眠気だけでなく、ほかの不調が重なっていないかも確認してみましょう。たとえば、頭痛・立ちくらみ・強いだるさ・動悸・食欲低下・朝起きづらいなどが同時にみられる場合、体の調整機能が乱れているサインのことがあります。これらは一時的な体調不良でも起こりますが、複数が重なって続く場合は、生活習慣の見直しだけでは改善しにくいこともあります。
「眠いだけ」と思っていたら実は体調全体の不調だった、というケースもあるため、あくび以外の症状の有無を整理してみることが、受診を考える目安になります。
朝起きられない、立ちくらみ、頭痛、倦怠感など、起立性調節障害にみられる主な症状について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
学校以外の場面ではどうか
眠気が学校の授業中だけに強く出るのか、家や塾、習い事、休日にも同じように出るのかを確認してみましょう。家では元気でも授業中に眠気が強い場合は、教室の環境や時間帯、前日の睡眠時間などが影響している可能性があります。
一方、休日を含めて一日中眠気が強い、十分に寝ても眠い、会話中や食事中にも寝てしまうといった場合は、ナルコレプシーや特発性過眠症などの睡眠障害も考慮する必要があります。強いいびきや睡眠中の息止まりがある場合は、睡眠時無呼吸などが関係することもあります。
学校と家庭での違いだけで原因を判断することはできませんが、眠気が出る時間帯や場面を記録しておくと、医師に相談する際の参考になります。
十分な睡眠をとっているにもかかわらず一日中強い眠気が続く場合は、過眠症などが関係している可能性もあります。一日中眠い原因について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
生活や評価に影響が出始めているか
眠気が続くことで、学校生活や本人の気持ちに影響が出ていないかも大切なチェックポイントです。授業中の注意や指摘が増えた、成績や集中力が落ちてきた、本人が「自分はだめだ」と自信を失っている様子がみられる場合は要注意です。体調の問題が、本人の評価や自己肯定感に影響し始める前に、早めに相談することが大切です。
「学校に行くのがつらい」と感じ始めている場合は、無理をさせず、体調面のサポートを考えるタイミングと考えても良いかもしれません。
授業中にあくびが止まらなかった体験談と改善事例
授業中にあくびが止まらなかった体験談と改善事例を3つ紹介します。
10歳女子:生活リズムの見直しで落ち着いた事例
午前中の授業になると、あくびが次々に出て止まらず、本人も「眠くて集中できない」と感じていました。夜更かしの自覚はなく、家では元気に過ごしていたため、最初は体質や成長期の影響だろうと考えていました。ただ振り返ると、就寝時間が日によって30分〜1時間ほどずれており、休日はさらに遅くなっていました。
そこで、寝る時間をできるだけ一定にし、朝はカーテンを開けて光を浴び、軽く朝食をとる習慣を意識しました。授業の合間には外の空気を吸ったり、少し歩いて体を動かす工夫も取り入れました。すると数週間で午前中の強い眠気が和らぎ、あくびの回数も減少。「生活リズムを整えるだけでも、体は応えてくれる」と実感した体験でした。
13歳男子:体調の整え方を工夫して改善した事例
授業中に強い眠気が出て、あくびが止まらず注意されることが増えていました。家では元気なため、「なぜ学校だけつらいのか」と本人も戸惑い、「怠けていると思われるのが一番つらい」と感じていました。心配した家族と相談し、小児科を受診。問診や簡単な検査の結果、病気の可能性は低いと説明され、生活面での整え方を具体的にアドバイスされました。
水分をこまめにとる、休み時間に換気や軽い動きを入れる、授業中も姿勢を時々変えるなど、すぐ実践できる工夫を続けました。眠気が完全にゼロになるわけではありませんが、「困らない程度」に落ち着き、気持ちも軽くなったそうです。「対処の仕方を知るだけでも楽になる」と実感できたケースでした。
14歳女子:医療機関に相談し、起立性調節障害とわかった事例
最初は「よくある眠気」と思っていましたが、授業中の強い眠気とあくびが毎日のように続き、特に午前中がつらく、午後になると少し楽になる傾向がありました。就寝時間の調整や朝食の工夫など生活改善を試しても大きな変化がなく、不安になって受診。診察と経過から起立性調節障害の可能性が説明され、「理由がわかった」ことで本人の納得感が生まれました。
診断がついたことで、学校での配慮や家庭での対応(朝の起き方、水分・塩分、休み時間の過ごし方など)を調整しやすくなり、「無理に頑張りすぎなくていい」と気持ちも軽くなりました。原因がわかることで、対処の方向性が見え、前向きに向き合えるようになった事例です。
もしかしたら起立性調節障害かも
授業中にあくびが止まらない、午前中だけ強い眠気が続く、立ち上がるとふらつく―そんな状態が続くと、「気合いが足りないのかな」「夜更かしのせいかも」と自分を責めてしまいがちです。しかし、生活を整えても改善しにくい眠気やだるさがある場合、起立性調節障害が関係していることがあります。
起立性調節障害は、起立時の血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能せず、朝起きられない、立ちくらみ、頭痛、倦怠感、動悸などの症状がみられる身体疾患です。思春期に多く、午前中に症状が強く、午後になると軽くなる傾向がみられることもあります。
ただし、授業中のあくびや眠気だけで起立性調節障害と判断することはできません。睡眠不足やナルコレプシーなどの睡眠障害、貧血、甲状腺の病気などでも日中の眠気が現れることがあります。
十分な睡眠時間を確保しても強い眠気が続く、朝起きられない、立ちくらみや頭痛などを伴う、学校生活に支障が出ているといった場合は、小児科などの医療機関に相談しましょう。
下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しています。症状を整理し、受診を考える際の参考として活用してみてください。







