起立性調節障害とは

倦怠感の原因とは?治し方・考えられる病気について解説

2023年4月23日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

残業や勉強など徹夜で睡眠不足の状態が続くと体の疲れがとり切れず、体が重たい、だるいなどの症状が見られることは比較的よくあることだと思います。

しかし、睡眠や生活習慣の見直しを行った上でも体のだるさが続く場合、病気の可能性も考えられます。

こちらの記事では、倦怠感が続く原因や病気の可能性、改善方法や注意すべきポイントなどを解説していきます。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

倦怠感の原因

誰もが経験したことがある体のだるさですが、特に下記の状況下で見られやすいです。

  • 身体の酷使
  • 休養不足
  • 睡眠不足
  • 営養不足
  • ストレスの蓄積

労働や部活動などのスポーツで身体に過剰な負荷がかかると、疲労が蓄積し身体のだるさが出現します。疲労を蓄積させないためには十分な睡眠、休息、栄養が必要です。

不十分な睡眠、質が悪い睡眠、休憩が十分にとれない、食事時間が不定期で食事内容も偏り外食が多いなども体のだるさが現れる原因になります。

そして、精神的な疲労も身体のだるさ出現につながります。職場や学校での人間関係や業績によるプレッシャーなどストレスを溜め込んでしまうと心と身体両方へ影響し、色々な不調につながってしまいます。

質、時間ともに十分な睡眠、睡眠環境の見直し、食事時間・内容の見直しなど生活習慣を見直し、ストレスをなるべく溜め込まないようにリフレッシュする時間を作ることで身体の倦怠感が改善しない場合は、これからご説明する病気の可能性も考えられます。

倦怠感がある場合に考えられる病気

倦怠感が現れる主な病気について解説していきます。

感染症

インフルエンザに代表されるウイルスの上気道感染が原因の風邪は鼻水、咽頭痛、咳や痰などが見られる感染症ですが、頭痛や筋肉痛、全身倦怠感を伴うこともしばしばあります。

細菌感染が原因の膀胱炎や腎盂腎炎、肺炎などでも全身倦怠感は伴います。膀胱炎であれば頻尿、排尿時の痛み、残尿感などに全身倦怠感が伴いますし、肺炎では咳や膿性の痰、発熱などとともに全身倦怠感が出現します。

貧血

血液の中には、赤血球という赤い血の成分の一つがあり、赤血球は全身に酸素を運搬する働きがあるヘモグロビンにより構成されています。

このヘモグロビンの濃度が低下したり、ヘモグロビンの構造に異常が見られると全身に酸素を運搬することができなくなり、ふらつき、身体のだるさ、集中力の低下など様々な症状が見られ、これを貧血と呼びます。

ヘモグロビンは鉄とタンパク質により作られているため、鉄分が不足すると貧血になります。よく知られている貧血は鉄欠乏性貧血ですが、その他ビタミンや微量元素、葉酸などが不足しても貧血になります。

急性・慢性肝炎

ウイルスやアルコール、薬剤や自己免疫疾患など様々な原因で肝臓に炎症が起こった状態です。身体のだるさや食欲不振、重症になると黄疸などが見られます。

慢性腎臓病

腎臓は尿を生成することで、体内の老廃物を排泄します。腎臓の機能が低下すると、尿に蛋白が漏れ出し、足や顔がむくみ、体内に老廃物が蓄積することで倦怠感や吐き気、むかつき、食欲不振などが見られます。

腎臓病の初期はほとんど症状がなく、血液検査や尿検査の数値の異常でしか知ることができません。したがって、腎臓が悪くなり毒素が体に溜ることで出現する倦怠感(尿毒症)が見られた場合は、病状が進行して末期に近づいている可能性が高いです。

糖尿病

膵臓にあるβ細胞から血糖値を下げるホルモンであるインスリンが分泌されますが、このインスリンの分泌が低下したり、インスリンが分泌されていても作用不足が起こることで血糖値がコントロールされない病気です。

高血糖状態が続くことで倦怠感や体重減少、のどの渇きなどが出現し、長期にわたる糖尿病は動脈硬化を引き起こすことが非常に問題になります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に呼吸が停止する(無呼吸)、もしくは呼吸が弱くなることで、睡眠の質が低下し、朝すっきりしない、体がだるく動かない、日中も強い眠気に襲われる病気です。

この状態を放置すると、全身様々な臓器に負担がかかります。特に心臓への負担が非常に問題であり、心筋梗塞や脳梗塞、最悪の場合は突然死のリスクにもなります。

うつ病

はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。

気分が落ち込み、何事にも興味が持てなくなり、食欲低下や睡眠障害を来し、疲れやすく、日常生活に支障をきたす場合も多い病気です。朝体が動かないことの原因になることも十分に考えられます。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

倦怠感の治し方

上記でご説明した倦怠感がある場合に考えられる病気の治療方法について解説していきます。

感染症

基本的に、風邪などウイルス感染の場合は解熱鎮痛剤など対症療法で改善していきます。細菌感染が原因の膀胱炎や腎盂腎炎、肺炎などの場合は、抗生物質による治療が必要になります。重症度によっては入院での加療が望ましいこともあります。

貧血

貧血の原因は様々であり、年齢や性別によっても異なります。女性の場合は月経、30-40代の働き盛りの世代では胃潰瘍や十二指腸潰瘍、加齢に伴い悪性腫瘍や血液疾患の可能性も考えられます。

月経の場合は、過多月経や血の塊が多くみられ、胃潰瘍の場合は、食事中のみぞおち辺りの痛み、胃もたれ、むかつき、十二指腸潰瘍の場合は空腹時の痛みなどが見られます。

貧血であるとわかった場合、原因をはっきりさせた上でそれぞれの治療を行います。同時に食事療法、鉄分やビタミンなどをしっかり摂取することが重要です。

急性・慢性肝炎

ウイルス性肝炎の場合、治療薬があります。適応については、消化器内科医や肝臓専門医とご相談ください。

禁煙や生活習慣の改善も重要です。ウイルス性肝炎やアルコール性肝炎から肝がんの発症も言われており、適切な治療を行うことが重要です。

慢性腎臓病

基本的に、腎臓の機能は一度悪くなると完全にもとに戻ることはないため、悪くならないために予防することが非常に重要です。

腎臓は血管が豊富な臓器であるため、動脈硬化は大敵です。血圧、脂質、尿酸、血糖などいわゆる生活習慣病のコントロールがとても大切です。

糖尿病

食事療法や運動療法で血糖のコントロールが改善しない場合、血糖を下げる飲み薬やインスリンによる治療を行います。

睡眠時無呼吸症候群

肥満があれば減量を行います。検査結果により適応がある場合、CPAPという呼吸器を使用することがあります。

うつ病

抗うつ剤などの薬物療法に加え、心と身体を休養させることがとても重要です。

すぐにできる対処法

倦怠感は全身のありとあらゆる不調で自覚する可能性が高い症状のひとつです。

身体的な疲労はもちろん、前日の胃もたれ、過剰な飲酒、寝不足、精神的ストレスなどさまざまな要因で引き起こる一方、感染症や貧血・肝炎・慢性腎臓病・糖尿病・睡眠時無呼吸症候群などさまざまな病気でも生じます。

病気が原因の場合はいち早く医療機関で原因疾患の治療を行うべきですが、自身でもすぐにできる対処法もあります。まず倦怠感がどのような時に出現するのか、何時ころに出やすいのか特徴を観察しましょう。

倦怠感を感じやすい時間帯や行動は運動や行動を控え、休息するように心がけましょう。

また、倦怠感があるからといって運動を一切控えてしまうことは逆効果です。ある程度の運動によって倦怠感が緩和することもあるため、体調と相談しながら実践しましょう。

さらに、日中に倦怠感が強い場合は思い切って昼寝すると改善する可能性が高いです。

仕事中の場合は、休憩時間に20分でも昼寝することで体調が改善するかもしれません。長すぎる昼寝はかえって倦怠感が悪化するため注意しましょう。

精神的なストレスの緩和も忘れてはいけません。リフレッシュできていないと感じている場合は、友人と遊んだり趣味を楽しむなどのリラクゼーションを利用してストレスを発散することで倦怠感が緩和する可能性が高いです。

もしかしたら起立性調節障害かも

身体がだるいことは誰にでもありますし、仕事や学業で忙しい現代人なら疲れが溜まっていたり、睡眠時間が不足することで身体のだるさが見られることは少なくないと思います。

ここまで、身体のだるさが見られる場合の原因や考えらえる病気について解説してきました。

生活習慣や病気が原因である場合、身体のだるさは一定していることが多いのですが、身体のだるさが起床時や午前中に症状が重く、午後にかけて改善していく場合、起立性調節障害の可能性があるかもしれません。

起立性調節障害とは、自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることでめまいやふらつき、たちくらみ、頭痛、腹痛など様々な症状を来す病気です。体が大きく成長し、ホルモンの変動が大きい思春期に多くみられます。

一般的に、私たちは朝起床頃より交感神経が優位になり、午後になると徐々に副交感神経の割合が増加していき、夜間には交感神経の働きは弱くなり、就寝が近くなる頃には副交感神経が優位に働き、睡眠中体を休めます。

起立性調節障害の子どもは交感神経と副交感神経の働きのバランスに不具合が生じ、適切に神経をスイッチすることができないため、色々な症状に悩まされます。

特に、朝は活性化されるべき交感神経がうまく活性化されないために体はなかなか覚醒状態にはなりません。したがって、朝起き上がることができず、起きたあとも身体のだるさやめまい、ふらつき、頭痛、吐き気などの体調不良が続きます。

時間とともに症状は和らぎ、午後からの活動は特に問題ないことが多いです。

下記記事では起立性調節障害のセルフチェックについて詳しく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

 

【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

トトノエライトプレーン

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