起立性調節障害とは

小学生で顔色が悪いのはなぜ?原因・対処法・考えられる病気を解説

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

小学生の子どもを見ていて「最近なんだか顔色が悪いな」と感じることはありませんか?

顔色の変化は、体調不良のサインであることも少なくありません。特に小児期は大人に比べて体調の変化が急激で、本人がうまく不調を言葉で伝えられない場合もあります。

顔色が青白い、黄色っぽい、土気色に見えるなどの症状には、貧血や栄養不良、感染症、慢性疾患の初期症状など、さまざまな原因が考えられます。また、学校生活や家庭環境によるストレスが体調に現れている可能性も否定できません。

この記事では、小学生の顔色が悪く見えるときに考えられる代表的な原因と、その対処法、病気の可能性について、わかりやすく解説します。

小学生で顔色が悪いのはなぜ?原因とは?

顔色が悪い原因を5つにわけて解説していきます。

寝不足や生活リズムの乱れ

小学生でも塾や習い事、ゲームや動画視聴の影響で、就寝時間が遅くなりがちです。睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、血流が悪くなることで顔色が青白く見えることがあります。

特に成長期の子どもにとって睡眠は心身の健康を支える重要な要素です。慢性的な寝不足は集中力の低下や食欲不振、朝のだるさにつながり、顔色の悪さとして現れることもあります。毎日の生活リズムを整え、十分な睡眠時間を確保することが大切です。

食事の偏りや栄養不足

好き嫌いが多く、野菜や肉、魚をあまり食べない子どもでは、エネルギーや栄養素が不足して顔色が悪く見えることがあります。特に朝食を抜いて登校すると、低血糖気味になり顔が青白くなったり、ふらついたりすることもあります。

鉄分やビタミンB群など、血液や皮膚の健康に関わる栄養素が不足すると、慢性的に顔色が冴えない状態が続く可能性があります。家庭でバランスのとれた食事を心がけましょう。

運動不足による血行不良

現代の子どもは外で遊ぶ機会が減り、運動不足になりやすい傾向があります。体を動かす機会が少ないと、全身の血行が悪くなり、顔色がくすんで見える原因になります。

特に冬場などは寒さで血管が収縮しやすく、余計に血色が悪く見えることもあります。放課後に外で遊ぶ時間をつくる、休日に家族で散歩や軽い運動をするなど、日常的に体を動かす習慣を意識することが、顔色の改善にもつながります。

一時的な疲労や緊張によるもの

学校行事やテスト、友達との関係など、小学生も多くのストレスや緊張を抱える場面があります。緊張状態では交感神経が活発になり、末梢血管が収縮して顔色が青白く見えることがあります。

また、疲れがたまっていると血行が滞り、顔の血色が悪くなることも。これは一時的なもので、休息をとることで改善することが多いですが、緊張や疲労が慢性的な場合は、気持ちのケアや生活環境の見直しも必要になります。

感染症や発熱前の前駆症状

風邪やウイルス感染などの初期段階では、発熱の前に顔色が悪くなることがあります。これは、体がウイルスに反応し、免疫機能を活性化させる過程で血管が収縮し、皮膚表面への血流が一時的に減るためです。倦怠感や食欲不振などの他の症状を伴うこともありますが、最初は顔色の悪さだけが目立つ場合もあります。

特に学校から帰ってきた直後にぐったりしている様子があれば注意が必要です。その後に発熱や咳、鼻水などが現れることも多く、経過を観察しつつ、必要に応じて医療機関を受診しましょう。

小学生で顔色が悪い場合の対処法とは?

こちらでは、小学生で顔色が悪い場合の対処法を3つ解説します。

睡眠・食事・運動など生活習慣の見直し

まず最も基本的な対処法は、生活習慣の改善です。小学生の顔色不良の多くは、睡眠不足や偏った食事、運動不足による血行不良が原因となっていることがあります。十分な睡眠(9~10時間)を確保し、朝食を含めたバランスの取れた食事を心がけましょう。

特に鉄分やビタミンを含む食品を意識的に取り入れることが大切です。また、日中に適度な運動をすることで血流が促進され、顔色も改善されやすくなります。日常の小さな積み重ねが健康な体づくりに直結します。

体調観察と家庭でのケア

顔色が悪いと感じたときは、無理をさせず、まずは休養をとらせることが大切です。発熱、食欲不振、だるさなどの他の症状がないか観察し、安静に過ごさせてください。

特に朝の顔色が悪く、だるそうな場合は、無理に登校させず様子を見ましょう。水分補給や消化の良い食事を心がけ、室温や湿度を整えるのも効果的です。顔色の変化が一時的なものか、数日続いているかによって対応が異なるため、まずは家庭での丁寧な観察が基本となります。

ストレスや心理的要因への配慮

顔色の悪さが続く背景には、学校でのストレスや不安、家庭内の環境変化など、心の問題が関係していることもあります。子どもは自分の気持ちを言葉にするのが難しいため、身体症状として表れることがあります。

話を遮らずに耳を傾け、「つらいよね」と共感し、無理に原因を聞き出さないことも必要かもしれません。必要であれば、スクールカウンセラーや心理の専門機関に相談することも選択肢の一つです。

小学生で顔色が悪い場合に考えられる病気とは?

小学生で顔色が悪い場合に注意頂きたい病気はやはり貧血ですが、それ以外にも考えられる病気について解説していきます。

鉄欠乏性貧血

小学生の顔色が悪い原因としてもっとも多いのが、鉄欠乏性貧血です。体に酸素を運ぶヘモグロビンが不足することで、血液の赤みが減少し、顔色が青白く見えるようになります。

特に急激な成長期にある小学生は、鉄分の必要量が増えるため、食事だけでは不足しやすく、肉類や緑黄色野菜をあまり摂らない子どもでは貧血になりやすい傾向があります。疲れやすい、動悸がする、めまいがあるなどの症状を伴うこともあります。顔色の変化に気づいたら、まず小児科で血液検査を受けることが勧められます。

低血糖症

低血糖とは、血液中のブドウ糖(エネルギー源)が不足した状態で、朝食を抜いたり、激しい運動をした後などに起こることがあります。顔が青白くなり、冷や汗をかいたり、手足が震えたりすることがあります。重度になると意識がぼんやりしたり、けいれんを起こすこともあり、注意が必要です。

糖尿病の治療中の子どもに限らず、健康な子でも栄養不足や過労で低血糖になることがあります。すぐにブドウ糖や甘い飲み物を摂取することで改善が見込めます。

白血病などの血液疾患

白血病は、骨髄での正常な血液細胞の産生が妨げられる病気で、子どもにも発症することがあります。赤血球が減ることで貧血を起こし、顔色が青白くなったり、元気がなくなる、皮膚にあざができやすくなるといった症状が現れます。

風邪が治りにくい、微熱が続く、リンパ節が腫れているなど、複数の異常がある場合は注意が必要です。早期発見と適切な治療が重要であり、疑わしい症状が続く場合は、小児科や血液内科を受診しましょう。

もしかしたら起立性調節障害かも

朝の支度のときや登校時に、子どもの顔が青白く見えることはありませんか?そんなとき、単なる寝不足や疲れの場合もありますが、中には「起立性調節障害」という自律神経の不調が隠れていることがあります。

起立性調節障害は思春期の入り口にあたる小学生の高学年頃から増え始める病気で、立ち上がったときに血圧の調整がうまくいかず、脳への血流が減ることで、顔色が悪くなったり、ふらつきや頭痛、だるさを訴えるようになります。

朝に弱く、登校しぶりや遅刻が増えるため、「怠けている」と誤解されがちですが、れっきとした身体の不調です。本人はつらくても、それをうまく言葉にできず、家庭でも見逃されることがあります。

顔色の悪さが続いたり、朝に特に症状が出やすい場合は、起立性調節障害かもしれないので、まずはセルフチェックをすることをおすすめします。以下の記事では、起立性調節障害のセルフチェックに関して詳しく解説していますので参考にしてみてください。

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