起立性調節障害は中学生や高校生に多い病気ですが、大学生でも起立性調節障害になることはあるのか。
大学生で起立性調節障害になった場合、学生生活やサークル活動、バイトなどはどうしたよいのか。
一人暮らしをしている大学生も多く、その場合不安も強くなると思います。こちらの記事では、大学生に見られる起立性調節障害について、考えられる原因や症状、今後の対応などを解説していきます。
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大学生に多い起立性調節障害の主な症状
起立性調節障害は自律神経系である交感神経と副交感神経の働きのバランスに問題が起きることで様々な症状が見られる病気です。大学生特有の症状はなく、どの年代でも同じような症状が見られます。
起立性調節障害を患った場合、特に朝、次に午前中が一日のうちで最も症状に苦しむ時間帯です。
一般的に、早朝起床時には交感神経が活性化し、体も活動的になりますが、起立性調節障害を患った場合、交感神経の活性化が遅れ、体を休息させる副交感神経の影響で、朝なかなか起き上がることができない、めまいや頭痛、腹痛、ふらつきなど様々な症状が見られます。
大学生になると、遠方の大学に通ったり、一人暮らしを始めたり、サークルやバイトで多くの新しい人と出会ったり、授業の難易度が高かったり、と色々な環境の変化がみられます。
変化が大きすぎて、身体的にも精神的にも疲れてしまったり、ストレスを感じることで起立性調節障害の症状は悪化する可能性があります。
大学生が起立性調節障害を患った場合の生活への影響
やはり、一番典型的な症状である、朝起き上がることができないことがよく見られるようになります。朝起き上がることができず、午前中は色々な症状のため、大学の授業に参加することができないことも多いと思われます。
午後には症状が改善することが多いため、サークル活動やバイトには行けることが多いです。授業の課題発表やプレゼン、テストなどがある日には調子を崩しやすく、いつもの症状が悪化しやすいことがあります。
ストレスやプレッシャーによる症状の悪化以外にも、天候や気温にも影響があり、雨天や曇り、暑い日には症状が悪化しやすい傾向にあります。
大学生が起立性調節障害を患う原因
上記でも少しご説明しましたが、小学生、中学生、高校生と比較すると、大学生は自分自身がおかれた環境が大きく変化する傾向にあります。
親元を離れ都市部の大学に通い、それに伴い上京し、一人暮らしの生活が始まります。自分の身の回りの家事などもすべて自分でする必要があります。食事の準備も自分でしなくてはなりません。
食事内容、栄養バランスが乱れることも多いことが予想されます。外食が続いたり、総菜やお弁当ばかりの生活になることも多いかもしれません。
都市部の大学には、色々な場所から、色々な学生が集まっており、人との出会いが増え、交友関係のストレスが増えるかもしれません。バイトをする大学生も多く、勤務時間や日数、勤務環境、勤務先での人間関係など新たなストレス要因は多いです。
これらの変化にしんどくなり、ストレスやプレッシャーを感じることで起立性調節障害を患ってしまうことが考えられます。
中学、高校の頃など過去に患っていて大学生で再発する確率は
はっきりとした数値はわかっていませんが、中学生、高校生の頃に患い症状が改善していた起立性調節障害が大学生になり再度症状が出現することはあります。
自律神経の乱れは生活習慣の乱れ、ストレスやプレッシャー、天候(雨天、くもり、低気圧など)、気温(気温が高い)などで悪化することが考えられます。
したがって、生活習慣を整え、天気予報を確認し、気分転換やストレス発散できる趣味などを持っておき、起立性調節障害の症状が出現しないようコントロールすることが重要です。
しかし、実際は気をつけていても何が原因で再発するかがわからないことも多いため、不安も多いかもしれませんが、自分自身でできることを少しずつ行うことが一番の再発予防につながると思います。
不登校になった場合の対応
朝起き上がることができず、遅刻が続き、次第に学校に行くことができない状況になってくると、大学生活自体をどう過ごしていけば良いか、不安に思うことが多いと思います。
大学生の進級は高校生までの出席日数による評価ではなく、単位で進級の可否が評価されることが多いと思います。
したがって、午前中は体調不良で登校できなくても、午後には大学の授業を受けることができる場合、うまく単位をとっていくことも不可能ではないと思います。授業の年間スケジュールを確認し、自分の体調と相談し、単位取得が可能か判断してみるといいでしょう。
症状が今はとても辛く、大学に通うことが困難である場合は、1年間休学して体調を整えることも選択肢です。
休学中は授業料が免除になる大学も最近では多いですが、学費のこともありますので、ご両親ともじっくり相談する必要があります。休学については、数か月間、最長2年までと期間を設けている場合も多く、期間や学費に関して大学に確認する必要があります。
それ以外には、大学を辞め、通信制の大学に通うことも選択肢です。自宅にいながら学習を進めていくことができ、また、一般的に学費も安い傾向にあります。
一番大切なのは、症状を落ち着かせ、心身ともに健康な状態へ戻すことです。その上で、今の自分が無理のない範囲で学べる環境を作っていきましょう。
起立性調節障害が完治しない場合に向いている職種
この病気の特徴ですが、早朝に副交感神経から交感神経へのスイッチがうまくいかず午前中は体調が悪く、長時間立位でいるとめまいや立ちくらみなどの症状が出現します。
このため、早朝勤務や立ち仕事は身体的に負担がかかり、あまり起立性調節障害の方に向いている仕事ではないかもしれません。
生活、睡眠のリズムが崩れると症状の悪化につながるため、夜間・深夜の勤務も適しているとは言えません。
病気の特性から考えると、病気と仕事を両立するためには、早朝・夜間・深夜の勤務がなく、デスクワークがメインの仕事が比較的適した職業だと思われます。
病気と仕事を両立させる場合、自己管理が非常に重要になってきます。自分自身が身体的・精神的にどの程度負担がかかっているのかを常にセルフチェックする必要があります。
今までの経験から、どういう状況で症状が悪化する傾向にあるのかを念頭に置き、負担がかかりすぎていないか、適切に休養を取りながら仕事をすることが重要です。
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