- 子どもが思春期に入ってから不登校になってしまい困っている
- 思春期になると不登校が増える原因とは?
このようなお悩みをお持ちの親御さんも少なくないでしょう。
思春期とは子どもが大人へと成長するための移行期間を指し、具体的には8歳頃から17、18歳くらいまでの期間を指します。この時期は、自我が徐々に確立され、身体が大きく成長するとともに、精神的に不安定になる時期です。
その結果、さまざまな要因で周囲との関係性に疲弊し、家に閉じこもってしまう、いわゆる不登校が増える時期でもあります。実際に、文部科学省の報告では、毎年のように不登校児童は増加傾向にあり、特に中学生では顕著です。
同報告において、1,000人あたりの不登校児童生徒数を比較しても、小学校は1,000人あたり13.0人、中学生は1,000人あたり50.0人と、明らかに中学生で不登校児童が多いというのが現状です。
長期化すれば子供の将来にも大きく影響するため、早期から親御さんの適切な対応が求められます。そこでこの記事では、思春期の不登校の原因や親御さんの取るべき対応、取ってはいけないNG行動などを詳しく解説します。
思春期の不登校の原因とは?男女別に解説
思春期の不登校の子供に適切に接するためには、まずその原因を理解しておくことが重要です。不登校の原因は子供によってさまざまですが、主に家庭要因・学校要因・本人要因の3つに大別できます。
家庭要因では親子関係の変化や生活環境の変化、学校要因ではいじめや学業不審、本人要因では非行に走ったり無気力などが挙げられます。
どの要因が原因であっても共通しているのは、周りからの評価を過度に気にしたり、同級生の中で自分を表現したり主張することが困難になっているため、不登校になってしまう点です。
ここでは、より具体的に、男の子と女の子に分けて不登校の原因を紹介します。
男の子の場合
実は不登校の男女差はほぼありませんが、小学1年生から中学3年生の間、男児の方が不登校に陥りやすい傾向にあるようです。
ここでは、特に男の子で多い不登校の原因を4つ紹介します。
人間関係に疲れる
人間関係に疲れて不登校に陥る男の子は多いです。小学生の時は親や家族とのコミュニケーションが主であった子どもも、中学生になると親から離れて学校や塾などの同級生とコミュニティーを形成します。
しかし、本人も、同級生も皆思春期であるため、些細なことで反発したり喧嘩してしまい、最悪の場合、仲間の中で孤立してしまう可能性があります。
学校のクラスはもちろん、部活や塾、習い事など、中学生ともなると子どもと言えどさまざまなコミュニティーを持ち、それらの人間関係に疲弊して引きこもりになる可能性があるため、注意が必要です。
いじめ
男の子の不登校の原因として、いじめが挙げられます。文部科学省の「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によれば、学校におけるいじめの認知件数は年々増加傾向です。
全国の中学校の83.2%でいじめが認知されており、多くの学校でいじめが問題となっております。また、暴力行為などのいじめ以外に、最近ではSNSを介したいじめも横行しており、ネットの普及によっていじめにあう機会も増えています。
また子ども同士での会話の中で、いじめている認識がなくても相手にとってはいじめと感じてしまうケースもあるため、それによって子どもが不登校になってしまう可能性もあり、注意が必要です。
学業不振
男の子の不登校の原因として、学業不振が挙げられます。小学生の時は気にする機会も少ない学業も、中学生になると勉強の難易度が急激に上がり、成績の良し悪しがはっきりとわかってしまうため、周囲の子どもとの差がはっきりしてしまいます。
特に進学校に通う子どもの場合、学業の良し悪しがそのまま子どもの序列になってしまうこともあり、それによって劣等感を強く感じた子どもが不登校になってしまう可能性があり注意が必要です。
学業不振によって不登校に陥ると、さらに学業不振が悪化する可能性もあるため、負の連鎖にならないように早期から対策することが肝要です。
非行
男の子の不登校の原因として、非行が挙げられます。思春期になると子どもは親離れが加速し、家族との時間よりも同世代の友人との時間に重きを置くようになります。
今まで夕飯を家族と食べていたのが、友人と夕飯を食べるように変わっていき、それとともに帰宅時間も遅くなれば、徐々に非行に走るようになる可能性もあるため、注意が必要です。
非行によって夜遊びばかりするようになれば、学校に行く時間が減って不登校になる可能性があります。過度に非行に走ってしまうと、最悪の場合犯罪を犯す可能性もあるため、やはり早期から対策することが重要です。
女の子の場合
女の子の場合、男の子と比較して、より人間関係を気にする傾向にあり、それに起因して不登校になる可能性が高いです。
ここでは、特に女の子で多い不登校の原因を3つ紹介します。
SNSなどによる生活リズムの乱れ
女の子の場合、SNSなどによる生活リズムの乱れが不登校の原因となるため、注意が必要です。特に近年ではSNSが普及し、学校の外でも友人との関係性が継続してしまうため、SNSで繋がっている以上、休む暇がない点が問題です。
SNSで友人の投稿に対してコメントを残さなかっただけで仲間はずれにされるのでは?などと、過度に不安になってしまい、精神が疲弊してしまう可能性もあります。夜遅くまでSNSに縛られ、生活そのものが乱れてしまうこともあるでしょう。
特に思春期の子どもは、SNSと一定の距離感を保って生活することに不慣れであるため、親御さんは注意して観察しておく必要があります。
無気力・不安
女の子の場合、思春期特有の無気力・不安などによって不登校になる可能性があるため、注意が必要です。思春期は心や身体に大きな変化のある時期であり、その影響で精神的に不安定になりやすい時期でもあります。
ホルモンバランスの変化・睡眠不足・過度なストレス・自我の形成・運動不足など、さまざまな要因が精神に影響し、原因を自覚できない無気力や不安感を抱く可能性があります。
この場合、本人はもちろんのこと、周囲の友人や家族も原因をわからずに、不登校に陥ってしまう可能性があるため、注意が必要です。
周囲からの目線を気にしてしまう
女の子は、周囲からの目線を気にしてしまうことで不登校になる可能性が高いです。女の子は男の子と比較して、周囲の人からどのように見られるか過度に気にする傾向にあり、それによって人間関係に疲れてしまうと不登校になります。
周りの子にどのように思われているのか、周りの子に嫌われていないか、周りと比べて容姿が劣っていないかなど、さまざまなことが気になってしまい、精神的に疲弊してしまいます。
また、思春期には身体も成長によって変化するため、見た目や容姿を周囲と比較してしまい、不登校になってしまう可能性もあります。
思春期に不登校になった場合の対応方法とは?親ができることを解説
子どもが不登校になってしまった場合、原因によって親御さんの取るべき対応も変わってきますが、原因がはっきりとしないケースも少なくありません。
原因がはっきりとしない場合、親御さんの自己判断で闇雲に子どもに接すれば、さらに状態が悪化する可能性もあり、注意が必要です。特に、過度な干渉や過度な放置は子どもの状況を悪化させる可能性があるため、控えるべきです。
子どもをどのように復帰させるかよりも、どうしたら安心して日々を過ごせるか、に重きを置いて接することが重要であり、ここでは具体的な対応方法を紹介します。
休んでいる現状を肯定する
親御さんは、子どもが不登校で学校を休んでいる現状を肯定してあげましょう。原因や理由もわからずに無理に登校させようとすれば、子どもにとってさらにストレスがかかり、現状は悪化してしまう可能性があります。
不登校に陥っている=心身ともに疲弊していると考え、子どもがしっかり休息できるよう、親御さんは「休む必要がある時期だから、休んでいいんだよ」ということを伝えてあげることが重要です。
些細なことも誉める
親御さんは、不登校の子どもの些細な言動に対してもしっかり褒めてあげましょう。先述したように、不登校の子どもは心身ともに疲弊しており、余裕のない状態です。
また、不登校になってしまった自分に対して自己肯定感も下がっている状態であり、自分に自信を持てない状態です。そのような中で、子どものどんなに些細な言動でも親御さんがしっかり褒めてあげることで、自己肯定感の醸成や、自信を取り戻すことにつながるでしょう。
掃除や洗濯などの家事はもちろん、ゲームや遊びなど子どもが好きなことを行なっている時も、褒めてあげると良いでしょう。
学校や関連機関との連携を図る
子どもが不登校になった時、親御さんにできることは家の外にもたくさんあります。特に、学校や関連機関との連携を図ることが重要です。
学校の教師と連携をとることで、クラスの中での自分の子どもの立ち位置や境遇をより詳しく知ることができます。
また、教育センターや教育相談所、教育支援センター、児童相談所などの関連機関と連携をとることで、学校以外のコミュニティーや学びの場を子どもに提供することができます。
さらに、親御さん自身が相談できる場所にもなるため、これらの機関との連携を進めておくべきです。
不登校を解決する上で親がやってはいけないNG言動?
親御さんからしたら良かれと思ってとった行動が、子どもにとってはプレッシャーやストレスとなってしまい、より不登校が悪化してしまう可能性があるため、注意が必要です。
ここでは、不登校を解決する上で親がやってはいけないNG言動を3つ紹介します。ぜひ自身の言動が当てはまっていないか、見つめなおしてみると良いでしょう。
子どもの意見や考えを否定する
不登校の子どもを持つ親御さんは、子どもの意見や考えを否定することはNGです。自分の子どもが不登校になってしまい、つい子どもを叱責したり、なぜ学校に行けなくなってしまったのか問い詰めてしまうケースは少なくありません。
しかし、これらの行動が全て子どもにとって逆効果です。子どもにとってストレスになってしまい、さらに症状が悪化する可能性があります。また、ただでさえ心身が疲弊している時に追い込んでしまうため、子どもとの間に将来的にも深い亀裂が入る可能性もあります。
必ず子どもの意見を尊重し、否定から入らずにしっかり話に耳を傾けるように努めましょう。
無理やり登校させる
不登校の子どもを無理やり登校させるのも控えるべきです。原因もわからず、子どもの休息したいという気持ちを無視してまで学校に行かせても、何も問題は解決されず、ただストレスを与えるばかりです。
特に、不登校の原因が学校要因であった場合、無理に登校させるのは非常に危険であり、絶対に控えるべきです。子供が心身ともに疲弊していることをしっかり理解し、再登校よりもまずは心身の回復を優先するように努めましょう。
過度に甘やかす
不登校の子どもを過度に甘やかすのも良くありません。子供が不登校で、心身ともに疲れているからといって、何でもかんでも子どもの言うことやお願いを聞いていると、子供が不登校から抜け出しにくくなってしまいます。
ゲームの時間は普段から制限を設けたり、不登校中も早寝早起きを守らせるなど、学校に行くときと同じような生活を自宅でも継続すべきです。不登校だからと言って過度に甘やかさず、ある程度普段通りに接してあげることも必要です。
もしかしたら起立性調節障害かも
思春期の子供が不登校になった場合、もしかしたら起立性調節障害かもしれません。起立性調節障害とは、身体の急激な成長に対して自律神経の成長が追いつかず、自律神経のバランスが乱れることでさまざまな症状をきたす疾患です。
特に、身体の成長著しい小学生高学年〜中学生で発症しやすく、まさに思春期で発症しやすい病気です。特に午前中に症状が強く、めまい・立ちくらみ・腹痛・嘔吐・起床困難などの症状をきたし、午前中は学校に行けない子供も少なくありません。
約10%の子供が起立性調節障害を発症し、多くの場合は自然軽快しますが、中には重症化してしまい、長期間の不登校を余儀なくされたり、進学する学校を変更せざるを得なくなることもあります。
起立性調節障害はメンタルややる気の問題ではなく、自律神経の乱れによる身体疾患であるため、早期発見し、早期治療することが何より重要です。
そこで下記の記事では、子どもにおける起立性調節障害のセルフチェック方法を詳しく紹介しています。朝起きれずに登校が遅れたり、子供が学校を休みがちの場合はぜひ一度チェックしてみましょう。